JPH0411301B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は交流テイグ溶接機に係り、特に交流溶
接中の高周波発生制御に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、交流テイグ溶接機においては、交流溶接
中のアークの安定化を図るため、溶接主回路に結
合された高周波発生用火花発振回路の昇圧トラン
ス一次側に交流電源電圧を印加して、溶接主回路
の出力の正極性半波期間および逆極性半波期間に
それぞれ数回ないし数十回高周波高電圧を発生さ
せ、溶接主回路に印加していた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このため、溶接中の高周波ノイズの発生が多
く、電源ラインの伝播ノイズや輻射ノイズによる
電波障害が従来から問題となつているが、高周波
ノイズを低減する有効な方策がなかつた。

本発明の目的は、交流溶接中のアークの安定性
を確保しながら高周波ノイズの発生を大幅に低減
できる交流テイグ溶接機を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明においては、上記目的を達成するため
に、商用周波数交流の正極性半波で導通する制御
整流素子とリアクタとの直列接続回路と、逆極性
半波で導通する制御整流素子とリアクタとの直列
接続回路と、を並列接続してなる溶接主回路と、
各制御整流素子をそれぞれ位相制御するゲート回
路とを有し、これらのゲート回路からのゲートパ
ルス信号により溶接主回路の出力電力を制御して
アーク負荷に供給し溶接を行う交流テイグ溶接機
において、(イ)溶接主回路の一方の出力端とアーク
負荷とを結ぶ導線の途中に配置されて、溶接主回
路の出力に高周波交流を重畳する接合コイルと、
(ロ)一次巻線と二次巻線を具備し、一次巻線には直
流電源と高速スイツチ素子とが直列接続されてお
り、二次巻線からは前記結合コイルに対して前記
重畳用の高周波交流を出力する高周波昇圧トラン
スと、(ハ)前記ゲート回路から前記逆極性半波で導
通する制御整流素子に送出されるゲートパルス信
号に同期して高周波発生用の起動信号を、短時
間、出力する起動判別回路と、(ニ)この起動信号を
受けてそれが出力されている間、前記高速スイツ
チ素子を継続動作させる高周波信号を発振する高
周波発振器と、を備えて、溶接主回路の出力が正
極性半波から逆極性半波に反転した直後にのみ、
高周波交流を溶接主回路の出力に重畳させる構成
の交流テイグ溶接機とする。

〔作 用〕

交流テイグ溶接でのアーク切れは、交流出力が
正極性半波（母材プラス）から逆極性半波（電極
プラス）へ反転する時に多く発生し、逆の反転時
にはアーク切れは起こらず、したがつて再点弧用
の高周波を印加する必要性もない。本発明ではこ
の点に着目し、従来は正極性半波期間と逆極性半
波期間に毎回火花発振回路から高周波を発生させ
ていたのを、逆極性半波で導通する溶接回路の制
御整流素子のゲートパルス信号に同期して火花発
振回路の昇圧トランス一次側に接続した高速スイ
ツチ素子を繰り返し継続動作させることにより、
高周波の発生を溶接主回路の出力が正極性半波か
ら逆極性半波に反転した直後のみに局限した。さ
らに、高周波発振器の発振出力で駆動される高速
スイツチ素子を用いて直流電圧を継続して昇圧ト
ランス一次側に印加し、火花発振回路への高周波
発生用電力の供給を短時間に集中して行うこと
で、毎回の高周波発生時間も約１ｍｓと短時間に
制御することが可能となり、その結果、高周波ノ
イズによる電波障害は大幅に軽減される。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を第１図、第２図によ
り説明する。

第１図において、１はその一次巻線が例えば商
用電源からの、低周波交流に接続されている溶接
トランス、２，３は溶接トランス二次巻線１ａ，
１ｂにそれぞれリアクタ４，５と直列に接続され
た溶接主回路の制御整流素子（サイリスタ）で、
ゲート回路６，７からのゲートパルス信号によ
り、制御整流素子２は交流出力の正極性半波で導
通し、制御整流素子３は逆極性半波で導通して出
力端子８，９に接続された図示しないアーク負荷
に溶接用電力を供給し、これら制御整流素子２，
３の位相制御によつて出力電流が制御される。１
０は溶接主回路に高周波を直列に重畳して印加す
るための結合コイル、１１は高周波発生用火花発
振回路で、昇圧トランス１２と、その二次側に接
続された発振用コンデンサ１３、スパークギヤツ
プ１４、高圧用ダイオード１５からなる公知の回
路である。昇圧トランス１２の一次側には直流電
源１６の直流電圧をMOSFETのような高速スイ
ツチ素子１７で繰り返し断続して供給する。高周
波発生制御は、起動判別回路１８と高周波発振器
１９によつて行われる。起動判別回路１８はアン
ド回路と単安定マルチバルブレータなどによつて
構成され、溶接機起動回路２０からの溶接開始始
動信号と、ゲート回路７から逆極性半波で導通す
る制御整流素子３へのゲートパルス信号が発生し
た時のみ高周波発生用起動信号を出力する。この
起動信号が出力されている間、無安定マルチバイ
ブレータなどからなる高周波発振器１９が約20k
Hzの周波数で発振し、その発振出力を高速スイツ
チ素子１７に入力することにより、高速スイツチ
素子１７が高速スイツチング動作して、昇圧トラ
ンス１２の一次側に継続的に通電する。その結
果、昇圧トランス１２の二次側に約3kVの高電圧
が発生し、公知の火花発振回路１１の動作により
結合コイル１０を介して約2.5MHz前後の周波数
の高周波高電圧が溶接主回路に重畳して印加され
る。したがつて、高周波発生のタイミングと溶接
機出力電流との関係は第２図に示すようになり、
出力電流が正極性半波２１から逆極性半波２２に
反転する時２３にはアークを再点弧させるに十分
なエネルギーを持つ高周波２４が発生するが、逆
の反転時２５には高周波は発生しない。

〔発明の効果〕

本発明によれば、アーク切れが生じやすい溶接
機出力電流の正極性半波から逆極性半波への反転
時にのみ、時間遅れなく高周波を発生させ、かつ
その発生時間も１ｍｓ程度の短時間に制御できる
ので、交流溶接中のアークの安定性を確保しなが
ら、高周波ノイズを従来に比べて大幅に低減し、
電波障害を実際上問題にならない程度に軽減する
ことができる。

また、付随的効果として、火花発振回路の昇圧
トランスの一次側入力を高速スイツチ素子により
高速スイツチング制御（約20kHz）しているの
で、昇圧トランスの小形軽量化（従来４Kg程度で
あつたものが約500ｇと重量比で約１／10になる）
ができ、これに伴い火花発振回路部を１枚のプリ
ント基板に搭載してコンパクトにまとめられ、コ
スト的にも安価になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す回路図、第２
図は本発明における高周波発生状況を示すタイム
チヤートである。 ２，３：制御整流素子、６，７：ゲート回路、
８，９：溶接主回路出力素子、１０：結合コイ
ル、１１：高周波発生用火花発振回路、１２：昇
圧トランス、１６：直流電流、１７：高速スイツ
チ素子、１８：起動判別回路、１９：高周波発振
器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 商用周波数交流の正極性半波で導通する制御
   整流素子２とリアクタ４との直列接続回路と、逆
   極性半波で導通する制御整流素子３とリアクタ５
   との直列接続回路と、を並列接続してなる溶接主
   回路と、上記制御整流素子をそれぞれ位相制御す
   るゲート回路６，７とを有し、これらのゲート回
   路からのゲートパルス信号により溶接主回路の出
   力電力を制御してアーク負荷に供給し溶接を行う
   交流テイグ溶接機において、 (イ) 溶接主回路の一方の出力端とアーク負荷とを
   結ぶ導線の途中に配置されて、溶接主回路の出
   力に高周波交流を重畳する接合コイル１０と、 (ロ) 一次巻線と二次巻線を具備し、一次巻線には
   直流電源１６と高速スイツチ素子１７とが直列
   接続されており、二次巻線からは前記結合コイ
   ル１０に対して前記重畳用の高周波交流を出力
   する高周波昇圧トランス１２と、 (ハ) 前記ゲート回路７から前記逆極性半波で導通
   する制御整流素子３に送出されるゲートパルス
   信号に同期して高周波発生用の起動信号を、短
   時間、出力する起動判別回路１８と、 (ニ) この起動信号を受けてそれが出力されている
   間、前記高速スイツチ素子１７を継続動作させ
   る高周波信号を発振する高周波発振器１９と、
   を備えて、溶接主回路の出力が正極性半波から
   逆極性半波に反転した直後にのみ、高周波交流
   を溶接主回路の出力に重畳させることを特徴と
   する交流テイグ溶接機。