JPH0410388Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 考案の目的 (1) 産業上の利用分野 本考案は、吐出弁装置、特にピストンの往復摺
動により加圧および減圧状態を交互に繰り返すシ
リンダ室を備えるシリンダブロツクに、シリンダ
室と同軸の有底穴を有するカバー体が結合され、
前記有底穴には、その軸方向全長に亘るスリツト
を有して基本的に円筒状に形成されるガイドホル
ダが嵌入され、このガイドホルダの内周面には、
前記有底穴に臨んでシリンダブロツクに設けられ
た弁座に着座し得る円板状弁体が摺動自在に嵌合
され、前記ガイドホルダ内に画成される吐出弁室
には、前記弁体を弁座側に付勢する弁ばねが収容
され、前記吐出弁室に連通すべく前記カバー体に
は吐出通路が設けられてなる構造の装置に関す
る。

(2) 従来の技術 上記構造の吐出弁装置は、実開昭54−163309号
公報に開示されるように従来公知であり、その従
来装置では、例えば第４図に示すように、ガイド
ホルダＨを嵌合させた有底穴ｈに部分的に重合し
て平行に延びる円形穴h′を、該有底穴ｈよりも深
くカバー体Ｃに穿設し、該円形穴h′を吐出通路ｐ
と吐出弁室Ｓと間の連通部としてそのまま利用し
ている。

(3) 考案が解決しようとする課題 上記従来装置では、上記円形穴h′を有底穴ｈに
先立つて穿孔する必要があり、有底穴ｈの穿孔時
には断続加工にならざるを得ず、また有底穴ｈの
穿孔加工終了後には、有底穴ｈと円形穴h′との重
合部にばりが生じるのを避けられず、そのばり抜
き作業を特別に行う必要がある。

本考案は上記に鑑み提案されたものであり、吐
出弁室と吐出通路間の連通部をカバー体に極めて
簡単に形成することができるようにした、吐出弁
装置を提供することを目的とする。

Ｂ 考案の構成 (1) 課題を解決するための手段 そして上記目的を達成するために本考案は、ピ
ストンの往復摺動により加圧および減圧状態を交
互に繰り返すシリンダ室を備えるシリンダブロツ
クに、シリンダ室と同軸の有底穴を有するカバー
体が結合され、前記有底穴には、その軸方向全長
に亘るスリツトを有して基本的に円筒状に形成さ
れるガイドホルダが嵌入され、このガイドホルダ
の内周面には、前記有底穴に臨んでシリンダブロ
ツクに設けられた弁座に着座し得る円板状弁体が
摺動自在に嵌合され、前記ガイドホルダ内に画成
される吐出弁室には、前記弁体を弁座側に付勢す
る弁ばねが収容され、前記吐出弁室に連通するべ
く前記カバー体には吐出通路が設けられてなる、
吐出弁装置において、前記ガイドホルダの外周面
には、前記有底穴の内周面に当接して該内周面及
びガイドホルダ間に環状通路を画成する複数の突
起が、該ガイドホルダの内側からの打ち出しによ
り相互に間隔をおいて形成され、前記環状通路に
前記吐出通路が開口されたことを特徴とする。

(2) 作用 上記ガイドホルダを有底穴に単に嵌合させるだ
けで、吐出弁室にスリツトを介して連通し且つ吐
出通路が開口する環状通路が形成されるので、吐
出通路を有底内周面に直接開口させても、該環状
通路を介して吐出弁室と吐出通路間を簡単且つ確
実に連通させることができる。

(3) 実施例 以下、図面により本考案を振動圧縮機に適用し
たときの一実施例について説明すると、先ず第１
図において、容器１内には圧縮機本体２がばね
３，４によつて浮動支持される。圧縮機本体２の
ケーシング５は、有底円筒状のヨーク６、円筒状
の連結部材７および基本的に厚肉円板状のシリン
ダブロツク８をボルト９で一体的に締付けて構成
される。ヨーク６の閉塞端には、ポールコア１０
が固設され、このポールコア１０の遊端部に一体
的に設けられたリング状のポールピース１１に対
向して、ヨーク６の内面にはリング状の永久磁石
１２が固設される。この永久磁石１２とポールピ
ース１１との間の環状間隙には、駆動コイル１３
が配置されており、駆動コイル１３と実質的に一
体の中空状ピストン１４がシリンダブロツク８の
シリンダ部１５に集合される。しかもピストン１
４は、上下一対の共振ばね１６，１７によつて支
持される。

シリンダ部１５内においてピストン１４の前方
すなわち下方にはシリンダ室１８が形成されてお
り、ピストン１４の前端すなわち下端には、シリ
ンダ室１８を減圧する方向すなわち上方にピスト
ン１４が移動したときに、開弁する吸入弁装置１
９が設けられる。この吸入弁装置１９の開弁時に
は、圧縮機本体２の内部に形成された低圧室２０
内の流体がピストン１４の内部および吸入弁装置
１９を介してシリンダ室１８に吸入される。ま
た、シリンダブツロク８には、シール部材２１を
介してカバー体２２が結合されており、シリンダ
ブツロク８およびカバー体２２間には、シリンダ
室１８を加圧する方向すなわち下方にピストン１
４が移動したときに開弁する吐出弁装置２３が設
けられる。この吐出弁装置２３の開弁時には、シ
リンダブロツク８およびカバー体２２間に形成さ
れた高圧室２４にシリンダ室１８の流体が吐出さ
れる。

シリンダブロツク８には、低圧室２０と容器１
内の底部とを連通する吸入管２５が取付けられ
る。また高圧室２４に連通する吐出管２６がカバ
ー体２２に取付けられ、この吐出管２６は、容器
１を貫通して、容器１の外部に配置されたたとえ
ば冷蔵庫のコンデンサに接続される。

第２図において、吐出弁装置２３は、シリンダ
室１８と同軸にしてカバー体２２に設けられた有
底穴２７に臨んでシリンダブロツク８に設けられ
る弁座２８と、弁座２８に着座し得る円板状弁体
２９と、弁体２９を軸方向移動可能に保持すべく
有底穴２７に嵌入されるガイドホルダ３０と、弁
体２９を弁座２８側に向けて付勢する弁ばね３１
とを備える。

シリンダブロツク８には、有底穴２７内にわず
かに突入する円筒部３２が突設されており、この
円筒部３２の先端に弁座２８が形成される。

第３図において、ガイドホルダ３０は、軸方向
全長にわたるスリツト３３を有して基本的に円筒
状に形成されるとともに、その外径は、有底穴２
７の内径よりも小さく設定される。しかも該ガイ
ドホルダ３０の外周面には、その内側からの打出
しにより複数の突起３４が互いに間隔をおいて突
設される。したがつてガイドホルダ３０を有底穴
２７内に嵌入したときに、各突起３４が有底穴２
７の内側面に当接することにより、ガイドホルダ
３０および有底穴２７の内側面間には、環状通路
３５が形成される。

ガイドホルダ３０内には吐出弁室３６が形成さ
れ、この吐出弁室３６内で軸方向への移動を可能
として弁体２９がガイドホルダ３０の内周面に摺
動自在に嵌合される。しかも吐出弁室３６内で弁
体２９およびカバー体２２間に弁ばね３１が介装
される。

吐出弁室３６および環状通路３５は、スリツト
３３を介して連通しており、環状通路３５および
高圧室２４間を連通すべくカバー体２２には、該
環状通路３５に直接開口する吐出通路３７が穿設
される。

次にこの実施例の作用について説明すると、吐
出弁装置２３では、シリンダ室１８が加圧され
て、その圧力による弁体２９の下動力が弁ばね３
１による上動力に打勝つたときに開弁し、シリン
ダ室１８内の流体が吐出弁室３６からスリツト３
３を経て環状通路３５に流出し、さらに吐出通路
３７から高圧室２４へと導出される。

このような吐出弁装置２３において、環状通路
３５は有底穴２７内にガイドホルダ３０を嵌入す
るだけで形成される。したがつて、吐出通路３７
は、環状通路３５および高圧室２４間を連通すべ
く、有底穴２７の内側面に開口するようにカバー
体２２に穿孔すれば良く、加工が極めて容易とな
る。

Ｃ 考案の効果 以上のように本考案によれば、ピストンの往復
摺動により加圧および減圧状態を交互に繰り返す
シリンダ室を備えるシリンダブロツクに、シリン
ダ室と同軸の有底穴を有するカバー体が結合さ
れ、前記有底穴には、その軸方向全長に亘るスリ
ツトを有して基本的に円筒状に形成されるガイド
ホルダが嵌入され、このガイドホルダの内周面に
は、前記有底穴に臨んでシリンダブロツクに設け
られた弁座に着座し得る円板状弁体が摺動自在に
嵌合され、前記ガイドホルダ内に画成される吐出
弁室には、前記弁体を弁座側に付勢する弁ばねが
収容され、前記吐出弁室に連通すべく前記カバー
体には吐出通路が設けてなる、吐出弁装置におい
て、前記ガイドホルダの外周面には、前記有底穴
の内周面に当接して該内周面及びガイドホルダ間
に環状通路を画成する複数の突起が、該ガイドホ
ルダの内側からの打ち出しにより相互に間隔をお
いて形成され、前記環状通路に前記吐出通路が開
口されたので、ガイドホルダを有底穴に単に嵌合
させるだけで、吐出通路が開口し且つ吐出弁室に
連通する環状通路を形成することができ、従つて
吐出通路を有底穴内周面に直接開口させても、該
環状通路を介して吐出弁室と吐出通路間を簡単且
つ確実に連通させることができ、その連通部の加
工が頗る容易でコストダウンに寄与し得る。また
上記環状通路形成のための複数の突起は、ガイド
ホルダに対しその内側からの単なる打ち出しによ
つて簡単に得られるから加工し易く、一層のコス
トダウンを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図は本考案を適用した振動圧縮機の縦断正面
図、第２図は第１図の要部拡大図、第３図はガイ
ドホルダの拡大斜視図、第４図は従来装置の要部
縦断面図である。 ８……シリンダブロツク、２２……カバー体、
２３……吐出弁装置、２７……有底穴、２８……
弁座、２９……弁体、３０……ガイドホルダ、３
１……弁ばね、３３……スリツト、３４……突
起、３５……環状通路、３６……吐出弁室、３７
……吐出通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストンの往復摺動により加圧および減圧状態
   を交互に繰り返すシリンダ室を備えるシリンダブ
   ロツクに、シリンダ室と同軸の有底穴を有するカ
   バー体が結合され、前記有底穴には、その軸方向
   全長に亘るスリツトを有して基本的に円筒状に形
   成されるガイドホルダが嵌入され、このガイドホ
   ルダの内周面には、前記有底穴に臨んでシリンダ
   ブロツクに設けられた弁座に着座し得る円板状弁
   体が摺動自在に嵌合され、前記ガイドホルダ内に
   画成される吐出弁室には、前記弁体を弁座側に付
   勢する弁ばねが収容され、前記吐出弁室に連通す
   るべく前記カバー体には吐出通路が設けられてな
   る、吐出弁装置において、前記ガイドホルダの外
   周面には、前記有底穴の内周面に当接して該内周
   面及びガイドホルダ間に環状通路を画成する複数
   の突起が、該ガイドホルダの内側からの打ち出し
   により相互に間隔をおいて形成され、前記環状通
   路に前記吐出通路が開口されたことを特徴とす
   る、吐出弁装置。