JPH04136212A - 高結節強度ポリフッ化ビニリデンモノフィラメントの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は高結節強度ポリフッ化ビニリデンモノフィラメ
ントの製造方法に関するものであり、詳しくは主として
釣糸に適した高結節強度ポリフッ化ビニリデンモノフィ
ラメントの製造方法に関するものである。

［従来の技術］ ポリフッ化ビニリデンモノフィラメントは、強靭性、耐
衝撃性、透明性および耐光性などに優れ、しかも高比重
で水中に沈みやすく、屈折率が水に近く水中における光
の表面反射か極めて少ないという特性を有し特に釣糸や
漁網用として優れた性質を有する。

ポリフッ化ビニリデンモノフィラメントは、常に前記の
各特性の改良が要求されるが、特により細く、より強く
ということが要求されている。

従来、ポリフッ化ビニリデンモノフィラメントとして、
例えば特開昭６３−１１２７１７号公報に記載されてい
る。該公報に記載されたポリフッ化ビニリデンモノフィ
ラメントは表面の複屈折および繊維軸に垂直な断面の平
均複屈折を特定の範囲となしたものである。

［発明が解決しようとする課題］ 前記、特開昭６３−１１２７１７号公報に記載されたポ
リフッ化ビニリデンモノフィラメントは、その特性が優
れていることから市場において高い評価を得ている。し
かし、特に釣糸においては、ナイロンモノフィラメント
に比べ強度が低いため、高強度、特に結節強度の高いモ
ノフィラメントが要求されている。ここで特に注意しな
くてはならないのは、単に強度のみを向上するのではな
く他のテグスとして有用な特性をも一定水準以上保持す
る必要がある。

本発明の目的は、従来の技術において得られたポリフッ
化ビニリデンモノフィラメントよりも、高強度で特に結
節強度に優れた高結節強度ポリフッ化ビニリデンモノフ
ィラメントの製造方法を提供することにある。

［課題を解決するための手段および作用］本発明の構成
は、高結節強度ポリフッ化ビニリデンモノフィラメント
の製造方法において、複屈折が２５Ｘ１０−”以上のポ
リフッ化ビニリデンモノフィラメントに赤外線レーザー
を照射して表層のみを溶融した後、再固化させ表層を低
配向化し、該表層低配向層の厚みｒとモノフィラメント
の径Ｒとの比ｒ　／　Ｒを０．０１３〜０．０９０の範
囲となすことを特徴とする高結節強度ポリフッ化ビニリ
デンモノフィラメントの製造方法からなる。

本発明の方法に用いるポリフッ化ビニリデンモノフィラ
メントは、ポリフッ化ビニリデンホモポリマに限らず、
分子鎖の繰り返し構造単位の８０モル％以上がフッ化ビ
ニリデンからなり、共重合成分を２０モル％未満の範囲
で含有してもよい。共重合成分としては、例えばテトラ
フロロエチレン、トリフロロモノクロ０エチレン、ヘキ
サフロロプロピレン等が挙げられる。

共重合成分を２０モル％以上含有した場合は、結晶性が
低下し好ましくない。

本発明に係るポリフッ化ビニリデンモノフィラメントは
、ジメチルホルムアミドの０．４ｇ／ｃｃ溶液で測定し
た固有粘度指数（η１ｎｈ）が０．８以上、特に１．０
以上のものが好ましい。

固有粘度指数（η１ｎｈ）が０．８未満では、釣糸に適
する高強度のモノフィラメントが得られない。

本発明の方法に用いるポリフッ化ビニリデンモノフィラ
メントには、例えば顔料、染料、耐光剤、紫外線吸収剤
、酸化防止剤、結晶化抑制剤及び可塑剤などの添加剤を
、本発明の効果を阻害しない範囲で含有することができ
る。

本発明の方法では、繊維軸方向に配向したポリフッ化ビ
ニリデンモノフィラメントを用いる必要があり、高度に
配向しているほど本発明の効果が顕著になる。このため
、複屈折が２５×１０−”以上、好ましくは３０Ｘ１０
−”以上のポリフッ化ビニリデンモノフィラメントを用
いる。

上記のような配向ポリフッ化ビニリデンモノフィラメン
トは通常の溶融紡糸・熱延伸法で容易に得ることができ
る。

前記の複屈折が２５Ｘ１０−”未満では本発明の目的と
する高強度で特に結節強度に優れた釣糸に適するポリフ
ッ化ビニリデンモノフィラメントが得られない。

本発明の方法で特に重要なことは、上記の複屈折が２５
Ｘ１０−８以上のポリフッ化ビニリデンモノフィラメン
トに赤外線レーザー光線を照射しモノフィラメント表層
部分のみを一旦溶融した後、再固化してモノフィラメン
トの表層を十分に配向緩和する。

前記赤外線レーザーをポリフッ化ビニリデンモノフィラ
メントの表面に照射すると、該レーザーのエネルギーが
モノフィラメント中の分子に吸収され、直ちに熱エネル
ギーに変換される。

そのため、短時間の赤外線レーザー照射を行なうと、該
レーザーを照射された表層が選択的に高温となり、内層
はほとんど昇温されないという状態を実現できる。なお
、赤外線レーザーの照射は、得られるポリフッ化ビニリ
デンモノフィラメン・トの繊維構造が繊維軸に対して非
対称にならないようモノフィラメント周囲の多方向から
行うのが好ましい。

前記のようにポリフッ化ビニリデンモノフィラメントの
表層のみを選択的に配向緩和することによって、モノフ
ィラメント自体か柔軟になり結節強度が向上し、しかも
内層は高配向を保持したままであるので、引張り強度は
ほとんど低下しない。

前記の赤外線レーザー照射処理はポリフッ化ビニリデン
モノフィラメントの表層低配向層の厚みｒとモノフィラ
メントの径Ｒの比ｒ　／　Ｒが０．０１３〜０，０９０
、好まＬ＜はｏ、０２０〜０．０６６の範囲となるよう
に行なう。

前記の表層低配向層の厚みとはポリフッ化ビニリデンモ
ノフィラメント断面を偏光下で観察したときに表層部に
リング状に見える部分の厚みをいい、レーザーによって
溶融後頁固化された部分の厚さである。

前記の表層低配向層の厚みｒとモノフィラメントの径Ｒ
の比ｒ　／　Ｒが０．０１３未満であると、表層低配向
層が薄く、ポリフッ化ビニリデンモノフィラメントが十
分柔軟化されない。したがって結節強度が低く、釣糸と
して適切なモノフィラメントとならない。

また、前記の表層低配向層の厚みｒとモノフィラメント
の径Ｒの比ｒ　／　Ｒが０．０９０を越えると、ポリフ
ッ化ビニリデンモノフィラメント内層の高配向層の割合
が少なくなり、強度が低下するので、やはり釣糸として
は適切でない。

前記の赤外線レーザー照射処理はポリフッ化ビニリデン
モノフィラメントを定長、弛緩あるいは延伸を加えなが
ら処理する。具体的には０゜９〜１．５の倍率で定長、
弛緩あるいは延伸を施しながら熱処理を行なう。

次に本発明に係わる方法について実施例に基づいて説明
するが、得られたポリフッ化ビニリデンモノフィラメン
トの物性は以下の測定法によって測定する。

（Ａ）固有粘度指数ηｉｎｈ　： 試料をジメチルホルムアミドに０　、　４　ｇ／ｃｃの
濃度で溶解し、オストワルド粘度計を用いて３０℃で測
定した。

（Ｂ）複屈折Ａｎ＝ 日本光学工業（株）製ＰＯＨ型偏光顕微鏡を用い、白色
光を光源として通常のベレックコンベンセータ法により
求メた。

（Ｃ）引張強度、引張伸度、結節強度および結節伸度 ＪＩＳ−Ｌ１０１７の定義によった。試料を総状にとり
、２０℃、６５％ＲＨの温湿度調節室で２４時間放置後
、（株）オリエンチック社製“テンシロン′″ＵＴＭ−
４−１００型引張試験機を用い、試長２５ｃｍ、引張速
度３０ｃｍ／分で測定した。

［実施例］ 比較例１ 固有粘度指数が１．２のポリフッ化ビニリデン重合体チ
ップを紡糸機中で２６０℃で溶融し、孔径１．Ｏｎ＋ｍ
の口金を通して紡糸し、さらに２０℃のポリエチレング
リコール浴中で冷却して未延伸モノフィラメントを得た
。ここで得られた未延伸モノフィラメントの複屈折は１
．５×１０−３であった。

次に、この未延伸モノフィラメントを１６５℃のポリエ
チレングリコール延伸浴中で６．５倍に延伸し、引続い
て８０℃の温水浴中でポリエチレングリコールを除去し
て直径０．２３ｍｍのポリフッ化ビニリデンモノフィラ
メントを得た。

得られたポリフッ化ビニリデンモノフィラメントの複屈
折は３９．３Ｘ１０−”であり、引張強度は６．５ｇ／
ｄと高がったが、結節強度が２．７ｇ／ｄであった。

実施例１ 比較例１で得られた直径０．２３ｍｍ、複屈折３９．３
ｘｌＯ−”のポリフッ化ビニリデンモノフィラメントを
１．０４倍に延伸しながら、炭酸ガスレーザーを照射強
度が１０Ｋｗ／ｃｍ”。

照射時間が０．００２秒となるように照射し、巻取った
。

得られたポリフッ化ビニリデンモノフィラメントの表層
低配向層の厚みｒとモノフィラメントの径Ｒの比ｒ　／
　Ｒは０．０３５であった。また、引張強度は６．２ｇ
／ｄとレーザー照射による低下はあまりなく、結節強度
が４．５ｇ／ｄであり、比較例１の方法で得られたポリ
フッ化ビニリデンモノフィラメントに比べ著しく向上し
た。

比較例２ 固有粘度指数が１．２のポリフッ化ビニリデン重合体チ
ップを紡糸機中で２８０℃で溶融し、孔径２．Ｏｍｍの
口金を通して紡糸し、さらに２０℃のポリエチレングリ
コール浴中で冷却して未延伸モノフィラメントを得た。

前記未延伸モノフィラメントを１６０℃のポリエチレン
グリコール延伸浴中で３．２倍に延伸した後、さらに１
６５℃で２倍の延伸をおこなった。総合延伸倍率６．４
倍のポリフッ化ビニリデンモノフィラメントの直径は０
．　５２ｍｍであり、引張強度は５．４ｇ／ｄであった
が、結節強度は３．２ｇ／ｄと低かった。また、このポ
リフッ化ビニリデンモノフィラメントの複屈折は３７．
４Ｘ１０−”であった。

実施例２ 比較例２で得られた直径０．５２ｉｎ＋、複屈折３７．
４Ｘ１０−１のポリフッ化ビニリデンモノフィラメント
を走行させながら、炭酸ガスレーザーを照射強度が１２
Ｋｗ／Ｃｍ”、照射時間が０．００３秒となるように照
射し、巻取った。

なお、上記のレーザー照射処理におけるモノフィラメン
トの引取速度は給糸速度の０．９８倍とした。

得られたポリフッ化ビニリデンモノフィラメントの表層
低配向層の厚みｒとモノフィラメントの径Ｒの比ｒ　／
　Ｒは０．０４６であった。また、引張強度は５．Ｉｇ
／ｄとレーザー照射による低下はあまりなく、結節強度
が４．３ｇ／ｄであり、比較例２の方法で得られたポリ
フッ化ビニリデンモノフィラメントに比べ著しく向上し
た。

［発明の効果］ 本発明の方法によれば繊維軸方向に高度に配向したポリ
フッ化ビニリデンモノフィラメントモノフィラメントに
赤外レーザーを短時間照射することにより、表層部分の
みが選択的に配向緩和されて、強度は維持したまま結節
強度の高いモノフィラメントを得ることが可能となる。

また、本発明の方法で得られる高結節強度ポリフッ化ビ
ニリデンモノフィラメントは、釣糸、漁網、のり網など
の水産用資材、ゴムベルトの補強・スリング、ローブな
どの運搬用資材、フェンス・落石防止などの土木資材な
どの用途に有効に使用できる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 高結節強度ポリフッ化ビニリデンモノフィラメントの製
   造方法において、複屈折が２５×１０＾−＾３以上のポ
   リフッ化ビニリデンモノフィラメントに赤外線レーザー
   を照射して表層のみを溶融した後、再固化させ表層を低
   配向化し、該表層低配向層の厚みｒとモノフィラメント
   の径Ｒとの比ｒ／Ｒを０．０１３〜０．０９０の範囲と
   なすことを特徴とする高結節強度ポリフッ化ビニリデン
   モノフィラメントの製造方法。