JPH0412450Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はガスクロマトグラフの熱伝導度検出器
（TCD）や液体クロマトグラフの屈折計検出器の
ような温度に敏感な検出器を収容する恒温槽に関
するものである。

（従来の技術） 従来の恒温槽は、１個のヒータと１個の測温体
により温度制御を行なつている。

（考案が解決しようとする問題点） １個のヒータにより温度制御を行なうと温度分
布が生じる。ヒータを２個にすれば温度分布は多
少改善されるが、熱伝導度検出器のように温度に
敏感な検出器では充分ではない。

また、熱伝導度検出器は４個のフイラメントを
ブリツジにして温度補償できる構造になつている
が、恒温槽の過渡的な温度変化に対しては、熱伝
導度検出器自体の温度分布もあるため、充分な温
度補償ができない。

本考案は、熱伝導度検出器などの検出器自体の
温度分布に対応した温度分布をつけて、検出器の
温度補償機能を有効に作用させ、恒温槽の過渡的
な温度変化に対しても、充分な温度補償をさせる
ことを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案の恒温槽は、実施例を示す第１図を参照
して示すと、複数個のヒータ４，６と、内部温度
を検出する１個の測温体８と、この測温体８の温
度と温度設定器１８で設定された温度との温度差
に対応する電気信号によりヒータ４，６に流す加
熱電流を制御する温度制御器３２とを備え、温度
制御器３２は温度制御対象の検出器自体の温度分
布に対応した温度分布を形成するように複数個の
ヒータ４，６に流す加熱電流の比率を設定し、か
つその比率を可変にできるにしたものである。

（実施例） 第１図は一実施例を表わす。

２は熱伝導度検出器用の恒温槽であり、２個の
カートリツジヒータ４，６と、白金抵抗測温素子
にてなる測温体８とが設けられている。カートリ
ツジヒータ４とカートリツジヒータ６はそれぞれ
に流れる電流が互いに逆になるように電源
（AC100V）に接続され、それぞれ制御用トライ
アツク１０，１２により電流がオン・オフ制御さ
れるようになつている。

測温体８の一端には定電流源１４が接続され、
他端が接地されて測温体８には定電流が流され
る。測温体８の測定温度はその両端電圧として取
り出される。

測温体８の出力信号は増幅器１６の一方の入力
端子に入力され、増幅器１６の他方の入力端子に
は温度設定器１８から設定電圧が入力され、増幅
器１６において両入力電圧が比較され、その偏差
電圧が出力される。２０はＶ／Ｆモジユレータ
で、増幅器１６からの出力信号（上記偏差電圧）
を入力し、その偏差電圧に応じた周波数（又はパ
ルス幅）の電圧を発生する。２２はANDゲート
であり、一方の入力端子にはＶ／Ｆモジユレータ
２０の出力信号Ａを入力し、他方の入力端子には
カートリツジヒータ４，６の電源の周波数に同期
したゼロクロスパルス信号Ｂを入力する。AND
ゲート２２の出力信号C₁はトライアツク１０に
点弧信号として入力される。２４は位相調節器で
あり、可変抵抗器２６とコンデンサ２８とを備
え、ANDゲート２２の出力信号C₁を入力する。
位相調節器２４の出力信号はシユミツト回路３０
により波形整形されて出力信号C₂となり、トラ
イアツク１２に点弧信号として入力される。

増幅器１６、温度設定器１８、Ｖ／Ｆモジユレ
ータ２０、ANDゲート２２、位相調節器２４、
シユミツト回路３０は温度制御器を構成するもの
である。

次に、本実施例の動作を第１図及び第２図を参
照して説明する。

恒温槽２の温度に対応する測温体８の両端電圧
と温度設定器１８からの電圧との偏差電圧に応じ
た周波数（又はパルス幅）の信号ＡがＶ／Ｆモジ
ユレータ２０から出力される。ANDゲート２２
はＶ／Ｆモジユレータ２０からの信号Ａとゼロク
ロスパルス信号Ｂとを入力して、信号C₁を出力
する。

恒温槽２の一方のヒータ４は、信号C₁を点弧
信号とするトライアツク１０により制御され、信
号D₁として表わされる波形の電流が流される。
第２図中のACで表わされる波形はヒータ４に印
加される電源電圧の波形であり、ヒータ６に印加
される電源電圧の波形はこれとは逆の位相になつ
ている。ANDゲート２２の出力信号C₁はまた、
位相調節器２４において可変抵抗２６とコンデン
サ２８で決まる時間Δtだけ位相が遅らされ、シ
ユミツト回路３０で整形されて信号C₂となる。

恒温槽２の他方のヒータ６は、信号C₂を点弧
信号とするトライアツク１２により制御され、信
号D₂として表わされる波形の電流が流される。

遅れ時間Δtは位相調節器２４の可変抵抗器２
６を調節することにより任意の値に設定すること
ができる。この遅れ時間ΔTは、恒温槽２の温度
分布を調節して熱伝導度検出器の温度分布を補正
し、熱伝導度検出器自体の温度補償機能が有効に
働くような値に設定される。

また、本実施例においては、ヒータ４とヒータ
６の通電方向を互いに逆方向にしているので、検
出器に及ぼす磁界の影響を抑えることができる。

本考案において、ヒータに流す電流を制御する
温度制御器は、実施例のものに限られるものでは
なく、ヒータに流す電流の比率を可変とできるも
のであれば他の構成のものでもよい。

（考案の効果） 本考案によれば、複数のヒータの加熱電流の比
率を変えて温度分布を補正することにより、検出
器自体の温度補償機能を有効に働かせ、恒温槽の
温度変化に対して一層安定した検出器とすること
ができる。

また、安定時間の短縮にも効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は一実施例を示す回路図、第２図は同実
施例の動作を示す波形図である。 ２……恒温槽、４，６……ヒータ、８……測温
体、１０，１２……トライアツク、１６……増幅
器、１８……温度設定器、２０……Ｖ／Ｆモジユ
レータ、２２……ANDゲート、２４……位相調
節器、３０……シユミツト回路、３２……温度制
御器。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 複数個のヒータと、内部温度を検出する１個
   の測温体と、この測温体の温度と温度設定器で
   設定された温度との温度差に対応する電器信号
   により前記ヒータに流す加熱電流を制御する温
   度制御器とを備え、前記温度制御器は温度制御
   対象の検出器自体の温度分布に対応した温度分
   布を形成するように前記複数個のヒータに流す
   加熱電流の比率を設定し、かつその比率を可変
   にできることを特徴とする恒温槽。 (2) 前記ヒータを２個にしてその２個に対し、そ
   れぞれのヒータに流す加熱電流の方向を逆にし
   た実用新案登録請求の範囲第１項に記載の恒温
   槽。