JPH0417041B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、靴用ウエルト（細革）に係わり、
特に、発泡ウレタンから成るソールを有する靴及
び靴用ウエルトに関する。

（従来技術の問題点） 従来は、靴のアウトソールと靴の甲皮との間に
設けられた継目を覆うために、ウエルトが広く使
用されている。そのようなウエルトには、靴の甲
皮により変形される直立ビードが内端部に設けら
れ、靴の甲皮及びビードは密接に付着され、継目
が覆われ、靴のステツチ（縫い目）を防水する構
造が設けられている。そのウエルトは、継目を増
強するために靴のソール及び靴の甲皮に接合され
ている。

従来のウエルトは、米国特許No.2438095、
2753636、3113388、2563638、及び2448165に開示
されている。このような従来のウエルトは、通
常、様々な形状を有している。第１に、ウエルト
は、甲皮に沿つてアウトソールの上面に付着され
る水平本体部を有している。通常、そのようなウ
エルトには、本体部の内端部に沿つて直立ビード
が設けられ、そのビードは、靴甲皮の表面に付着
されている。そのような従来のウエルトは、内端
部近傍の本体部の元部に沿つて、ステツチ収容溝
を有している。このステツチ収容溝は、ウエルト
を靴甲皮及び靴インソールに固着するステツチを
収容する。

一方、上述した特許の一部には、本体部の内端
から垂直下方に延出した部分を有する靴ウエルト
が開示されている。これらの部分は、靴ウエルト
が靴アウトソールに固着される前に、型通りに整
えられる。典型的には、この靴ウエルトは、ステ
ツチ加工によりアウトソールに固着される。

上述の米国特許は、靴ウエルトがアウトソール
に容易に縫合できるレザーアウトソールを備えた
靴に適用できる。今日、靴製造技術は、レザー靴
ソールのみならず硬質発泡ウレタンから形成され
た靴ソールも含まれている。そのような靴では、
靴ウエルトは、靴ソールに縫合されず、発泡硬化
のような接着により発泡ウレタンに付着される。
しかしながら、ソールとウエルトとの良質な付着
は、常に得ることはできない。良質な付着が得ら
れないことに関して考えられる理由は、発泡体と
ウエルトとの間の気泡の存在である。この様な場
合に、ウエルトは、一定の使用期間の後にウレタ
ンソールから剥がれ落ちる。

（問題点を解決するための手段） この発明は、上記の点に着目して成されたもの
であり、その目的は、硬質発泡ウレタンのソール
を有する靴用ウエルトを提供することである。

また、この発明の他の目的は、ウエルトが改良
された付着及び結合により靴ソールに取付られ、
発泡処理により底付される靴用のウエルトを提供
することである。

また、この発明の更に他の目的は、ウエルトを
靴ソールに掛合（アンカーリング）させるための
手段がウエルトに設けられている発泡ウレタンソ
ール用の靴ウエルトを提供することである。

この発明の好ましい実施例に於いて、靴ウエル
トは、発泡処理により形成されたアウトソールを
有する靴用として開示されている。このウエルト
は、アウトソール付着部材の内端部にインシーム
付着部を有し、概略水平なアウトソール付着部材
を備えている。アウトソール付着部材の底面及び
インシーム付着部の反対面は、靴甲皮に対してイ
ンシーム付着部を掛合するためにステツチを収容
するステツチ収容溝を形成している。この靴に
は、アウトソール付着部材の内端部及びインシー
ム付着部の上部に直立ビードが設けられている。
フツク部は、インシーム付着部の下方に於ける水
平部材の内端部に設けられている。そのフツク部
は、アウトソール付着部材の底面下方に発泡体収
容溝を形成している。

以下図面を参照しながらこの発明の実施例を説
明する。

（実施例） 図面には、靴のウエルト１０が概略的に開示さ
れている。このウエルトは、概略水平なアウトソ
ール付着部材１１を有し、この部材は、断面形状
が長方形で、上部水平面（上面）１１ａ及び下部
水平面（底面）１１ｂが設けられている。靴のウ
エルト１０は、外側端部１１ｃ及び内側端部１１
ｄを有している。インシーム付着部１２には、内
側端部１１ｄに沿つてアウトソール付着部材が全
体的に設けられている。アウトソール付着部材の
底面１１ｂ及びインシーム付着部の反対面１２ａ
は、ステツチ収容溝１３を形成している。直立ビ
ード１４は、アウトソール付着部材１０の内端部
に設けられ、上面１１ａの上方に垂直に突出して
いる。底面１１ｂには、外側端部１１ｃに垂直で
概略等間隔に形成されたスリツト５５が設けられ
ている。図面に開示されているように、スリツト
５５は、アウトソール付着部材１１の約2/3及び
外側端部１１ｃを切り通している。

フツク部２０は、図示されているように、付着
部材の内端部にアウトソール付着部材１１と一体
的に設けられ、インシーム付着部１２から概略垂
直下方に突出している。フツク部２０は、アウト
ソール付着部材１１の底面１１ｂと同一平面上で
概略平行な上面２１を有している。加えて、フツ
ク部は、概略垂直な垂直部２２を有し、この垂直
部は、ステツチ収容溝１３を形成する垂直面１２
ａの内方に設けられ、外方に面する垂直面２２ａ
を有している。外方に突出したフランジ２３は、
垂直部２２の元部に設けられ、それと共に、フラ
ンジ２３は、上部表面（上面）２１と概略等しい
幅を有するほぼ水平な下部表面（下面）２３＾ａ
を有し、下部表面２３ａと上部表面２１は、直線
上に距離を於いて概略平行に設けられている。こ
れらの表面２１，２２ａ，２３ａは、発泡体収容
溝８０を形成し、この溝は、アウトソール付着部
材１１の底面１１ｂの下方に、アウトソール付着
部材１１の内端部に沿つて、ウエルト１０の全長
に亙つて延在し、概略長方形の断面を有してい
る。

第４図には、この発明に係わるウエルトを有す
る靴が開示されている。この靴は、外側甲皮３１
及び内側甲皮３２から成る概略垂直な靴の甲皮３
０を備えている。この靴には、また、上部インソ
ール４１及び下部インソール４２を備えたインソ
ール４０が設けられている。断面がＶ形状を有す
る接続用皮帯４３には、適当な手段を介して下部
インソール４２に固着された第１エツジ４３ａ、
及びステツチ５０によつて内側甲皮３１に固着さ
れた第２エツジ４３ｂが設けられている。第４図
に開示されているように、靴は、インシーム付着
部１２及び外側甲皮３１の外面に付着される直立
ビード１４を有するウエルト１０により組立てら
れる。ステツチ５０は、ステツチ収容溝１３内に
収容され、内側甲皮３２及び外側甲皮３１を介し
て延在し、皮帯４３の第２エツジ４３ｂを係合さ
せる。従つて、ステツチ５０は、インソール４
０、甲皮３０及びウエルト１０を共に効果的に結
合させる。ウエルト１０が靴の爪先の周囲に曲げ
られる際に、スリツト５５は、ウエルト１０が破
れることなく曲がるように分離される。ウエルト
１０が曲げられた際に、スリツト５５は、第５図
に示されているようにＶ形状の溝を形成する。

靴のアウトソール６０は、下部インソール４２
及びウエルト１０に付着される。アウトソール６
０は、硬質発泡ウレタンから形成され、下部イン
ソール４２及びウエルト１０に接する型内で硬化
される。発泡体が型内に射出された際に、発泡材
料は、下部インソール４２及びウエルト１０を覆
う。続いて、発泡材料は、スリツト５５及びウエ
ルト１０の底面１１ｂに形成されたＶ形状の溝５
５ａを満し、また、ウエルト１０のフツク部２０
の反対面に形成された発泡体収容ノツチ（発泡体
を収容する一連の切欠き）内を満す。発泡体が硬
化した際に、発泡体は、下部インソール及びウエ
ルト１０の表面に付着する。更に、発泡体収容溝
８０内の発泡体は、ウエルト全体の周囲に延出し
たフオームアンカ６３を形成し、このフオームア
ンカ６３は、ウエルト１０とアウトソール６０の
間に於ける垂直方向の相対移動を防止するのに特
に強力な、ウエルト１０をアウトソール６０に結
合させる機械的支持構造を備えている。スリツト
５５及び底面１１ｂのＶ形状溝５５ａは、底面１
１ｂとアウトソール６０の間の付着力を増すため
に増加された表面積を有し、ウエルト１０とアウ
トソール６０の間の接着強度を更に強めている。
また、ウエルト１０と、スリツト５５及びＶ形状
溝５５ａの発泡体の垂直面は、ウエルト１０と発
泡体６０の間の相対的に横方向の移動を防止する
機械的支持構造を備えている。

以上説明したように、この発明の目的は、好ま
しい方法で達成される。一方、上述の実施例は、
この発明の好ましい実施例であり、開示された特
別な実施例は、この発明の限定として解釈される
べきではない。そして、この発明は、この実施例
の変形例及び開示された技術から自明な均等物も
包含している。

【図面の簡単な説明】

第１図は、靴ウエルトの底部を示した、この発
明に係わる靴ウエルトの斜視図；第２図は、靴ウ
エルトの上部を示した、この発明に係わる靴ウエ
ルトの斜視図；第３図は、第２図の−線に沿
つて断面された、この発明に係わるウエルトの断
面図；第４図は、この発明に係わるウエルトを有
する靴の一部分を示す断面図；第５図は、ウエル
トが扇状に拡張され、ウエルトの溝が開口された
状態を示す、この発明に係わる靴ウエルトの斜視
図である。 １０……ウエルト、１１……アウトソール付着
部材、１１ｂ……底面、１２……インシーム付着
部、１３……ステツチ収容溝（ステツチ収容手
段）、２０……フツク部、６０……アウトソール、
８０……発泡体収容溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 発泡処理によつて形成されたアウトソールを
   有する靴用のウエルトに於いて、 靴アウトソールに結合するための底面を備えた
   概略水平なアウトソール付着部材と、 前記アウトソール付着部材の内端部に沿つて、
   一体に設けられたインシーム付着部と、 前記インシーム付着部の反対面及び前記底面に
   よつて形成されたステツチ収容手段と、 前記内端部に沿つて前記底面の下方に発泡体収
   容溝を形成し、前記アウトソール付着部材と一体
   に設けられたフツク部とを具備する靴用ウエル
   ト。 ２ 前記フツク部は、前記アウトソール付着部材
   の前記内端部に沿う概略水平な上面と、前記イン
   シーム付着部から下方に延出する概略垂直な垂直
   部と、前記垂直部から突出し、外方に延在するフ
   ランジとを備え、前記上面及び前記垂直部の反対
   面及びフランジが前記発泡体収容溝を形成してい
   る特許請求の範囲第１項記載の靴用ウエルト。 ３ 前記フツク部は、垂直の開口を有し、前記ス
   テツチ収容溝の近傍に配置された概略長方形断面
   の前記発泡体収容溝と共に配置されている特許請
   求の範囲第２項記載の靴用ウエルト。 ４ 前記フツク部の前記上面は、前記アウトソー
   ル付着部の底面と概略平行に設けられている特許
   請求の範囲第３項記載の靴用ウエルト。 ５ 前記アウトソール付着部の前記底面には、前
   記アウトソール付着部材の外端部から前記内端部
   に延在する複数のスリツトが設けられ、このスリ
   ツトは、前記アウトソール付着部材を部分的に切
   り欠いて形成されている特許請求の範囲第１項記
   載の靴用ウエルト。 ６ 発泡処理によつて形成されたアウトソールを
   有する靴に於いて、 インソールと、 靴甲皮と、 概略水平なアウトソール付着部材と、底面と、
   前記靴甲皮の外面に付着された前記アウトソール
   付着部材の内端部に沿つて延在するインシーム付
   着部と、前記アウトソール付着部材と一体的に設
   けられ、前記内端部に沿つて前記底面から延出
   し、前記底面近傍に発泡体収容溝を形成するフツ
   ク部とを有する靴ウエルトと、 前記インシーム付着部を前記靴甲皮及び前記イ
   ンソールに結合させる結合手段と、 発泡処理によつて形成され、前記インソール及
   び前記アウトソール付着部材の前記底面に固着さ
   れ、前記発泡体収容溝内に形成されたフオームア
   ンカを有するアウトソールとを具備する靴。 ７ 前記フツク部は、前記アウトソール付着部材
   の前記内端部に沿つて設けられた上面と、前記イ
   ンシーム付着部から下方に延出した概略垂直な垂
   直部と、前記垂直部から突出し、外方に延在する
   フランジとを備え、前記上面及び前記垂直部の反
   対面及びフランジは、前記発泡体収容溝を形成
   し、前記フオームアンカがこの発泡体収容溝内に
   収容される特許請求の範囲第６項記載の靴。 ８ 前記接続手段は、前記底面の反対面及び前記
   インシーム付着部によつて形成されたステツチ収
   容ノツチと、前記ウエルト、甲皮及びインソール
   を結合する前記ノツチ内に収容されたステツチと
   を備えている特許請求の範囲第７項記載の靴。 ９ 前記フツク部は、前記溝を前記ノツチの近傍
   に提供するような大きさに形成され、前記溝は、
   実質的に水平な底面を有する特許請求の範囲第８
   項記載の靴。 １０ 前記アウトソール付着部の前記底面には、
   前記アウトソール付着部材の外端部から前記内端
   部に延在する複数のスリツトが設けられ、このス
   リツトは、前記アウトソール付着部材を部分的に
   切り欠いて形成され、前記アウトソールは、前記
   スリツトにアウトソールの材料を満たしながら形
   成される特許請求の範囲第６項記載の靴。