JPH0411722Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、使用済みの注射針を注射筒から取り
外すのに用いる注射針取外し具に関する。

［従来の技術］ 使用済みの注射針を注射筒から取外す手段とし
て通常は片方の手で注射筒を握り、他方の手で注
射針に指先又はピンセツト等をあてがつて抜き取
るようにしているが、このような作業では非能率
となる不利にくわえ扱い者が不注意から針先端で
手指等を傷つけやすく、例えば患者が血液を介し
て感染する伝染性の病原菌を有していると、傷口
から菌が侵入して扱い者自身伝染病にかかるとい
う問題を有していた。

そこで最近になつて、手指に触れることなく注
射針を注射筒から取外すとともに、取りはずされ
た注射針をそのまま収容することのできる回収容
器が用いられるようになつている。

この回収容器は第９図に示すように、容器１に
注射針４を挿入する案内孔２を形成し且つ案内孔
に連なつて針保持部４ａの後端よりも小径で注射
筒５の先端突子６よりも大径とした係止孔３を設
けるようにしたもので、案内孔２に挿入した針保
持部４ａの後端を係止孔３に嵌合して注射筒５を
傾けると注射針４が突子６から外れて容器１の内
部に落下する仕組みとなつている。

［考案が解決しようとする課題］ 上述の従来技術は、取外す際に注射針を案内孔
から容器の内部に挿入するので保持部後端が見え
にくくなり、このため係止孔に向けて正しく嵌合
するのに手間取る難点と、取外し時の応力によつ
て容器がぐらついたり倒れて取外しがスムーズに
なされない不利、及び容器の側壁が一様な厚みの
ため針保持部の後端と注射筒先端との間に寸法の
ばらつきがあると案内孔から係止孔に向けて嵌合
するのに困難を伴うといつた欠点があつた。

本考案は従来技術の有する問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的とするところは、容器に
は関係なく注射針の取外しがなされるとともに取
外し作業が迅速且つ容易に行われる取外し具を提
供するものである。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本考案は以下のよう
な技術手段をとるものであつて、すなわちへら状
把持体と一体の端部片の先端に案内欠部が形成さ
れ、該案内欠部に連なつて、左右縁取部を下部に
向けて厚肉状とした縦長の凹陥部が形成されたこ
とを特徴としている。

［作用］ 使用済みの注射針を注射筒から取外すには、注
射筒をつかんで針保持部後端と注射筒先端との間
を端部片の案内欠部に介入しそのまま下降すれば
注射筒の先端突子はおのずから縦長の凹陥部に誘
導され、したがつて注射筒の先端部分と針保持部
の間に端部片が挟持された状態となり、遂には先
端突子が凹陥部の下部にいたつて停止するが、注
射筒をつかんでいる手は自然の動きを続けるので
注射筒は端部片との接触面を支点として傾動し、
針保持部は端部片に圧接され嵌合している注射筒
の先端突子から外れて落下する。なお取外し作業
中把持体は他方の手で確固支持される。

［実施例］ 第１図において１は合成樹脂製の把持体であり
２は把持体の前端に起立状に一体形成された端部
片である。把持体１はつかみやすいようにへら状
としてあり、図示のように弧状で且つ板面に楕円
孔１ａをあけておくと注射筒６が安定的に載置さ
れる。端部片２はやや前傾状としてあり、先端に
テーパ形の案内欠部３を形成し案内欠部に連なつ
て下部に縦長の凹陥部４が形成してある。この凹
陥部４は左右縁取部５，５が下部に向かつて厚肉
状となつている。すなわち第３図Ａ，Ｂに示すよ
うに端部片２自体の厚みは変わらないが、左右縁
取部５，５は内側の上部を幅広の傾斜面とし、下
部を幅狭の傾斜面とすることによつて上部より下
部に向かつて漸次厚肉状となる。なお縁取部５，
５にこのような傾斜面を形成しないで端部片２を
第６図示のように上部を薄く、下部を厚く漸次傾
斜形成してもよい。

第４図は注射針８を注射筒６から取外す状態を
示したもので、針保持部８ａ後端と先端壁６ａの
間に端部片２が位置するようにして注射筒６を案
内欠部３に向けて介入すると、案内欠部３はテー
パ形のため注射筒の先端突子７が案内されて凹陥
部４内に介入する。つまり保持部８ａ後端と注射
筒６の先端壁６ａによつて凹陥部４の左右縁取部
５，５は挟持状となる。

さらに凹陥部４の下部にいたつて注射筒６の突
子７が制御されても、注射筒６をつかんでいる手
の動きによつて注射筒は圧接を受けるかたちとな
り傾き始める。このように注射筒６は端部片２と
接した個所を支点として傾き、注射筒から注射針
を取外すように作用する。すなわち注射筒６を傾
けようとして作用する数倍の大きさの力が注射筒
から注射針を引き離す力として作用し、これによ
つて注射針は注射筒から外されるので端部片２の
外側に落下する（第１０図Ｃ乃至Ｆ参照）。

また前述のように凹陥部４は左右縁取部５，５
が下部に向かつて厚肉状に形成されているので、
針保持部８ａ後端と注射筒の先端壁６ａの隙間寸
法が大きい場合は、第５図示のように凹陥部４の
下方部で針保持部と先端壁が合致し注射針８は取
外しされる。

第７図は端部片２が把持体１の前端にやや捻回
状の向きに形成された状態を示しており、こうす
ることによつて把持体１をつかむ手と注射筒６を
つかむ手が同方向とならないので取外し作業が一
層容易となる。

第８図は端部片２が把持体１と面一状に形成さ
れた状態を示しており、こうすることによつて製
作が容易となり安価に提供できる。

［考案の効果］ 本考案は次のような特有の効果を奏する。

(1) 片方の手に本案具をつかみ他方の手に注射筒
をつかむので、端部片に注射筒を確実にセツト
でき作業能率がよい。

(2) 凹陥部の左右縁取部が下方に向かつて厚肉状
となつているので、針保持部と注射筒の先端壁
との間の隙間寸法に大小差のある注射器と雖も
凹陥部のどこかに合致し取外し不能となること
がない。

(3) 注射筒から取外された注射器はそのまま落下
するのでいかなる容器にも回収され、したがつ
て従来のような特別の回収容器を製作する煩わ
しさがない。

(4) 端部片と把持体が一体成形できるので量産に
好適し安価に提供できる。

【図面の簡単な説明】

図は実施例を示したもので、第１図は本案具の
斜視図、第２図は注射器を端部片にあてがつた同
上斜視図、第３図Ａ及びＢは第１図のＡ−Ａ線及
びＢ−Ｂ線断面図、第４図及び第５図は注射針を
凹陥部に介入せしめた各水平断面図、第６図は端
部片の変形例を示す斜視図、第７図及び第８図は
本案具の変形例を示す斜視図、第９図は従来例の
斜視図、第１０図ＣないしＦは本案具により注射
針を取外す過程を示す各斜視図である。 １……把持体、２……端部片、３……案内欠
部、４……凹陥部、５，５……左右縁取部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. へら状把持体１と一体の端部片２の先端に案内
   欠部３が形成され、該案内欠部３に連なつて、左
   右縁取部５，５を下部に向けて厚肉状とした縦長
   の凹陥部４が形成されたことを特徴とする注射針
   取外し具。