JPH04137903U - 偏摩耗防止空気入りタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気入りタイヤのトウアンドヒール摩耗を防
止する。 【構成】タイヤのトレッド１表面に略タイヤ幅方向に設
けられた横溝５を、タイヤ回転中心軸線に垂直な断面に
おいて、横溝５の中心線Ｉが、タイヤ回転中心軸線を含
む平面Ｓに対して５−４０°傾斜するように設け、この
タイヤを車輛に装着するとき、路面１０に接地したとき
に該中心線Ｉが車輛進行方向ａに前傾する方向に装着す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はトウアンドヒール摩耗等の偏摩耗を防止しうるトレッドパターンを備 えた空気入りタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】

タイヤのトレッド側面に開口するラグ溝を有するラグパターンやリブラグパタ ーン等のタイヤ、或いはタイヤの幅方向に平行若しくはそれに比較的浅い角度で 延びる横溝を有するブロックパターンのタイヤを、主として自動車の従動輪に装 着すると、制動力、転動抵抗による力等により、タイヤ接地領域におけるタイヤ 接地表面に対する車輛進行方向と逆向きの摩擦力に基づく剪断力（接線力）によ り、特に路面との相対速度の大きい、即ち周長の小さいショルダー部近傍で、ラ グ或いはブロックの前記剪断力の上流側で早く摩耗し、下流側で摩耗が小さく、 全体として鋸歯状に摩耗する、所謂トウアンドヒール摩耗が発生し易い。

【０００３】 又駆動輪に装着したタイヤは従動輪よりもトウアンドヒール摩耗の発生は少な いが、駆動力によるタイヤ接地領域における剪断力（接線力）が制動力、転動抵 抗に基づくものと逆向きに働き、前者によるブロック、ラグに対する上流側が摩 耗すると同時に、後者によるブロック、ラグの上流側（前者の下流側）も摩耗す るため、多少目立ちにくくなるためである。しかしその主体は従動輪と同じ形態 のトウアンドヒール摩耗が発生し易い。

【０００４】 横溝を多用した空気入りタイヤのトウアンドヒール摩耗は、トレッドパターン のブロックに対し、路面から加わる接線方向の摩擦力の上流側ブロック端が、路 面とタイヤ踏面部の間に巻き込まれ、摩擦エネルギーが増加し、摩擦力の下流側 ブロック端はそれに隣接する横溝方向に逃げる変形によって、摩擦エネルギーが 減少する。この摩擦力の上流と下流側のブロック端の変形し易さの差により、摩 擦力の上流側と下流側で摩耗差が生じ、トウアンドヒール摩耗が発生する。

【０００５】 このトウアンドヒール摩耗を防止する従来の方法としては、 横溝内に横溝の両側の溝壁を周方向に繋ぐように、横溝の深さを浅くした 架橋部分を設けることにより、摩擦力上流側ブロック端の巻き込みを少なくし、 摩擦力下流側ブロック端の逃げを少なくする、 摩擦力上流側のブロックの幅を大きくし、下流側の幅を小さくするする（ 特開昭６２−３１５０３）、 トウアンドヒール摩耗の発生を予測して、予めトレッドのブロックの摩擦 力上流側を高く、下流側を低くして、トウアンドヒール摩耗摩耗発生時と逆の鋸 歯状に形成しておき、トウアンドヒール摩耗の発生と相殺する、 等の方法が用いられてきた。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のトウアンドヒール摩耗の発生を防止する方法のうち、の横溝内に 溝底を浅くした架橋部分を設ける方法は、横溝本来の目的性能が低下する。 の摩擦力上流側のブロックの幅を大きくしても、ブロック端部エッジの剛性 の変化はなく、摩擦力上流側のブロック端の巻き込みを防止することはできない 。

【０００７】 のブロックをトウアンドヒール摩耗と逆の鋸歯状に予め形成する方法は、走 行時の振動及び騒音が増加する。

【０００８】 従って、本考案は上記各従来法のごとき弊害の発生の虞なく、トウアンドヒー ル摩耗を防止しうる空気入りタイヤを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成すべく、本考案者は鋭意研究を重ねた結果、タイヤトレッドの 横溝のタイヤ回転中心軸線に垂直な断面における横溝両側の溝壁の傾斜を対称形 とせず、タイヤ走行中に主として働くタイヤ周方向の摩擦力の上流側よりも下流 側溝壁の傾斜を大きくすることにより、横溝に隣接するブロックの摩擦力上流側 端縁の巻き込みを防止し、トウアンドヒール摩耗を防止しうることを見出し本考 案を完成するに到った。

【００１０】 即ち、本考案はトレッド表面に略タイヤ幅方向に延び、タイヤ周方向に間隔を 隔てて多数配列した横溝を有する空気入りタイヤにおいて、該横溝のうち、少な くとも一端をタイヤの側面のバットレス部に開口する横溝が、タイヤ回転中心軸 線を含む平面Ｓに垂直な断面において、横溝の断面の中心線Ｉが、該横溝のトレ ッド表面への開口部中心を通りタイヤ回転中心軸線を含む平面Ｓに対し、５─４ ０°同じ方向に傾斜したことを特徴とする空気入りタイヤを要旨とする。

【００１１】

【実施例】

次に本考案の内容を図面により詳細に説明する。図１は本考案の空気入りタイ ヤの一例のトレッドパターンの展開図、図２は同じ実施例のタイヤのトレッドの ＡＡ断面図、図３は同ＢＢ断面図である。

【００１２】 タイヤのトレッド１表面には、略タイヤの周方向に連続して延びるジグザグ状 の主溝２が複数本設けられ、該主溝２とタイヤ接地端３を結びタイヤバットレス 部４に開口する横溝５、及び主溝２と主溝２の間を直線状またはジグザグ状に結 ぶ横溝５を設ける。横溝５は略タイヤ幅方向に平行であるが、タイヤ幅方向に対 して４５°以下の横溝角度θで傾斜してもよい。横溝５が直線状でなく、ジグザ グ状に形成されている場合は、その横溝５の両端の主溝２への開口部分６、６の それぞれの溝幅の中心点７、７を結ぶ直線のタイヤ幅方向に対する傾斜角を上記 横溝角度θとし、この横溝角度θが４５°以下であればよい。

【００１３】 図３に示すタイヤ回転中心軸線を含む平面Ｓに垂直な断面において、横溝５の 断面形状は、横溝断面の中心線Ｉが、横溝５のトレッド表面への開口部の中心を 通りタイヤ回転中心軸線を含む平面Ｓに対し一定方向に傾斜する。横溝５のうち 少なくともタイヤショルダー領域８に設けられバットレス部４に開口する横溝５ は、その断面の中心線Ｉが平面Ｓに対して傾斜する必要があり、更にタイヤのト レッド上の全ての横溝５がその中心線Ｉを平面Ｓに対して傾斜するように形成す るのが好ましい。タイヤ全体の各横溝５の中心線Ｉの平面Ｓに対する傾斜方向は 全て同一方向とする。

【００１４】 中心線Ｉの平面Ｓに対する傾斜角度αは５−４０°の範囲が好ましい。この傾 斜角度αが５°未満では、トウアンドヒール摩耗防止の効果が小さく、傾斜角度 αが４０°を越えると、横溝５の一方の溝壁１１と接地面９のなす角が鋭い鋭角 となり、トレッドの表面部、即ちブロック或いはラグの前後方向の一方に脆弱な 鋭角部が形成されるため、トレッド１のその部分のティアーやへたりが生じ易く 、好ましくない。

【００１５】

【作用】

従来のタイヤでは、タイヤのトレッドの接地面９に、重力荷重の反力として、 路面から垂直上方に垂直力が加わると、図４ａに示すように横溝５の溝壁１１が 変形する。このトレッドに更に水平方向の摩擦力ｃが加わると、横溝５は図４ｂ に示すように変形し、図４ａのブロック１２の摩擦力ｃの上流側端縁のＡ−Ｂの 間の部分が、路面１０とトレッドの接地面９の間に巻き込まれ、その部分の接地 圧力が局部的に高くなり、摩擦エネルギーが増加して急速に摩耗する。逆に摩擦 力ｃの下流側のブロック端はそれに隣接する横溝５に向かって逃げる変５によっ て、接地圧が低下する結果、摩擦エネルギーが減少する。この摩擦力の上流側と 下流側のブロック端の摩耗差により、トウアンドヒール摩耗が発生する大きな原 因の一つとなっている。

【００１６】 本考案の空気入りタイヤを車輛に装着する際に、前記横溝５断面の中心線Ｉは タイヤ回転中心軸線を含む前記平面Ｓをタイヤの回転方向と同方向に傾斜角度α だけ回転して傾斜させた状態に、平面Ｓに対して傾斜するように装着する。即ち この場合は図５に示すように、車輛は矢印ａ方向に進行し、タイヤは矢印ｂ方向 に回転する。タイヤの接地面９は路面１０より、制動力や転動抵抗に基づいて、 矢印ｃ方向の摩擦力を受ける。特にショルダー部近傍センター部より周長が短く 、その差の分だけ滑りが大きく、即ち摩擦が大きく、摩耗が早い。路面１０に接 地した接地面９において、横溝５の中心線Ｉは、接地面９に垂直な平面Ｓよりも 車輛進行方向ａ方向に前傾し、前記摩擦力ｃ方向と逆方向に傾斜している。従っ て横溝５の両側の溝壁１１、１１は、摩擦力ｃの上流側で傾斜が小さく、摩擦力 ｃの下流側で傾斜が大きくなる。これにより横溝５に隣接するブロック１２はそ の摩擦力ｃの上流側の端縁１３の剛性が大きくなり、路面１０との間に巻き込ま れ難くなり、この部分の急速な摩耗を少なくすることができ、タイヤの走行中に 主として作用する摩擦力に対して最適に対応し、トウアンドヒール摩耗を防止す ることができる。

【００１７】

【考案の効果】

本考案の空気入りタイヤはトウアンドヒール摩耗の発生を防止すると共に、横 溝によるタイヤ本来の駆動、制動性能を損なうことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の空気入りタイヤのトレッドパターンの
展開図

【図２】図１の空気入りタイヤのタイヤ回転中心軸線を
含むＡＡ断面図

【図３】図２におけるＢＢ断面図

【図４】トウアンドヒール摩耗発生の説明図

【図５】車輛に装着した本考案の空気入りタイヤの断面
とそれにかかる摩擦力の関係を示す説明図

【符号の説明】

１ トレッド ２ 主溝 ３ 接地端 ４ バットレス部 ５ 横溝 ６ 開口部分 ７ 中心点 ８ ショルダー領域 ９ 接地面 １０ 路面 １１ 溝壁 １２ ブロック １３ 端縁

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 トレッド表面に略タイヤ幅方向に延び、
   タイヤ周方向に間隔を隔てて多数配列した横溝を有する
   空気入りタイヤにおいて、該横溝のうち、少なくとも一
   端をタイヤの側面のバットレス部に開口する横溝が、タ
   イヤ回転中心軸線を含む平面Ｓに垂直な断面において、
   横溝の断面の中心線Ｉが、該横溝のトレッド表面への開
   口部中心を通りタイヤ回転中心軸線を含む平面Ｓに対
   し、５─４０°同じ方向に傾斜したことを特徴とする空
   気入りタイヤ。
2. 【請求項２】 タイヤのトレッドに設けられた全ての横
   溝が、タイヤ回転中心軸線に垂直な断面において、横溝
   の断面の中心線Ｉが、横溝のトレッド表面への開口部中
   心を通りタイヤ回転中心軸線を含む平面Ｓに対し、５─
   ４０°同じ方向に傾斜した請求項１記載の空気入りタイ
   ヤ。