JPH038611Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、厚紙等製の外箱内に収納される合成
樹脂製の内部容器用壜体に関するものであつて、
この種の壜体の構造をより簡単にすることを目的
としたものである。

最近、日本酒等の液体収納容器として、厚紙等
により中空直方体状に成形された外箱内に、合成
樹脂製袋体または充分に延伸成形された合成樹脂
製壜体を収納組付けした簡易容器が、多量に使用
されるようになつている。

この簡易容器は、合成樹脂製袋体または合成樹
脂製壜体の耐内容物性が優れており、軽量であ
り、さらに安価である等の利点によつて、益々需
要が増大している。

上記した簡易容器のうち、内部容器として合成
樹脂製袋体を使用したものは、シール部分におけ
る密閉性に機械的な不安があること、収納液体の
消費に伴つて液体の注出動作が不安定となるこ
と、合成樹脂製袋体の取扱が面倒で外箱内にこの
合成樹脂製袋体を自動的に収納組付けすることが
できないこと、さらには液体収納に先立つ内部容
器に対する殺菌処理を施し難いこと等の欠点があ
るので、内部容器として充分に延伸成形された合
成樹脂製壜体を使用したものがより望まれるよう
になつている。

この内部容器として使用される充分に延伸成形
された合成樹脂製壜体としては、耐内容物性、機
械的強度、ガスバリヤー性等からしてポリエチレ
ンテレフタレート樹脂製壜体が優れているのであ
るが、このポリエチレンテレフタレート樹脂製の
２軸延伸成形壜体は、その成形手法から明らかな
ように、壜体の胴部に対して、この胴部の上端に
起立連設された口筒部は、直方向に起立する構造
となるため、予め壜体の肩部等に反転変形部分を
成形しておいて、壜体成形後前記反転変形部分を
反転変形させて、口筒部を胴部に対して傾斜させ
るように構成する必要があつた。

このため、２軸延伸成形される壜体の構造が複
雑なものとなり、また反転変形した部分に形成さ
れる溝部分によつて、残量の少なくなつた液体の
注出が円滑に達成できなくなり、さらに胴部に対
する口筒部の傾斜角度が一定しない欠点を生じて
いた。

本考案は、上記した従来例における欠点および
不都合を解消すべく考案されたもので、壜体の２
軸延伸成形される胴部とは別に、基端部である首
部を加熱湾曲して口筒部を屈曲した構造に成形し
て構成したものである。

以下、本考案の一実施例を、図面に従つて説明
する。

本考案による内部容器用壜体４は、厚紙等によ
り成形された中空直方体の上端部の一方側を斜め
に切除して傾斜壁２を設けた外箱１内に収納され
るものであつて、有底筒形状をした胴部１１と、
この胴部１１の上端に連設された肩部１０と、基
端部である首部７を加熱湾曲成形することにより
前記肩部１０上端から斜上方に傾斜して起立設さ
れた口筒部５とから構成されており、前記口筒部
５を、先端部が前記傾斜壁２を突抜けて外箱１外
に突出する長さに設定して構成されている。

壜体４は、合成樹脂製の２軸延伸ブロー成形壜
で、合成樹脂材料としては、ポリエチレンテレフ
リレート樹脂が好適である。

この壜体４の胴部１１は、２軸延伸ブロー成形
された部分であつて、外箱１内に収納され易いよ
うに角筒形状とするのが良い。

口筒部５は、その基端部である首部７を加熱湾
曲成形することによつて、胴部１１の軸芯に対し
て傾斜した姿勢となつているが、その傾斜角度は
傾斜壁２に直交する値に設定されており、その長
さは先端部に設けた螺条９およびこの螺条９のす
ぐ下に設けられて傾斜壁２に対する組付け固定を
達成するための部分である係合条８が、傾斜壁２
に開口された貫通孔３を通つて外箱１外に突出す
る長さに設定されている。

この口筒部５の傾斜壁２に対する組付き位置関
係を一定なものとすべく、前記係合条８の下位の
周面部分に傾斜壁２の内面に当接するフランジ６
が設けられており、また口筒部５の傾斜方向側の
肩部１０は、この傾斜した口筒部５からの液体の
注出動作が円滑に達成されるように、および壜体
４の外箱１内への組付けが良好に達成されるよう
にその傾斜角度が他の部分よりも大きく設定され
ている。

傾斜壁２に対する口筒部５の強固な組付け手段
としては種々考えられるが、図示実施例の場合、
口筒部５に嵌装組付けした係合筒１２を、前記フ
ランジ６との間で傾斜壁２を強固に挾持すべく、
係合条８に係合組付けしている。

係合筒１２は、前記係合条８に係合する係合溝
１５を内周面に周設した筒体１３の下端に、前記
フランジ６との間で傾斜壁２を強固に挾持する挾
持フランジ１４を折曲連設して構成されている。

なお、図中、１６は、口筒部５を開閉するキヤ
ツプである。

本考案は、上記の如く、口筒部５を、その基端
部である首部７で加熱湾曲成形して、胴部１１に
対して傾斜姿勢としたものであるので、その構成
が簡単となり、壜体４の主体部である胴部１１に
特別な加工を施す必要が全く無く、これによつて
て胴部１１に無理な変形力を掛けることが無くな
る。

口筒部５の基端部である首部７の加熱湾曲成形
の具体的な手法としては、２点鎖線で図示しだ状
態から、首部７だけを露出させると共に他の部分
を遮熱状態にして、首部７だけをその軟化温度ま
で加熱し、そのまま口筒部５を胴部１１に対して
所定の角度まで傾斜すべく首部７を湾曲変形させ
て冷却硬化させれば良い。

このように、本考案による内部容器用壜体４
は、通常の２軸延伸ブロー成形後、単に首部７を
加熱湾曲成形するだけで完成されるので、その成
形が簡単である。

また、２軸延伸ブロー成形される一次成形品の
形状は、通常の２軸延伸ブロー成形壜体と全く同
じであるので、２軸延伸ブロー成形に使用される
金型の構造を特別なものとする必要が全く無い。

さらに、壜体４自体の形状が安定しているので
液体の充填動作および外箱１への組付け操作を安
定して行うことができる。

またさらに、口筒部５の傾斜した側の肩部１０
は、円滑な内面のまま成形されるので、液体の注
出が良好なものとなる。

以上の説明から明らかな如く、本考案による内
部容器用壜体は、構造が簡単で成形しやすいと共
にこの成形に要する金型も通常のものでよく、ま
た形状が安定しているので、安全にかつ容易に取
扱うことができ、さらに液体の円滑な注出動作を
得ることができる等多くの優れた効果を有するも
のである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の一実施例を示すように要部縦
断面図である。 符号の説明、１……外箱、２……傾斜壁、４…
…壜体、５……口筒部、６……フランジ、７……
首部、８……係合条、１０…肩部、１１……胴
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 厚紙等により成形された中空直方体の上端部の
   一方側を斜めに切除して傾斜壁を設けた外箱内に
   収納される壜体であつて、有底筒形状をした胴部
   と、該胴部の上端に連設された肩部と、基端部で
   ある首部を加熱湾曲成形することにより前記肩部
   上端から斜上方に傾斜して起立設された口筒部と
   から構成され、前記口筒部を、先端部が前記傾斜
   壁を突抜けて前記外箱外に突出する長さに設定し
   て成る合成樹脂製の２軸延伸成形によつて一体成
   形された内部容器用壜体。