JPH0415211Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、主に歯科治療等に用いられるレーザ
ーハンドピースに於けるレーザー光の焦点調整用
の機構に関するものである。

（従来の技術） 近時、歯科治療等の分野においてもレーザー治
療具が広く用いられるようになつたことは周知の
通りである。このレーザー治療具は、導光体によ
り導入されたレーザー光を治療具の先端より照射
させ、その保有するエネルギーにより疾患部位を
治癒せんとするものであり、歯科治療の分野では
ハンドピースタイプのものが主に用いられてい
る。そしてこのようなハンドピースは、疾患部位
の状態に応じて接触型と非接触型のものが使い分
けられている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記の非接触型のハンドピースを用
いる場合は、疾患部位の状態に応じてレーザー光
の焦点距離を変える必要があるが、１本のハンド
ピースで焦点距離が可変とされたものはなく（あ
つても装置が大掛かりである）、従つて焦点距離
の異なるハンドピースを複数準備し、適宜これを
使い分けて治療がなされているのが実状であり、
取扱い上の不便さ或は経済性等の難点が内包され
ていた。

本考案は、上記に鑑みなされたもので、簡単な
操作により焦点距離の調整がなし得る新規且つ至
便なレーザーハンドピースの光学系移動機構を提
供せんとするものである。

（問題点を解決する為の手段） 上記目的を達成する為の本考案の構成を添付の
実施例図に基づき説明する。第１図は本考案の光
学系移動機構の一例を示す部分切欠縦断正面図、
第２図は同機構の動作状態を示す同様図、第３図
は第１図の−線拡大縦断面図、第４図は光学
レンズの斜視図である。即ち、本考案のレーザー
ハンドピースの光学系移動機構は、ハンドピース
本体１と、該ハンドピース本体１の基端部より同
軸的に導入されたレーザー供給基部２と、該供給
基部２よりのレーザー光を屈折させる為上記本体
１内に具備された光学レンズ３と、基端部に係合
ピン４１を有し且つ前端部において上記レンズ３
を保持して上記ハンドピース本体１内にその軸線
方向に沿つて摺動自在に挿設された焦点位置調整
用移動部材４と、前記ハンドピース本体１の基端
部側にその軸線廻りに回動自在に套嵌され且つ内
面に上記係合ピン４１を摺動自在に嵌挿した螺旋
状リード溝５１を具備した操作スリーブ５と、上
記レーザー供給基部２からハンドピース本体１の
先端部に到る注水管路７と、上記光学レンズ３に
形成された切欠部３１を介してハンドピース本体
１内に該レーザー供給基部２から該本体１の先端
部に到る空気の流通路と、より成ることを要旨と
するものである。

図に於いて、５個の凹凸レンズ３，３０…が適
宜組み合わされ、レーザー光を屈折させる光学レ
ンズ系としてハンドピース本体１内に同軸的に配
設されている。そのうち前（本体１の先端）から
２個目のレンズ３０は、移動部材４の前端部に固
設されてハンドピース１の軸線に沿つて前後に移
動自在とされており、一方その他のレンズ３…
は、ハンドピース本体１内の適所に固定され、上
記移動レンズ３０との関係でハンドピース本体１
の先端から照射されるレーザー光の焦点位置が調
整されるようになされている。この移動レンズ３
０を何れにするかは自由であり、例えば光学レン
ズ３…の全てを一括して移動可能とすること、或
は他のレンズ３に代えることも可能である。亦、
図例では５個のレンズ３…によりそのレーザー光
を屈折させるようにしているが、これに限定され
ず例えばハンドピース本体１内にレンズを１個の
み具備させ、これを移動部材４の前端部に固設さ
せてその焦点の位置を適宜変え得るようになすこ
とも可能である。

（作用） 上記構成の光学系移動機構に於いて、レーザー
供給基部２から導出されたレーザー光は、光学レ
ンズ３，３０…により屈折され適宜位置（焦点）
で収束して、ハンドピース本体１の先端部より照
射される。そして操作スリーブ５をハンドピース
本体１の軸心の廻りに回転させると、該スリーブ
５の内面に設けられた螺旋状リード溝５１の規制
下で、移動部材４の係合ピン４１が該溝５１内を
相対摺動し、移動部材４はハンドピース本体１内
を前後に移動する。第２図は、第１図の状態から
操作スリーブ５を回転させ移動部材４を後退させ
た状態を示し、移動レンズ３０の他のレンズ３に
対する相対位置が変化していることが理解され
る。これによりハンドピース本体１の先端より照
射されるレーザー光の焦点が移動し、この焦点位
置を適宜調整することにより、疾患部位の状態に
応じた適正な治療がなし得る。

レーザハンドピースには、レーザー供給基部２
からハンドピース本体１の先端部に到る注水管路
７が設けられているから、注水管路７から、当該
先端部より患部に給水して、患部の加熱を冷却さ
せる。また、ハンドピース本体１内に該レーザー
供給基部２から該本体１の先端部に到る空気の流
通路が設けられ、流通路に供給される空気は、上
記光学レンズ３に形成された切欠部３１を通過し
て、光学レンズとレンズで区切られたレンズ保持
筒内空間を冷却し、レーザー透過によるレンズな
どの加熱を防止する。

（実施例） 次に実施例により本考案を更に詳述する。第１
図乃至第３図に於いて、係合ピン４１にはローラ
４１１が装着されており、該係合ピン４１をこの
ローラ４１１を介して操作スリーブ５のリード溝
５１に嵌挿させることにより該リード溝５１に沿
つた相対的摺動の円滑化が図られる。操作スリー
ブ５は、スリーブ本体５２とその周体に螺着一体
とされたカバー５３とより構成され、上記螺旋状
リード溝５１はこのスリーブ本体５２の胴部に貫
設されている。このように操作スリーブ５を２物
体としたのはリード溝５１の加工上の便宜を図つ
たからであり、これに限定されるものではない。
亦、ハンドピース本体１とレーザー供給基部２と
は、着脱用操作リング６により着脱自在に連結さ
れており、該着脱用操作リング６は、レーザー供
給基部２の胴部に圧縮スプリング６０により前方
に弾力付勢状態で嵌装され、その内周には小径部
６１と大径部６２とが並設されている。またこの
リング６の内側で上記レーザー供給基部２の周体
には複数の接合用ボール６３…が径方向に出没自
在に係止され、一方ハンドピース本体１の基端部
には上記ボール６３…が嵌り込む周溝１１１が凹
設され、上記リング６の小径部６１の内面がこの
ボール６３…に当接状態の時には、ボール６３…
が周溝１１１に嵌り込みハンドピース本体１とレ
ーザー供給基部２とが離脱不能に連結され、一方
リング６を上記圧縮スプリングの弾力に抗して後
退させ、大径部６２がボール６３…の位置に来る
とボール６３…の遠心方向への移動が許容され、
ハンドピース本体１とレーザー供給基部２との相
互の離脱が可能とされる。更に、ハンドピース本
体１とレーザー供給基部２との連結状態で、両者
が相互に回動不能となるよう、その接合部位には
連結方向に沿つて相互に係合し合うストツプピン
６４とスロツト１１２が具備されている。

レーザー供給基部２は、その中心のレーザーフ
アイバコア２１、その周囲の空気通路２２及び更
にその遠心側に設けられた水用管路２３を含み、
ハンドピース本体１との連結状態で、このレーザ
ーフアイバコア２１から導出されたレーザー光が
上述の如く光学レンズ３…を経てハンドピース本
体１の先端部より照射され、また空気通路２２及
び水用管路２３が後記する空気の流通路８及び注
水管路７に夫々連通するようになされている。こ
の場合、レーザーフアイバコア２１は、保護管２
０内に同軸的に保持され、該保護管２０とフアイ
バコア２１との間隙が上記空気通路２２とされ、
またこの保護管２０の周体にはその長手方向に沿
つて溝が凹設されており、該溝は保護管２０とそ
の廻りに螺装固定された接筒２０１との間で上記
水用管路２３を形成する。フアイバコア２１はそ
の先端部で締付保持部材２４により保護管２０と
一体とされているが、該フアイバコア２１の先端
部には（正確にはコア２１の外皮）切欠部２１１
が形成されており、上記空気通路２２はこの切欠
部２１１を経てハンドピース本体１の内部に連通
するようになされている。レーザー供給基部２
は、上述の如くフアイバコア２１、空気通路２２
及び水用管路２３を含み着脱用操作リング６を介
してハンドピース本体１の基端部に内嵌連結され
るが、このレーザー供給基部２は、更にその後方
に於いてレーザー導光基部１０に連結されてい
る。該導光基部１０は、上記フアイバコア２１を
同軸的に内装した保護管１０１を中心に備え、該
フアイバコア２１と保護管１０１との間隙を空気
の通路１０２とすると共に、該保護管１０１の廻
りに套嵌された間隔保持部材１０３とケース１０
４との間に水の供給路１０５等を具備し、上記フ
アイバコア２１は図外のレーザー光源に連結さ
れ、また空気の通路１０２は同じく空気供給源に
通じレーザー供給基部２の空気通路２２に空気が
給送され、更に水の供給路１０５にはジヨイント
１０６より水が導入され周溝１０６を経て上記水
用管路２３に給水されるようになされている。

ハンドピース本体１は、前記周溝１１１及びス
ロツト１１２を有する連結基部１１と、該連結基
部１１の前端に同軸的に連設され後方３個の前記
固定レンズ３…を保持するレンズ保持筒１２と、
前端の固定レンズ３を保持し上記保持筒１２との
間に前記移動部材４を前後移動自在に挟装する内
ケース１３と、該内ケース１３の外周に嵌装され
その後端部において上記連結基部１１に螺着され
ると共に基端部外周に前記操作スリーブ５を回動
自在に套嵌具備する外ケース１４と、レーザー光
の照射口１５１を有して該外ケース１４の先端に
取外し自在に螺着された先端チツプ１５とより成
り、外ケース１４における前記操作スリーブ５の
対応部位には前記ローラ４１１を装着した係合ピ
ン４１を摺動自在に貫挿する長孔１４１がスラス
ト方向に開設され、これによりリード溝５１によ
る係合ピン４１の前後移動が許容される。

注水管路７は、連結基部１１の途中に穿設され
た連通孔７１、連結基部１１及びレンズ保持筒１
２と移動部材４との間に確保された間隙７２、移
動部材４の途中に穿設された連通孔７３、移動部
材４の外周に幅広に凹設された周溝７４、内ケー
ス１３の途中に穿設された連通孔７５及び内ケー
ス１３の周体をスラスト方向に切欠いた（フライ
スカツト）空所７６が連通して構成されている。
レーザー供給基部２に内装された水用管路２３か
ら供給された水は、この注水管路７を経て先端チ
ツプ１５に形成された注水口１５２より噴射さ
れ、患部の冷却等に供せられる。移動部材４の外
周に凹設された周溝７４は、移動部材４がどんな
位置にあつても連通孔７３及び７５が連通し得る
ようスラスト方向に幅広とされており、その幅は
移動部材４のストローク幅と略同じとされるもの
である。

亦、前記光学レンズ３…の周縁の一部には第４
図に示す如く、いずれも切欠部３１…が形成され
ており、レンズ３…のレンズ保持筒１２或は移動
部材４における保持状態では、この切欠部３１…
がレンズ３…により区画されたレンズ保持筒１２
或は移動部材４の空洞部分同志を通じさせる連通
孔として機能し、これにより空気の流通路８が形
成される。即ち、レーザー供給基部２内の空気通
路２２から給送された空気は、この流通路８を経
て前記先端チツプ１５に形成された排気口１５３
より排出され、途中光学レンズ３…を冷却すると
共に患部等を冷却すべく機能する。尚、図例では
上記切欠部３１が各レンズ３に対角方向に２個宛
形成されているが、これに限定されず通気性が保
証される限り１個若しくは３個以上であつても良
い。

上記の如くハンドピース本体１の内部には注水
管路７が形成されているから、各構成部材同志は
水密性をもつて連接されなければならず、この有
効な部材としてＯリング９…が各構成部材に嵌装
具備されている。また、歯科治療等に用いる場
合、ハンドピース本体１はレーザー供給基部２よ
り分離され、オートクレイブ処理がなされるが、
この処理温度に耐えられるよう上記Ｏリング９…
は耐熱性の材料により調製されたものが望ましく
採用される。

尚、上記実施例ではストレート型のハンドピー
スを例に採つたが、反射板等を併用してコントラ
型のハンドピースに適用させることも可能であ
る。亦、上記ハンドピースを接触型として用いる
場合は、図には示さないが先端チツプ１５のレー
ザー照射口１５１にプローブ等を取付けることも
可能である。その他本考案を逸脱しない限り他の
変更が可能であることも云うまでもない。

（考案の効果） 叙上の如く、本考案のレーザーハンドピースの
光学系移動機構は、光学レンズの一部又は全部を
前後に移動自在とされているから、照射されるレ
ーザー光の焦点位置が任意に調整出来、これを非
接触で用いる場合は、患部の状態に応じた適正な
治療が約束され、亦その操作は極めて簡易であ
り、しかも１本のハンドピースでこのような調整
操作が可能とされ極めて経済的であり、更に実施
例の如くハンドピース本体及びレーザー供給基部
が水及び空気等の冷却媒体の供給管路を含み且つ
両者がワンタツチで着脱自在に連結可能とされて
いると、全体が極めてコンパクトとなり操作性も
一層向上する。斯かる特筆すべき利点を有する本
考案はその有用性頗る大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の光学系移動機構の一例を示す
部分切欠縦断正面図、第２図は同機構の動作状態
を示す同様図、第３図は第１図の−線拡大縦
断面図、第４図は光学レンズの斜視図である。 符号の説明、１……ハンドピース本体、２……
レーザー供給基部、３……光学レンズ、３１……
切欠部、４……焦点位置調整用移動部材、４１…
…係合ピン、５……操作スリーブ、５１……螺旋
状リード溝、６……着脱用操作リング、７……注
水管路、８……空気の流通路、９……Ｏリング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ハンドピース本体１と、該ハンドピース本体
   １の基端部より同軸的に導入されたレーザー供
   給基部２と、該供給基部２よりのレーザー光を
   屈折させる為上記本体１内に具備された光学レ
   ンズ３と、該基端部に係合ピン４１を有し且つ
   前端部において上記レンズ３を保持して上記ハ
   ンドピース本体１内にその軸線方向に沿つて摺
   動自在に挿設された焦点位置調整用移動部材４
   と、前記ハンドピース本体１の基端部側にその
   軸線廻りに回動自在に套嵌され且つ内面に上記
   係合ピン４１を摺動自在に嵌挿した螺旋状リー
   ド溝５１を具備した操作スリーブ５と、上記レ
   ーザー供給基部２からハンドピース本体１の先
   端部に到る注水管路７と、上記光学レンズ３に
   形成された切欠部３１を介してハンドピース本
   体１内に該レーザー供給基部２から該本体１の
   先端部に到る空気の流通路と、より成るレーザ
   ーハンドピースの光学系移動機構。 ２ 上記ハンドピース本体１とレーザー供給基部
   ２とが着脱用操作リング６により着脱自在に連
   結可能とされている実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の機構。 ３ 水密性を要する部位には耐熱性のＯリング９
   …が嵌挿されている実用新案登録請求の範囲第
   １項又は第２項記載の機構。