JPH04105248U - カムシヤフト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カムシャフトを二層状のパイプ構造とし、剛
性及び強度を維持しつつ軽量化を図る。 【構成】 外周面にカム４が嵌合されている外パイプ７
の内周面側に内パイプ６が嵌合される。これら内外パイ
プ６，７の接合面に短形歯等の歯形を形成し、あるいは
接着剤を塗布して、これらパイプ６，７を強固に結合す
る。この結果、カムシャフト８の使用時にパイプ６，７
間で滑りが発生することなく、従来用いられていた中実
軸のカムシャフトと同様な強度を得ることが可能とな
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンの軽量化を図り車両の性能向上を可能とするカムシャフト に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、自動車等のエンジンには、給排気のための弁とこの弁を開閉するた めのカムが設けられているものが知られている。このカムはカムシャフトに固設 され、カムシャフトの回転と共にカムが回転することにより、給排気のための弁 が開閉される構造となっている。

【０００３】 従って、カムシャフトは、カムを介して弁を開閉するべく捩りトルク等に対し て十分な剛性及び強度を必要とし、従来は鋳鉄製の一体成形された中実軸が用い られるのが一般的であった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前述のように、捩り剛性、捩り強度（捩り破断トルク、捩り疲労強度等）など の観点から、カムシャフトは、中実軸で構成されているが、近年エンジンの軽量 化及び多弁化の要請が高まっている。

【０００５】 従って、エンジンの一部品としてのカムシャフトの軽量化及び高性能化を図る べく、パイプ状の中実軸でカムシャフトを形成することが考慮されている。しか し、単にパイプ状のカムシャフトにすると、捩り剛性及び捩り強度などが中実軸 に比較して、約１／２程度に大巾に低下する。

【０００６】 以上より、カムシャフトの軽量化を図りつつ捩り剛性及び捩り強度を維持、向 上することが求められている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案によるカムシャフトは、外周面にカムが嵌合される外パイプと、該外パ イプの内周面に外周面が嵌合して該外パイプを補強する内パイプと、これらパイ プの嵌合部分に位置してこれらパイプを強固に接合する結合手段とを有すること を特徴とするものである。

【０００８】

【作用】

外パイプの内周面と、内パイプの外周面とが嵌合して、内パイプが外パイプを 補強する。また、外パイプ及び内パイプが嵌合する際の嵌合部分を結合手段が強 固に接合し、外パイプと内パイプとの間の滑りを防止する。この結果、これら内 外パイプの二層構造からなるカムシャフトの捩り剛性、捩り強度が向上する。

【０００９】

【実施例】

本考案のカムシャフトに係る第１実施例を図１から図３に示し、これらの図に 基づき本実施例を説明する。

【００１０】 図１に示すように、フロントジャーナル１とリアジャーナル２との間をカムシ ャフト本体５がつなぎ、カムシャフト本体５上に、カムシャフト本体５の変形を 防止して安定な回転を維持するための複数のジャーナル３が嵌合され設置されて いる。また、同じくカムシャフト本体５上には、図示しないエンジンの弁を開閉 するカム４が同様に嵌合され、設置されている。つまり、ダイスにより外周に歯 が転造されたカムシャフト本体５に、内面に歯の形成されたジャーナル３やカム ４が所定の位置、角度で圧入されて取付けられている。

【００１１】 一方、カムシャフト本体５は、全長にわたって外パイプ７と内パイプ６とが嵌 合された構造により形成されており、これら二層のパイプ６，７により一層のパ イプで形成されたカムシャフトより、剛性・強度を高めることが可能となる。

【００１２】 すなわち、図２（ａ）に示すように内側に位置する内パイプ６の外周面に矩形 状の歯６ａを形成し、図３（ａ）に示すように、外側に位置する外パイプ７の内 周面に上記矩形状の歯６ａと噛合う矩形状の歯７ａを形成する。そして、これら が噛合うように嵌合して、カムシャフト本体５を形成し、さらにジャーナル１， ２，３及びカム４等を嵌合してカムシャフト８を組立てる。この結果、回転トル ク等の荷重がカムシャフト８に加わった場合でも、内外パイプ６，７の間の滑り が生ぜず、カムシャフト８全体としての剛性・強度が向上することとなる。従っ て、これら歯６ａ，７ａが結合手段となる。

【００１３】 尚、本実施例において、図２（ｂ）に示すような台形状の歯６ｂを前述と同様 に内パイプ６に形成し、また、図３（ｂ）に示すような台形状の歯７ｂを外パイ プ７に形成して、これらを噛合わせても前述と同様の効果を生じる。

【００１４】 以上のように、本実施例はスプラインやセレーションのような形状をした内外 パイプ６，７を例えば締代が十分ある冷間圧入して、嵌合させることを主な特徴 とする。

【００１５】 次に、本考案の第２実施例を図１に示し、この図に基づき本実施例の説明をす る。尚、第１実施例で説明した部材と同一の部材には同一符号を付し、重複した 説明を省略する。

【００１６】 図１に示すように、前述と同様に内パイプ６，７を嵌合し、組立てる。但し、 嵌合部分である内パイプ６の外周面には矩形状の歯等はなく、よく研磨された表 面とする。この一方、外パイプ７の内周面にも矩形状の歯等はなく、内パイプ６ の外周面に対応するように、良く研磨された表面とする。そして、これらパイプ ６，７同士を冷間圧入により嵌合して、組立てることとする。

【００１７】 この結果、よく研磨された表面同士が接合し、内外パイプ６，７間の滑りが生 ぜず、第１実施例と同様に、カムシャフト８全体としての剛性・強度が向上する 。

【００１８】 尚、前記と逆に表面を粗面とした内外パイプ６，７を嵌合させることによって も、両パイプ６，７の凸部同士が強く接合し、あるいは、相互の凹凸部が噛合っ て同様の効果が期待される。すなわち、これら表面状態が結合手段となる。

【００１９】 次に、本考案の第３実施例を図１に示し、この図に基づき本実施例を説明する 。尚、第１実施例及び第２実施例で説明した部材と同一の部材には同一の符号を 付し、重複した説明を省略する。

【００２０】 図１に示すように、前述と同様に内外パイプ６，７を嵌合し、カムシャフト８ を組立てる。但し、組立直前に内パイプ６の表面全体若しくは部分的に、嫌気性 接着剤を塗布しておくこととする。

【００２１】 この結果、接着剤により内外パイプ６，７の滑りが防止され、カムシャフト８ 全体の剛性・強度が前述の実施例同様に向上する。

【００２２】 尚、内外パイプ６，７圧入の直前に塗布する替りに、接着剤が予めプレコート された内パイプ６を用いることとしてもよい。また、接着剤はパイプ接合に適し ている周知なものであればよく、嫌気性接着剤に限定されるものではない。さら に、内パイプ６の替りに外パイプ７側に、塗布あるいはプレコートすることとし てもよい。すなわち、この接着剤が結合手段となる。

【００２３】 次に、本考案の第４実施例を図１に示し、この図に基づき本実施例を説明する 。尚、第１実施例から第３実施例までで説明した部材と同一の部材には同一の符 号を付し、重複した説明を省略する。

【００２４】 図１に示すカムシャフト本体５の両端部を内外パイプ６，７の嵌合による圧入 後、点溶接してこれらパイプ６，７間の端部の滑りを防止する。

【００２５】 従って、組立後のカムシャフト８に回転トルク等の荷重が加わった場合でも、 カムシャフト本体５の端部が強固に接合されている為、内外パイプ６，７間の滑 りが生ぜず、カムシャフト８の剛性・強度が向上する。つまり、点溶接を含む、 溶接が結合手段となる。

【００２６】 尚、前述の第１実施例から第４実施例までに使用される内外パイプ６，７は同 一の材料を用いることとしてもよいが、外パイプ７に炭素鋼、内パイプ６にステ ンレス鋼というように、異種材料を用いることとすれば内外パイプ６，７の接合 効果をより一層高めることが出来る。

【００２７】 すなわち、以上のような二層構造から成るパイプの嵌合部分のがた付きや緩み を防止すべく、内パイプ６に外パイプ７より熱膨張係数の大きな材料を用いるこ ととする。このようにすれば、エンジンが作動するのに伴って、エンジンの温度 が上昇するが、この上昇と共にカムシャフト８の温度も上昇し、内外パイプ６， ７の締代が一層大きくなり、カムシャフト８の剛性・強度がさらに高められるこ ととなる。

【００２８】

【考案の効果】

本考案のカムシャフトによれば、カムシャフトが二層化されると共に二層化さ れたカムシャフトを構成する内外パイプが強固に接合されることとなり、これら 内外パイプ間の滑りが防止される。

【００２９】 従って、中空軸で形成されるカムシャフトの捩り剛性及び捩り破断トルク、捩 り疲労強度等の捩り強度が向上し、従来の中実軸で形成されるカムシャフトと同 等あるいは同等以上の性能を得ることが可能となる。

【００３０】 以上より、カムシャフトの軽量化さらには材料変更、材料節減によるコストダ ウンが可能となり、あわせてエンジンの軽量化、コストダウンをも図ることが出 来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るカムシャフトを表す側面
部分断面図である。

【図２】本考案の第１実施例に係る内パイプの拡大断面
図である。

【図３】本考案の第１実施例に係る外パイプの拡大断面
図である。

【符号の説明】

１ フロントジャーナル ２ リアジャーナル ３ ジャーナル ４ カム ５ カムシャフト本体 ６ 内パイプ ６ａ，６ｂ，７ａ，７ｂ 歯 ７ 外パイプ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周面にカムが嵌合される外パイプと、
   該外パイプの内周面に外周面が嵌合して該外パイプを補
   強する内パイプと、これらパイプの嵌合部分に位置して
   これらパイプを強固に接合する結合手段とを有すること
   を特徴とするカムシャフト。