JPH041297Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は２サイクルエンジンの排気時期制御装
置に係わり、詳しくはシリンダ内周面に開口する
排気口の上縁部に弁収納凹部を形成するととも
に、この凹部に弁を出没自在に配設し、この弁を
エンジンの回転数に応じて没入位置から突出位置
まで任意の位置に位置させることによつて排気口
の開口高さを変え、これにより高出力が得られる
よう、排気時期を変える２サイクルエンジンの排
気時期制御装置に関する。

「従来の技術」 この種制御装置においては、制御弁によつて排
気口上縁部をある程度塞いでいる間に同制御弁の
シリンダ中央に臨む面（この面は弁収納凹部の壁
面に対し摺動面にもなつている）にカーボン等が
堆積し、弁の円滑な作動が行えなくなるという問
題があつた。

このような問題に対処するもとして、提案され
たものが特開昭57−62917号に記載の技術である。
この技術は、メインスイツチを切つてエンジンを
停止させる際、同時に制御スイツチをオン状態に
させて制御弁を一旦全開状態（弁収納凹部内に収
納させた状態）にし、この操作によつて制御弁に
付着したカーボン等を、弁収納凹部壁面によつて
かき落とし、除去するものである。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、上記従来の技術にあつては、エンジ
ンが停止するときにのみ制御弁に付着したカーボ
ン等を取り除くものであり、エンジンを長時間連
続的に作動させる場合には制御弁にカーボン等が
多量に堆積してしまい、１回の開弁操作だけでは
カーボン等を除去することができず、弁作動の安
定性が損なわれるという不具合があつた。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、エ
ンジンを長時間連続的に作動させる場合であつて
も、制御弁に多量のカーボン等が付着するのを防
止することができ、弁作動の安定化が図れる２サ
イクルエンジンの排気時期制御装置を提供するこ
とを目的とするものである。

「問題点を解決するための手段」 本考案では係る目的を達成するために、制御装
置によつて、所要のエンジン回転数域ごとに制御
弁の排気口上縁からの突出量を、作動装置を介し
て低エンジン回転数域から高エンジン回転数域へ
減少制御し、該制御弁を前記エンジン回転数域が
変化するとき、制御領域と異なる領域に至るまで
一旦往復動させるようにしている。

「作用」 通常の走行であると、スロツトル操作あるいは
路面の変化等によつてエンジンの回転数は刻々変
化する。このようにエンジンの回転数が変化する
毎に、制御弁は制御装置によつて全開位置に戻さ
れ、このときカーボン等が弁収納凹部壁面によつ
てかき落とされて除去される。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

第１図は本考案に係る排気時期制御装置の概略
構成を示し、図中符号１はシリンダ、２は排気通
路、３はピストンである。

排気通路２にはシリンダ内周面に開口する排気
口２ａが設けられ、該排気口２ａの上縁部には弁
収納凹部４がシリンダに対して一体に形成されて
いる。弁収納凹部４には排気時期を進めたり遅ら
せたりするための制御弁５が出没自在に配設され
ている。

制御弁５は、図に示すように断面扇状に形成さ
れており、シリンダに対し逆側の端部を、シリン
ダの軸線に直交して配された軸６によつて揺動自
在に支持されている。なお、前記弁収納凹部４は
制御弁５に相応して断面扇状に形成されている。

また、制御弁５はリンク棒７を介してアクチユ
エータ（作動装置）８の出力軸８ａに連結され、
アクチユエータ８は、電源９に接続される一方、
制御ユニツト１０（制御装置）に電気的に接続さ
れている。

制御ユニツト１０は、アクチユエータ８を介し
て制御弁５の回動位置を制御するものであつて、
具体的には同制御ユニツト１０に接続されたエン
ジン回転数検出センサー１１から発せられる信号
を、予め入力された入力信号と比較し、その比較
に基づいて制御弁５を第２図に示す如く排気口２
ａの上縁からの突出量が、低エンジン回転数域の
ときに弁収納凹部４より突出し、高エンジン回転
数域のときに弁収納凹部４内に収納されるように
制御するものである。制御弁５は、これにより該
制御弁５の排気口２ａの上縁からの突出量が、低
エンジン回転数域から高エンジン回転数域へ向け
て段階的に減少制御され、該突出量がエンジン回
転数域が変化するのに応じて、一旦ゼロ付近に戻
るように制御される。

しかして、上記構成の排気時期制御装置によれ
ば、エンジンが始動されてその回転数が上昇する
と、該エンジンの回転数の上昇をセンサー１１が
検出し、該検出信号に基づき制御ユニツト１０が
制御弁５の開度をアクチユエータ８を介して徐々
に段階的に上げる。そのとき、制御弁５はある開
度から次の開度に移行する毎に、一旦全開状態に
戻される。従つてこの時、制御弁のシリンダ中央
に臨む面５ａに付着されたカーボンあるいはター
ルは、弁収納凹部４の壁面４ａによつてかき落と
されて除去される。

以下、制御弁は、定常走行においてもまた減速
走行時においても、エンジン回転数が変化する都
度一旦全開状態に戻され、その度にカーボンある
いはタールが除去される。

「考案の効果」 以上説明したように本考案によれば、路面の変
化等の負荷変動あるいはスロツトル操作によつて
エンジンの回転数が変化するが、その毎に制御弁
は制御装置によつて全開位置に戻され、このとき
カーボン等が弁収納凹部壁面によつてかき落とさ
れて除去される。すなわち、通常の制御とは別
に、制御弁を、通常の制御に影響を与えることな
く往復動させて、クリーニングすることができ
る。従つて、制御弁には多量のカーボンあるいは
タールが堆積することがなく、弁作動の安定性が
確保される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す該略構成図、
第２図は制御弁の作動説明図である。 １……シリンダ、２……排気通路、２ａ……排
気口、３……ピストン、４……弁収納凹部、５…
…制御弁、８……アクチユエータ（作動装置）、
１０……制御ユニツト（制御装置）、１１……エ
ンジン回転数検出センサー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シリンダ内周面に開口する排気口を有し、 前記排気口の上端部に形成された弁収納凹部に
   出没自在に配設され、かつ排気口の上縁からの突
   出量が低エンジン回転数域のときに弁収納凹部よ
   り突出し、高エンジン回転数域のときに弁収納凹
   部内に弁収納されることによつて排気タイミング
   を可変させる排気時期制御弁と、 該制御弁を作動させる作動装置とを備える２サ
   イクルエンジンにおいて、 所要のエンジン回転数域ごとに制御弁の排気口
   上縁からの突出量を、作動装置を介して低エンジ
   ン回転数域から高エンジン回転数域へ減少制御
   し、該制御弁を前記エンジン回転数域が変化する
   とき、制御領域と異なる領域に至るまで一旦往復
   動させる制御装置とを備えたことを特徴とする２
   サイクルエンジンの排気時期制御装置。