JPH04122843U - プロペラシヤフト用ダイナミツクダンパ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プロペラシャフト本体への嵌挿に際する種々
の不具合を解消すると共に生産性の向上やコストダウン
を可能とするプロペラシャフト用ダイナミックダンパを
提供する。 【構成】 ダイナミックダンパ１はばね鋼板製のアウタ
パイプ２と鋼棒製のインナウエイト３と合成ゴム製のマ
ウントラバー４から形成されている。アウタパイプ２は
ばね鋼板を巻き丸めたいわゆる巻きパイプであり、完全
な環状ではなく一部にスリット８が形成されたＣ字型断
面となっている。尚、アウタパイプ２の外径は嵌挿され
るプロペラシャフト本体（図に二点鎖線で示す）７の内
径に較べて所定量大きくなっている。一方、５個のマウ
ントラバー４は円周上に等間隔に配置された状態でアウ
タパイプ２とインナウエイト３とに対して加硫接着され
ているが、従来のものとは異なりプリロードは与えられ
ていない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車における走行時の静粛性向上等を図るための、プロペラシャ フト用ダイナミックダンパに関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車の動力伝達系を構成する部材の一つにプロペラシャフトがある。通常、 プロペラシャフトは鋼管からなるプロペラシャフト本体の両端部に自在継手を溶 接等により結合することにより形成され、トランスミッションとディファレンシ ャルギヤ間等の駆動力伝達に供される。

【０００３】 ところで、プロペラシャフトは絶えず変動するエンジンのトルクを受けながら 高速回転するため、プロペラシャフト本体内部で気柱振動や管壁の共鳴が発生し やすかった。また、駆動輪からの衝撃等がプロペラシャフトを介してボデーに伝 達されることも多かった。そこで、これらに起因する騒音や車体振動を防止する ため、従来より制振対策が施された制振プロペラシャフトが提案されてきた。制 振プロペラシャフトの形態としては、自在継手としてラバーカップリングを用い たものや、プロペラシャフト本体を２重管構造としてその間にラバーピースを介 装したもの等もあるが、プロペラシャフト本体内にダイナミックダンパを挿入し たいわゆるＩＶＡプロペラシャフトが耐久性や生産性等で優位にある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

図４に示すように、ダイナミックダンパ１は、鋼管製のアウタパイプ２内にマ ウントラバー３を介して鋼棒製や鋼管製のインナウエイト４を配し、これら三者 を加硫接着等により一体化したものであり、マウントラバー３にプリロードを与 えて耐久性を高めるべくアウタパイプ２には絞り加工が施される。ＩＶＡプロペ ラシャフト５は、自在継手６が溶接される前のプロペラシャフト本体７内にこの ダイナミックダンパ１を嵌挿（圧入）することにより製作される。したがって、 ダイナミックダンパ１のアウタパイプ２の外径とプロペラシャフト本体７の内径 とは微妙な寸法公差のもとに製作され、且つそれぞれの表面に仕上加工を施す必 要があり、これらを怠った場合には、プロペラシャフト本体７内でダイナミック ダンパ１のがたつきが生じたり、位置がずれたり、あるいは圧入が非常に困難に なる等の不具合が起きてしまう虞があった。また、プロペラシャフト本体７およ びアウタパイプ２の公差にそった製作や仕上加工は、生産性の向上やコストダウ ンを図る場合に大きな障害となっていた。 本考案は上記状況に鑑みなされたもので、プロペラシャフト本体への嵌挿に際 する種々の不具合を解消すると共に生産性の向上やコストダウンを可能とするプ ロペラシャフト用ダイナミックダンパを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

そこで、本考案ではこの課題を解決するために、円環状のアウタパイプと、当 該アウタパイプの軸心に配置されたインナウエイトと、これらアウタパイプとイ ンナウエイトとの間に介装されて両者を弾性的に連結するマウントラバーとから なり、プロペラシャフトの本体内に嵌挿されて当該プロペラシャフトの制振に供 されるダイナミックダンパであって、前記アウタパイプの外径を前記プロペラシ ャフト本体の内径より大きく設定すると共に当該アウタパイプに軸方向のスリッ トを形成したことを特徴とするプロペラシャフト用ダイナミックダンパを提案す るものである。

【０００６】

【作用】

プロペラシャフト本体内にダイナミックダンパが嵌挿されると、アウタパイプ が撓んでプロペラシャフト本体の内壁に密着し、寸法誤差や仕上加工の有無に拘 らず強固な固定が実現される。尚、この際にアウタパイプの撓みはスリットの部 分で吸収される。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づき詳細に説明する。 図１には本考案に係るダイナミックダンパの一実施例を正面視により示し、図 ２には図１中Ａ−Ａ断面を示し、図３にはり示してある。

【０００８】 図１，図２に示すように、本実施例のダイナミックダンパ１はばね鋼板製のア ウタパイプ２と鋼棒製のインナウエイト３と合成ゴム製のマウントラバー４から 形成されている。アウタパイプ２はばね鋼板を巻き丸めたいわゆる巻きパイプで あり、完全な環状ではなく一部にスリット８が形成されたＣ字型断面となってい る。尚、アウタパイプ２の外径は嵌挿されるプロペラシャフト本体（図１に二点 鎖線で示す）７の内径に較べて所定量大きくなっている。一方、５個のマウント ラバー４は円周上に等間隔に配置された状態でアウタパイプ２とインナウエイト ３とに対して加硫接着されているが、従来のものとは異なりプリロードは与えら れていない。

【０００９】 以下、図３を参照して本実施例の作用を述べる。 本実施例のダイナミックダンパ１をプロペラシャフト本体１に嵌挿する。する と、その外径がプロペラシャフト本体７の内径に較べて大きいため、アウタパイ プ２は周囲から絞られて図中矢印で示す方向に撓む。前述したようにアウタパイ プ２は自体がばね鋼製であるため、拡開する方向に付勢力を生じ、プロペラシャ フト本体７の内壁に強く密着する。尚、この際にはプロペラシャフト本体７やア ウタパイプ２の寸法に多少の誤差があっても問題とはならず、また表面も仕上加 工が施されていない方が寧ろ密着力は高くなる。したがって、従来品に比較して 生産性は非常に向上し、また仕上加工等を施さずに済むためコストも大幅に低下 させることが可能となった。一方、アウタパイプ２が嵌挿時に絞られるため、マ ウントラバー４には結果的にプリロードを与えられ、従来品と同様の耐久性を確 保することができた。

【００１０】 以上で具体的実施例の説明を終えるが、本考案の態様はこの実施例に限るもの ではない。例えば、上記実施例ではアウタパイプ２の素材としてばね鋼板を用い たが、所定の弾性を有するものであれば、通常の鋼板や他の金属板等を用いても よい。また、インナウエイト３を鋼管等から製作するようにしてもよいし、マウ ントラバー４の個数を５個以外としてもよい。

【００１１】

【考案の効果】

以上、実施例を用いて具体的に説明したように、本考案に係るプロペラシャフ ト用ダイナミックダンパによれば、プロペラシャフト本体への嵌挿に際する種々 の不具合が解消される共に生産性の向上やコストダウンを図ることが可能となる という効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るプロペラシャフト用ダイナミック
ダンパの一実施例を示す正面図である。

【図２】図１中、Ａ−Ａ断面図である。

【図３】本考案に係るダイナミックダンパのプロペラシ
ャフトへの装着状態を示す正面図である。

【図４】ＩＶＡプロペラシャフトを示す一部断面された
側面図である。

【符号の説明】

１ ダイナミックダンパ ２ アウタパイプ ３ インナウエイト ４ マウントラバー ５ ＩＶＡプロペラシャフト ６ 自在継手ブラケット ７ プロペラシャフト本体 ８ スリット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円環状のアウタパイプと、当該アウタパ
   イプの軸心に配置されたインナウエイトと、これらアウ
   タパイプとインナウエイトとの間に介装されて両者を弾
   性的に連結するマウントラバーとからなり、プロペラシ
   ャフトの本体内に嵌挿されて当該プロペラシャフトの制
   振に供されるダイナミックダンパであって、前記アウタ
   パイプの外径を前記プロペラシャフト本体の内径より大
   きく設定すると共に当該アウタパイプに軸方向のスリッ
   トを形成したことを特徴とするプロペラシャフト用ダイ
   ナミックダンパ。