JPH039365B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は火葬炉における燃焼制御法に関する。

〔従来の技術〕

本邦における火葬は、宗教的見地から、姿骨を
残す必要がある。また、火葬炉自体の寿命を延ば
すためには、低温燃焼が望ましいのであるが、大
都市近辺の火葬場では、処理速度を速めて稼動率
を高めることも必要で、いきおい高温燃焼を行い
がちである。

従来から、火葬炉の運転は、専ら現場作業員の
経験と勘により行われて来たため、初心者は、高
温にし過ぎて、骨が溶融してしまつたり（融点は
約900℃）炉自体を損傷したりすることもあり、
運転者の個人差により、使用燃料の量が大幅に違
うなど問題点が多かつた。

また労働環境の安全の面からも、運転の自動化
に対する要望が頓に高まつて来た。

運転の自動化を目的としたものとして、特開昭
55−75117号公報に記載された火葬炉の自動燃焼
装置がある。これは、予め被燃焼物に応じて分類
した多数の燃焼パターンを用意しておき、被燃焼
物の体重や副葬品等の特性に応じて燃焼パターン
を選択して炉内の温度及び燃焼時間を設定すると
いうものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

一般に火葬炉内の燃焼物は、棺、衣類、副葬
品、遺体等であるが、燃焼条件を最も大きく左右
するのは、言うまでもなく、遺体である。概ね、
棺、衣類、副葬品には、それほど大きな差はない
が遺体の場合には燃焼条件からみても、大きな個
体差がみられる。

つまり、事故死等による急死の遺体は、比較的
若い人が多く脂肪分が多いため、発熱量も高く重
量も重い。一方、老衰による遺体は、脂肪分も少
なく、発熱量も低くなり重量も軽い傾向がある。

脂肪分の多い遺体の場合には、遺体自体の燃焼
の初期段階で、大量の空気を必要とし、不完全燃
焼が生じやすく、黒煙や異臭を発生する。

そのままの状態で再燃焼室へ排ガスを送ると、
再燃焼能力をオーバーして、排気筒より大気中へ
黒煙が排出されるのを防止することが不可能とな
る。

しかるに、前記の特開昭55−75117号公報に記
載された装置は、時々刻々変化する燃焼対象物に
対する最適な燃焼条件を与えるものではなく、予
め設定された燃焼条件に従うものである。よつ
て、分類パターンの選択が適当でなかつた場合、
あるいは燃焼対象物に分類パターンと大幅な差が
ある場合には、効率の高い燃焼制御は行い得な
い。

本発明は、このような現状に鑑みてなされたも
ので、燃焼対象物の重量及び重量変化の程度によ
つて、燃焼バーナーの出力制御を行うことを目的
とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の火葬炉の燃焼制御法は、上記目的を達
成するために、主燃焼室内に燃焼対象物の重量を
計量する計量装置を設け、該計量装置からの出力
信号に基づく燃焼前及び燃焼中の燃焼対象物の重
量及び重量変化に応じて、前記主燃焼室に配設し
た燃焼バーナーの出力を自動制御することを特徴
とする。

〔実施例〕

以下、図面に示した実施例に基づき、本発明を
具体的に説明する。

第１図は本発明の一実施例の構成を示す断面図
であり、火葬炉主燃焼室１の下部に地下室２を設
け、ロードセル３を設置する。棺４を載せた棺載
置台車５は、ガイドレール上を走行して安置冷却
室６より主燃焼室１に入る。すると棺の重量がロ
ードセル３に掛り、その重量に比例した電流がマ
イクロコンピユータを組み込んだコントローラー
７に入る。この時点において、主燃焼バーナー１
０の火時点の容量が重量によつて決定される。主
燃焼バーナー１０が着火して火葬が始まると、遂
次コントローラー７に、重量に比例した信号が入
力される。このことにより、重量の変化の程度が
マイクロコンピユータにより算出され、この情報
によつて燃料供給装置８及び空気吹込装置９を制
御して主燃焼バーナー１０の出力を制御し、最適
な火葬を行う。図中１１は燃焼ガスの再燃焼室、
１２は再燃焼バーナーである。

第２図は燃焼開始からの重量の変化の例を示
し、第３図は主燃焼バーナー１０及び空気吹込装
置９による空気吹込量の制御の状態を示す。

まず、棺に大略火がつくまでは緩やかに燃焼対
象物の重量が減少し、Ａ点から実質的な燃焼が始
まる。このＡ点は、燃焼対象物の重量変化が大き
くなつた時点をマイクロコンピユータで演算する
ことにより検出することができる。棺に大略火が
つくＡ点までは、第３図に示すように主燃焼バー
ナー１０の出力及び空気吹込量は小さい値とす
る。

燃焼は、棺、副葬品、遺体という順序で進行し
ていき、最初の10〜15分ほどは、主に棺、副葬品
の燃焼であるので、それほど高燃焼は必要でな
い。重量変化は、第２図のａのようである。この
段階では、第３図に示すように主燃焼バーナー１
０の出力は燃焼対象物の重量に応じてセツトされ
た最高値の50％程度としておく。

ただ、最近は副葬品に、化学製品の凝つたもの
を入れることが多いため、棺が焼け落ち、この副
葬品及び遺体皮質部が燃焼する段階で、多量のガ
スや黒煙を発生する。このような場合は、急激な
重量変化が見られるので、コントローラー７から
の信号で、主燃焼バーナー１０の燃焼量を小さく
し、空気吹込装置９の送風量を大きくすれば最適
な燃焼状態となる。

この後、遺体本体の燃焼に移る。第２図のｂの
部分がそうであり、この時点は図に示すような重
量変化率の変位点Ｂを見つけることによつて容易
に感知できる。この時点からは、燃料供給も、空
気吹込量も、燃焼対象物の重量に応じてセツトさ
れた最高値まで全開され、第３図に示すように主
燃焼バーナー１０の出力を100％とした状態で燃
焼が続けられ、焼却が完了する。

なお、焼却が進行して焼却完了に近づけば、燃
焼対象物の重量変化が無くなり一定値に落ち着く
ので、その時点を検出することにより焼却の完了
あるいは完了に近づいたことを予測することがで
きる。その結果に基づいて燃焼を完了するように
すれば、過燃焼を未然に防止して省エネルギ化を
図ることができる。更に、燃焼物の燃焼進行に伴
なう重量変化とともに、炉内温度の変化を勘案し
て、さらにきめ細かなコントロールも可能であ
る。

設備費の関係で即存バーナーをそのまま使用し
たいときは、最低限、空気吹込装置のみを制御し
ても、不完全燃焼を防止でき、十分にその効果が
発揮できる。

〔発明の効果〕

本発明は、前述のような構成により、遺体の状
態に応じた最適な燃焼制御を行うことができるた
め、余分な燃料を使うことがなく、省エネルギー
が図れ、しかもスイツチ１つで操作できるため、
経験も勘も必要とせず、未経験者でも十分に従事
でき、労働環境の改善が図れることになる。さら
に効率を落とすことなく、必要最小限の熱量で燃
焼させるため、炉の損傷を防げ、寿命も延びるな
ど、その効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の構成を示す断面
図、第２図は燃焼に応じた重量の変化の状態を説
明する図、第３図は燃焼に応じた主燃焼バーナー
出力及び空気吹込量の変化の状態を説明する図で
ある。 １：主燃焼室、２：地下室、３：ロードセル、
４：棺、５：棺載台車、６：安置冷却室（前室）、
７：コントローラー、８：燃料供給装置、９：空
気吹込装置、１０：主燃焼バーナー、１１：再燃
焼室、１２：再燃焼バーナー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 主燃焼室内に燃焼対象物の重量を計量する計
   量装置を設け、該計量装置からの出力信号に基づ
   く燃焼前及び燃焼中の燃焼対象物の重量及び重量
   変化に応じて、前記主燃焼室に配設した燃焼バー
   ナの出力を自動制御することを特徴とする火葬炉
   の燃焼制御法。