JPH0416850B2 - - Google Patents

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JPH0416850B2
JPH0416850B2 JP4243487A JP4243487A JPH0416850B2 JP H0416850 B2 JPH0416850 B2 JP H0416850B2 JP 4243487 A JP4243487 A JP 4243487A JP 4243487 A JP4243487 A JP 4243487A JP H0416850 B2 JPH0416850 B2 JP H0416850B2
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JP
Japan
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perpendicular magnetic
cobalt
film
iron
anisotropic film
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JP4243487A
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English (en)
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JPS63183611A (ja
Inventor
Kenji Matsumoto
Shogo Nasu
Koji Saiki
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Publication of JPS63183611A publication Critical patent/JPS63183611A/ja
Publication of JPH0416850B2 publication Critical patent/JPH0416850B2/ja
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は垂直磁気記録媒体に関する。さらに詳
しくはカード、テープ、またはデイスク形状など
で使用され、鉄・コバルトの部分酸化物からなる
垂直磁気異方性膜が形成され、高密度磁気記録に
適した垂直磁気記録媒体に関する。 〔従来の技術〕 従来より、高密度磁気記録を行うには垂直磁気
記録媒体を用いるのが有効である。このような垂
直磁気記録媒体には、磁化容易方向が膜面に対し
て垂直な方向である磁性薄膜が使用され、この磁
性薄膜としては、これまでスパツタリング法また
は真空蒸着法によつて形成されるコバルト−クロ
ム(コバルトとクロムの合金)の薄膜、Fe3O4
薄膜、Os−γFe2O3の薄膜や、塗布法またはスパ
ツタリング法によつて形成されるバリウムフエラ
イトの薄膜などが使用され、検討されている。 そしてまた、これらの磁性薄膜の、記録および
再生の感度を向上させるために、特公昭58−91号
公報に記載されているような前記磁性薄膜の下地
として軟磁性層が設けられた2層膜構造の磁性薄
膜が形成されている垂直磁気記録媒体が提案され
ている。 そして、たとえば、Co−Cr単層の垂直磁気異
方性膜を使用した垂直磁気記録媒体に対して、同
じ垂直磁気異方性膜を使用した前記2層膜構造の
垂直磁気記録媒体はその記録・再生感度が約10倍
となる。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら以上のような従来の垂直磁気記録
媒体においては、コバルト−クロム合金の磁性薄
膜を垂直磁気記録媒体として用いるばあいには、
単結晶に近い構造のものを用いる必要があり、一
般に垂直磁気記録媒体の製造時に、前記磁性薄膜
が形成される基板を100℃以上、あるいはしばし
ば200℃以上に加熱する必要があり、耐熱性のあ
る基板を用いなければならず、製造コストをアツ
プさせている。さらにこのばあいには、膜成分が
金属であるために本質的に摩耗し易いという欠点
がある。 一方Fe3O4、Os−γFe2O3などの金属酸化物は
硬く、摩耗に対して強いが、Fe3O4磁性薄膜やOs
−γFe2O3磁性薄膜についてもその製造時に前記
基板を250℃以上に加熱する必要があり、前記コ
バルト−クロム合金の磁性薄膜と同様に製造コス
トをアツプさせることになる。さらにOs−
γFe2O3などの金属酸化物を用いるとき、ばあい
によつては、還元処理が必要である。また、これ
らの磁性薄膜を使用した垂直磁気記録媒体は飽和
磁化が小さく、高い再生感度のものは望めないと
いう欠点がある。 またバリウムフエライト磁性薄膜を垂直磁気記
録媒体として用いるばあいにおいて、この磁性薄
膜を塗布法により製膜するばあいには、0.1μm程
度で粒径がそろつたバリウムフエライト粉を製造
する必要があり、このため磁性薄膜の製造コスト
が高くなるという欠点がある。また製膜時にバイ
ンダーを必要とし、その分だけバリウムフエライ
ト量の組成比が小さくなり、それによつて磁性薄
膜の飽和磁化が小さくなつて磁性記録媒体として
の性能が低下する欠点がある。 さらにバリウムフエライトの磁性薄膜をスパツ
タリング法により製膜するばあいには、塗布法に
よるばあいにくらべ磁性薄膜の飽和磁化は大きく
なるが基板板を、500℃程まで加熱する必要があ
り、廉価なプラスチツク材料製の基板を使用する
ことができないという欠点がある。 そしてさらに、磁性薄膜に情報を記録し、それ
を再生するばあいの記録および再生の感度を向上
させるために、垂直磁気異方性膜の下地に軟磁性
層が設けられた2層膜構造の垂直磁気記録媒体に
おいては、たとえば、前記垂直磁気異方性膜が
Co−Cr合金からなるばあいには、hcp<001>の
結晶軸が膜面に対して垂直に配向することが必要
となるが、そのためには、下地となる軟磁性層の
材料の種類、結晶形態、格子定数および配向程度
を厳密に規定する必要があるなど、これらの2層
の膜のそれぞれのの結晶性癖のためにお互いに制
約を受けるばあいが多いという欠点がある。 これらの欠点を解決する有力な方法として、コ
バルトの部分酸化物からなる垂直磁気異方性膜が
提案されている。この方法によれば低い基板温度
で垂直磁気異方性膜を作製できるために耐熱性の
乏しい廉価なフイルムを基板として使用すること
ができ、またこの垂直磁気異方性膜は大きい垂直
磁気異方性を有しているために飽和磁化の大きい
垂直磁気異方性膜をつくることができる。しかし
コバルトの部分酸化物からなる垂直磁気異方性膜
は、その記録・再生感度が高くないという問題が
ある。 また本発明者らは、Feの部分酸化物からなる
垂直磁気異方性膜を提案した。しかしながら、こ
の垂直磁気異方性膜についても、低温で作製可能
であるが、こんどは膜の垂直磁気異方性が不充分
であり、飽和磁化の大きい膜がえられていないと
いう問題がある。 また、コバルトと鉄、またはコバルトと鉄とニ
ツケルの部分酸化物からなる垂直磁気異方性膜が
提案されている。これらの垂直磁気異方性膜も低
い基板温度で作製可能であるが、その記録・再生
感度が高くないという問題がある。 なお、これらの部分酸化物からなる垂直磁気異
方性膜は、耐摩耗性が優れており、また金属を含
んでいるため可撓性も優れているという利点があ
る。 本発明は、以上のような従来の垂直磁気記録媒
体における垂直磁気異方性膜自体の問題点ならび
に垂直磁気異方性膜とその下地となる軟磁性層と
が相互に制約を受けるという問題点を解決するた
めになされたもので、容易かつ廉価に製造でき
る、耐摩耗性に優れた、磁気記録およびその再生
の感度が良い、磁気記録密度の高い、かつ下地と
して軟磁性層を用いて二層膜構造にするときは下
地となる軟磁性層との相互制約の少ない垂直磁気
異方性膜を備えた垂直磁気記録媒体を提供するこ
とを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明の垂直磁気記録媒体は、基板上に一般式
が(Fe1-xCox)1-y)Oy(ただし、0.01≦x≦0.75
であり、0.05≦y≦0.50である)で表わされる
鉄・コバルトの部分酸化物からなり、膜面に対し
て垂直な方向の磁化容易軸を有しており、かつX
線回折分析により鉄の酸化物に起因する回析X線
強度のピークならびに鉄およびコバルトの金属に
起因する回析X線強度のピークがともに検出され
てなる垂直磁気異方性膜が形成されているもので
ある。 まず本発明における鉄・コバルトの部分酸化物
からなる垂直磁気異方性膜について説明する。 本発明の垂直磁気異方性膜は、その組成が一般
式(Fe1-xCox)1-yOyで表わされ、その組成範囲
が0.01≦x≦0.75であり、かつ0.05≦y≦0.50で
ある場合に垂直磁気異方性が大きくなる。 前記xの値すなわち膜中の鉄とコバルトの原子
数の総和に対するコバルトの原子数の比(原子
比)の値の好ましい範囲は、yの値すなわち膜中
の酸素の原子数の割合の値によつて異なる。膜中
に適当量のコバルトを存在させることにより、鉄
の部分酸化物のみからなる垂直磁気異方性膜に比
べ、膜の異方性磁界(Hk)、飽和磁化(Ms)お
よび垂直保磁力(Hc⊥)を著しく大きくするこ
とができる。しかし前記xの値があまり大きくな
りすぎると、垂直磁気異方性膜の垂直保磁力
(Hc⊥)、飽和磁化(Ms)および異方性磁界
(Hk)が小さくなり、また垂直角型性も悪くな
り、垂直磁気異方性膜としての機能が消失する。 このようなことは、第1〜3図によつて知るこ
とができる。第1〜3図は、それぞれ02分圧が
4.5×10-4〔Torr〕であるばあいの鉄とコバルトの
総量に対するコバルトの割合〔原子比〕が変化し
たばあいにおける垂直磁気異方性膜の飽和磁化
(Ms)、垂直保磁力(Hc⊥)および異方性磁界
(Hk)の値の変化の様子を示している。第1〜3
図からxの好ましい範囲を判断すると、これはy
の値(これは02分圧の値と対応する)によつて変
るが、xの値の上限は0.75程度であり、とくに好
ましくは0.2≦x≦0.6程度である。またyの値の
好ましい範囲もxの値によつて異なるが、yの値
が0.50程度より大きくなると垂直磁気異方性膜の
飽和磁化(Ms)の値が小さくなりすぎ、またy
の値が0.05程度より小さくなると異方性磁界
(Hk)の値が低下し、垂直異方性を有する膜がえ
られなくなる。そしてyの値の好ましい範囲は、
0.1≦y≦0.4程度であり、さらに、yの値の最も
好ましい範囲は、前記好ましい範囲における鉄・
コバルトの部分酸化物の酸化の状態によつて決め
ることができる。すなわち、コバルトの大部分
(80%以上)が金属状態であり、かつ鉄のかなり
の部分(少なくとも30%程度以上)が酸化物(後
記するようにFeOである)の状態となつているy
の値の範囲が最も好ましいyの値の範囲となる。 かかる部分酸化物の酸化の状態は前記yの値を
変化させた鉄・コバルトの部分酸化物からなる垂
直磁気異方性膜を製造し、これをx線光電子分光
(XPS)法によつて分析することによつて知るこ
とができる。 このため次のような実験を行なつた。 xの値が0.55であり、yの値を0.09、0.12、
0.19および0.33と変化させた(Fe0.45Co0.551-yOy
のサンプルを製造し、このサンプルについて
XPS法による分析を行なつた。ここでyの値は、
前記サンプルである垂直磁気異方性膜をスパタリ
ング法を用いて製膜するときのO2の分圧を変え
ることによつてコントロールすることができる。 なお、XPS分析に先立つて前記サンプルをア
ルゴンイオンビームを用いて、膜表面下約300Å
の深さでエツチングした。これは膜表面の酸化の
影響を除去するためである。 前記サンプルについのXPS法によつて分析さ
れた鉄とコバルトの2p電子軌道によるスペクト
ルを第4a図および第4b図に示す。第4a図に
おいて一点鎖線で示すA線に対応するスペクトル
強度はO価のFe(金属状態の鉄)の2P3/2電子軌
道によるスペクトル強度のピークを示しており、
同様なB線に対応するスペクトル強度は2価また
は3価のFeの2P3/2電子軌道によるスペクトル強
度のピークを示している。また第4b図におい
て、一点鎖線で示すA1線に対応するスペクトル
強度はO価のCo(金属状態のコバルト)の2P3/2
電子軌道によるスペクトル強度のピークを示して
おり、同様なB1線に対応するスペクトル強度は
2価または3価のCoの2P3/2電子軌道によるスペ
クトル強度のピークを示している。これらのスペ
クトル強度のピーク値から鉄およびコバルトのそ
れぞれについて酸化されているものの割合を求め
ることができる。そして膜中の酸素の割合である
yの値はFeの2P3/2軌道、Coの2p3/2軌道および
酸素のIs軌道によるスペクトルの各ピークの強度
を求め、該各ピークの強度の値および測定装置に
起因する感度補正値によつて求めることができ
る。このようにして求められたyの値の変化に対
応した。 (Fe0.45Co0.551-y0y中における鉄およびコバル
トのそれぞれに対する酸化されている鉄およびコ
バルトの割合を第1表に示す。
〔実施例〕
つぎに本発明の実施例について具体的に説明す
る。 実施例 1 高周波マグネトロン型スパツタ機を用いて、厚
さが50μmのポリイミド基板上にパーマロイから
なる軟磁性膜を形成し、さらにその上に鉄・コバ
ルトの部分酸化物からなる垂直磁気異方性膜を形
成した。 パーマロイのターゲツトは、直径が6インチで
厚さが1mmのFe14Ni77Cu5Mo4合金製の円板であ
る。このターゲツトと前記基板との距離は7cmで
あり、基板が設けられている雰囲気のアルゴンガ
ス圧は5×10-3Torrであり、基板温度は室温で
ある。そしてスパツタリングパワーが1kWで充
分に予備スパタリングを行つてターゲツト表面の
洗浄を行つたのちにシヤツターを開き、10分間ス
パツタングを行い基板上にパーマロイを堆積し
た。この際、前記基板をターゲツト上で毎分10回
転の速度で回転した。形成された軟磁性膜の一部
を切取り、この膜厚を触針式膜厚計で測定したと
ころ膜の厚さは4900Åであつた。また試料振動型
磁力計により磁化曲線を測定したところ、保磁力
は0.9〔Oe〕であり、飽和磁化は550〔emu/cm2〕で
あり、初期透磁率は1100であつた。また軟磁性膜
の磁気的異方性は事実上認められなかつた。 つぎに前記ターゲツトを直径が6インチで厚さ
が1mmの鉄板に微小なコバルト板をのせた複合タ
ーゲツトに換えて、前記パーマロイかなる軟磁性
膜上に鉄・コバルトの部分酸化物から成る垂直磁
気異方性膜を形成した。基板が設けられている雰
囲気のアルゴンガス圧は3×10-3Torrであり、
添加酸素ガス圧は4.5×10-4Torrであり、基板温
度は室温である。そしてスパツタリングパワーが
2kWで充分に予備スパツタリングを行つてター
ゲツト表面を洗浄したのちにシヤツターを開き、
2分間スパツタリングを行いパーマロイ上に垂直
磁気異方性膜を形成した。形成した垂直磁気異方
性膜を触針式膜厚計で測定したところ膜の厚さは
1200Åであつた。垂直磁気異方性膜の下地パーマ
ロイの無い部分をサンプリングし、X線マイクロ
アナライザー(XMA)で分析したところ鉄・コ
バルト量に対するコバルト量の割合は原子比で
0.33であつた。さらに、X線光電子分光(XPS)
法で測定された垂直磁気異方性膜中の酸素原子の
割合は原子比で0.28であつた。そしてXPSスペク
トルにより鉄およびコバルトのイオン化状態を調
べた結果、鉄のかなりの部分(約50%)が酸化さ
れており、コバルトの大部分(90%以上)が金属
状態であることがわかつた。 さらに第7図に本実施例でえられた垂直磁気異
方性膜のX線回折分析を行なつた結果を示す。X
線回折には陽極の銅のX線管を用い、加速電圧が
40kvであり電流が60mAである条件で測定した。
第7図に示されているように回折角2θ=42.0゜付
近に現われている回折X線強度のピークは、FeO
の格子面間隔2.13〜2.16Åに対応する格子による
回折に起因するものと考えられる。また第7図に
おいて回折角2θ=44.4゜付近に現われている回折
X線強度のピークは鉄およびコバルト金属の格子
面間隔2.02〜2.08Åに対応する格子による回折に
起因するものと考えられる。 そして第7図からわかるように本実施例の垂直
磁気異方性膜については、X線回折分析による
FeOに起因する回折X線強度のピークと鉄および
コバルトの金属に起因する回折X線強度のピーク
とが共に認められ、前述の本発明の垂直磁気異方
性膜における微視的構造的要件を充足している。 また第8図は本実施例の垂直磁気異方性膜の磁
化ヒステリシス曲線を示している。本実施例の垂
直磁気異方性膜の垂直方向の飽和磁化(Ms)は
1000〔emu/cm3〕であり、保磁力(Hc⊥)は880
〔Oe〕であつた。また磁化ヒステリシス曲線から
求められた磁気異方性エネルギーKuは1.64×106
〔erg/cm3〕であつた。ここに磁気異方性エネルギ
ーKuは面内方向の初期磁化曲線(第8図破線で
示す)と、磁化の強さを示す縦軸と、縦軸上の飽
和磁化の値の点を通り磁場の強さを示す横軸に平
行な直線とで囲まれる第8図で示す斜線部Aの面
積により求められる。さらにまた異方性磁界
(Hk)は2ku/Msによつて求められ、3.3kOeと
なつた。 また本実施例における垂直磁気記録媒体を垂直
磁気ヘツドを備えたテスターで評価した。該磁気
ヘツドは補助磁極型であり、その主磁極について
は、厚さが0.3ミクロンであり、また幅が200ミク
ロンであり、またコイル巻数が50ターンである。
また垂直磁気記録媒体の走行速度は毎秒2mとし、
記録電流は10mAとした。そして線記録密度と再
生出力との関係は第9図に示されているようなも
のとなつた。 第9図からわかるように、本実施例の垂直磁気
異方性膜の低い記録密度の範囲における再生出力
は100〔μVo−p〕であり、極めて高い再生出力で
あつた。 そして第9図からわかるように磁気ヘツドの膜
厚に基づく損失のために記録密度が120〔kFRI〕
程度となつたとき再生出力が消失するが、この消
失を無視して第9図において破線で示すように包
絡線を引き、前記低い記録密度の範囲における再
生出力の値の半分の再生出力の値となる記録密度
をD50と定義すると、本実施例の垂直磁気異方性
膜についてのD50の値は約200〔kFRI〕となり、極
めて高い値となる。これにより150wFRI以上と
いう極めて高い記録密度でも、充分な再生出口が
えられることがわかる。 比較例 1 添加酸素ガガス圧を4.8×10-4[Torr]とした以
外は実施例1と同じ条件で2層膜構造の垂直磁気
記録媒体を作製した。えられた垂直磁気異方性膜
の膜厚は1300Åであり、XPS法で測定された膜
中の酸素原子の割合は原子比で0.35であつた。 また比較例1の垂直磁気異方性膜の磁気特性を
測定したところ飽和磁化(Ms)の値が420
〔emu/cm3〕であり、保磁力(Hc⊥)の値が450
〔Oe〕であり、また異方性磁界(Hk)の値が4.0
〔KOe〕であり、比較例1の垂直磁気異方性膜は
充分な磁気特性を有していた。 しかしながら、本比較例1の垂直磁気異方性膜
のX線回折分析を行つたところ、前記FeOに起因
する回折角(2θ)=42.0゜付近に現われる回折X線
強度の回折ピークは認められたが、鉄およびコバ
ルトの金属に起因する回折角(2θ)=44.4゜付近に
現われる回折X線強度の回折ピークは認められな
かつた。 また本比較例1の垂直磁気記録媒体について実
施例1と同様にして線記録密度と再生出力との関
係を調べて記録・再生テストを行つたところ、低
い記録密度の範囲における再生出力の値は25
〔μVo−p〕であり、D50の値は80〔kFRI〕であつ
て小さく、充分な記録・再生感度がえられなかつ
た。これは比較例1の垂直磁気異方性膜が前述の
微視的構造的要件を充足していないためと思われ
る。 実施例 2 鉄とコバルトの組成比を変化させた以外は、実
施例1と同様にして実施例2の垂直磁気記録媒体
を作製した。 えられた実施例2の垂直磁気異方性膜について
は、そ膜厚は1200Åであり、XMA法で分析した
鉄・コバルト量に対するコバルト量の割合は原子
比(x)で0.55であり、XPS法で測定された酸素
原子の割合は原子比(y)で0.19であつた。そし
てXPSスペクトルにより、鉄およびコバルトの
イオン化状態を調べた結果は、第4a図および第
4b図のそれぞれにおいてCで示すスペクトル図
のようになつた。したがつて前記第1表中のy=
0.19の欄で示しているように実施例2の垂直磁気
異方性膜においては鉄の約40%が酸化されてお
り、コバルトの90%以上が金属の状態であつた。 また実施例2の垂直磁気異方性膜の磁気特性
は、第5図においてy=0.19に対応する値で示し
ているように、飽和磁化(Ms)の値が600
〔emu/cm3〕であり、保持力(Hc⊥)の値が500
〔Oe〕であり、異方性磁界(Hk)の値が5
〔KOe〕であつた。 また実施例2の垂直磁気異方性膜の接触角、動
摩擦係数および耐摩耗性を測定した。前記接触角
は、たとえば「日本化学会編:新実験化学講座、
18巻、界面とコロロイド、PP93〜106、丸善、
1977年」に記載されているように水を使用して測
定した。また動摩擦係数は、ASTM−D3028試
験法に基づきウエストオーバー式フリクシヨンメ
ーターを使用し、回転試料台に試料を張り付け、
また固定試料として粒径が0.3μmの研磨布で磨い
たパイレツクスガラス円盤を使用して測定した。
この動摩擦係数の値は、垂直荷重を50g重とし回
転速度を50cm/secとした測定条件により、試料
の回転開始30秒後に測定した動摩擦係数の値とし
た。また耐摩耗性については、前記動摩擦係数の
測定条件下で、前記回転試料台を1000回転させた
後に試料の表面を顕微鏡で観察して調べた。以上
の測定の結果、接触角は64.1゜であり、動摩擦係
数は0.34であり、耐摩耗性テストについてはなん
らの傷も認められなかつた。この結果は、Co−
Cr合金からなる垂直磁気異方性膜については対
応する結果が接触角の値については45゜程度とな
り、動摩擦係数の値については0.5〜0.6となり、
耐磨耗性テストについては著しく傷がつくという
結果になるのと比べ極めて優れた特徴である。 また実施例2の垂直磁気異方性膜のX線回折分
析を行なつた結果は、第6図で示すDのようなス
ペクトルとなり、FeOに起因する回折X線強度の
ピークと、鉄およびコバルトの金属に起因する回
折X線強度のピークとが共に認められる。 そしてさらに、本実施例2の垂直磁気記録媒体
の記録・再生テストを実施例1のばあいと同様に
して行なつたところ低い記録密度の範囲における
再生出力の値は100[μVo−p]であり、D50の値
は200[kFRI]であり、良好な記録・再生特性を
示した。 実施例 3 厚さが50μmのポリイミド基板にかえて厚さが
75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基
板を用い、鉄とコバルトの組成比を変えた以外は
実施例1と同様にして垂直磁気記録媒体を作成し
た。 得られた垂直磁気異方性膜の膜厚は1200Åであ
り、XMA法で分析した鉄・コバルト量に対する
コバルト量の割合は原子比(x)で0.10であり、
XPS法で測定した酸素原子の割合は原子比(y)
で0.35であつた。また実施例3の垂直磁気異方性
膜をXPS法によりスペクトル分析を行なつた結
果を第10a図および第10b図に示した。これ
らの図から判断して鉄の大部分がFeOとなつてお
り、残余の鉄とコバルトの大部分が金属状態とな
つていることがわかる。また実施例1のばあいと
同様にして実施例3の垂直磁気異方性膜の磁気特
性を測定すると飽和磁化(Ms)の値が580
〔emu/cm3〕であり、保磁力(Hc⊥)の値が約
700〔Oe〕であり、異方性磁界(Hk)の値が4.0
〔KOe〕であつた。 さらに実施例3の垂直磁気異方性膜のX線回折
分析を行なうと、FeOに起因する回折X線強度の
回析ピークと鉄およびコバルトの金属に起因する
回折X線強度の回析ピークが共に認められ、さら
にまた本実施例3の垂直磁気記録媒体の記録・再
生テストを実施例1のばあいと同様にして行なつ
たところ、低い記録密度の範囲における再生出力
の値は100〔μVo−P〕であり、D50の値は200
〔kFRI〕であり、良好な記録・再生特性を示し
た。 比較例 2 実施例1と同様にして、厚さが50μmのポリイ
ミド基板上にパーマロイからなる軟磁性膜を形成
した。えられた軟磁性膜の膜厚および磁気特性は
実施例1と同様であつた。 つぎにDCマグネトロン型スパツタ機を用いて
実施例1と同じ、鉄・コバルトの複合ターゲツト
を用いて、前記軟磁性膜に鉄・コバルトの部分酸
化物からなる垂直磁気異方性膜を形成した。基板
が設けられている雰囲気のアルゴンガス圧は3×
10-3Torrであり、添加酸素ガス圧は7.6×
10-4Torrであり、基板温度は室温である。そし
てスパツタリングパワーが900Wで充分に予備ス
パツタリンングを行つてターゲツト表面を洗浄し
たのちにシヤツターを開き、4分間スパツタリン
グを行いパーマロイ上に垂直磁気異方性膜を形成
した。形成した垂直磁気異方性膜を触針式膜厚計
で測定したところ膜の厚さは1500Åであつた。垂
直磁気異方性膜の下地パーマロイの無い部分をサ
ンプリングし、XMA法で分析したところ鉄・コ
バルト量に対するコバルト量の割合は原子比で
0.33であつた。さらに、XPS法で測定された垂直
磁気異方性膜中の酸素原子の割合は原子比で0.30
であつた。そしてXPSスペクトルにより鉄およ
びコバルトのイオン化状態を調べた結果、鉄のか
なりの部分(約50%)が酸化されており、コバル
トの大部分(90%以上)が金属状態であることが
わかつた。 また比較例2の垂直磁気異方性膜の磁気特性を
測定したところ飽和磁化(Ms)の値が700
〔emu/cm3〕であり、保持力(Hc⊥)の値が500
〔Oe〕であり、また異方性磁界(Hk)の値が3.5
〔KOe〕であり、比較例2の垂直磁気異方性膜は
充分な磁気特性を有していた。 しかしながら、本比較例2の垂直磁気異方性膜
のX線回折分析を行なつたところ、立方晶のFeO
に起因すると考えられる回折X線強度の回折ピー
クも鉄およびコバルトの金属に起因すると考えら
れる回折X線強度の回折ピークも認められなかつ
た。 また本比較例1の垂直磁気記録媒体について実
施例1と同様にして記録、再生テストを行つたと
ころ低い記録密度の範囲における再生出力の値は
20〔μVo−p〕であり、D50の値は70〔kFRI〕であ
つた。 〔発明の効果〕 本発明の垂直磁気記録媒体は、従来より知られ
ているコバルト−クロム合金垂直磁気異方性膜と
比較すると、低温で製膜ができるために耐熱性の
低い廉価な基板を使用でき、これにより廉価な製
造コストで高密度磁気記録媒体を製造できる効果
がある。また、垂直磁気異方性膜の表面が酸化物
であるために保護膜が無くても耐摩耗性に優れた
記録媒体を提供できる効果がある。また垂直磁気
異方性膜として選択された特定の組成範囲の鉄・
コバルトの部分酸化物を使用することにより、大
きな飽和磁化および垂直磁気異方性ならびに適当
な保磁力を有する垂直磁気記録媒体がえられると
いう効果もある。さらに、本発明における鉄・コ
バルトの部分酸化物からなる垂直磁気異方性膜
を、X線回折FeOに起因すると考えられる回折強
度ピークと鉄およびコバルト金属に起因すると考
えられる回折ピークが共に検出されるような構造
とすることにより、従来知られている鉄・コバル
トの部分酸化物からなる垂直磁気記録媒体と比較
し、著しく高い記録・再生感度を有する垂直磁気
記録媒体を提供できる効果がある。 さらにまた、本発明の垂直磁気記録媒体を、記
録・再生感度をさらに改良するために垂直磁気異
方性膜の下地として軟磁性層を備えた二層膜構造
にするばあいには、該軟磁性層との相互制約の少
ない垂直磁気異方性膜を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は垂直磁気異方性膜を形成するスパツタ
リング時の酸素分圧が4.5×10-4[Torr]であるば
あいの垂直磁気異方性膜中の鉄とコバルトの全量
に対するコバルトの量の割合(原子比)と飽和磁
化(Ms)との関係を示す図、第2図は第1図の
ばあいと同条件下での垂直磁気異方性膜中のコバ
ルトの割合(原子比)と垂直保磁力(Hc⊥)と
の関係を示す図、第3図は第1図におけるばあい
と同条件下での垂直磁気異方性膜中のコバルトの
割合(原子比)と異方性磁界(Hk)との関係を
示す図、第4a図はコバルトの割合(X)が0.55
であるばあいの酸素の割合(y)が異なる本発明
に係る垂直磁気異方性膜のXPS法による鉄のス
ペクトル分析の結果を示す図、第4b図はコバル
トの割合(X)が0.55であるばあいの酸素の割合
(y)が異なる本発明に係る垂直磁気異方性膜の
XPS法によるCoのスペクトル分析の結果を示す
図、第5図はコバルトの割合(x)が0.55である
ばあいの酸素の割合(y)が異なる本発明に係る
垂直磁気異方性膜の飽和磁化(Ms)、保磁力
(Hc⊥)および異方性磁界(Hk)の値を示す図、
第6図はコバルトの割合(x)が0.55であるばあ
いの酸素の割合(y)が異なる本発明に係る垂直
磁気異方性膜のX線回析分析の結果を示す図、第
7図は実施例1の垂直磁気異方性膜のX線回折の
結果を示す図、第8図は実施例1の垂直磁気異方
性膜の磁化ヒステリシス曲線を示す図、第9図は
実施例1の垂直磁気記録媒体について記録密度−
再生出力特性を示す図、第10a図は実施例3の
垂直磁気異方性膜のXPS法による鉄の2P電子軌
道によるスペクトル分析の結果を示す図、第10
b図は実施例3の垂直磁気異方性膜のXPS法に
よるCoの2P電子軌道によるスペクトル分析の結
果を示す図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 基板上に一般式が(Fe1-xCox)1-yOy(ただ
    し、0.01≦x≦0.75であり、0.05≦y≦0.50であ
    る)で表わされる鉄・コバルトの部分酸化物から
    なり、膜面に対して垂直な方向の磁化容易軸を有
    しており、かつX線回折分析により鉄の酸化物に
    起因する回折X線強度のピークならびに鉄および
    コバルトの金属に起因する回折X線強度のピーク
    がともに検出されてなる垂直磁気異方性膜が形成
    されている垂直磁気記録媒体。 2 前記鉄・コバルトの部分酸化物中におけるコ
    バルトの80%以上が金属状態となつており、鉄の
    30原子%以上がFeOとなつている特許請求の範囲
    第1項記載の垂直磁気記録媒体。 3 前記垂直磁気異方性膜の飽和磁化の大きさが
    350〔emu/cm3〕以上である特許請求の範囲第1項
    または第2項記載の垂直磁気記録媒体。 4 前記垂直磁気異方性膜が高周波スパツタリン
    グ法または高周波マグネトロンスパツタリング法
    で製造されている特許請の範囲第1項、第2項ま
    たは第3項記載の垂直磁気記録媒体。 5 前記基板と前記垂直磁気異方性膜とのあいだ
    に軟磁性層が形成されている特許請求の範囲第1
    項、第2項、第3項または第4項記載の垂直磁気
    記録媒体。
JP62042434A 1986-03-18 1987-02-25 垂直磁気記録媒体 Granted JPS63183611A (ja)

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JP6018486 1986-03-18
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