JPH041333Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は分配型燃料噴射ポンプの改良に関する
ものである。

〔従来の技術とその問題点〕

デイーゼルエンジン類の燃料噴射ポンプの一タ
イプとして分配型燃料噴射ポンプが汎用されてい
る。この燃料噴射ポンプは第３図に示すように、
ポンプハウジング１内にドライブシヤフト６で駆
動されるフイードポンプ３を装備させ、燃料タン
ク７からポンプハウジング１内の燃料室８に燃料
を供給するようにする一方、ドライブシヤフト６
の軸線方向に１本のプランジヤ９を配し、このプ
ランジヤ９をクロスカツプリング１１を介して軸
方向に摺動自在にドライブシヤフト６に連結して
いる。そしてプランジヤ９にはデイスクカム１２
を一体的に設け、これにローラホルダ２で支承さ
れたローラ５を接触させている。

したがつてプランジヤ９はドライブシヤフト６
により回転運動をし、カムデイスク１２の山によ
り上下往復運動を行い、プランジヤの先端に形成
した気筒数分のインレツトスリツト９０のいずれ
かがバレル１４のインレツトポート１４０と連通
したときに燃料室８の燃料を圧送プランジヤ室９
１に吸入し、ポートを閉じたときからプランジヤ
９がリフトすることにより燃料を高圧化し、アウ
トレツトスリツト９２がアウトレツトポート１４
１に通じたときにデリバリバルブ１５を開弁して
気筒のインジエクタに供給されるようになつてい
る。

ところで前記ローラホルダ２はポンプハウジン
グ１の底部に設けたタイマピストン（図示するも
のでは説明上、紙面の左右方向に描いている。）
１６とピン１７により連結しており、タイマピス
トン１６は低圧側にタイマスプリング１８が、高
圧側には燃料室内の燃料油圧がかかり、それらの
釣合により位置が変化するようになつている。

したがつてローラホルダ２はプランジヤ９を動
かすデイスクカム１２と接するローラ５を位置決
めするとともに、前記タイマーピストン１６の動
きと連動し、ドライブシヤフト６の回転方向と反
対方向または同方向に所定範囲回転され、これに
よりローラ５はデイスクカム１２（プランジヤ
９）に対し進角または遅角され、噴射タイミング
が制御される。

上記のようなローラホルダの支持ガイド機構に
関し、従来では特開昭59−208156号（本願第４図
参照）で示されているように、ローラホルダ２′
の軸線方向端面２６′がフイードポンプ３と燃料
室を区画するフイードポンプカバー４′に接して、
反対方向からプランジヤスプリングの力でカムに
押されるようになつており、円周方向は外周面２
４′がポンプハウジング１の内周面１０により受
けられることで摺動ガイドされるようになつてい
た。

しかしながらこのような構造では、第３図にお
けるタイマー作動用のピン１７を支点とするデイ
スクカム１２の上昇、下降行程の反力でローラホ
ルダ２′はポンプハウジング１の内周面１０と接
触し、この場所が音の振動伝達経路となるため、
ポンプハウジング１から騒音が発生し、これによ
り機関騒音を増し、これを組み込んだ車両の商品
価値を低下させるという問題があつた。

また、ローラホルダ２′は材質が鋼材であるの
に対し、ポンプハウジング１はアルミニウムであ
り、これらが相対摺動するため、ポンプハウジン
グ１がいわゆる当り摩耗を起して精度が低下した
り、ローラホルダ２′が噛み込みにより摺動抵抗
を増してスムーズに回転されにくくなるなど、耐
久性や信頼性の上でも問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は前期のような問題点を解消するために
研究して考案されたもので、その目的とするとこ
ろは、簡易な構造によりポンプハウジングから発
生する騒音を低減でき、またタイマ特性の不安定
化を防止して良好な耐久性と信頼性を得ることの
できるこの種分配型燃料噴射ポンプを提供するこ
とにある。

この目的を達成するため本考案は、フイードポ
ンプカバーによりローラホルダの位置決めおよび
円周方向ガイドを得るようにしたもので、すなわ
ち、ドライブシヤフトによりポンプハウジング内
に設けたフイードポンプおよびプランジヤを回転
し、このプランジヤに設けたカムデイスクをロー
ラにより作動させることで前記プランジヤを軸方
向に往復動させ、ポンプハウジング内の燃料室に
供給された燃料を圧送プランジヤ室を経て各気筒
に分配供給する一方、前記ローラを支持したロー
ラホルダをタイマのピンにより周方向に変位させ
ることでプランジヤの作動タイミングを調整する
ようにした噴射ポンプにおいて、ローラホルダの
外周面をポンプハウジングと常時不干渉となる関
係に構成すると共に、フイードポンプカバーにロ
ーラホルダの円周方向をガイドする段部を周設し
たことを特徴とするものである。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明す
る。

第１図と第２図は本考案の要部を示しており、
ポンプとしての基本構造は第３図に示したものと
同様であるため説明は省略する。

１はポンプハウジング、２はローラホルダ、３
はフイードポンプ、４はフイードポンプカバーで
あり、前記ローラホルダ２は中間壁２０を境とし
て後方にローラを容入するリング溝２１が内設さ
れ、前方には駆動ギヤ１９を容入する凹部２２が
形成されている。

この構成は従来のものと同様であるが、本考案
は、前記凹部２２およびリング溝２１の外殻を形
成する筒壁２３を、その外周面２４が前記ポンプ
ハウジング１の内周面（穴面）１０と干渉しない
クリアランスｃを持つように構成し、そして、フ
イードポンプカバー４には、筒壁２３の先端部内
周面２５と接触する環状段部４０を形成し、この
環状段部４０の基端から半径方向に筒壁端面２６
に対する支持面４１を形成している。

前記環状段部４０は周方向荷重がかかつても先
端部内周面２５を適正にガイドし、外周面２４と
内周面１０との接触を起させないだけの所定の高
さに形成される。図示するものでは環状段部４０
を欠設により得ているが、突設により得ても良い
ことは勿論である。

また、図示のものでは環状段部４０は支持面４
１から直角に立ち上がつているが、場合によつて
はテーパ状としてもよい。

〔実施例の作用〕

本考案は上記のような構成からなるので、第３
図においてタイマピストン１６が作動すれば、ピ
ン１７を介してローラホルダ２はドライブシヤフ
ト６の回転方向と逆方向または同方向に回転す
る。

このときのカムデイスク１２との転接による筒
壁２３の軸線方向荷重はフイードポンプカバー４
の支持面４１により受け止められる。そして筒壁
２３の円周方向については、筒壁２３の先端部内
周面２５がフイードポンプカバー４の環状段部４
０にはまり合つているためこの環状段部４０によ
り荷重が受け止められつつ摺動ガイドされる。こ
のことから筒壁外周面２４とポンプハウジング１
の内周面１０間には常に干渉がなく、所定のクリ
アランスｃに保たれる。そのため、カムデイスク
１２の移動軌跡による振動がピン１７を支点とし
てローラホルダ２に作用しても、その振動が直接
的にポンプハウジング１に伝達されることがな
く、この分だけ噴射ポンプからの音の発生が低減
する。

また、ローラホルダ２の円周方向のガイド面積
がポンプハウジング内周面をガイド面とする場合
より減少するため、ローラホルダ２の摺動抵抗が
小さくなり、タイマ特性も安定化される。

さらに鋼材質の筒壁外周面２４がアルミニウム
質のポンプハウジング１の内周面１０と接触しな
いため、この部分の当り摩耗やこれによるガタの
発生がないとともに、凝着などによるローラホル
ダ２のしぶり現象も生じず、したがつて長期にわ
たり良好、安定した進角、遅角特性を維持するこ
とができる。

〔考案の効果〕

以上説明した本考案によるときには、分配型燃
料噴射ポンプにおいて、ローラホルダの円周方向
のガイドをポンプハウジングでなくフイードポン
プカバーで行い、ローラホルダ外周面とポンプハ
ウジング内周面との干渉を起こさせないようにし
たので、ローラホルダからポンプハウジングへの
振動伝達が防止され、該ポンプの騒音を低減する
ことができる。それとともに摺動抵抗が少なくな
るうえにポンプハウジングの当り摩耗が防止され
るため、耐久性とタイマ特性を向上することがで
きる。さらに構造が簡単で、軸受等の特別な機素
を要さずフイードポンプカバーに若干の加工を行
うだけで済むため安価に実施することができるな
どの優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による分配型燃料噴射ポンプの
要部を示す部分切欠斜視図、第２図は第１図−
線に沿う断面図、第３図は従来のこの種ポンプ
の断面図、第４図は従来のローラホルダガイド機
構を示す断面図である。 １……ポンプハウジング、２……ローラホル
ダ、３……フイードポンプ、４……フイードポン
プカバー、５……ローラ、６……ドライブシヤフ
ト、８……燃料室、９……プランジヤ、１２……
カムデイスク、１３……ローラ、１７……ピン、
４０……環状段部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ドライブシヤフトによりポンプハウジング内に
   設けたフイードポンプおよびプランジヤを回転
   し、このプランジヤに設けたカムデイスクをロー
   ラにより作動させることで前記プランジヤを軸方
   向に往復動させ、ポンプハウジング内の燃料室に
   供給された燃料を圧送プランジヤ室を経て各気筒
   に分配供給する一方、前記ローラを支持したロー
   ラホルダをタイマのピンにより周方向に変位させ
   ることでプランジヤの作動タイミングを調整する
   ようにした噴射ポンプにおいて、ローラホルダの
   外周面をポンプハウジング内周面と常時不干渉と
   なる関係に構成すると共に、フイードポンプカバ
   ーにローラホルダの円周方向をガイドする段部を
   周設したことを特徴とする分配型燃料噴射ポン
   プ。