JPH04125109U - 温水暖房回路の水タンク構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃焼器の排熱を利用して、不凍液等を混入し
た水からなる媒体を加熱して暖房に利用する温水暖房回
路において、水タンクへの落水音、突沸音発生を防止
し、臭気漏れを防止することを目的とする。 【構成】 温水暖房回路途中に設ける温水熱交換器から
水タンク１へ媒体を戻す戻り管２を設け、この戻り管２
の水タンク１内の先端４には上向きのＪ形の折曲部３を
形成する。該戻り管２は水タンク１の上限水位よりも高
く位置させ、Ｊ形の折曲部３の先端４はタンクの内側壁
１ａにのぞませている。戻り管２の先端４が水タンク１
内に開放していても、折曲げ部３に媒体が残っており、
温水暖房回路を停止した時、突発音を伝えることなく、
臭気を漏らすこともないものにした。また、戻り管２の
先端４は、テーパー状の水タンク１の内側壁１ａに近接
しており、媒体の落下音がない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はガスや石油を熱源とする燃焼器の排熱を利用して温水を造り、この 温水を放熱器に循環させて温水暖房する回路における水タンクの構造に関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

燃焼器本体から出る熱を、直接放熱或いは温風に変えて暖房に供する暖房装置 において、副次的な排熱利用システムとして、燃焼器からの燃焼熱を温水熱交換 器に供給して媒体を加熱し、この温水熱交換器にて高温となった媒体（不凍液を 混入した水等）を蓄える水タンクと、該水タンクの媒体を循環ポンプにて放熱器 へ循環させる温水暖房回路を備えたシステムが床暖房等で用いられている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の温水暖房回路は、図３に示す如く温水熱交換器より水タンク１への戻り 管２の先端４は、水タンク１へ媒体が戻る時に落下音を発生しないように、水タ ンク１内の上限水位Ｂより下方の媒体内に突入させ、かつ上限水位Ｂより上方の 戻り管２に水タンク１内に開口する小孔２ａを開けていた。

【０００４】 この構造では床暖房運転を停止して、燃焼器からの放熱或いは温風だけの単独 運転に切り替えた時、循環水の大部分は水タンク１内に戻るが、温水熱交換器内 に若干残った温水が、燃焼器の熱で蒸発して、温水に混入される不凍液成分など が小孔２ａを通って漏れるため臭気の発生があった。

【０００５】 また、暖房回路運転中に戻り管２内を通過する水流中に、水タンク１内上部空 間の空気が小孔２ａから吸引されて、水タンク１内の水中に入るので、水タンク １内で泡発生音が発生することがあった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、この考案では水タンク１内にのぞませた戻り管２の 先端形状を工夫することによって、温水循環時の異常音、温水循環停止時の突沸 音発生を防止し、温水からの臭気漏れを減少させるようにしたものである。

【０００７】 即ち、温水熱交換器７と、温水熱交換器７にて高温になった媒体を蓄える水タ ンク１と、媒体の熱量を放熱させる放熱器８とを循環パイプ９にて連通し、該循 環パイプ９に循環ポンプ１０を取り付けた温水暖房回路において、該温水熱交換 器７から水タンク１への戻り管２を水タンク１内へ接続し、水タンク１内の戻り 管２は先端部を上向きとしたＪ形の折曲部３に形成し、該戻り管２の先端４を水 タンク１の内側壁１ａに近接し、かつ戻り管２の折曲部３内の残水位Ａが折曲部 ３の内縁５を封鎖しており、更に折曲部３の最低部６が水タンク１の上限水位Ｂ より上に位置する構成としている。

【０００８】 なお、水タンク１の内側壁１ａをテ−パ−状とし、戻り管２の先端４の一部が 内側壁１ａに接触するようにすると、戻り管２から水タンク１内へ入る温水は、 内側壁１ａにより扇状に広がりながら、側壁に沿って水タンク１内に戻るもので ある。

【０００９】

【作用】

温水暖房回路の熱源はガス、石油を問わないもので、熱源により温水熱交換器 ７で得られる高温の媒体は、循環ポンプ１０により温水熱交換器７・水タンク１ ・放熱器８・温水熱交換器７へと循環し、床マットやコンベクタ−等の放熱器８ で放熱して暖房に供される。放熱器８による暖房を必要としない場合は、循環ポ ンプ１０を停止すれば媒体のほとんどは水タンク１に流れ、燃焼器本体のみによ る暖房運転に切り換えられる。

【００１０】 循環ポンプ１０の運転により、水タンク１内の媒体（不凍液を含む）は放熱器 ８を経て温水熱交換器７へ送られて加温され、戻り管２により再び水タンク１へ 戻されるが、戻り管２から水タンク１へ戻る際、水の落下音・突沸音、臭気漏れ 等がないような作用を持つものである。

【００１１】

【実施例】

図１は本考案品の実施例を示す要部断面図、図２は本考案品を用いた温水暖房 回路の全体構成図、図３は従来例を示す要部断面図で、夫々共通する部品は同一 の符号で説明する。

【００１２】 ７は燃焼器１１の排気路１２内に管体をコイル状に巻回した状態で設けるなど して取り付けた温水熱交換器で、燃焼器１１の排熱を吸収して不凍液等を混入さ せた水からなる媒体を加熱する。１は水タンク、２は温水熱交換器７で加熱した 媒体を水タンク１へ戻す戻り管で、内側壁１ａの一側をテ−パ−状とする場合が ある。８は水タンク１の高温の媒体が循環して放熱し暖房に供する放熱器で、実 施例には床マットを示している。１０は水タンク１・放熱器８・温水熱交換器７ との間にを媒体を循環させる循環ポンプで、それぞれ循環パイプ９により連絡し ている。

【００１３】 ４は水タンク１へのぞませた戻り管２の先端、３は戻り管２の先端４部分を上 向きのＪ形とした折曲部であり、循環ポンプ１０を停止した時には温水熱交換器 ７及び戻り管２に残留していた媒体は水タンク１内へ還流するが、この時Ｊ形に 曲げられた戻り管２の折曲部３に若干量の媒体が残る。

【００１４】 Ａは折曲げ部３に残った媒体の残水位、５は折曲げ部３の内縁であり、折曲部 ３内の残水位Ａが折曲部３の内縁５に接して戻り管２を封鎖してエアロックを起 こしている。６は戻り管２の折曲部３の最低部、Ｂは水タンク１の上限水位であ り、該折曲部３の最低部６が水タンク１の上限水位Ｂより上に位置する構成とし 、かつ戻り管２の先端４が水タンク１のテーパー状の内側壁１ａに近接している 。この折曲部３の最低部６が上限水位Ｂより上という程度は、戻り管２の管径位 が適当である。

【００１５】 １３は燃焼器８へ一定量の燃料を送る燃料供給器、１４は同じく燃焼器８へ燃 焼用の空気を送る送風機、１５は燃焼排ガスの出口、１６は床暖房を必要とする 時、排熱を温水熱交換器７側へ送り、床暖房を必要としない時は温水熱交換器７ 側へ排熱を送らないようにするダンパ−である。

【００１６】

【考案の効果】

本考案は、以上のような構成、作用を示すもので、温水暖房回路を運転する時 、循環ポンプ１０の力により、媒体が勢いよく戻り管２から水タンク１内へ送り 込まれるが、戻り管２の先端４が上向きのＪ形に折曲されているので、送り込ま れる媒体は上向きに流れ、さらに水タンク１の内側壁１ａにて拡散されるので、 タンク１内への落水音がしないものである。また、水タンク１と戻り管２の先端 ４との近接部に相当する内側壁１ａをテ−パ−状とすれば、先端４から噴出する 媒体が内側壁１ａに当たり、下方への流下がスム−スに行なわれるものである。

【００１７】 また、温水暖房回路を停止しても、暫くは余熱で回路内に残っている媒体が加 熱され、沸騰することがあるが、戻り管２の先端４は水タンク１内の上限水位Ｂ より上に位置しているので、沸騰した媒体が水タンク１内の空間部へ押し出され るだけで、水タンク１内の水を振動させるなどの異常音を発することがない。

【００１８】 また、戻り管２の先端４を上向きのＪ形として折曲部３を設けているので、暖 房回路の運転を停止しても、回路内の媒体が戻り管２の折曲部３に残留し、残水 位Ａが折曲部３の内縁５を封鎖するので、暖房回路内に残留する媒体に混合され る不凍液などが気化しても、不凍液特有の臭気をカットする効果がある。

【００１９】 また折曲部３に媒体が残っており、戻り管２内を封鎖していても、循環ポンプ １０の運転を開始すれば、循環ポンプ１０の力で媒体は押し出され、以後連続的 に循環してなんら問題はない。尚、従来のように戻り管２に小孔２ａがないので エア−を吸引して泡発生の心配もない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案品の実施例を示す要部断面図である。

【図２】本考案品を用いた温水暖房回路の全体構成図で
ある。

【図３】従来例を示す要部断面図である。

【符号の説明】

１ 水タンク １ａ 水タンクの内側壁 ２ 戻り管 ３ 戻り管の折曲部 ４ 戻り管の先端 ５ 折曲部の内縁 ６ 折曲部の最低部 ７ 温水熱交換器 ８ 放熱器 ９ 循環パイプ １０ 循環ポンプ Ａ 戻り管の残水位 Ｂ 水タンクの上限水位

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 温水熱交換器７と、温水熱交換器７にて
   高温になった媒体を蓄える水タンク１と、媒体の熱量を
   放熱させる放熱器８とを循環パイプ９にて連通し、該循
   環パイプ９に循環ポンプ１０を取り付けた温水暖房回路
   において、該温水熱交換器７から水タンク１への戻り管
   ２を水タンク１内へ接続し、水タンク１内の戻り管２は
   先端部を上向きとしたＪ形の折曲部３に形成し、該戻り
   管２の先端４を水タンク１の内側壁１ａに近接し、かつ
   戻り管２の折曲部３内の残水位Ａが折曲部３の内縁５を
   封鎖する構成とし、更に折曲部３の最低部６が水タンク
   １の上限水位Ｂより上に位置することを特徴とする温水
   暖房回路の水タンク構造。
2. 【請求項２】 水タンク１の内側壁１ａをテ−パ−状と
   し、戻り管２の先端４の一部が内側壁１ａに接触するこ
   とを特徴とする請求項１記載の温水暖房回路の水タンク
   構造。