JPH04116036U - 車両用エンジンマウント装置 - Google Patents

車両用エンジンマウント装置

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JPH04116036U
JPH04116036U JP2723391U JP2723391U JPH04116036U JP H04116036 U JPH04116036 U JP H04116036U JP 2723391 U JP2723391 U JP 2723391U JP 2723391 U JP2723391 U JP 2723391U JP H04116036 U JPH04116036 U JP H04116036U
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engine
vibration
mount
vehicle body
piezoelectric element
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JP2723391U
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Inventor
英幸 畑
Original Assignee
三菱自動車工業株式会社
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、エンジンを車体にマウントするた
めの車両用エンジンマウント装置に関し、マウント機構
における弾性体のバネ定数を大きくしたままで、且つ、
コンパクトな構成により、車体への振動伝達率を低減で
きるようにすることを目的とする。 【構成】 エンジンと車体との間に介装されてエンジン
を支持するマウント機構5をそなえるとともに、エンジ
ンにおける振動の車体への伝達を防止すべく、エンジン
からマウント機構5に入力する力と逆相の力をマウント
機構5に入力する加振手段6をそなえてなるものにおい
て、その加振手段6が、エンジンにおける振動と逆相の
振動を発振する圧電素子11と、この圧電素子11によ
り発振された振動を拡大してマウント機構5に伝達する
振動拡大機構12とを有し、これらの圧電素子11およ
振動拡大機構12をマウント機構5内に内蔵して構成さ
れていることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、エンジンを車体にマウントするための車両用エンジンマウント装置 に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、車両用エンジンマウント装置はゴム等の弾性部材で形成され、この弾性 部材をエンジンと車体との間に介装し、弾性部材による振動伝達率の低下により エンジン振動の車体への伝達を低減させるようになっている。
【0003】 ところで、このような車両用エンジンマウント装置による場合、振動伝達率を 低減するためには、弾性部材のバネ定数を小さくする必要があるが、バネ定数を 大幅に小さくすると、ショックやエンジン変位に対応できなくなるため、バネ定 数を大幅に小さくすることができず、振動の低減量に限界があるという不具合が ある。
【0004】 そこで、従来より、エンジンと車体との間に、そのエンジンを支持するマウン ト機構を介装し、エンジンにおける振動の車体への伝達を防止すべく、そのマウ ント機構に、エンジンからマウント機構に入力する力と逆相の力を入力する油圧 アクチュエータを連結するように構成した車両用エンジンマウント装置が提案さ れている。
【0005】 このような構成により、マウント機構へエンジンから入力する起振力がキャン セルされ、エンジン振動の車体への伝達量が低減される。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の車両用エンジンマウント装置では、エンジン からマウント機構に入力する力と逆相の力を入力すべく、油圧アクチュエータを 用いているために、装置全体が大掛かりなものになり、実車に搭載するにはスペ ース上大きな問題があった。
【0007】 本考案は、このような課題に鑑み創案されたもので、マウント機構における弾 性体のバネ定数を大きくしたままで、且つ、コンパクトな構成により、車体への 振動伝達率を低減できるようにした、車両用エンジンマウント装置を提供するこ とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、本考案の車両用エンジンマウント装置は、エンジンと車体との間に 介装されて該エンジンを支持するマウント機構と、該エンジンにおける振動の該 車体への伝達を防止すべく該エンジンから該マウント機構に入力する力と逆相の 力を該マウント機構に入力する加振手段とをそなえてなるものにおいて、該加振 手段を、該エンジンにおける振動と逆相の振動を発振する圧電素子と、該圧電素 子によって発振された振動を拡大して該マウント機構に伝達する振動拡大機構と を該マウント機構内に内蔵して構成したことを特徴としている。
【0009】 また、高周波振動絶縁用ゴムマウントを、該マウント機構に対して直列的に該 エンジンと該車体との間に介装してもよいし、該圧電素子にて発生する熱を放熱 する冷却フィンをそなえてもよい。
【0010】
【作用】
上述の本考案の車両用エンジンマウント装置では、圧電素子により、エンジン における振動とは逆相の振動が発振され、その振動が振動拡大機構によって拡大 されて、エンジンからマウント機構に入力する力と逆相の力としてマウント機構 へ伝達される。これにより、エンジンからマウント機構へ入力する起振力がキャ ンセルされ、エンジン振動の車体への伝達量が低減される。
【0011】 また、高周波振動絶縁用ゴムマウントをマウント機構に対して直列的にエンジ ンと車体との間に介装することにより、加振手段が剛の領域となる高周波振動が ゴムマウントによって吸収され、エンジンからの高周波振動が車体に対して絶縁 される。
【0012】 さらに、冷却フィンを設けることにより、作動中に圧電素子にて発生する熱が 、効率よく放熱される。
【0013】
【実施例】
以下、図面により本考案の一実施例としての車両用エンジンマウント装置につ い説明すると、図1はその加振手段の要部を示す断面図、図2はその全体構成を 示す模式図、図3はその加振手段およびコントローラの構成を示すブロック図、 図4はそのマイクロプロセッサにおけるマップを示す模式図、図5は本実施例の 装置を車両に装備した場合の並進運動に対するモデルを示す模式図、図6は本実 施例の装置を車両に装備した場合のエンジンの回転運動に対するモデルを示す模 式図、図7はそのシミュレーション結果を示すグラフ、図8は図7のシミュレー ションのモデルを示す模式図、図9は図8に示すモデルによるエンジン側振動特 性を示すグラフ、図10は図8に示すモデルによる車体側振動特性を示すグラフ 、図11はその加振手段の変形例を示す要部断面図、図12(a),(b)はそ の加振手段の他の変形例を示すもので、図12(a)はその要部断面図、図12 (b)はその冷却フィンを示す斜視図である。
【0014】 図2に示すように、FF車のセンタメンバ(以下、車体4という)のフロント 側にエンジンマウント装置1が装備され、リヤ側にエンジンマウント装置2が装 備されている。
【0015】 これらのエンジンマウント装置1,2の上にエンジン3が取り付けられており 、このエンジン3は、エンジンマウント装置1,2を介して車体4に支持される とともに、図示しないミッションマウントによりエンジン3の長手方向を支持さ れて、3点支持構造となっている。
【0016】 ミッションマウントは、極めて軟らかいバネ定数を有するように形成され、エ ンジンマウント装置1,2の作動に悪影響を与えないようになっており、エンジ ン3の重量は、エンジンマウント装置1,2でそのほとんどを支持されている。
【0017】 各エンジンマウント装置1,2は、図1〜図3に示すように、エンジン3と車 体4との間に介装されてこのエンジン3を支持するマウント機構5と、エンジン 3からマウント機構5に入力する力と逆相の力をそのマウント機構5に入力する 加振手段6と、この加振手段6を制御するコントローラ7とから構成されている 。
【0018】 マウント機構5は、図1に示すように、ゴムマウント8と、このゴムマウント 8をそれぞれ上下から挟持するプレート9,10とを有して構成され、各プレー ト9,10に形成されたネジ部9a,10aを介してそれぞれエンジン3側およ び車体4側に取り付けられるようになっている。
【0019】 また、ゴムマウント8には、中央部に上下に貫通する孔8aが形成されており 、この孔8a内において、プレート9と10との間には、後述する加振手段6を 構成する圧電素子11および振動拡大機構12が介装され、これらの圧電素子1 1および振動拡大機構12をマウント機構5内に内蔵する構造となっている。
【0020】 加振手段6は、図1,図3に示すように、エンジン3における振動と逆相の振 動を発振する圧電素子11と、この圧電素子11によって発振された振動を拡大 してマウント機構5(プレート9)に伝達する振動拡大機構12と、バッテリ1 3と、このバッテリ13から電力を供給されこれを後述するサーボコントローラ 28により制御されて所定の交流電圧として圧電素子11に印加してこの圧電素 子11を発振させるパワーアンプ14とから構成されている。
【0021】 ここで、圧電素子11は、図1に示すように、1枚だけでは十分な振動量が得 られないので、多数枚の圧電素子を重ねた積層構造となっている。圧電素子は、 通常、加速度ピックアップ等として用いられ、振動,圧力などを電圧に変換する センサとして利用されているが、本実施例では、このような圧電素子を、逆に適 当な電圧を印加することで振動を生じさせるアクチュエータとして利用している 。
【0022】 振動拡大機構12は、図1に示すように、シリンダ15,拡径側ピストン16 ,縮径側ピストン17およびオイル18から構成されている。つまり、ゴムマウ ント8の孔8a内には、拡径部15aおよび縮径部15bを有するシリンダ15 が嵌め込まれており、このシリンダ15の拡径部15aおよび縮径部15bには 、拡径側ピストン16および縮径側ピストン17がそれぞれ摺動可能に挿入され ている。
【0023】 そして、拡径側ピストン16と縮径側ピストン17との間におけるシリンダ1 5内には、オイル18が充填されている。また、拡径側ピストン16とプレート 10との間には、上述した積層構造の圧電素子11が介装される一方、縮径側ピ ストン17の上端部は、プレート9の下面に当接している。
【0024】 このような振動拡大機構12により、圧電素子11にて発振される振動が、拡 径側ピストン16,オイル18および縮径側ピストン17を介し、マウント機構 5のプレート9に拡大して伝達されるようになっている。
【0025】 ところで、圧電素子11の発振を制御するパワーアンプ14は、図2に示すよ うに、コントローラ7により制御されるようになっており、このコントローラ7 内のサーボコントローラ28がパワーアンプ14に連結され、サーボコントロー ラ28には、マイクロプロセッサ26の出力信号に応じて信号発生器27により 発生する信号が入力され、サーボコントローラ28により所要の加振信号となっ てその加振信号に応じた加振作動がパワーアンプ14において行なわれる。
【0026】 そして、エンジン3の作動により発生するエンジンパルスEpを検出するエン ジン回転数センサ29がそなえられ、このセンサ29からの出力信号が、波形整 形部19により波形整形され、F/V変換部22によりF/V変換(周波数/電 圧変換)された後、さらにA/D変換部17によりディジタル信号に変換されて から、マイクロプロセッサ26に入力されるようになっている。
【0027】 このエンジン回転数センサ29による検出信号により、マイクロプロセッサ2 6内のマップ26a(図4参照)におけるエンジン回転数(横軸方向位置)が設 定される。
【0028】 また、エンジン3に取り付けられてエンジン負圧を検出する圧力センサ20と 、エンジン3の変位を検出するGセンサ21とが装備され、これらのセンサ20 ,21からの出力信号が、それぞれA/D変換部24,25を介してマイクロプ ロセッサ26に入力されるようになっている。
【0029】 これらの圧力センサ20およびGセンサ21による検出信号により、マイクロ プロセッサ26のマップ26aにおける縦軸方向位置が設定される。
【0030】 マップ26aには、エンジン回転数,エンジン負圧,エンジン変位加速度に対 応して圧電素子11を発振させるため、圧電素子11に入力させる加振信号のゲ インおよび位相が、予め実験等により求められて記憶されており、上述のように して、縦軸および横軸の位置が設定されることにより、その運転状態に対応した ゲインおよび位相の加振信号が、信号発生器27,サーボコントローラ28,パ ワーアンプ14を介して圧電素子11に伝達される。
【0031】 そして、この加振信号による圧電素子11の加振力は、振動拡大機構12によ り振動を拡大された時点で、エンジン3からエンジンマウント装置1,2へ入力 される力と逆相の力に調整されるようになっている。
【0032】 本考案の一実施例としての車両用エンジンマウント装置は上述のごとく構成さ れているので、エンジン3が作動すると、このエンジン3は振動し、その加振力 がエンジンマウント装置1,2に入力され、プレート9に伝達される。
【0033】 このとき、エンジンパルスEpおよびエンジン3の運動が、エンジン回転数セ ンサ29,圧力センサ20,Gセンサ21により検出され、その検出結果に応じ て、マイクロプロセッサ26,信号発生器27,サーボコントローラ28,パワ ーアンプ14を介して圧電素子11および振動拡大機構12が作動し、エンジン 3からプレート9へ伝達される加振力と逆位相で同一ゲインの加振力が、プレー ト9に作用する。
【0034】 これにより、エンジン3からエンジンマウント装置1,2へ入力する加振力が キャンセルされ、エンジン3と車体4とは振動に対し絶縁された状態になる。
【0035】 ところで、圧電素子11の作動は、パワーアンプ14により行なわれるが、こ のパワーアンプ14には、信号発生器27,サーボコントローラ28から所要の 加振信号が入力される。
【0036】 また、エンジン回転数センサ29からのエンジンパルスEpにより算出された エンジン回転数,圧力センサ20により検出されたエンジン負圧およびGセンサ 21により検出されたエンジン3の変位による加速度が、A/D変換部23,2 4,25を介してマイクロプロセッサ26に入力され、これらのエンジン回転数 ,エンジン負圧および加速度に応じてマイクロプロセッサ26のマップ26aに より所要の値が検出されて信号発生器27,サーボコントローラ28に入力され る。
【0037】 マイクロプロセッサ26から出力された所要の値に基づき、信号発生器27, サーボコントローラ28により所要のゲイン,位相を有する加振信号が出力され る。
【0038】 そして、加振信号を受けたパワーアンプ14により、バッテリ13からの電力 が所定の交流電圧として圧電素子11に印加され、この圧電素子11が発振し、 その振動が、振動拡大機構12において拡径側ピストン16およびオイル18を 介し縮径側ピストン17へ拡大されて伝達され、プレート9の加振が行なわれる 。
【0039】 このような手段により、振動の伝達上、車体4をエンジン3から絶縁できるこ とは、以下のような理論およびシミュレーションにより説明される。
【0040】 図5,図6は、エンジンマウント装置1,2をモデル化した場合を示しており 、図5はその並進運動に対するモデルを示す。
【0041】 即ち、図5に示すように、質量m2 の車体4と質量m1 のエンジン3との間に 、バネ定数kのゴムマウント8と、圧電素子11および振動拡大手段12を有し てなる加振手段6とが並列的に設けられている。
【0042】 エンジン3において発生する加振力をF、圧電素子11および振動拡大手段1 2により作用させる加振力をPとし、エンジン3の変位をx1 、車体4の変位を x2 とすると、下式(1),(2)が成り立つ。 m1(d21/dt2 )+k(x1 −x2 )=F+P (1) m2(d22/dt2 )+k(x2 −x1 )=−P (2)
【0043】 車体4の振動を0にするための条件を求めるため、x2 =0を(2)式に代入 すると、 P=kx1 (3) となり、この(3)式を(1)式に代入することにより、下式(4),(5)が 得られる。 x1 =−F/(m1 ω2 ) (4) ∴P=−kF/(m1 ω2 ) (5)
【0044】 即ち、(5)式により算出される加振力Pを圧電素子11および振動拡大機構 12により作用させることにより、車体4の変位は0となり、車体4はエンジン 3の振動にかかわらず振動しないのである。 なお、上記(4),(5)式中、ωはエンジン3の円振動数である。
【0045】 また、図6はエンジン3の回転振動に対するモデルを示す。この図6に示すよ うに、エンジン3において発生する加振モーメントをT、加振モーメントTによ るエンジン3の回転角をθ、エンジンマウント装置1において圧電素子11およ び振動拡大機構12により作用させる加振力をP1 、エンジンマウント装置2に おいて圧電素子11および振動拡大機構12により作用させる加振力をP2 、車 体4のエンジン3よりも前方部分の質量をM1 、後方部分の質量をM2 、エンジ ンマウント装置1におけるゴムマウント8のバネ定数をK1 、エンジン3からエ ンジンマウント装置1に至る腕の長さをL1 、エンジンマウント装置2における ゴムマウント8のバネ定数をK2 、エンジン3からエンジンマウント装置2に至 る腕の長さをL2 、エンジン3の慣性モーメントをIとすると、下式(6)〜( 8)が成り立つ。
【0046】 I(d2 θ/dt2) +K1(L1 θ−X1)L1 +K2(L2 θ−X2)L2 =T−P1 1 +P2 2 (6) M1(d21/dt2)−K1(L1 θ−X1)=−P1 (7) M2(d22/dt2)−K2(L2 θ−X2)=−P2 (8)
【0047】 車体4の振動を0にするための条件を求めるため、X1 =X2 =0を上式(6 )〜(8)に代入し、P1 およびP2 を求めると、 P1 =K1 1 θ =(K1 1 T)/(ω2 I) (9) P2 =K2 2 θ =(−K2 2 T)/(ω2 I) (10) となる。
【0048】 即ち、(9),(10)式により算出される加振力P1 およびP2 を圧電素子 11および振動拡大機構12にて発生させることにより、車体4の変位は0にな り、車体4はエンジン3の振動にかかわらず振動しない。
【0049】 上述の加振力P,P1 ,P2 は、エンジンパルスEpから算出されるエンジン 3の円振動数ωと、圧力センサ20,Gセンサ21により検出されるエンジン負 圧および変位により算出されるエンジン3の加振力Fおよび加振モーメントTと に基づいて算出することができ、この算出値に基づき圧電素子11および振動拡 大機構12を作動させる。これにより、上述の車体4における変位x2 =X1 = X2 =0が実現される。
【0050】 次に、このような考えに基づき、エンジン3の振動をキャンセルするための加 振力を作用させる場合と、作用させない場合との比較を行なうと以下のようにな る。なお、下記の比較は、簡単のため、並進運動の場合についてのみ行なわれて いるが、回転振動についても同様の結果が得られる。
【0051】 キャンセル力を作用させない場合、(1),(2)式にP=0を代入すること により、 m1(d21/dt2 )+k(x1 −x2 )=F m2(d22/dt2 )+k(x2 −x1 )=0 が得られ、これらの式より、 x1 =F(k−m2 ω2 ) /〔ω2 {m1 2 ω2 −k(m1 +m2 )}〕 (11) x2 =Fk/〔ω2 {m1 2 ω2 −k(m1 +m2 )}〕(12) が得られる。上記(11)式により求められるx1 は、図7に2点鎖線で示すよ うな振動特性を有している。
【0052】 これに対して、キャンセル力を作用させる場合、(1)式にx2 =0およびP =−kF/(m1 ω2 )を代入すると、 m1(d21/dt2 )+kx1 =F−kF/(m1 ω2 ) となり、 x1 ={F−kF/(m1 ω2 )}/(k−m1 ω2 ) =−F/(m1 ω2 ) (13) が得られる。この(13)式により求められるx1 は、図7に実線で示すような 振動特性を有している。
【0053】 上式(13)および図7に示すように、キャンセル力を作用させることにより 、x1 とx2 とは振動的に全く分離してしまい、x1 に相当するエンジン3はマ スとしての挙動を行ない、x2 に相当する車体4はエンジン3から伝達される力 がキャンセルされ起振力が常時0になる。
【0054】 次に、図1〜図3に示すシステムをコンピュータによるシミュレーションによ り分析した結果を以下に示す。
【0055】 図8は、シミュレーションにおいて仮定されたモデルを示しており、連続体と しての車体4先端部にエンジン3がバネを介して取り付けられ、エンジン3に加 振モーメントTが作用するというモデルによっている。
【0056】 図9は、上述のモデルによるエンジン3側振動の特性を示しており、同図中、 2点鎖線はキャンセル力のない場合、実線はキャンセル力がある場合であってバ ランス率が90%の場合、1点鎖線はマスラインを示している。
【0057】 また、図10は、上述のモデルによる車体4側振動特性を示しており、同図中 、2点鎖線はキャンセル力のない場合、実線はキャンセル力がある場合であって バランス率が90%の場合を示している。
【0058】 図9に示すように、エンジン3と車体4とで形成される振動系において発生す る共振点aの振動が、エンジン3と車体4とが振動において分離しているために 大幅に低減される。また、図10に示すように、車体3の振動が全周波数域にわ たり低減される。
【0059】 このように、本実施例の装置によれば、圧電素子11および振動拡大機構12 をゴムマウント8内に内蔵してなる加振手段6によって、エンジン3からの振動 とは逆相の振動が発振され、エンジン3からエンジンマウント装置1,2に入力 する力がキャンセルされて、エンジン3から車体4への振動伝達が確実に防止さ れる。
【0060】 このとき、圧電素子11を用いることにより、加振手段6をマウント機構5の ゴムマウント8内に内蔵することができ、マウント機構5自体をアクチュエータ 化でき、装置を極めてコンパクトに構成できるので、スペース上の問題を生じる ことなく、本装置を実車に搭載できる。
【0061】 ところで、本実施例の装置では、マウント機構5は図1に示すごとく構成され ているが、そのマウント機構5に、図11や図12に示すように、高周波振動絶 縁用ゴムマウント32や冷却フィン31,33を設けてもよい。
【0062】 つまり、図11に示すように、ゴムマウント8および圧電素子11の下面に円 板状の冷却フィン31を取り付け、この冷却フィン31とプレート10との間に 高周波振動絶縁用ゴムマウント32を介装している。
【0063】 圧電素子11等を用いてアクチュエータ化されたマウント機構5においては、 圧電素子11の応答性等の問題で振動を制御できる周波数に限界があり、その限 界以上の高周波では、マウント機構5が剛体のようになり逆に振動を直接的に車 体4側へ伝えてしまう状態になる場合がある。
【0064】 そこで、図11に示したように、高周波振動絶縁用ゴムマウント32をマウン ト機構5に対して直列的にエンジン3と車体4との間に介装することにより、加 振手段6(マウント機構5)が剛の領域となる高周波振動がゴムマウント32に よって吸収され、車体4に対してエンジン3からの高周波振動が絶縁される。
【0065】 また、圧電素子11は、パワーアンプ14により交流電圧を印加されて作動し ている際に発熱するため、その熱により発生する加振力に限界が生じる場合があ るが、図11に示すように、圧電素子11の下面に直接接する冷却フィン31を 設けることにより、その熱を効率よく放熱することができる。
【0066】 さらに、圧電素子11から発生する熱をより効率よく放熱すべく、図12(b )に示すように形成されたアルミニウム製の円筒状の冷却フィン33を、図12 (a)に示すように、その下面を冷却フィン31上に密着させ、ゴムマウント8 外周に配置してもよい。
【0067】
【考案の効果】
以上詳述したように、本考案の車両用エンジンマウント装置によれば、エンジ ンと車体との間に介装されて該エンジンを支持するマウント機構をそなえるとと もに、該エンジンにおける振動の該車体への伝達を防止すべく、該エンジンから 該マウント機構に入力する力と逆相の力を該マウント機構に入力する加振手段を そなえてなるものにおいて、該加振手段が、該エンジンにおける振動と逆相の振 動を発振する圧電素子と、該圧電素子によって発振された振動を拡大して該マウ ント機構に伝達する振動拡大機構とを有し、これらの圧電素子および振動拡大機 構を該マウント機構内に内蔵するという極めて簡素な構成により、エンジン振動 と車体振動とが分離されて、マウント機構における弾性体のバネ定数の大小にか かわらず、車体の振動が低減されるほか、圧電素子および振動拡大機構をマウン ト機構内に内蔵することが可能で、マウント機構自体をアクチュエータ化して装 置を極めてコンパクトに構成できるので、スペース上の問題を生じることなく、 本装置を実車に搭載できる利点がある。
【0068】 また、高周波振動絶縁用ゴムマウントをマウント機構に対して直列的にエンジ ンと車体との間に介装することにより、加振手段が剛の領域となる高周波領域の 振動をゴムマウントによって吸収でき、エンジンからの高周波振動が車体に伝わ るのを確実に防止することができる。
【0069】 さらに、圧電素子にて発生する熱を放熱する冷却フィンを設けることにより、 作動中に圧電素子にて発生する熱が効率よく放熱され、圧電素子による加振力発 生に支障を来すのを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例としての車両用エンジンマウ
ント装置における加振手段の要部を示す断面図である。
【図2】本実施例の全体構成を示す模式図である。
【図3】本実施例の加振手段およびコントローラの構成
を示すブロック図である。
【図4】本実施例のマイクロプロセッサにおけるマップ
を示す模式図である。
【図5】本実施例の装置を車両に装備した場合の並進運
動に対するモデルを示す模式図である。
【図6】本実施例の装置を車両に装備した場合のエンジ
ンの回転運動に対するモデルを示す模式図である。
【図7】本実施例のシミュレーション結果を示すグラフ
である。
【図8】図7のシミュレーションのモデルを示す模式図
である。
【図9】図8に示すモデルによるエンジン側振動特性を
示すグラフである。
【図10】図8に示すモデルによる車体側振動特性を示
すグラフである。
【図11】本実施例の加振手段の変形例を示す要部断面
図である。
【図12】本実施例の加振手段の他の変形例を示すもの
で、(a)はその要部断面図、(b)はその冷却フィン
を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,2 エンジンマウント装置 3 エンジン 4 車体 5 マウント機構 6 加振手段 7 コントローラ 8 ゴムマウント 8a 孔 9,10 プレート 9a,10a ネジ部 11 圧電素子 12 振動拡大機構 13 バッテリ 14 パワーアンプ 15 シリンダ 15a 拡径部 15b 縮径部 16 拡径側ピストン 17 縮径側ピストン 18 オイル 19 波形整形部 20 圧力センサ 21 Gセンサ 22 F/V変換部 23,24,25 A/D変換部 26 マイクロプロセッサ 26a マップ 27 信号発生器 28 サーボコントローラ 29 エンジン回転数センサ 31 冷却フィン 32 高周波振動絶縁用ゴムマウント 33 冷却フィン

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンと車体との間に介装されて該エ
    ンジンを支持するマウント機構をそなえるとともに、該
    エンジンにおける振動の該車体への伝達を防止すべく、
    該エンジンから該マウント機構に入力する力と逆相の力
    を該マウント機構に入力する加振手段をそなえてなる車
    両用エンジンマウント装置において、該加振手段が、該
    エンジンにおける振動と逆相の振動を発振する圧電素子
    と、該圧電素子により発振された振動を拡大して該マウ
    ント機構に伝達する振動拡大機構とを有し、これらの圧
    電素子およ振動拡大機構を該マウント機構内に内蔵して
    構成されていることを特徴とする、車両用エンジンマウ
    ント装置。
  2. 【請求項2】 高周波振動絶縁用ゴムマウントが、該マ
    ウント機構に対して直列的に該エンジンと該車体との間
    に介装されていることを特徴とする、請求項1記載の車
    両用エンジンマウント装置。
  3. 【請求項3】 該圧電素子にて発生する熱を放熱する冷
    却フィンがそなえられたことを特徴とする、請求項1ま
    たは請求項2記載の車両用エンジンマウント装置。
JP2723391U 1991-03-28 1991-03-28 車両用エンジンマウント装置 Withdrawn JPH04116036U (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013144970A (ja) * 2012-01-16 2013-07-25 Sumitomo Heavy Ind Ltd 風力発電装置
KR101355937B1 (ko) * 2011-10-27 2014-02-05 주식회사 수퍼센츄리 하이브리드 마운트

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KR101355937B1 (ko) * 2011-10-27 2014-02-05 주식회사 수퍼센츄리 하이브리드 마운트
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