JPH0412207Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はコンクリート床打ち込み用仮枠の枠組
みにおいて、大引き材を支持柱上へ定着せしめて
両者間にズレが起こらない様にする大引き材用振
り止め金具（以下振り止め金具という）の改良に
関する。

コンクリート床打ち込み用仮枠は、通例並列に
横架した大引き材上に、該大引き材に対して根太
を格子状に配し、その上へコンクリートパネルを
敷設することによつて施工される。そして該コン
クリート打ち込み用仮枠は、所定位置に安定し、
且つ流し込まれたコンクリートの重量に耐え得べ
く、大引き材を多数の支持柱によつて支持し、該
大引き材が床の完成まで支持柱上からズレて脱落
しない配慮が必要である。その簡単な手段は、大
引き材に釘を打ち付けて該釘の突出部分を支持柱
の中空孔へ差し込んでおくといつた単純なもので
あるが、その場合には、釘先が中空孔内を自由に
移動するため、大引き材の脱落は防止できても支
持柱上に定着させることはできず極めて不安定で
ある。そこで大引き材を状の嵌合面で受けると
共に、下方の突出部分を支持柱の中空孔内へ密着
嵌挿し、両者の結合性を高めるようにした振り止
め金具が従来より使用されている。

一方コンクリート床打ち込み用仮枠の施工にお
いては、通例大引き材に端太角（木製角材）を用
いているが、該端太角が切断容易であることから
消費量は予想量を上まわつている。これは例えば
高所で作業中、短い端太角が必要なとき、わざわ
ざ端材の中から適当な長さの端太角を選び出しに
下まで降りる手間を省き、予めまとめて引き上げ
ておいた手近の新材を切断して使用する傾向が強
いからであつて、その際切り落とされた片割れは
利用されず、新材が次々と消費されているからで
ある。しかし端太角が容赦なく切断されて該新材
が無駄使いされているそもそもの原因は大引き材
としての端太角が切断容易な点にあり、該大引き
材を容易に切断できなくすれば良いわけであるか
ら、端太角に代えて金属製角パイプと木製角材と
の複合材を採用し、長尺の大引き材回収率100％
を目指す試みが為されている。該複合材を使用し
たコンクリート床打ち込み用仮枠は、前記振り止
め金具により支持柱上へ複合材を定着させようと
しても、金属同士が接するため滑りやすく、長手
方向へのズレに対しては定着性に乏しい。従つて
せつかく大引き材の回収率が良くなつても枠組み
が不安定では片手落ちとなつてしまう。

そこで本考案は、従来から用いられている振り
止め金具を改良し、大引き材として複合材を使用
した場合、該複合材を支持柱上へ確実に定着させ
るものであつて、その構成は、大引き材を嵌合す
る嵌合面の少なくともいずれか一方の側辺を、該
嵌合面の底辺の長さより長くなるように上方へ延
長し、該延長部分の適当な位置に釘孔を穿設した
ことにある。

次に本考案の実施一例を図面に従つて説明する
と次の通りである。

第１図示の振り止め金具１は、一枚の金属板を
折り曲げ形成したもので、下方へ差し込み突起２
を上方に状の嵌合面３を有し、差し込み突起２
は、支持柱４の中空孔５へ密着挿入し第２図示の
如く該振り止め金具１を支持柱４上へ一体的に取
り付けることができる。上方の嵌合面３は、片方
の側辺３ａが底辺３ｂと略同じ長さで立ち上が
り、又他方の側辺３ｃは底辺３ｂより長く立ち上
がり形成されている。該側辺３ｃの底辺３ｂの長
さより長くした延長部分３ｄには、中央に釘孔６
が穿設されている。

当該実施例の振り止め金具１は、大引き材に端
太角を用いた場合においては従来の振り止め金具
と代わるところはなく、格別な効果は期待できな
い。しかし大引き材に第３図示の複合材７を使用
した場合においては、予想以上の効果をもたら
す。即ち、複合材７は金属製角パイプ７ａの上辺
に幾分厚みのある木製角材７ｂを添わせ、両者を
結合バンド８で緊締して一体化させたものであつ
て、木製角材７ｂの部分には釘６′を打ち込むこ
とが可能である。よつて従来の振り止め金具を使
用した場合には、側辺が木製角材にまで接しない
で金属製角パイプの部分のみしか嵌合させること
ができなかつたが、本考案の振り止め金具を用い
れば、片方の側片が木製角材にまで達し、底辺長
より延長した該木製角材の側部当接部に穿設され
た釘孔を介して釘を打ち込めば、該複合材は嵌合
面に固定されて長手方向にも動かない。

以上の如く本考案の振り止め金具は、複合材を
大引き材として用いてコンクリート床打ち込み用
型枠を施工した場合には、該複合材が支持柱上へ
強固に定着せられ、脱落は勿論、前後、左右にズ
レることもない。

尚当該実施例の振り止め金具は、側辺の一方を
底辺より長く延長してあるが、両側辺を延長する
こともできる。

又コンクリート床打ち込み用型枠の枠組みにお
いては、一本の支持柱で一本の大引き材を支持す
るばかりでなく、二本の大引き材を長手方向に連
結して使用する場合もある。その際には一本の支
持柱で二本の大引き材を支持するため、従来から
２つの嵌合面を有する振り止め金具が使用されて
いた。本考案はかかる２つの嵌合面を有する振り
止め金具１′にも適用されるもので、４つ存在す
る側辺３ａ，３′ａ，３′ｃ，３ｃのうち外側両辺
３ａ，３ｃを延長し、延長部分３ｄ，３ｄに釘孔
６，６を穿設すれば、２本の複合材を１つの振り
止め金具上に定着させることができるのである。

本考案の振り止め金具は、複合材に対して支持
柱上への定着が確実に行なわれることを目的とす
るのであるから、上方に嵌合面を有し、該嵌合面
の少なくともいずれか一方の側辺を底辺より長く
延長して延長部分に釘孔を穿設するものである限
り、材質、形状等は自由に選択可能であつて、別
体に形成した差し込み突起と嵌合部とを一体化し
たり、釘孔を複数穿設することもできる。なおコ
ンクリート床打ち込み用仮枠を、従来用いられて
いたコンクリートパネルに代えて、本願出願人が
先に提案したコンクリート型枠用板体９（実願昭
59−96671）を使用すれば、該板体及び複合材が
高い強度を有しているから、根太を省いた仮枠の
施工が可能となるのである。そして該仮枠は第５
図示の如く根太を用いず、前記複合材に板体を直
接釘打ちできるから、根太用の木材は必要なくな
り資材のコストを下げることができると共に、枠
組み作業が簡易化されて作業時間が大幅に短縮さ
れて、能率良くコンクリート床打ち込み用仮枠施
工できるようになる。

以上の如く本考案に依れば、複合材を支持柱上
へ確りと定着させることができるので、大引き材
として該複合材を有効的に用いて端太角の無駄使
いをなくせ、生産コストの低廉化を図れその実益
は多大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本願実施例の振り止め金具を示す斜視
図、第２図は該振り止め金具を支持柱上へ装着し
た斜視図、第３図は複合材を嵌合して支持柱上へ
定着させた斜視図、第４図は振り止め金具の変更
例を示す斜視図、第５図は本考案の振り止め金具
を使用して施工されたコンクリート床打ち込み用
仮枠の構造を示す一部切り欠き斜視図である。 １，１……振り止め金具、２……差し込み突
起、３……嵌合面、３ａ，３′ａ，３ｃ，３′ｃ…
…側辺、３ｂ……底辺、３ｄ……延長部、４……
支持柱、５……中空孔、６……釘孔、６′……釘、
７……複合材、７ａ……金属製角パイプ、７ｂ…
…木製角材、８……結合バンド、９……コンクリ
ート型枠用板体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 垂設された支持柱間上に、金属製角パイプの上
   辺に木製角材を添わせて一体化させた複合材であ
   る大引き材を横架してコンクリート床打ち込み用
   仮枠を施工するに際し、前記大引き材を支持柱上
   に定着させる振り止め金具であつて、大引き材を
   嵌合する嵌合面の少なくともいずれか一方の側辺
   を、該嵌合面の底辺の長さより長くなるように上
   方へ延長し、該延長部分の適当な位置に釘孔を穿
   設したことを特徴とする大引き材用振り止め金
   具。