JPH0410378Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、燃料タンクからエンジンに至る燃料
経路のエア抜き装置に関するものである。

〔従来技術及び考案が解決しようとする問題点〕

一般に、燃料タンクからエンジンに至る燃料経
路には、燃料タンク、フイルタ、エンジンがデイ
ーゼルエンジンである場合には噴射ポンプ等の部
材が設けられている。ところでこの様なものにお
いて、フイルタの点検整備や燃料切れ等の際にエ
アが燃料経路中に浸入していまい、この場合には
エア抜きを行う必要がある。そこで従来、フイル
タと噴射ポンプにエア抜き用油路を形成し、ここ
からエア抜きを行うようになつていたが、このも
のはエア抜き用油路が常時開状態となつているた
め、燃料ポンプは、これを見越した大きな吐出量
のものを用意する必要があつてどうしても大型化
してしまうなどの欠点がある。このため特開昭53
−41630号公報に示す如くフイルタに開閉弁付き
のエア抜き用油路を形成したものがある。しかる
にこのものは、開閉弁が、セルスタータに、スイ
ツチキーを専用の空気追出し位置に操作したとき
開に切換るよう連繋させたものであるため、開閉
弁は高価で大型な電磁弁を使用しなければならな
いうえに、セルスタータについても、空気追出し
位置という専用のセツト位置を備えた特殊で汎用
性に欠けるものを用意しなければならないなどの
欠点がある。

〔問題を解決するための手段〕

本考案は、上記の如く実情に鑑みこれらの欠点
を一掃することができる燃料経路のエア抜き装置
を提供することを目的として創案されたものであ
つて、燃料タンクからエンジンに至る燃料経路中
にエア抜き用配管を分岐形成し、このエア抜き用
配管に開閉弁機構を設けるに、該開閉弁機構を、
エンジン回転数を制御する制御操作具に、該制御
操作具が、エンジン停止位置あるいは所定の低速
回転域に位置したとき開閉弁機構が開側に変位す
るよう連動連結させたことを特徴とするものであ
る。

そして本考案は、この構成によつて、開閉弁付
きのエア抜き用配管を設けたものでありながら、
開閉弁を、エンジン回転数の制御操作具に連繋さ
せるようにして、構造の簡略化が計れるようにし
たものである。

〔実施例〕

次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。図面において、１はコンバインであつて、
該コンバイン１における運転席２の下方には燃料
タンク３が収容されている。この燃料タンク３か
らは、燃料ポンプ４、フイルタ５、噴射ポンプ６
を経由してエンジンのシリンダに設けたノズル７
に燃料を供給し、残余の燃料は燃料タンク３に還
流するように配管された燃料経路８が形成されて
いること等は何れも従来通りである。

前記フイルタ５および噴射ポンプ６からはエア
抜き用配管が分枝して形成されているが、フイル
タ５には開閉弁機構９が一体的に設けられてい
る。即ち、フイルタ５は、カツプ５ａ、該カツプ
５ａに収容されるフイルタエレメント５ｂ、カツ
プ５ａに組付ける蓋体５ｃなどによつて組付け構
成されているが、蓋体５ｃには、燃料ポンプ４側
からの配管が接続される接手管１０、噴射ポンプ
６側への配管が接続される接手管１１が設けられ
ており、そして燃料ポンプ４側から送られてきた
燃料が接手管１１からフイルタ５内に流入し、エ
レメント５ｂによつて濾過されたものが接手管１
１から噴射ポンプ６側に向けて送出されるように
なつている。さらに蓋体５ｃには、フイルタ５内
に流入した燃料がエレメント５ｂによつて濾過さ
れる以前の段階で供給されるよう油路１２ａを介
して接手管１２が設けられており、該接手管１２
にエア抜き用配管２４の一端部が連結されてい
る。また蓋体５ｃには、噴射ポンプ６側のエア抜
き用配管６ａが連結される接手管１４、およびこ
れに油路１６を介して連通し配管２５が連結され
る接手管１５がさらに形成されているが、これら
各油路１２ａ、１６はコツク体１７によつて開閉
自在に形成されており、これによつて本考案の開
閉弁機構が構成されている。

１８は運転席２の近傍に配したエンジン用のコ
ントールレバー（スロツトルレバー）であつて、
該コントロールレバー１８は、基部となるプレー
ト部１８ａが機体側に設けた支軸１９に揺動自在
に枢結されているものであるが、プレート部１８
ａはワイヤ２０を介してエンジン側のエンジンコ
ントロールアーム２１に連動連結されている。そ
してコントロールレバー１８の揺動操作によつ
て、エンジン回転を、実施例では停止状態から高
速回転状態まで任意の回転状態に維持できるよう
になつており、本考案の回転数制御操作具に該当
している。２２はプレート部１８ａに突成された
作動体であつて、該作動体２２の先端部は、前記
コツク体１７の摘み部１７ａに対向係止してい
る。そしてコントロールレバー１８の揺動操作に
連繋してコツク体１７も一連的に回動することに
なるが、このコツク体１７の回動で、油路１２
ａ，１６は、コントロールレバー１８をエンジン
停止位置に操作した場合にのみ開となり、それ以
外のエンジン駆動位置に位置させた場合には閉と
なるように設定されている。

叙述の如く構成された本考案の実施例におい
て、燃料タンク３内の燃料は、燃料ポンプ４の駆
動によりフイルタ５、噴射ポンプ６を経てエンジ
ン側に供給されることになるが、いまフイルタ５
や噴射ポンプ６の配管において混入するエアを抜
く必要がある場合に、開閉弁機構を有するエア抜
き用配管によつてエア抜きをすることができる。

即ち本考案においては、エア抜きを行う場合
に、コツク体１７を開側に操作すれば良いが、こ
れには、コントロールレバー１８をエンジン停止
位置に操作する必要があり、これに連動してコツ
ク体１７は開側に変位し、而して開閉弁機構９は
開状態となり、燃料は開となつたエア抜き用配管
を経て燃料タンク３に還流し、エア抜きが成され
ることとなる。そしてエア抜きが終了し、エンジ
ンスタートをすべくコントロールレバー１８をエ
ンジン駆動（始動）位置に操作すると、これに連
動してコツク体１７が閉側に変位してエア抜き用
配管が自動的に断たれることになり、この状態で
エンジン始動が成されることになる。尤も本実施
例においては、スタータキーを0Nにすれば燃料
ポンプ４が駆動するものであることは従来周知の
通りである。

この様に本考案においては、開閉弁機構付きの
専用のエア抜き用配管を設けたものでありなが
ら、この開閉弁機構は、コントロールレバー１８
を停止位置に操作したときでなければ開側に変位
させることができず、従つて従来のセルスタータ
に専用の空気追出し位置を設けて行うような必要
がなく、そのうえ機械的な弁機構の開閉制御も可
能になつて、電磁弁の様な高価で大型の弁機構を
用いないでもよくなり、もつて構造の簡略化は勿
論のこと、装置の軽量コンパクト化に大いに寄与
できることになる。

尚、本考案は、前記実施例に限定されるもので
ないことは勿論であつて、開閉弁機構としては、
フイルタに設ける必要はなく、エア抜き用配管の
途中に設けても良く（第７図参照）、また噴射ポ
ンプ側からはチエツク弁２３付きの配管とし、フ
イルタ５から開閉弁機構付きのエア抜き用配管を
形成したもの（第８図参照）でも良いのである。
そしてこの場合、噴射ポンプ側からのエア抜き用
配管を不要とするため、フイルタ５を第９図に示
す如きものにすることもできる。

またこのものにおいて、コツク体１７の摘み１
７ａを、運転席２下方の収納カバー２ａに設けた
規制体２ｂに、弁機構が閉状態となつた場合に係
止する凹溝２ｃを形成し、コツク体１７が開状態
となつている場合には摘み１７ａが規制体２ｂに
接当してカバー２ａを閉鎖できないようにしてお
くことで、さらに安全性の向上が計れることとな
り都合が良い。尤もこの場合に、摘み１７ａを前
記第一実施例のようにコントロールレバーに連繋
させることが出来なくなる惧れがあるが、その解
決策として、例えばコントロールレバーに連繋す
る摘みと規制体２ｂに規制される摘みとをフイル
タの左右に設けるようにすれば良いものである。

さらにエンジン回転数の制御操作具としてはコ
ントロールレバーに限らず、コントロール摘み等
の適宜操作手段でも実施でき、また制御操作具に
よるエンジン回転数の制御としては、エンジンが
停止するまで制御する必要はなく、例えばエンジ
ン停止は、キースイツチの切り操作によつて行う
ものとし、制御操作具の操作では、作業回転域
（高回転域）から所定のアイドリング回転域（低
回転域）までの回転数制御ができるものとし、制
御操作具をこの所定低回転域に操作した場合に開
閉弁機構を開側に変位させるようにしても良いも
のである。

〔作用効果〕

以上要するに、本考案は叙述の如き構成された
ものであるから、燃料経路中に、開閉弁機構付き
のエア抜き用配管を分岐形成したものでありなが
ら、開閉弁機構は、制御操作具をエンジン停止位
置かあるいは所定の低回転域に操作した場合でな
ければ開状態とすることができず、従つて、エア
抜き作業を、エンジンが確実に停止したかあるい
は低回転状態という安全な状態で行うことができ
る。しかもこのものは、この開閉弁機構の開閉制
御を、従来のセルスタータという電気的なものに
連繋させて構成する必要がなく、制御操作具とい
う機械的なものでの連繋によつても構成すること
ができ、従つて開閉弁機構を、電磁弁のような高
価で大型のものを採用せずに、通常の機械的なも
のを採用することができ、そのうえセルスタータ
についても空気追出し位置という専用のセツト位
置を備えた特殊なものを用意する必要もなく、も
つて構造を簡略化し得る許りでなく、軽量コンパ
クト化に大いに寄与できることとなる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る燃料経路のエア抜き装置
の実施例を示したものであつて、第１図はコンバ
インの全体斜視図、第２図は燃料経路の配線図、
第３図Ａ，Ｂ，Ｃはフイルタの正面図、平面図、
縦断面図、第４図Ａ，Ｂは開閉弁機構の開状態、
閉状態を示す作用説明図、第５図はコントロール
レバーとフイルタとの関係を示す要部側面図、第
６図は同上要部正面図、第７図は他例を示す燃料
経路の配線図、第８図はさらに他例を示す燃料経
路の配線図、第９図Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄは第８図の実
施例に使用するフイルタの断面図、閉状態を示す
正面図、開状態を示す正面図、平面図、第１０図
Ａ，Ｂは作用説明図である。 図中、３は燃料タンク、４は燃料ポンプ、５は
フイルタ、６は噴射ポンプ、１８はコントロール
レバー、Ａは開閉弁機構である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンクからエンジンに至る燃料経路中にエ
   ア抜き用配管を分岐形成し、このエア抜き用配管
   に開閉弁機構を設けるに、該開閉弁機構を、エン
   ジン回転数を制御する制御操作具に、該制御操作
   具が、エンジン停止位置あるいは所定の低速回転
   域に位置したとき開閉弁機構が開側に変位するよ
   う連動連結させたことを特徴とする燃料経路のエ
   ア抜き装置。