JPH0392269A - 歯車のストレスピーニング方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は歯車の疲労強度を高めるためのストレスピーニ
ング方法に関し、詳しくは歯車に引張応力を生じさせた
状態でショットピーニングを施す方法に関する． 〈従来の技術〉 自動車などに用いられている歯車には、疲労強度を向上
させるために従来よりショット粒と呼ぶ鋼鉄製小粒子を
表面に多数投射するショットピーニング処理が行われて
いる．これにより疲労強度が向上するのは、ショット粒
を受けた表面が塑性変形してそこに圧縮残留応力が発生
し、それが外力による引張応力を緩和するためである．
ショットピーニングの疲労強度向上効果を更に高める方
法として、あらかじめ引張応力を付与した状態にしてお
いてショットピーニングを施すいわゆるストレスピーニ
ングと呼ばれる方法がある．このストレスピーニングに
よると通常のショットピーニングよりも高い圧縮残留応
力が得られ、その疲労強度に対する効果も確認されてお
り、従来よりトーションバー、コイルスプリング、板バ
ネなどに施されている．しかし歯車に対しては、疲労強
度が特に求められている歯元部（歯底面付近）にあらか
じめ引張応力を付与しておくことが困難であるので、従
来より歯車にストレスピーニングを施すことは殆ど行わ
れていない． 歯車にストレスピーニングを施す方法として、■第５図
に示すようにビニオン歯車４１を心棒４０のテーパ付き
端部４４に支持させ、心棒のネジ状端部４６にネジ係合
したナット４２で歯車４ｌを締め付け、その状態でノズ
ル４３からショット粒４５を投射するショットピーニン
グを施す方法（特願昭５４−　１６４０７９号参照）、
■第６図に示すように円筒歯車３１の内径壁３１ａに（
つまり、ボス内周壁）に潤滑剤を塗布した鋼球，セラミ
ック球等の硬質球体３２を充填し、ボルト３６にナット
３４．３５を締め付けてピストン３３を押し下げること
により、硬質球体３２を圧力媒体として歯車の歯底に円
周方向の引張応力を生じさせてショットピーニングする
方法（特開昭５７−　１０１６１２号参照）、及び■第
７図に示すように外部から歯底に向かって形成された貫
通孔２２を有する治具２１の凸部２４を歯車２５の歯と
歯の間に押し込むことによって歯元部に引張応力を生じ
させておき、該貫通孔２２を通してショットピーニング
を施す方法（特開昭６１−　１７８１７６号参照）、 が知られている． 《発明が解決しようとする課題〉 しかしながら上記■〜■の方法にはいずれにも問題があ
る。■及び■の方法はいずれも内側からの圧力によって
歯元に引張応力を与えようとするものであるが、内径壁
から歯元部までの距離（径方向肉厚）が大きな通常の自
動車用歯車などでは歯元部に十分な引張応力を与えるこ
とができず、また軸と一体型の歯車についてはこれらの
方法の適用は不可能である．一方上記■の方法は治具の
剛性の点で問題があり、いずれの場合も実用化には至っ
ていない． 最近ではエンジンの高出力化に伴い、歯車の高強度化、
特に疲労強度の一層の向上が強く要求されるようになっ
てきている．もし通常のショットピーニングよりもー，
段と効果が大きなストレスピーニングを歯車に施すこと
ができれば、それは上記要求を満たすための有力な手段
となることは勿論である． 本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり，その目
的とするところは、歯元部への引張応力の新たな付加方
法を探究し、どのような形状の歯車であろうと疲労強度
を一段と高め得る歯車のストレスピーニング方法を提供
することである．〈課題を解決するための手段〉 上記目的を達成できる本発明の歯車のストレスピーニン
グ方法は、歯すじ方向に圧縮荷重を加えることによりポ
アソン比に基づく効果で歯形方向（歯すじ方向に対して
直角な方向）に引張応力を発生させ、その状態でショッ
トピーニングを施すことを特徴とする． 圧縮荷重は当然ながら疲労強度が必要とされる部分、特
に歯元部の辺りに加えるのがよい．歯すじ方向への圧縮
荷重を大きくするほど歯形方向に発生する引張応力は大
きくなり，ストレスピーニングとしての効果が大となる
が、圧縮荷重を過大になると歯車が歪んでしまうので、
歯車材料、精度、求められる疲労強度等を勘案して、ま
た予備実験を重ねて荷重値を適当に決めればよい．圧縮
荷重を負荷するためには、例えば歯すじの両端部を挟む
ように押圧用治具を取り付け、手動、機械，水圧又は油
圧プレス方式で圧縮力を加えれば良い．できれば治具の
形状を考慮し、多数の歯車が一度に処理できるようにす
るとよい．またショットピーニング装置内に、歯車に荷
重を負荷した状態の抑圧用治具を回転可能に据え付け、
歯車を回転させながらショットピーニングを施すのも有
利である．ショットピーニング条件は常法通り適当に選
定すれば良い． 〈作用〉 通常の金属材料は，ある方向に圧縮負荷を受けた場合，
その垂直方向に引張応力を生じる．この現象いわゆるポ
アソン比に基づく効果を歯車のストレスピーニング方法
に利用したのが本発明である． 歯車の歯すじ方向に圧縮負荷を与えると歯形方向には引
張応力が発生する．この状態でショットピーニングを施
しておくと通常のショットピーニングによる場合よりも
大きな圧縮応力が残留する．こうした歯車は、その使用
時の荷重による引張応力と圧縮残留応力が相殺すること
になるので疲労限が大幅に上昇する． 〈実施例〉 以下に本発明方法の実施例を説明するが、これは本発明
を何ら限定するものではない．この実施例では、第１図
に示すような装置を用い、ＳＣｒ４２０鋼浸炭歯車（モ
ジュール２．５、圧力角２０＠　ビッチ円径７０ＩＩＩ
ＩＩ１）にストレスピーニングを適用する．すなわち、
上記歯車１を負荷用治具２の上治具２ａと下治具２ｂの
間に挟み付け、油圧プレス（図示せず）によって上治具
２ａを降下させるようにして、ギアｌに対して歯すじ方
向に３０トンの圧縮荷重Ｐを加える．これにより第２図
の斜線影Ａで示すように疲労強度上特に問題となる歯元
部５周辺にのみ圧縮荷重が加えられる．それと同時に、
圧縮荷重が加えられた部分の歯形方向には引彊応力が発
生する．これをストレインゲージで測定した結果２　５
　ｋｇ／　ｍｍ”となった． この状態で側方のノズル４より粒径０８＋ｏ＋ｗ、ビッ
カース硬度Ｈｖ４５０のショット粒５を速度４０ｍ／Ｓ
で投射してショットピーニングを施した結果，第３図に
示すような歯形方向の圧縮残留応力が得られた．この図
から通常のショットピーニングを施した場合に比べ、歯
深さ方向の圧縮残留応力の分布の最大値で約２０ｋｇ／
ｍｍ”の向上が得られることが判かる．更にその歯車の
歯曲げ疲労試験を行った結果、第４図に示すように疲労
耐久限にして通常のショットピーニングに対し約１０％
の向上が得られた． ショットピーニング条件を変えて、またモジュールの異
なる数種類の歯車についても検討を行った結果、同様に
疲労強度の向上が確認された． 比較例 上記実施例との比較のため同じ歯車に対して前述の■、
■及び■の各方法、すなわち其れ其れ第５図、第６図及
び第７図で示される各方法でストレスピーニングを施す
ことを試みた． 第５図の方法では締め代２０μｍとし、第６図の方法で
は実施例と同じ３０トンの荷重を加えたが、いずれも歯
元部に発生した引張応力は非常に小さく疲労強度は通常
のショットピーニング品と変わらなかった．これらのこ
とから判かるように第１図及び第２図の方法で効果が見
られるのはリムの厚さの非常に薄い特種な歯車に対して
だけである． また第７図の方法では通常のショットピーニング品に比
べて疲労耐久限にして５％の向上が見られた．この方法
と本発明方法とを比較した場合、本発明方法では荷重を
増加させることにより通常のショットピーニング品より
３０％以上疲労強度が向上するのに対し、第７図の方法
では治具の圧入代を大きくしてちその治具剛性に問題が
あるために２５％程度の向上が限界と考えられる．く発
明の効果） 以上の説明から判かるように、本発明方法は歯車へショ
ット粒を投射する前の過程での引張応力の与え方が簡便
であり、従来法で必要とした硬質粒子の充填作業や軸及
び治具の圧人なと煩雑な工程が無く、比較的容易な装置
で行うことができ、しかも治具の形状を考慮すれば数個
の歯車を積み重ねて一度に処理することができるので、
高強度歯車の生産性向上に大きく貢献できる．また内径
部を持たない歯車、径方向幅の大きな歯車など、どのよ
うな歯車にも適用できるので、従来通常のショットピー
ニングしかできなかった歯車の疲労強度をより高めるこ
とにより歯車に対する信頼性を向上させることができ，
他方で歯車の設計自由度を広げることもできる．

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例で使用されたストレスピーニ
ング装置の要部断面図、 第２図は一実施例における歯車の圧縮荷重を受ける部分
を示す図、 第３図は一実施例のストレスピーニングを施された歯車
と通常のショットピーニングを施された歯車の圧縮残留
応力の測定結果を示す図、第４図は同じく疲労試験結果
を示す図、第５、６及び７図はそれぞれ異なる従来のス
トレスピーニング方法を示す図である． 図中： ｌ・・・歯車、　　　　　　２・・・負荷用治具３・・
・ショット粒 特 許 出 願 人 トヨタ自動車株式会社

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 歯すじ方向に圧縮荷重を加えることによりポアソン比に
   基づく効果で歯形方向に引張応力を発生させ、その状態
   でショットピーニングを施すことを特徴とする歯車のス
   トレスピーニング方法。