JPH0416430B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明はガラス器物の製造に係り、詳しくは１
対の対称形状の開口周縁部を有するガラス部品の
それぞれの開口周縁部の当接面を当接せしめ、こ
れを真空装置内で減圧し真空圧着を行つて封着さ
れたガラス器物の製造方法に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕 従来、封着されたガラス器物、例えばガラス球
状体等を製造する方法としては、半球状に形成さ
れたガラス部品２個一対を対称位置に配し、その
開口周縁部を当接して、ガスバーナを用いて溶着
する方法や低周波または高周波電気溶着を併用し
たものが一般的に知られている。

また最初から球状に吹成されたガラス器物に排
気口部分を設けて、真空またはガス封入処理後、
当該排気口を溶封する製法も周知である。

前者のガスバーナのみによる溶着方法はガラス
部品の肉厚が厚くなると溶着が不十分であり、ま
た十分に溶着しようとすると変形が起り易い欠点
があつた。また低周波または高周波電気溶着を併
用した場合は溶着目的は満足に達成されるが、や
はりガラス器物内側の変形は避けられない。この
変形による肉厚のバラツキは例えば耐圧ガラス器
物などでは特に重要な耐圧性能を著るしく劣化さ
せ、最悪の場合には爆発事故につながる原因とな
つた。

形状が複雑なガラス器物になるとその溶着には
高度な技術と熟練を必要とし、装置も複雑化する
と共に設備費用が嵩み、コスト高となる等多くの
問題点があつた。

溶着による方法は熱加工後の徐冷が十分でない
と歪が発生し、耐圧強度、耐衝撃強度の劣化をま
ねき易い欠点があつた。更に封着されたガラス器
物内に内蔵物を収容したい場合にも問題があつ
た。

また別の封着方法として有機系の接着剤による
ものや無機系の接着剤によるものとがあるが、前
者はガラスとの膨張係数が近似なものが得られに
くく接着後の歪発生等に問題があり、後者は例え
ばガラスフリツトによる融着が考えられるがやは
り接合周辺部の歪発生等の欠点があつた。

〔発明の目的〕

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであつ
て、その目的は一対の対称形状の開口周縁部を有
するガラス部品を封着して一体のガラス器物を製
造するにあたり、変形や歪による耐圧、耐衝撃性
能の劣化がなくかつ内蔵物を収容可能なガラス器
物を製造する方法を提供することである。

〔発明の概要〕

本発明は２個を一対とする対称形状の開口周縁
部を有するガラス部品の開口周縁部を密着して一
体のガラス器物を製造する方法において、２個の
ガラス部品の開口周縁部を当接した際の気密封止
を高めるために極めて高精度な平滑研磨を施こ
し、その研磨された開口周縁部を互に当接して真
空装置内の支持具に架設保持する。次に真空装置
内を所定真空度まで減圧しガラス器物内を排気し
て減圧状態のまま再び大気圧まで戻すことにより
封着するものである。

〔発明の実施例〕

以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図面は本発明のガラス器物の製造に係る真空
装置の要部縦断側面図である。１および１′はプ
レスまたはブローによつて形成された半球状ガラ
ス部品でその開口周縁部１０の当接面の平担度は
30ミクロン以下に研磨されたものを使用した。実
施例に使用したガラス器物は最大径が10、12、
14、16インチの各種類があり、例えば16インチの
ガラス器物の重量は約15Kgである。２はガラス器
物の気密封着を得るための真空装置本体である。
５は前記ガラス器物を挿脱するための蓋であり、
６はその開閉機構である。３および４は支持具で
ありガラス部品の位置ずれ防止用のガイド３とホ
ルダー４で構成されている。９は切替コツクであ
り、真空ポンプ８で吸引したり、または真空装置
内を大気圧に戻したりする際に切替操作するもの
である。

次に本発明のガラス器物の製造方法に係る封着
操作を説明する。一対の半球状ガラス部品１およ
び１′の開口周縁部１０を互に対称形状に当接し、
支持具３，４に架設保持する。このときガラス部
品上片１は上下に自由に動くようにしておく。

次に真空装置内を密閉して、真空ポンプ８によ
り所定真空度まで減圧する。真空度はガラス器物
の形状や重量および用途により異なるが、一般的
に10^-3Torrあれば十分であり、付設する真空ゲ
ージ７で50〜100mmＨｇ程度である。

真空槽２′内が減圧されてくると当接されてい
るガラス器物の内圧の方が真空槽内の圧力より高
くなるのでガラス部品上片１が接合部分で貝のよ
うに口を開け、真空槽内との圧力のバランスを保
とうとする動作をする。このときガラス部品上片
１は浮動するが、ガイド３によつて横方向の位置
ずれが防止されるので、結果的に開口周縁部１０
の当接面は位置ずれを起こすことなく、所期の当
接位置を保持できる。この動作を繰り返えしやが
て所定の真空内圧にまで達するとガラス部品上片
の上下動作は停止する。次に切替コツク９を操作
して真空槽内２′を大気圧に開放する。このとき
切替コツク９より真空槽内に僅かでも大気が流入
し、ガラス器物内の内圧と外圧に圧力差がつけば
圧着されるので外部から押圧する必要はない。真
空槽内が大気圧となれば、蓋５を開放して封着さ
れて一体となつたガラス器物を取り出すことがで
きる。

本発明は上述した実施例のみに限定されるもの
ではなく、種々の変形が可能である。例えば円球
形状や箱形形状のガラス容器の封着は勿論のこ
と、複雑な形状をした対称開口周縁部をもつガラ
ス器物の気密封着にも応用することができる。ま
た必要に応じ封着された接合部分を外側から透明
または不透明な粘着テープで巻くことやプラスチ
ツクス製又は金属製のバンドで固定することも差
し支えない。また容器内に他の物品を収容して密
封したり、一体的に気密封着されたガラス容器を
再び元のガラス部品に分割することも可能であ
る。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によるガラス器物の
製造方法は接合部を加熱溶着する必要がないので
変形や歪の発生がなく性能劣化がないうえ常温で
作業できるので安全性、経済性にも優れているな
で有形、無形の多くの利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明のガラス器物の製造に係る真空装
置の要部縦断側面図である。 １および１′は一対の半球状ガラス部品、２は
真空装置本体、３および４は支持具、８は真空ポ
ンプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一対の対称形状の開口周縁部を有するガラス
   部品の開口周縁部を密着して一体のガラス器物を
   製造する方法において、前記開口周縁部をそれぞ
   れ平滑に研磨し、この研磨された開口周縁部を互
   に当接してガラス器物を形成し、このガラス器物
   を少なくとも一方のガラス部品の浮動を許容しか
   つ当接した開口周縁部の位置ずれを防止する支持
   具に架設して真空装置内に保持し、この真空装置
   内を所定真空度まで減圧して前記ガラス器物内を
   排気し、次に真空装置内を大気圧まで戻すことに
   より、気密封着されたガラス器物を形成すること
   を特徴とするガラス器物の製造方法。 ２ 前記一対の対称形状の開口周縁部を有するガ
   ラス部品は半球形状であつて、その開口周縁部は
   平坦度を30ミクロン以下の研磨したことを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載のガラス器物の製
   造方法。