JPH04136699U - シート打抜き装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 平板状の折り目形成板を下型の上面に載置し
たときの引っ掛かりによる製品の寸法誤差を防ぐ。 【構成】 下型４の上面に平板状の折り目形成板７を載
せた後に、下型４の内部に形成された全ての空気通路４
２、４３、５２内を真空引きして折り目形成板７の中央
部を下型４に密着させて、シート打抜き装置１の運転中
における折り目形成板７の中央部の浮き上がりを防ぐよ
うにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、板紙や段ボールシート等の紙類、樹脂、鋼板等のシート打抜き装置 に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、例えばダンボールシートを所定の製品形状に裁断するシート打抜き 装置としては、図９ないし図１２に示したように、ダンボールシート１０１を製 品の外形形状に打ち抜く打抜き刃１０２、および折り目線を形成する複数の突起 部１０３を有する上型１０４を備える。また、この上型の下方に配置され、上型 １０４との対向面に突起部１０３を受ける複数の折り目形成部材１０５をテープ （図示せず）等により貼り付けた置版１０６を設けた下型１０７を備える。さら に、ダンボールシート１０１を置版１０６の上面の面方向に沿って上型１０４と 下型１０７との間にダンボールシート１０１を供給するシート移送装置１０８を 備えている。

【０００３】 このシート打抜き装置１００は、上型１０４を上下運動させて、上型１０４と 下型１０７との間に供給されるダンボールシート１０１に、図１１に示したよう に、裁断線ａと折り目線ｂとを形成している。なお、シート打抜き装置１００に おいて、裁断線ａの形成は、先端が鋭利な打抜き刃１０２によりダンボールシー ト１０１を突き通すことによりなされる。また、折り目線ｂの形成は、図１２に 示したように、置版１０６の上面に設けた折り目形成部材１０５の溝状受け部１ ０９に上型１０４に設けた突起部１０３を圧入させて、突起部１０３と折り目形 成部材１０５の溝状受け部１０９との間でダンボールシート１０１を押し潰すこ とによりなされる。

【０００４】 しかし、従来のシート打抜き装置１００においては、シート移送装置１０８に よってダンボールシート１０１が置版１０６の上面を面方向に沿って上型１０４ と下型１０７との間に供給されているので、ダンボールシート１０１が置版１０ ６の上面より突出している複数の折り目形成部材１０５に引っ掛かる可能性があ った。

【０００５】 そこで、置版１０６の上面に、複数の突起部１０３が挿通する凹所（図示せず ）を有し、しかも製品形状にほぼ一致した形状の折り目形成板（図示せず）を載 置したもの（従来技術）が提案されている。なお、この従来技術において、この 折り目形成板の置版１０６への載置方法としては、折り目形成板の周縁部分の裏 側にテープ（図示せず）を貼り付けて置版１０６の上面に接着させることにより なされる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、従来技術においては、折り目形成板の中央部と置版１０６とは接着 されていないので、運転中に折り目形成板の中央部が浮き上がってしまう可能性 があった。このため、ダンボールシート１０１が置版１０６の上面を面方向に沿 って上型１０４と下型１０７との間に供給する際に、浮き上がった折り目形成板 に引っ掛かってしまうことがあった。

【０００７】 したがって、ダンボールシート１０１の所定の位置に裁断線を形成することが ことができなかったり、所定の位置に折り目線を形成することがことができなか ったりするため、製品寸法に大きな誤差が生じてしまうという課題があった。 本考案は、平板状の折り目形成板を下型の上面に載置したときの引っ掛かりに よる製品の寸法誤差を防いだシート打抜き装置の提供を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、シートを裁断して製品形状に打ち抜く打抜き刃、および前記シート を押圧して前記製品に折り目を付ける突起部を有する上型と、この上型に対向し て配置され、前記上型に対して相対的に接近および離間する相対往復運動を行う 下型と、この下型の上面に載置され、前記上型と前記下型とが接近した時に前記 突起部が挿入される凹所を有する平板状の折り目形成板と、この折り目形成板の 面方向に沿って前記シートを移送して、前記折り目形成板上に前記シートを供給 するシート移送手段とを備え、 前記下型は、内部に、前記折り目形成板の中央部と面接触する部分で開口した 空気通路を有するとともに、前記空気通路内を大気圧より低い圧力に保持する真 空ポンプを有する技術手段を採用した。

【０００９】

【作用】

本考案は、下型の上面に平板状の折り目形成板を載置した後に、真空ポンプに より、折り目形成板の中央部と面接触する部分で開口した空気通路内を真空引き して空気通路内を大気圧より低い圧力に保持することによって、折り目形成板の とくに中央部を下型の上面に密着させる。 このため、本考案は、使用中に折り目形成板の中央部が浮き上がることなく、 折り目形成板が下型の上面に平板状に載置される。しかも、折り目形成板にはシ ートに折り目線を形成するための凹所しか形成されていないので、下型の上面か ら上方に向かって部分的に突出した部分がない。 よって、たとえシートが折り目形成板の表面を摺動するようにして上型と下型 との間にシートが供給されるときでも、シートが折り目形成板に引っ掛かること はない。この結果、シートの所定の位置に打抜き刃により裁断線が形成され、さ らにシートの所定の位置に突起部により折り目線が形成されるので、シートが所 定の製品形状に形成される。

【００１０】

【実施例】

本考案のシート打抜き装置を図１ないし図８に示す実施例に基づき説明する。 図１ないし図７は本考案の第１実施例を示した図である。図１ないし図３はシー ト打抜き装置の主要部を示した図である。

【００１１】 シート打抜き装置１は、例えば厚みが０．５mm〜１．０mmの板紙シート２を所 定の箱体形状に裁断するもので、上型３、この上型３に対向して配置された下型 ４、この下型４上に載置された折り目形成板７、および上型３および下型４との 間に板紙シート２を供給するシート移送装置８を備える。

【００１２】 上型３は、型枠３１の下部にねじ３２により締結され、駆動装置（図示せず） により下型４に対して接近したり、離れたりするように上下方向に往復運動を行 う。この上型３は、図４および図７に示したように、板紙シート２に裁断線２１ を形成する金属製の打抜き刃３３、および板紙シート２を押圧して製品に折り目 線２２を形成する金属製の突起部３４を保持している。打抜き刃３３は、刃先が 鋭利な形状をしている。突起部３４は、先端が球面状をしている。

【００１３】 下型４は、図示しない固定部材に固定され、上面４１に置版５が載置され、側 壁に真空ポンプ６が固定されている。また、下型４には、図５に２点鎖線で示し たように、上面４１で開口した方形状の空気通路４２、およびこの空気通路４２ と真空ポンプ６とを連通する空気通路４３が形成されている。

【００１４】 置版５は、図５に示したように、厚みが０．３mm〜０．５mmの方形状の鋼板製 で、例えば鉄板やステンレス板等の打抜き刃３３の刃先より軟らかい硬度のブリ キ板が使用される。この置版５は、図６に破線で示したように、上型３が下型４ に接近した時に打抜き刃３３が当たる製品の外形形状と同一の被接触部５１を備 える。また、置版５は、上面５３に折り目形成板７が載置され、内部に下型４の 空気通路４２と折り目形成板７の裏面とを連通する複数の空気通路５２を形成し ている。複数の空気通路５２の上側端部は、置版５の折り目形成板７と接触する 部分で開口し、下側端部は、下型４の空気通路４２に向けて開口している。

【００１５】 真空ポンプ６は、全ての空気通路４２、４３、５２内を大気圧より低い圧力に 保持することによって、置版５上の折り目形成板７を置版５の上面に密着させる ものである。

【００１６】 折り目形成板７は、厚みが０．６mm〜０．８mmの板紙シートで、製品形状に応 じた形状に形成されている。折り目形成板７には、打抜き刃３３との接触を避け るために多数切り取られた湾曲状の切取り部７１、および突起部３４との接触を 避けるために多数切り取られた方形状の貫通穴部７２が形成される。なお、切取 り部７１の周縁部分は、テーパー状に形成されている。貫通穴部７２は、本考案 の凹所であって、この内部には上型３が下型４に接近した時に上型３の突起部３ ４が差し込まれる。

【００１７】 シート移送装置８は、本考案のシート移送手段であって、板紙シート２を折り 目形成板７の表面を摺動するように、折り目形成板７の表面上に板紙シート２を 供給するものである。

【００１８】 このシート打抜き装置１の作用を図１ないし図７に基づき説明する。 まず、折り目形成板用板紙シートを置版５上の所定の場所、すなわち、折り目 形成板用板紙シートと置版５に形成された複数の空気通路５２の開口部とが面接 触するように載せた後に、真空ポンプ６により、全ての空気通路４２、４３、５ ２内を真空引きして、これらの空気通路４２、４３、５２内を大気圧より低い圧 力に保持することによって、折り目形成板用板紙シートを置版５上に平板状に密 着させる。そして、上型３を下げて裁断線２１および折り目線２２を付け、裁断 線２１から外側のシート、裁断線２１および折り目線２２の周囲をカッター等で 削り取ることによって、折り目形成板７が所定の形状に形成される。

【００１９】 つぎに、シート移送装置８によって板紙シート２を折り目形成板７上を摺動さ せながら折り目形成板７の表面上に板紙シート２を供給する。このとき、板紙シ ート２に折り目線２２を付けるための貫通穴部７２が折り目形成板７内に形成さ れており、置版５より上方に大きく突出した部分が設けられていないため、板紙 シート２が折り目形成板７に引っ掛からずに所定の場所に供給される。

【００２０】 そして、図３に示したように、打抜き刃３３が置版５の被接触部５１に当接す るまで上型３を下方に移動させることによって、打抜き刃３３により板紙シート ２を突き通すことにより、図７に示したように、板紙シート２の裁断線２１が形 成される。また、図３に示したように、折り目形成板７の貫通穴部７２に突起部 ３４を挿入させて、突起部３４の先端と折り目形成板７の貫通穴部７２の側壁と の間で板紙シート２を押し潰すことにより、図７に示したように、板紙シート２ の折り目線２２が形成される。

【００２１】 なお、シート打抜き装置１の運転中は折り目形成板７が真空引きされた状態に 保たれるので、運転中に折り目形成板７が浮き上がる心配はない。また、たとえ 板紙シート２が折り目形成板７の表面を摺動するようにして折り目形成板７上に 板紙シート２が供給されるときでも、板紙シート２が折り目形成板７に引っ掛か ることはないので、図７に示したように、板紙シート２を所定の製品形状に打ち 抜くことができ、さらに、製品の所定の位置に折り目線２２を形成することがで きる。この結果、製品の寸法誤差を防ぐことができ、仕上がり状態を向上させる ことができる。

【００２２】 さらに、折り目形成板７が置版５の表面において被接触部５１よりある程度内 側に載置され、且つ突起部３４に対向した位置に貫通穴部７２を形成している。 このため、折り目形成板７が打抜き刃３３および突起部３４に接触しないので、 折り目形成板７が損傷することなく、折り目形成板７を半永久的に取り替える必 要はない。

【００２３】 なお、折り目形成板７を取り替える場合でも、真空引きされた全ての空気通路 ４２、４３、５２内の圧力を大気圧以上に大きくするだけで、容易に折り目形成 板７を取り外すことができるので、例えば折り目形成板７の中央部の裏面にテー プを貼り付けて置版５上に載置したときのようにはずし難くなることを防止する ことができる。

【００２４】 図８は本考案の第２実施例で、シート打抜き装置の主要部を示した図である。 この実施例では、置版９の厚みを大きくして、この置版９内に空気通路９１、 ９２を形成している。なお、複数の空気通路９１は、置版５のうち折り目形成板 ７の裏面に面接触する部分で開口している。また、空気通路９２は、折り目形成 板７の形状に対応した平面形状をしており、複数の空気通路９１と真空ポンプ６ とを連通する。

【００２５】 （変形例） 折り目形成板は、紙、紙の両面に特殊薬品加工が施されている加工紙、あるい は紙の両面に金属を被着させた加工紙等で形成されている。また、折り目形成板 の凹所は、折り目形成板の長寿命化を考慮すると、上型の突起部と接触しないよ うな穴部、溝部または窪み部等が望ましい。そして、折り目形成板の周縁部分は 、テーパー状に形成しておくと良い。 さらに、置版は、打抜き刃より軟らかい材質、例えばブリキ以外の鋼板、樹脂 または合成ゴムで形成されていても良い。なお、本実施例では、下型の上面に置 版を載置したが、置版を載置しなくても良い。

【００２６】

【考案の効果】

本考案は、平板状の折り目形成板を下型の上面に載置したときに、使用中に折 り目形成板の中央部が浮き上がってしまうことを防止できるので、シート移送手 段によって上型と下型との間にシートを供給する際に、折り目形成板に引っ掛か ることがなくなる。よって、シートの所定の位置に打抜き刃により裁断線を形成 でき、且つシートの所定の位置に突起部により折り目線を形成できるので、製品 の寸法誤差を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例にかかるシート打抜き装置の主要部
を示した断面図である。

【図２】第１実施例にかかるシート打抜き装置の主要部
を示した断面図である。

【図３】第１実施例にかかるシート打抜き装置の主要部
を示した断面図である。

【図４】第１実施例にかかる打抜き刃および突起部を示
した斜視図である。

【図５】第１実施例にかかる置版を示した平面図であ
る。

【図６】第１実施例にかかる置版および折り目形成板を
示した平面図である。

【図７】第１実施例にかかるシート打抜き装置により裁
断された製品形状を示した平面図である。

【図８】第２実施例にかかるシート打抜き装置の主要部
を示した断面図である。

【図９】従来のシート打抜き装置の主要部を示した断面
図である。

【図１０】従来のシート打抜き装置の置版を示した平面
図である。

【図１１】従来のシート打抜き装置により裁断された製
品形状を示した平面図である。

【図１２】従来のシート打抜き装置の作用説明図であ
る。

【符号の説明】

１ シート打抜き装置 ２ 板紙シート ３ 上型 ４ 下型 ５ 置版 ６ 真空ポンプ ７ 折り目形成板 ８ シート移送装置（シート移送手段） ３３ 打抜き刃 ３４ 突起部 ４２ 空気通路 ４３ 空気通路 ５２ 空気通路 ７２ 貫通穴部（凹所）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートを裁断して製品形状に打ち抜く打
   抜き刃、および前記シートを押圧して前記製品に折り目
   を付ける突起部を有する上型と、この上型に対向して配
   置され、前記上型に対して相対的に接近および離間する
   相対往復運動を行う下型と、この下型の上面に載置さ
   れ、前記上型と前記下型とが接近した時に前記突起部が
   挿入される凹所を有する平板状の折り目形成板と、この
   折り目形成板の面方向に沿って前記シートを移送して、
   前記折り目形成板上に前記シートを供給するシート移送
   手段とを備え、前記下型は、内部に、前記折り目形成板
   の中央部と面接触する部分で開口した空気通路を有する
   とともに、前記空気通路内を大気圧より低い圧力に保持
   する真空ポンプを有することを特徴とするシート打抜き
   装置。