JPH0410305A - 高周波機器用絶縁電線 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は高周波機器の高圧器、コイルに使用する巻線或
は機器内の配線に有用な絶縁電線に関するものである。

（従来の技術） 従来、高周波機器用の巻線又は配線材として、導体上に
エナメル絶縁層を設けた絶縁素線を所望本数撚合せてな
る所謂リッツ線が使用されていた。

このリッツ線は高周波機器の内、主に低電圧部品に使用
されているものである。然しなからリッツ線はコイル状
に巻いた場合、導体の断面が変形するおそれがあり、整
列巻を困難にするものであった。従ってこのようなコイ
ルではコイル断面の変形により高周波機器としての特性
に悪影響を及ぼすものであった。又一方このリッツ線を
高周波サージのか＼る部品に使用する場合、コイルの両
端末や眉間に大きな電圧が加わるものであるが゛、従来
のりッソ線においては素線絶縁自体の絶縁性にの手段が
必要であった。

このような問題に対して本発明者等はこれの改良として
先に複数本の絶縁素線を集合せしめた後、その外周に熱
可塑性樹脂、例えばポリエステル系樹脂の押出被覆層を
設けた高周波機器用絶縁電線（実願昭６３−４６２２８
号）を提案した。

然しこのポリエステル系樹脂、例えばポリエチレンテレ
フタレート（ＰＥＴ樹脂）やボ耳すブチレンテレフタレ
ート（ＰＢＴ樹脂）を押出被覆層゛２として使用した場
合、最終的にえられる複合絶縁電線は、その端末をハン
ダ浴に浸漬するのみで半田付けが可能であるという点で
は有用であるが、非常に経時悪化をおこし易いという欠
点がある。

即ち飽和ポリエステル系樹脂はフィルム等配同条件下で
結晶化されてはじめて本来の耐熱性、機械的特性を発揮
するものであるが、単に押出機にて押出被覆するのみで
は十分な配向性、延伸性をうる絶縁材料をうることは困
難なのである。このことを立証するために上記の高周波
機器用絶縁電線をＪＩＳＣ３０００に規定された２個撚
りの試験片での絶縁破壊電圧を測定した結果、製造直後
の絶縁電線は高い値を示すが、この絶縁電線を成る時間
放置した後、上記同様に破壊電圧を測定すると著しくそ
の値が低下していることを示した。更にこの絶縁電線を
コイル状に巻付けた場合、クレージングを発生するとい
う問題があった。これは押出被覆層の体積緩和により分
子の充填密度に変化を生じ、試験片作成やコイル巻時の
加工によりクレージングが生したためと考えられる。

（発明が解決しようとする課題） 本発明はか−る現状に鑑み鋭意研究を行った結果、耐熱
性及びハンダ付性を保持すると共にクレージング等の経
時変化を起すことのない絶縁性材料にて形成した高周波
機器用絶縁電線を開発したものである。

（課題を解決するための手段） 本発明は導体の外周に溶融ハンダ浴の温度により溶融又
は分解して消失する熱可塑性樹脂を被覆して絶縁層を形
成した絶縁素線を複数本撚合せ、その外周に熱可塑性直
鎖状ポリエステル樹脂１００重量部に側鎖にカルボン酸
又はカルボン酸塩を有するエチレン系共重合体樹脂又は
グラフト重合体樹脂５〜４０重量部を配合した樹脂混和
物からなる押出被覆層を設けたことを特徴とするもので
ある。

本発明絶縁電線における絶縁素線の絶縁層は、直接溶融
ハンダ浴に浸漬した場合、分解または消失する樹脂にて
形成するものであり、例えばＩＥＣ（国際電気委員会）
に規定された耐熱性Ｅ−Ｂ種（１２０°Ｃ〜１３０°Ｃ
）のポリウレタン系樹脂或は耐熱性Ｆ種（１５５°Ｃ）
のポリエステルイミド系フェスにて形成するものである
。

又絶縁素線は導体上に上記のフェスを塗布焼付けてえら
れるエナメル線、又は導体上に熱可塑性樹脂例えばポリ
アミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹
脂の単独或はこれらの変性樹脂を押出被覆するか或は導
体上に上記の樹脂を一旦溶剤に溶解したものを塗布焼付
けしてうるものである。

本発明絶縁Ｔｌ’ｌＡにおいて、押出被覆層を形成する
ための熱可塑性直鎖状ポリエステル樹脂は、芳香族ジカ
ルボン酸またはその一部を脂肪族ジカルボン酸に置きか
えたジカルボン酸を主とする酸成分と、脂肪族ジオール
とからなるものであり、この芳香族ジカルボン酸として
は例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルスルホン
ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフ
ェニルエーテルカルボン酸、メチルテレフタル酸、メチ
ルイソフタル酸等があげられが、特にテレフタル酸が好
ましい。またこれら芳香族ジカルボン酸の３０モル％未
満、好ましくは２０モル％未満の割合で置き代える脂肪
族ジカルボン酸としてはコハク酸、アジピン酸、セバシ
ン酸等がある。

また脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、トリ
メチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキ
サンジオール、デサンジオール等があげられるが、特に
エチレングリコール、テトラメチルグリコールが好まし
い。

又脂肪族ジオールの一部がオキシ（アルテシン）グリコ
ール、例えばポリエチレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコールであってもよい。

これらの成分によりえられる熱可塑性直鎖状ポリエステ
ル樹脂の代表的なものとしてはポリエチレンテレフタレ
ート樹脂（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフタレート樹月
旨（ＰＢＴ）、ポリエチレンナフタレート樹脂等があげ
られる。

又これらの熱可塑性直鎖状ポリエステル樹脂に配合する
側鎖にカルボン酸或はカルボン酸塩を有するエチレン系
共重合体樹脂としては例えばアクリル酸、メタアクリル
酸、クロトン酸の如き不飽和モノカルボン酸或はマレイ
ン酸、フマル酸、フタル酸の如き不飽和ジカルボン酸と
エチレンとの共重合体であり、側鎖のカルボン酸の一部
が金属塩になっているものも含まれる。そ代表的なもの
としては、アイオノマーと称されるエチレン−メタアク
リル酸共重合体のカルボン酸を一部金属塩とした樹脂例
えばハイミラン（三井ポリケミカル社製商品名）やエチ
レン−アクリル酸共重合樹脂例えばＥＡＡ樹脂（ダウケ
ミカル社製商品名）がある。又側鎖にカルボン酸を有す
るエチレン系重合体樹脂としてはアトマ（三井石油化学
社製商品名）がある。

本発明において上記のポリエステル系樹脂とエチレン系
共重合体樹脂或はグラフト重合体樹脂との配合割合を前
者のポリエステル樹脂１００重量部に対し後者のエチレ
ン系共重合体又はグラフト共重合体樹脂を５〜４０重量
部、好ましくは１０〜３０重量部に限定した理由は、５
重量部未満の場合には得られる樹脂皮膜が十分な耐熱性
をうろことが出来ず、且つクレージングを生じ易く、本
発明としての効果を発揮することが出来ない。又４０重
量部を超えた場合には、耐熱性が特に低下し高周波用絶
縁電線として適用し難いものとなる。

なお、本発明絶縁電線における素線の絶縁層及び撚合せ
素線上に押出被覆する被覆層の厚さについては特に限定
するものではないが、素線については望ましくは絶縁層
は３〜１５μｍ、撚合せ素線上の押出被覆層は１００μ
ｍ以下である。

又本発明絶縁電線において押出被覆層の放熱性を向上せ
しめるために無機フィラー例えばアルミナ、シ贅力、チ
タニア、ジルコニア、タルク等を熱可塑性直鎖状ポリエ
ステル樹脂１００重量部に対して２０〜２００重量部、
好ましくは３０〜１００重量部配合してもよい。

（実施例） 参考例 直径０．２６’ｍｍの軟銅線上に、熱硬化性ポリウレタ
ンワニス（東特塗料社製ＴＰＯ−ＦＩ）を５回塗布焼付
けを繰返し行って膜厚Ｉ３μｍのポリウレタン絶縁電線
をえた。このポリウレタン絶縁電線を７本ピッチ約５胴
にて同心状に撚合せして参考側絶縁電線をえた。

実施例（ｊン 参考例の絶縁電線を絶縁素線とし、その外周にＰＥＴ樹
脂（テトロンＴ　Ｒ８５５０、帝人社製商品名）１００
重量部に対してアイオノマー樹脂（ハイミラン１８５５
、三井ポリケミカル社製商品名）１５重量部を配合し、
混練した樹脂混和物を厚さ２５μｍに押出被覆して被覆
層を設けて本発明絶縁電線をえた。

実施例（２） 参考例の絶縁電線を絶縁素線とし、その外周にＰＢＴ樹
脂（Ｆ　Ｒ−ＰＭＴＧ　２０ＯＡ、三井石油化学社製商
品名）１００重量部に対しエチレン−アクリル酸共重合
体（ＥＡＡ４５９、ダウケミカル社製商品名）７重量部
を配合し混練した樹脂混和物を実施例（１）と同様に厚
さ２５μｍに押出被覆して被覆層を設けて本発明絶縁電
線をえた。

実施例（３） 参考例の絶縁電線を絶縁素線とし、その外周にＰＥＴ樹
脂１００重量部に対してエチレンカルボン酸グラフト重
合体（アトマー、三井石油化学社製商品名ＮＥＯ５０）
２５重量部を配合し混練した樹脂混和物を実施例（１）
と同様に厚さ２５μｍに押出被覆して被覆層を設けて本
発明絶縁電線をえた。

比較例（１） 参考例の絶縁電線を絶縁素線とし、その外周にＰＥＴ樹
脂を２５μｍ厚に押出被覆して被覆層を設けて比較例絶
縁電線をえた。

比較例（２） 参考例の絶縁電線を絶縁素線とし、その外周にＰＥＴ樹
脂１００重量部に対してアイオノマー樹脂３重量部を配
合し混練した樹脂混和物を厚さ２５μｍに押出被覆して
被覆層を設けて比較例絶縁電線をえた。

比較例（３） 参考例の絶縁電線を絶縁素線とし、その外周にＰＥＴ樹
脂１００重量部に対しアトマー樹脂５５重量部を配合し
混練した樹脂混和物を厚さ２５μｍに押出被覆し被覆層
を設けて比較例絶縁電線をえた。

斯くして得た本発明絶縁電線、比較例絶縁電線及び参考
側絶縁電線についてその特性を評価するための試験を行
った。その結果は第１表に示す通りである。

註　（１）　　組成における数値は重量部を示す。

（２）はんだ付は性は絶縁電線の端末約４０ａｎを溶融
はんだ浴中に浸漬後、浸漬した３０肛の部分にはんだが
付着するまでの時間（秒）を示す。

（３）絶縁性はＪ　Ｉ　５３００３規格に準じ、２個撚
り法による絶縁破壊電圧値を示す。

（４）巻線性は直径７ｍＸ長さ２５ｍｍのコイル巻枠に
整列機械巻き後の巻線状態及び表面のクレージングの有
無観察したものであり、良は良好、不良はクレージング
を示す。

（５）処理後は経時変化を促進させるために絶縁電線の
束のまま５０″Ｃ×９０％ＲＨの環境中で７日間処理し
た後測定した値を示す。

（６）耐熱性はＪ　Ｉ　Ｓ　Ｃ３０００の規格に準じ２
個撚りの試験片を２００°×７日間加熱処理後の絶縁破
壊電圧値を示す。

（発明の効果） 第１表より明らかな如く、本発明高周波機器用絶縁電線
によれば、はんだ付は作業を行うに際し、端末の被覆層
を剥離することなく直接はんだ付けが可能であると共に
コイル巻において整列巻可能であり、しかも優れた絶縁
性を有し且つ経時変化をおこすことがない等工業上有用
なものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 導体の外周に溶融ハンダ浴の温度により溶融又は分解し
   て消失する樹脂を被覆して絶縁層を形成した絶縁素線を
   複数本撚合せ、その外周に熱可塑性直鎖状ポリエステル
   樹脂１００重量部に側鎖にカルボン酸またはカルボン酸
   塩を有するエチレン系共重合体樹脂またはグラフト重合
   体樹脂５〜４０重量部を配合した樹脂混和物からなる押
   出被覆層を設けたことを特徴とする高周波機器用絶縁電
   線。