JPH04103717U - 温度補償付発振回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 第１，第２の２つの同一温度特性を有する水
晶発振回路の発振周波数をミキサ回路に入力し、ミキサ
回路の出力より２つの発振周波数の差の周波数を取り出
すことによって、温度偏差のない周波数を広い温度範囲
で得ることができる様にした温度補償付発振回路を提供
するものである。 【構成】 第１の水晶振動子とこの水晶振動子を発振さ
せる発振回路と、第２の水晶振動子とこの水晶振動子を
発振させる発振回路と、この２つの発振回路の出力周波
数の差を取り出すミキサ回路とで構成し、ミキサ回路の
出力より温度偏差のない周波数信号を取り出すようにし
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は温度補償付発振回路に係り、特に、発振周波数の温度特性の安定を 図るのに好適な温度補償の発振回路に関する。

【０００２】

【従来技術】

従来の温度補償付発振回路としては、例えば、第４図及び第５図に示すような ものが提供されていた。

【０００３】 図において、７はＰＬＬ位相比較回路、10はトランジスタ回路、11はバッファ アンプ、12は温度補償回路、ＴＣ３は発振周波数微調用トリマ、ＣＶは可変容量 ダイオードである。

【０００４】 回路の構成としてはトランジスタ回路10と水晶振動子Ｘtal ３とからなる発振 回路の発振周波数微調用トリマＴＣ３に接続された可変容量ダイオードＣＶと可 変容量ダイオードＣＶの容量を温度変化に対して変化させる抵抗分圧回路とで構 成した温度補償回路12を接続して、発振回路の出力はバッファアンプ11を介して この例ではＰＬＬの位相比較回路７に基準発振周波数として入力されるようにな っている。

【０００５】 温度補償回路12が接続されていない場合を考えると、トランジスタ回路10と水 晶振動子Ｘtal ３によって発振動作を起こし、水晶振動子Ｘtal ３の固有振動数 ｆ₃ で発振するが、この発振周波数ｆ₃ は水晶振動子Ｘtal ３の温度特性によっ て第５図に示す様に温度25^。Cをｆ₃ とするとこの温度25^。Cを境に前後の温度で発 振周波数ｆ₃ が変化する。

【０００６】 したがって、水晶振動子Ｘtal ３の発振周波数ｆ₃ を温度変化に対して一定に 保つためには、水晶振動子Ｘtal ３の温度特性に対する変化を是正する必要があ り、温度補償回路12によって温度が25^。C以下になると発振周波数を少し下げる様 に発振周波数微調用トリマＴＣ３に並列に接続された可変容量ダイオードＣＶを 変化させればよいことになる。

【０００７】 即ち、可変容量ダイオードＣＶの容量を変化させるには、抵抗分圧回路より出 力する電圧を温度変化に対して変化させる様に抵抗分圧回路を構成する抵抗素子 を設定及び調整することで可能である。

【０００８】 上記の様に温度補償回路12を構成させることによって、水晶振動子Ｘtal ３の 発振周波数微調整用のトリマＴＣ３を温度変化に対して自動的に可変して、発振 周波数を第５図の点線で示す様に水晶振動子Ｘtal ３の固有の振動数ｆ₃ に近似 させる様にすることができる。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記した従来の温度補償は発振回路においては、第４図及び第５図で 示す様に水晶振動子Ｘtal ３の温度特性に対し発振周波数を補正できる範囲が限 られていて、しかも、水晶振動子固有の振動数ｆ₃ に対して偏差が残ってしまう 欠点があり温度補償回路12の補正調整が微妙である上回路が複雑となる欠点があ った。

【００１０】 この考案は上記した点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは 従来例の欠点を解消し、補償温度範囲を広くし、この範囲内での偏差を小さく抑 えたものを簡単な回路構成で実現した温度補償付発振回路を提供すところにある 。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

この考案の温度補償付発振回路は、水晶振動子と、この水晶振動子の固有振動 数で発振させるトランジスタ回路とからなる発振回路において、前記発振回路に 水晶振動子で構成した第１の発振回路と、第２の発振回路と、バッファ回路と、 第１の発振回路の発振周波数信号と、第２の発振回路の発振周波数信号を入力し 、２つの周波数の差を出力するミキサ回路と、ミキサ回路からの出力信号を濾波 するバンドパスフィルタとを設け、第１及び第２の発振回路の差の周波数の温度 安定度が改善される様に構成したものである。

【００１２】

【作用】

この考案によれば、水晶振動子で構成した第１の発振回路と、第２の発振回路 と、バッファ回路と、第１の発振回路の発振周波数信号と、第２の発振回路の発 振周波数信号を入力し、２つの周波数の差を出力するミキサ回路と、ミキサ回路 からの出力信号を濾波するバンドパスフィルタとを設けたので、第１の発振回路 の水晶振動子と第２の発振回路の水晶振動子の温度特性が温度補償範囲内で発振 した周波数の差（ｆ₀ とする）で一定に保たれる水晶振動子を用いることによっ て、第１及び第２の発振回路の発振周波数が温度にょって変化してもその差の周 波数は広い温度変化において常にｆ₀ を保つ様にすることができる。

【００１３】

【実施例】

この考案に係る温度補償付発振回路の実施例を第１図乃至第３図に基づき説明 する。

【００１４】 第１図はこの考案の構成ブロック図、第２図は２つの水晶振動子Ｘtal １及び Ｘtal ２の温度特性図、第３図は２つの水晶振動子Ｘtal １及び２の差の発振周 波数を示す温度特性図である。

【００１５】 図において、１は第１のトランジスタ回路、２は第２のトランジスタ回路、３ ，４はバッファアンプ、５はミキサ回路、６はバンドパスフィルタ、７はＰＬＬ の位相比較回路、Ｘtal １は第１の水晶振動子、Ｘtal ２は第２の水晶振動子、 ＴＣ₁ ，ＴＣ₂ は発振周波数微調整用トリマである。

【００１６】 ブロックの構成としては第１の水晶振動子Ｘtal １と第１のトランジスタ回路 １とで構成した第１の発振回路の発振周波数ｆ₁ と第２の水晶振動子Ｘtal ２と 第２のトランジスタ回路２とで構成した第２の発振回路の発振周波数ｆ₂ とを夫 々バッファアンプ３及び４を介してミキサ回路５に加え、ミキサ回路５の出力を バンドパスフィルタ６を通してＰＬＬの位相比較回路７に入力する様になってい る

【００１７】 上記の様に構成した回路において、第１のトランジスタ回路１と第１の水晶振 動子Ｘtal １とで構成した第１の発振回路より発振した水晶振動子Ｘtal １の発 振周波数ｆ₁ と、第２のトランジスタ回路２と第２の水晶振動子Ｘtal ２とで構 成した第２の発振回路より発振した水晶振動子Ｘtal ２の発振周波数ｆ₂ とが夫 々出力し、この両者の周波数差が希望周波数ｆ₀ になる様にｆ₁ 及びｆ₂ を設定 しておくことでｆ₁ 及びｆ₂ はバッファアンプ３，４を通してミキサ回路５に加 えられると、ミキサ回路５の出力には｜ｆ₁ −ｆ₂ ｜及びｆ₁ ＋ｆ₂ なる周波数 の信号が出力される。

【００１８】 ミキサ回路５より出力した上記２つの周波数信号は｜ｆ₁ −ｆ₂ ｜＝ｆ₀ の周 波数のみを通過させるバンドパスフィルタ６を通すことによってｆ₀ のみの周波 数信号がＰＬＬの位相比較回路７に入力されることになる。

【００１９】 上記のような動作において、第２図及び第３図に示す様に、第１の水晶振動子 Ｘtal １と第２の水晶振動子Ｘtal ２の対温度発振周波数変化幅を第２図に示す 様な同一の特性のものを選択しておくことで、ミキサ回路５より出力するｆ₀ は ｜（ｆ₁ ＋Δｆ）−（ｆ₂ ＋Δｆ）｜＝｜ｆ₁ −ｆ₂ ｜となり、温度によって両 水晶振動子Ｘtal １及びＸtal ２がΔｆの変化を起こしてもｆ₀ の周波数偏差は 生じなくすることができる。

【００２０】 また、この実施例では本考案の発振回路の出力をＰＬＬの位相比較回路７の一 方の入力である基準周波数としているが、他に温度ドリフトが小さい基準発振回 路として使用できるので、計測機器内で用いられる発振器に応用することができ る。

【００２１】

【考案の効果】

この考案に係る温度補償付発振回路によれば上述の様に構成したので、以下の 様な効果を奏する。

【００２２】 温度補償型水晶発振回路（ＴＣＸＯ）などの温度補償回路を有する発振回路よ りも回路が簡単であり補償の温度範囲も広げられる効果がある。また、回路が簡 単なため実装面積等が小さくて済ませることができる効果もある。

【００２３】 しかも、特殊な部品も使わなくて済み、また、安価に構成することが出来るた め実施も容易であるなどの優れた特長を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例を示す構成ブロック図であ
る。

【図２】２つの水晶振動子の温度特性図である。

【図３】２つの水晶振動子の差の発振周波数を示す温度
特性図である。

【図４】従来例の構成ブロック図である。

【図５】水晶振動子の温度特性と補正後の温度特性を示
す特性図である。

【符号の説明】

１ 第１のトランジスタ回路 ２ 第２のトランジスタ回路 ３，４ バッファアンプ ５ ミキサ回路 ６ バンドパスフィルタ ７ ＰＬＬの位相比較回路 Ｘtal １ 第１の水晶振動子 Ｘtal ２ 第２の水晶振動子 ＴＣ１，ＴＣ２ 発振周波数微調整用トリマ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水晶振動子と、この水晶振動子の固有振
   動数で発振させるトランジスタ回路とからなる発振回路
   において、前記発振回路に水晶振動子で構成した第１の
   発振回路と、第２の発振回路と、バッファ回路と、第１
   の発振回路の発振周波数信号と、第２の発振回路の発振
   周波数信号を入力し、２つの周波数の差を出力するミキ
   サ回路と、ミキサ回路からの出力信号を濾波するバンド
   パスフィルタとを設け、第１及び第２の発振回路の差の
   周波数の温度安定度が改善される様に構成したことを特
   徴とする温度補償付発振回路。