JPH04127715U - チエン駆動式搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 走行状態および停止状態を繰り返し、搬送上
の物品を間欠送りする場合において、物品送りの不整挙
動が生じることのないようにしたチエン駆動搬送装置を
提供することを目的とする。 【構成】 駆動側スプロケットホイール３と、従動側ス
プロケットホイール４との間に掛け回された無端チエン
５を備え、この無端チエンのうち、上記従動側スプロケ
ットホイールを離れて上記駆動側スプロケットホイール
に向けて走行する部分８によって搬送路上の物品を送り
動するように構成されたチエン駆動式搬送装置におい
て、上記駆動側スプロケットホイールを駆動モータによ
って回転駆動するとともに、上記従動側スプロケットホ
イールに、駆動モータによって与えられる回転動力より
も小さい回転トルクを、逆方向に与えるようにしたこと
特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本願考案は、チエン駆動搬送装置に関し、とりわけ間欠搬送する場合における いわゆるシャクリ動とよばれる不整送り挙動を極力抑制することができるように 改良したものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

長手方向に延びる搬送路の一端に導入された物品を、この搬送路上をその前方 に向けて搬送する物品搬送装置の一つとして、チエン駆動式搬送装置がある。 このチエン駆動式搬送装置は、搬送方向の前後に配した一対のスプロケットホ イール間に無端チエンを掛け回すとともに、この無端チエンに、一定間隔毎に送 り爪を設けておき、両スプロケットホイール間を走行するチエンより延びる上記 送り爪が、搬送路にその送り方向に沿って設けたスリットから搬送路上に所定量 突出するようになして構成される。

【０００３】 通常送り方向前方側に位置するスプロケットホイールが駆動側のスプロケット ホイールとなっていて、この駆動側スプロケットホイールは、モータなどの回転 駆動源によって回転させられる。そして、搬送方向後方側のスプロケットホイー ルは、従動側となっていて、通常この従動側スプロケットホイールには、何らの 駆動力も与えられない。

【０００４】 上記駆動側スプロケットホイールを回転させると、両スプロケットホイール間 を走行するチエンのうち、従動側スプロケットホイールの上端から駆動側スプロ ケットホイールの上端間を走行するチエンが、搬送方向後方から前方に向けて移 動し、これにともない、搬送路上にある物品は、上記チエンから延出する送り爪 によって押動されて搬送路上をその前方側に送られる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 ところで、このようなチエン駆動式の搬送装置の場合、搬送経路の全長におい て安定した等速搬送を達成するためには、上記前後一対のスプロケットホイール 間に掛け回されたチエンのうち、搬送に寄与する搬送方向後方から搬送方向前方 に向けて走行する部分、すなわち、従動側スプロケットホイールの上端から離れ て駆動側スプロケットホイールの上端に噛合していく部分のチエンに、適当な張 力を与えておく必要がある。チエンは、屈曲可能となっていることから、そのリ ンクプレートと、ローラピンとの相互嵌合部分にわずかなすきまが存在し、仮に チエンに適当な張力が与えられていないと、上記のすきまが許容する前後方向の 不整振動が起こり得るからである。 かかる不整振動は、駆動側スプロケットホイールから後方側に離れるにつれて 、ローラピンとリンクプレートとの間の上記すきまが積算されていくために起こ りやすい。

【０００６】 上記のごとく、前後一つのスプロケットホイール間に掛け回されるチエンに対 して所定の張力を与える方策としては、たとえば、従動側スプロケットホイール の回転に所定の摩擦力を与えておくということが考えられる。しかしながら、従 動スプロケットホイール側に摩擦制動を常時与えておく場合、チエンを常時等速 走行させる場合においてはさしたる問題は生じないのであるが、搬送路上の物品 をたとえば間欠送りあるいはステップ送りするような、とりわけ高精密の送りを 要求される場合において、次のような問題が発生する。

【０００７】 よく知られているように、互いに摺動し得るように接触させられている２部材 間に生じる摩擦力には、動摩擦力と、静摩擦力とがあり、圧着力が同一であって も静摩擦力の方が動摩擦力より大きい。そのため、上述の従動スプロケットホイ ールに摩擦制動力を作用させている場合においても、これが停止している場合に 発生する摩擦力の方が、回転している場合に発生する動摩擦力より大きいのであ り、そのために、チエン駆動機構を回転、および停止を繰り返して搬送路上の物 品を間欠送りする場合に、次のようないわゆるシャクリ動と呼ばれる不整送り挙 動が生じてしまうのである。

【０００８】 すなわち、チエン駆動機構が停止している場合においては、静摩擦力が作用し ていて、これを回転させるために必要な力は大きいのであるが、この静摩擦力を 超える駆動力が作用して従動スプロケットホイールが回転し始めた途端に、この 従動スプロケットホイールに作用する摩擦力が、上記の静摩擦力よりはるかに小 さい動摩擦力に変換し、そのために、このような静摩擦力から動摩擦力に変換す る時点において、従動スプロケットホイールは、瞬間的に加速されてしまうので ある。このような従動スプロケットホイールの瞬間的な加速は、上述のように、 チエンそのものが、ローラピンとこれに嵌め込まれるチエンリンクプレートとの 間のすきまによって長手方向に遊びが許容され、このすきまが従動スプロケット ホイール側に向かうほど積算されているがゆえに、上述の従動スプロケットホイ ールのみの瞬間的な加速が許容されてしまうのである。

【０００９】 一方、定常的な等速度回転から停止状態に移行する場合には、回転が減速され てゆき、まさに停止しようとする直前において、従動スプロケットホイールに作 用する摩擦力が、動摩擦力からそれよりも大きな静摩擦力に変換し、この瞬間従 動スプロケットホイールは急激な負の加速度をもって停止してしまうのである。 この場合においても、搬送路上を搬送される物品の送り挙動に不整挙動が生じて しまう。

【００１０】 上記のように、停止状態から回転状態に移行する時点、および回転状態から停 止状態に移行する時点において、従動側スプロケットホイールに摩擦抵抗を与え ておく場合においては、搬送路上を送られる物品の搬送挙動に、不整挙動が生じ てしまうのであり、かかる不整挙動は、たとえば、搬送路の途中において、停止 させられている物品に対し所定の加工を行うような場合、その加工精度に悪影響 をおよぼしたりするという問題が発生する。

【００１１】 この考案は、上述の事情のもとで考えだされたものであって、搬送路上での物 品の間欠送りを行う場合においても、その搬送が不整挙動をともなうことのない 安定したものとなるように構成したチエン駆動式搬送装置を提供することをその 課題とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、本願考案では次の技術的手段を講じている。 すなわち、本願考案は、少なくとも２個の主スプロケットホイール間に所定間 隔毎に送り爪を設けた無端チエンを掛け回してなるチエン駆動機構と、搬送面が 上記２個の主スプロケットホイール間を走行するチエンと平行となるように配置 した搬送路とを備え、スプロケットホイール間を走行するチエンの上記送り爪が 上記搬送路上の物品を押動するように構成されたチエン駆動式搬送装置において 、 上記２個の主スプロケットホイールのうち、搬送方向前方側に位置するスプロ ケットホイールを駆動側スプロケットホイールとしてこれを駆動モータによって 回転駆動する一方、 上記２個の主スプロケットホイールのうち、搬送方向後方側に位置するスプロ ケットホイールを従動側スプロケットホイールとするとともに、この従動側スプ ロケットホイールに、上記駆動モータより回転トルクの小さいテンションモータ によって上記駆動モータと逆方向のトルクを与えるように構成したことを特徴と している。

【００１３】

【考案の作用および効果】

本願考案においては、駆動側スプロケットホイールと、従動側スプロケットホ イールとの双方に、互いに逆方向の回転トルクを与えている。そして、駆動側ス プロケットホイールを回転させるべき駆動モータによって与えられる回転トルク が、従動側スプロケットホイールに対してテンションモータによって与えられる 回転トルクより大きいので、両モータが駆動状態にある場合、無端チエンは、駆 動モータによる回転方向に回転走行する。このとき、従動側スプロケットホイー ルから離れて駆動側スプロケットホイールに掛かるまでを走行するチエン部分に は、一定の張力が作用し、チエンはローラピンとリンクプレートとの間の遊びの 存在にかかわらず、ぴんと張った状態で走行することになる。したがって、この 定常走行状態におけるチエンの送りは、その送り方向全長にわたって定常的なも のとなり、このチエンが備える送り爪によって搬送路上を送られる物品の搬送挙 動に不整動は生じない。

【００１４】 また、駆動側スプロケットホイールが停止させられた時点においても、依然と して上記チエンには従動側スプロケットホイールに与えられる逆方向の回転トル クによって、張力が与えられているから、上記チエンは、駆動側スプロケットホ イールと従動側スプロケットホイールの間を走行する全長にわたって、スムーズ に停止させられる。 さらに停止状態から駆動側スプロケットホイールが回転を始める場合において も、一貫して上記チエンには従動側スプロケットホイールに与えられる逆方向の 回転トルクによって所定の張力が与えられているから、従動側スプロケットホイ ールを離れて駆動側スプロケットホイールにいたる間を走行するチエンの全長に わたって、その走行起動がスムーズに行われる。

【００１５】 したがって、本願考案のチエン式搬送装置によれば、たとえば、従動側スプロ ケットホイールに摩擦による回転抵抗を与えることによって物品搬送に寄与する チエン走行部分に張力を与えるように構成された従来例に見られるように、チエ ンの走行および停止を繰り返す間欠送りを行う場合に生じる、動摩擦力と静摩擦 力との差に起因する不整挙動が発生せず、円滑な物品の間欠送りが達成される。

【００１６】 したがって、本願考案のチエン駆動式搬送装置を用いて、たとえば精密物品を 間欠送りさせ、その停止状態において精密加工を施すような場合においても、そ の加工精度を高度に維持することができ、製品の品質向上に大きく寄与すること になる。

【００１７】

【実施例の説明】

以下、本願考案の実施例を、図面を参照しつつ、具体的に説明する。 図１に示すように、チエン駆動式搬送装置１は、長手方向に延びる搬送路２の 下方に、前後各１個の主スプロケットホイール３，４に無端チエン５を掛け回し てなるチエン駆動機構６を配して概略構成されている。

【００１８】 上記搬送路２は、上記各一対のスプロケットホイール３，４の上端どうしの間 を走行する無端チエン５と平行に配置されている。無端チエン５には、図２によ く表れているように、所定の外リンクプレート７の一部を上方に一体延出して形 成される送り爪８が、所定間隔毎に設けられている。この送り爪８は、上記搬送 路２に、その送り方向に沿って設けたスリット９から、所定量搬送路２の上面上 に突出させられている。上記無端チエン５における上記搬送路２の直下を走行す る部分は、その走行の直線性を担保するために、固定部材に設けたレール１０上 に乗った恰好で走行するようにしている。すなわちこのレール１０はその上面が 直線的に形成されており、このレールの上面を上記無端チエン５のローラ１１が 乗りかつ転動しながら走行するようにしてある。

【００１９】 上記一対の主スプロケットホイール３，４のうち、搬送方向（図１の矢印方向 ）前方側のスプロケットホイール３が駆動側スプロケットホイールであり、この 駆動側スプロケットホイール３は、駆動モータ１２によって、図１の時計回り方 向に回転駆動させられるようになっている。なお、この駆動モータ１２には、図 示しない減速機構が付設されており、したがって、この駆動モータ１２によって 駆動側スプロケットホイール３に与えられる回転トルクは、比較的大きいものと される。また、この駆動モータ１２は、駆動電流の遮断と同時に電磁ブレーキに よって制動を行い、停止状態が保持される形式のものを用いることが好ましい。

【００２０】 一方、上記２個の主スプロケットホイール３，４のうち、搬送方向後方側に位 置するスプロケットホイール４は、従動側スプロケットホイールとして機能する 。そして、本願考案では特に、この従動側スプロケットホイール４にも、テンシ ョンモータ１３によって上記駆動モータ１２と逆方向の回転トルクを与える。た だし、このテンションモータ１３によって与える逆方向の回転トルクの大きさは 、駆動モータ１２によって駆動側スプロケットホイール３に与えるべき時計回り 方向の回転トルクよりも小さく設定されている。 駆動モータ１２によって与える回転トルクと、テンションモータ１３によって 逆方向の与える回転トルクの比は、たとえば５対１に設定される。

【００２１】 以上の構成において、上記駆動モータ１２と、上記テンションモータ１３の双 方に通電し、双方のモータに回転トルクを発生させると、従動側スプロケットホ イール４に対して上記テンションモータ１３によって与えられる回転トルクより も、駆動モータ１２によって駆動側スプロケットホイール３に与えられる回転ト ルクの方が充分に大きいことから、駆動側スプロケットホイール３の回転にした がって、従動側スプロケットホイール４も回転し、これにより、これらスプロケ ットホイール３，４に掛け回されている無端チエン５が等速走行をする。このと き、従動側スプロケットホイール４の上端を離れて搬送方向に沿って駆動側スプ ロケットホイール３の上端に噛合する上記無端チエン５には、テンションモータ １３によって、一定の張力が常時作用する。したがって、この間を走行する無端 チエン５は、ぴんと張った状態で走行することになる。したがって、この部分を 走行する無端チエン５の送り爪８によって押動される物品Ｗの搬送は、きわめて 安定したものとなり、従来例のように、チエンのローラピンとリンクプレートと の嵌合部に存在するがたに起因する前後方向の不整振動は起こらない。

【００２２】 また、駆動側モータ１２を停止させる場合においても、走行状態から停止後に いたる間一貫して上記無端チエン５における従動スプロケットホイール４から駆 動スプロケットホイール３に向けて走行する無端チエン部分には、テンションモ ータ１３によって一定のテンションが与えられており、したがって、無端チエン ５が上述の走行状態から停止状態に移行する場合において、従来例のように、動 摩擦力から静摩擦力に転換することによって生じる急激な停止、ないしはこれに 起因するチエンの前後方向の不整振動は起こらない。

【００２３】 さらに、停止状態から駆動モータ１２が回転を始めて走行状態に移行する場合 においても、かかる停止状態から走行状態への移行の前後において、一貫して、 上記無端チエンの所定部分には、テンションモータ１３による一定の張力が作用 しているため、従来例のように、静摩擦から動摩擦に転換することに起因する従 動側スプロケットホイールの急激な加速、ないしはこれに起因するチエンの前後 方向の不整振動も起こりえない。

【００２４】 このように、本願考案のチエン駆動式搬送装置によれば、とりわけ、搬送路上 で物品を間欠送りするような場合、送り方向に延びるチエンの全長にわたって、 停止状態から走行状態への移行、あるいは走行状態から停止状態への移行におい て、従来例のような不整振動が起こり得ず、物品の安定的な間欠搬送を達成する ことができるのである。

【００２５】 このようなことから、たとえば、停止状態において、物品に対して何らかの精 密加工を施すような場合、その加工精度を高度に維持することができ、かかる搬 送装置によって搬送しながら精密な加工を施して製品を製造する場合において、 こうして製造される製品の品質あるいは精度を高度に維持することができるので ある。

【００２６】 もちろん、この考案の範囲は上述の実施例に限定されるものではない。たとえ ば、実施例においては、無端チエン５が掛け回されるスプロケットホイールは、 駆動側スプロケットホイール３と従動側スプロケットホイール４との２個の主ス プロケットホイールであるが、これに加えて、たとえば、駆動側スプロケットホ イールの下端から従動側スプロケットホイールの下端に向けて走行するチエン部 分に、チエンに弾性的なテンションを与えるために配置される補助スプロケット ホイールを設けるような場合にも、もちろん本願考案を適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願考案の一実施例の略示側面図である。

【図２】図１のII−II線拡大断面図である。

【符号の説明】

１ チエン駆動式搬送装置 ２ 搬送路 ３ 駆動側スプロケットホイール ４ 従動側スプロケットホイール ５ 無端チエン ６ チエン駆動機構 １２ 駆動モータ １３ テンションモータ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも２個の主スプロケットホイー
   ル間に所定間隔毎に送り爪を設けた無端チエンを掛け回
   してなるチエン駆動機構と、搬送面が上記２個の主スプ
   ロケットホイール間を走行するチエンと平行となるよう
   に配置した搬送路とを備え、スプロケットホイール間を
   走行するチエンの上記送り爪が上記搬送路上の物品を押
   動するように構成されたチエン駆動式搬送装置におい
   て、上記２個の主スプロケットホイールのうち、搬送方
   向前方側に位置するスプロケットホイールを駆動側スプ
   ロケットホイールとしてこれを駆動モータによって回転
   駆動する一方、上記２個の主スプロケットホイールのう
   ち、搬送方向後方側に位置するスプロケットホイールを
   従動側スプロケットホイールとするとともに、この従動
   側スプロケットホイールに、上記駆動モータより回転ト
   ルクの小さいテンションモータによって上記駆動モータ
   と逆方向のトルクを与えるように構成したことを特徴と
   する、チエン駆動式搬送装置。