JPH04105666U - ピストンリング - Google Patents
ピストンリングInfo
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Landscapes
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 ピストンリングを軽量化し、かつブローバイ
を少なくする。 【構成】 チタン合金からなるピストンリング本体の少
なくともシリンダライナーと摺動する面に硬質皮膜を施
す。
を少なくする。 【構成】 チタン合金からなるピストンリング本体の少
なくともシリンダライナーと摺動する面に硬質皮膜を施
す。
Description
【0001】
この考案は、内燃機関に用いられる軽量化されたピストンリングに関する。
【0002】
ピストンリングとしては、一般に鋳鉄製のものが使用され、一部には高炭素ス
テンレス鋼などのスチール製ものも使用されている。又、ピストンリングにはC
rメッキ、Mo溶射、フェロクロム溶射などの耐摩耗性、耐焼付性向上のための
表面処理が施されている。
【0003】
一方、鉄鋼及びアルミニウムと並らぶ代表的工業材料であるチタン合金はリテ
ーナ、コンロッドの用途例が知られている(「日経ニューマテリアル)1990
.12−3号、第65〜70頁)が、ピストンリングとして使用することは知ら
れていない。
【0004】
(ピストンリング一般の性質)
エンジンの高速回転化のためには、可動部品の軽量化が不可欠であるので、ピ
ストンリングの厚さを小さくしたいという要求がある。これは、ピストンリング
が薄くなった分ピストンの寸法を小さくできるので、ピストンリングとピストン
両方での軽量化が期待できるからである。
また、エンジンを高速回転化したとき、ピストンリングの重量が大きいと、慣
性力によりピストンリングがフラッタリングを起こし、フローバイが増加するの
で、この面からもピストンリングの軽量化が要求されている。
また、ピストンリングは燃焼ガス圧力によりシリンダーに押しつけられるよう
な力を受け、この力によってガスをシールしている。またピストンリングはシリ
ンダーの変形等に追従して行ける力を常時維持する必要がある。このため、ピス
トンリングは、自由状態では真円よりも少し開いた形状に加工され、これをシリ
ンダー内径に沿って弾性的に真円に閉じて嵌合される。
【0005】
(スチールピストンリングの現状)
トップリングに関して言えば、10年前は厚さが1.5〜2.0mmだったもの
が、現在では1.5〜1.0mmのものが多く使われるようになってきている。さ
らに最近では厚さが0.8mmあるいは0.6mmのトップリングが要求されている
。ところが、ピストンリングを薄肉化すれば、当然ピストンリング溝幅も小さく
なり、切削刃物も薄い物を使うことになる。すると、ビビリ等が発生しやすくな
り、ピストンの加工精度が十分でなく、シール性を損なうこととなる。このため
、現在では0.6mmがスチールリングの厚さの限界と言われ、これ以上の薄肉化
即ち軽量化は不可能である。
【0006】
従来の鉄系材料に代えて、比重の小さいチタンニウム合金をピストンリングに
使用すると、薄肉化をしないで軽量化を実現することができると考えられる。し
かしピストンリングの使用条件については、ピストンリングはエンジン内で燃焼
ガスをシールするため、運転時にはその温度が300℃近くまで昇温すること、
燃焼生成物等がアブレーシブ粒子として存在するため、アブレーシブな摩耗にさ
らされることを考慮しなければならない。したがって、チタン合金製ピストンリ
ングには優れた高温機械的特性と優れた摺動特性が要求されるが、チタン合金は
摺動特性に劣り、そのままではピストンリングとしては用いることができなかっ
た。
【0007】
本考案はこのような状況に鑑みて実施されたもので、シリンダーとの摺動面に
硬質表面処理を実施することによりチタン合金の摺動特性の不足を補い、大幅に
軽量化したピストンリングを提供する。したがって、本考案は、チタン合金から
なるピストンリング本体の、少なくともシリンダーとの摺動面に硬質表面処理を
施したことを特徴とするピストンリングに係わる。
ピストンに装着されて、高圧の燃焼ガスをシールしながらシリンダー内を高速
で上下運動をするピストンリングは300℃近くまで温度が上昇し、燃焼生成物
等がアプレーシブ粒子として摺動面に存在するため、ピストンリングの摺動条件
は厳しい。このような厳しい摺動条件に耐えるためにはピストンリングは母材の
表面処理上の対策として少なくともシリンダーとの摺動表面には耐摩耗性、耐焼
付性の向上を目的とした硬質表面処理を施すことが不可欠となる。さらに、最近
の高出力エンジンでは燃焼室内の温度が高くなり、ピストン溝とピストンリング
の間の凝着、摩耗が問題となることがあるので、ピストン溝と摺動する部分のピ
ストンリングにも硬質表面処理を施すことが必要になることもある。
【0008】
なお、ピストン溝と摺動する部分のピストンリングには硬質表面処理に代えて
自己潤滑性皮膜処理を施すこともできる。
この硬質表面処理皮膜はその使用される条件に応じて、Crメッキ、Fe基メ
ッキ、Ni基メッキ等の電解法あるいは無電解法による湿式メッキ皮膜やスパッ
タリング法あるいはイオンプレーティング法などによる金属、あるいはそれらの
炭化物、窒化物、酸化物、それらの複合化合物の乾式表面処理から選択すること
ができる。これらの皮膜の厚みはCrメッキでは100μm程度、イオンプレー
ティングでは20μm程度であることが好ましい。
【0009】
構造用チタン合金はα+β型合金とβ型合金の2種類に大別される。何れの合
金もピストンリングとして必要な機械的特性を充分満足する。
本考案に係るピストンリングは、トップリング、セカンドリング、オイルリン
グの何れか一つにも用いられ、また全部にも用いられる。すなわち、本考案のピ
ストンリングと従来のピストンリングも組み合わせも可能であり、全て本考案の
ピストンリングとすることもできる。
また、本考案のピストンリングをオイルリングに使用するときは、スチールリ
ングの場合と同様に張力を付与する必要があり、バネを組込む必要があり、バネ
を組込む必要がある。一方、本考案のピストンリングをトップリングに使用する
ときは、バネを組込むのは好ましくない。オイルリングは従来のスチールリング
の場合と同様に組合わせリングとすることができる。
【0010】
また、ピストンリングの寸法は公知の計算公式で計算される。ここで使用され
る諸定数のうちTi合金に特有のものは、弾性率E=約11、000kg/mm2であ
る。その他の諸定数は内燃機関の設計により決まる。なお、厚さ(T寸法)はス
チール製ピストンすなわち現用ピストンリングのT寸法と同等以下とすることに
よりブローバイ量が極めて少ないピストンリングを提供することができる。
本考案のピストンリングは、例えば図1、2に示すようにシリンダーライナー
との摺動面に硬質皮膜3を形成したコンプレッションリング1、図3、4に示す
上下面及びシリンダライナーとの摺動面に硬質皮膜3を形成したオイルリング4
、図5、6に示す全面に硬質皮膜を形成したレール6をステンレス鋼製スペーサ
と組み合わせたリックベント5などであり、これら図示以外にも各種形状のピス
トンリングとして構成される。
【0011】
塑性加工性の優れたβ型チタン合金を用いてピストンリングを製作した。熱間
および冷間塑性加工により、断面が1.3mm×3.3mmの線材を得、その後冷間
でピストンリング形状にコイルリングし、溶体化・時効熱処理を実施し、仕上加
工を実施した。このピストンリングの外周面と上下面に、アーク式イオンプレー
ティング法によりCrとNの化合物からなる表面処理皮膜を形成した。このよう
にして製作したチタン製ピストンリングは、スチール製ピストンリングに比較し
て約45%の軽量化が実現できた。
【0012】
このピストンリングを実際の4サイクル水冷、容量1300ccのエンジンに装
着し、従来の鉄系材料(JIS−SWOSC−V(弁バネ用シリクロム銅オイル
テンパー線)+Crメッキ)を用いたピストンリングの場合とブローバイ量を比
較した。ここでは、トップリングの軽量化の効果をはっきりさせるために、トッ
プリングのみをスチールとチタン合金で入れ代え、セカンド、オイルリングは同
一のスチール材を使用した。図7にはフルロードでの結果を、図8にはノーロー
ドでの結果を示す。図7より、鉄系ピストンリングの場合でも、厚さを小さくし
てトップリングの重量を小さくすることにより、ブローバイ量が減少しているこ
とがわかる。そして、チタン合金を用いてさらに軽量化したピストンリングとす
ることにより、一層ブローバイ量が減少することがわかる。
【0013】
図8に示すように、ノーロードの条件ではフラッタリングがさらに発生しやす
いため、高回転域で急激にブローバイ量が増加する。しかし、ピストンリングの
重量を小さくするほど高回転域まで少ないブローバイ量が維持され、ピストンリ
ングの軽量化の効果がわかる。そして、ここで用いたチタン合金製ピストンリン
グは、試験後も外観に異常はなく、摩耗もほとんど認められなかった。
Ti合金では硬質処理をしないで上記エンジンに組み込み試験したところ、焼
付を発生して運転することが出来なかった。
【0014】
本考案によれば、耐摩耗性、耐焼付性などについては鉄系ピストンリングと同
等の特性を有し、ブローバイガスやフラッタリングについては鉄系ピストンリン
グをしのぐ特性を有するピストンリングが得られる。
【提出日】平成3年4月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【0004】
(ピストンリング一般の性質)
エンジンの高速回転化のためには、可動部品の軽量化が不可欠であるので、ピ
ストンリングの厚さを小さくしたいという要求がある。これは、ピストンリング
が薄くなった分ピストンの寸法を小さくできるので、ピストンリングとピストン
両方での軽量化が期待できるからである。
また、エンジンを高速回転化したとき、ピストンリングの重量が大きいと、慣
性力によりピストンリングがフラッタリングを起こし、ブローバイが増加するの
で、この面からもピストンリングの軽量化が要求されている。
また、ピストンリングは燃焼ガス圧力によりシリンダーに押しつけられるよう
な力を受け、この力によってガスをシールしている。またピストンリングはシリ
ンダーの変形等に追従して行ける力を常時維持する必要がある。このため、ピス
トンリングは、自由状態では真円よりも少し開いた形状に加工され、これをシリ
ンダー内径に沿って弾性的に真円に閉じて嵌合される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【0006】
従来の鉄系材料に代えて、比重の小さいチタン合金をピストンリングに使用す
ると、薄肉化をしないで軽量化を実現することができると考えられる。しかしピ
ストンリングの使用条件については、ピストンリングはエンジン内で燃焼ガスを
シールするため、運転時にはその温度が300℃近くまで昇温すること、燃焼生
成物等がアブレーシブ粒子として存在するため、アブレーシブな摩耗にさらされ
ることを考慮しなければならない。したがって、チタン合金製ピストンリングに
は優れた高温機械的特性と優れた摺動特性が要求されるが、チタン合金は摺動特
性に劣り、そのままではピストンリングとしては用いることができなかった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【0009】
構造用チタン合金はα+β型合金とβ型合金の2種類に大別される。何れの合
金もピストンリングとして必要な機械的特性を充分満足する。
本考案に係るピストンリングは、トップリング、セカンドリング、オイルリン
グの何れか一つにも用いられ、また全部にも用いられる。すなわち、本考案のピ
ストンリングと従来のピストンリングも組み合わせも可能であり、全て本考案の
ピストンリングとすることもできる。
また、本考案のピストンリングをオイルリングに使用するときは、スチールリ
ングの場合と同様に張力を付与する必要があり、バネを組込む必要がある。一方
、本考案のピストンリングをトップリングに使用するときは、バネを組込むのは
好ましくない。オイルリングは従来のスチールリングの場合と同様に組合わせリ
ングとすることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【0010】
また、ピストンリングの寸法は公知の計算公式で計算される。ここで使用され
る諸定数のうちTi合金に特有のものは、弾性率E=約11、000kg/mm2であ
る。その他の諸定数は内燃機関の設計により決まる。なお、厚さ(T寸法)はス
チール製ピストンリングすなわち現用ピストンリングのT寸法と同等以下とする
ことによりブローバイ量が極めて少ないピストンリングを提供することができる
。
本考案のピストンリングは、例えば図1、2に示すようにシリンダーライナー
との摺動面に硬質皮膜3を形成したコンプレッションリング1、図3、4に示す
上下面及びシリンダライナーとの摺動面に硬質皮膜3を形成したオイルリング4
、図5、6に示す全面に硬質皮膜を形成したレール6をステンレス鋼製スペーサ
と組み合わせたリックベント5などであり、これら図示以外にも各種形状のピス
トンリングとして構成される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【0012】
このピストンリングを実際の4サイクル水冷、容量1300ccのエンジンに装
着し、従来の鉄系材料(JIS−SWOSC−V(弁バネ用シリクロム鋼オイル
テンパー線)+Crメッキ)を用いたピストンリングの場合とブローバイ量を比
較した。ここでは、トップリングの軽量化の効果をはっきりさせるために、トッ
プリングのみをスチールとチタン合金で入れ代え、セカンド、オイルリングは同
一のスチール材を使用した。図7にはフルロードでの結果を、図8にはノーロー
ドでの結果を示す。図7より、鉄系ピストンリングの場合でも、厚さを小さくし
てトップリングの重量を小さくすることにより、ブローバイ量が減少しているこ
とがわかる。そして、チタン合金を用いてさらに軽量化したピストンリングとす
ることにより、一層ブローバイ量が減少することがわかる。
【図1】コンプレッションリングの図である。
【図2】表面に硬質皮膜を施したチタン合金からなるコ
ンプレッションリングの断面図である。
ンプレッションリングの断面図である。
【図3】オイルリングの図である。
【図4】表面に硬質皮膜を施したチタン合金からなるオ
イルリングの断面図である。
イルリングの断面図である。
【図5】リックベントの図である。
【図6】表面に硬質皮膜を施したチタン合金からなるレ
ールの断面図である。
ールの断面図である。
【図7】4/4負荷で各種ピストンリングのブローバイ
を測定した図である。
を測定した図である。
【図8】0/4負荷で各種ピストンリングのブローバイ
を測定した図である。
を測定した図である。
1 コンプレッションリング
2 チタン合金
3 硬質皮膜
4 オイルリング
5 リックベント
6 レール
7 ステンレススペーサ
Claims (1)
- 【請求項1】 チタン合金(2)からなるピストンリン
グ本体の、少なくともシリンダーとの摺動面に硬質被膜
(3)を施したことを特徴とするピストンリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1581691U JPH04105666U (ja) | 1991-02-25 | 1991-02-25 | ピストンリング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1581691U JPH04105666U (ja) | 1991-02-25 | 1991-02-25 | ピストンリング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04105666U true JPH04105666U (ja) | 1992-09-11 |
Family
ID=31902943
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1581691U Pending JPH04105666U (ja) | 1991-02-25 | 1991-02-25 | ピストンリング |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04105666U (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010518338A (ja) * | 2007-02-17 | 2010-05-27 | フェデラル−モーグル ブルシャイト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | ピストンリング |
-
1991
- 1991-02-25 JP JP1581691U patent/JPH04105666U/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010518338A (ja) * | 2007-02-17 | 2010-05-27 | フェデラル−モーグル ブルシャイト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | ピストンリング |
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