JPH0412929Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、コンクリート構造体の表面に発生し
た亀裂に薬液を注入して補修するようにしたコン
クリート構造体の補修装置に関するものである。

＜従来の技術＞ 周知のように、コンクリート建築物や構築物
は、長期間経過すると表面に細い亀裂が発生す
る。この亀裂を放置しておくと次第に拡張し、コ
ンクリートの一部が剥離したり強度低下を来たす
ので、接着剤や固化剤などの薬液を亀裂内部に注
入しなけらばならない。

上記した亀裂に薬液を注入するには、第４図に
示すように、亀裂ａが発生しているコンクリート
構造体の壁面ｂの表面に、筒部ｃを直立させた基
板ｄを亀裂ａに沿い適宜間隔で取り付けるととも
に、基板ｄ，ｄ間の亀裂開口部をシール剤ｅで閉
塞し、筒部ｃに薬液の注入装置を取り付け、この
注入装置で薬液を筒部ｃから亀裂ａ内に圧送して
いる。この場合、薬液を高圧で、短時間で注入し
ても亀裂の微細空隙にまで充満しないので、低圧
で長時間を要して注入しなければならない。

このため、例えば実開昭59−186350号公報に記
載されているように、液剤導管の途中に、蓄圧兼
液剤タンクを設け、該タンク内に液剤を供給する
ことによりタンク内の空気圧を高め、この空気圧
の作用によりタンク内の液剤を低圧で長時間かけ
て注入するようにした補修装置が開発されてい
る。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかし、上記した補修装置は、タンクより後方
側の液剤導管に設けたバルブと、タンクより前方
のコンクリートクラツク側に設けたバルブの２つ
のバルブを予め決められた順番で操作しないと低
圧で長時間かけて液剤を注入することができず、
２つのバルブの操作が複雑で、面倒であつた。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は上記に鑑み提案されたもので、下端に
開口部を有する気密な空気室と、該空気室の開口
部に設けた三方弁とを備え、該三方弁の第１流路
を薬液供給路とし、第２流路を薬液圧送路とし、
第３流路を上記空気室に接続したものである。

＜作用＞ 本考案では、三方弁を操作することにより第１
流路を空気室に連通させるとともに第２流路を閉
塞すると、薬液供給路として機能する第１流路か
ら第２流路を介して空気室内に薬液を供給するこ
とができると共に、これにより空気室内の空気を
圧縮することができる。

そして、三方弁を操作することにより第２流路
を空気室に連通させるとともに第１流路を閉塞す
ると、空気室内の圧縮空気の作用により空気室内
の薬液を第３流路から薬液圧送路として機能する
第２流路を介してコンクリート構造対の亀裂内に
緩やかに時間をかけて注入できる。

＜実施例＞ 以下本考案を図面の実施例にもとづいて説明す
る。

第１図で示す補修装置の第１実施例は壁面ｂに
取り付けた前記基板ｄの筒部ｃに三方弁１０を接
続し、該三方弁１０上に空気室１を取り付けたも
のである。

空気室１は、プラスチツク等透光性を有し内容
物のレベルが見えるようにした中空で気密な容器
で作成し、内容物の量を計る目盛を設けることが
望ましい。この空気室１の下端開口部２に設ける
三方弁１０は、第２図に示すように、本体ブロツ
ク内に３つの流路をＴ字状に形成すると共に、上
記流路の分岐部分にＴ字状の流路を有するコツク
１０′を回転可能に設けたもので、ブロツクの一
方の側面（図中左側）に開口する第１流路を薬液
供給路５ｂとし、他方の側面（図中右側）に開口
する第２流路を薬液圧送路７ｂとし、ブロツクの
上面に開口する第３流路を空気室１の下端開口部
２に接続してある。

上記した構成から成る補修装置によりコンクリ
ート壁の亀裂ａに薬液を注入するには、次のよう
に操作する。

薬液供給用チユーブ９を薬液供給路５ｂに接続
し、注出口として機能する三方弁１０の第２流路
の開口部に筒部ｃを密に接続し、三方弁１０のコ
ツク１０′を第２図Ａのように合せると、薬液供
給路５ｂとして機能する第１流路と空気室１とが
第３流路を介して連通するので、薬液供給用チユ
ーブ９から薬液を圧送すると、薬液が薬液供給路
５ｂを通つて空気室１内に供給され、空気室１内
の空気を圧縮する。空気室１内に薬液を充分に供
給した後コツク１０′を第２図Ｂに示す状態に回
動すると、空気室１と薬液圧送路７ｂとが連通す
るので、空気室１内の薬液が圧縮空気の圧力によ
り薬液圧送路７ｂから筒部ｃを通つて亀裂ａ内に
注入することができる。

なお、コツク１０′を第２図Ｃに示す状態に回
動すると、薬液供給路５ｂと空気室１と薬液圧送
路７ｂとが全て連通するので、薬液供給用チユー
ブ９から空気室１内に薬液を供給しながら亀裂ａ
に薬液を注入することができる。そして空気室１
内に充分な薬液が供給された後にコツク１０′を
第２図Ｂのように合せると、空気室１内の圧縮空
気の圧力により空気室１内の薬液を亀裂ａ内に注
入することができる。

また、コツク１０′を第２図Ｄに示す状態に回
動すると、薬液供給路５ｂが薬液圧送路７ｂと連
通するので、薬液供給用チユーブ９から供給した
薬液を直接亀裂ａに注入することができる。

第３図に示す補修装置の第２実施例は、屋上や
床面等水平なコンクリート面に生じた亀裂ａに薬
液を注入するためのものであり、空気室１の下端
開口部２に三方弁１１を取付け、該三方弁１１の
側面に開口する第１流路を薬液供給路５ｃとし、
三方弁１１の下面に開口する第２流路を薬液圧送
路７ｃとし、上面に開口する第３流路を空気室１
に連通し、薬液供給路５ｃに薬液供給用チユーブ
９を接続する。したがつて、コツク１０′の操作
により薬液供給用チユーブ９から空気室１内に薬
液を供給して空気室１内の空気を圧縮し、空気室
１内に充分な薬液を供給した後にコツク１０′を
操作すると、空気室１内の圧縮空気の圧力により
空気室１内の薬液を筒部ｃから水平面の亀裂ａに
注入することができる。

＜考案の効果＞ 以上説明したように本考案によれば、空気室内
の圧縮空気の圧力により薬液を注入するので、亀
裂の微細空隙まで薬液をムラなく充満させること
ができることは勿論のこと、空気室の開口部に設
けた１つの三方弁を操作するだけで、空気室内へ
の薬液の貯留、空気室内の薬液を亀裂に注入する
操作などすべての操作を行うことができる。した
がつて、熟練者でなくても簡単に操作することが
できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
第１実施例の一部欠截正面図、第２図Ａ乃至Ｄは
三方弁の状態を示す断面図、第３図は第２実施例
の一部欠截正面図、第４図は補修する場合の概略
斜視図である。 図中、１は空気室、２は開口部、５は薬液供給
路、７は薬液圧送路、９は薬液供給様チユーブ、
１０，１１は三方弁である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下端に開口部を有する気密な空気室と、該空気
   室の開口部に設けた三方弁とを備え、該三方弁の
   第１流路を薬液供給路とし、第２流路を薬液圧送
   路とし、第３流路を上記空気室に接続したことを
   特徴とするコンクリート構造体の補修装置。