JPS6229376Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、厚紙製の縦長角型ボツクス内に、口
筒部上端部分だけで突出させて収納組付けされる
壜体に関するもので、壜体内に収納される内容液
の最後の一滴までの注出を円滑に達成されるよう
にすることを目的とする。

〔従来の技術〕

厚紙製の縦長角型ボツクス内に、ポリエチレン
テレフタレート樹脂製二軸延伸ブロー成形壜体を
収納し、この壜体の口筒のみをボツクス内から突
出させる液体収納容器がある。

周知のようにポリエチレンテレフタレート樹脂
（以下、単にPETと記す）は、耐内容物性に優れ
ているので、例えば日本酒の如くアルコール分を
含む内容液を収納する壜体の成形材料としてきわ
めて有効であるが、この特性を発揮させるには二
軸延伸ブロー成形されることが要求される。

しかしながらボツクス内に収納される壜体の口
筒は、注出操作が達成し易いように、ボツクスの
中心軸から大きく外れて斜め上方に突出する姿勢
としなければならず（操作のし易さよりすると少
なくとも45度程度の傾斜角度が望ましい）、それ
故に通常の二軸延伸ブロー成形壜体では、口筒が
中心軸上に位置するので、ボツクス内への組付け
が不可能であつた。

そこでこの点に関し、充分な延伸量で二軸延伸
ブロー成形されたPET製壜体の胴部上端部分の
一部に折曲反転変形のできる蛇腹壁構造部分を成
形した構成のものが考えられている。

これは成形後に上記蛇腹壁部分を強制的に反転
変形させて壜体の口筒部を前傾させ、口筒を斜め
上方に突出する構造としたものである。

この構成は上記要請に応える点で有効な機能を
果たすものであるが、さらに検討を加えると、こ
こでの壜体はブロー成形であるがために、反転変
形された蛇腹壁部分の内面には、周方向にほぼ沿
つてしわ状の溝が形成されることになり、少なく
なつた内容液がこの溝内に溜まつてしまい、壜体
を倒立させあるいはさらに逆方向に傾ける等しな
いと、内容液の全てを口筒から注出させることは
不可能であり、しかも落下する液体が飛散してし
まう等、甚だ取り扱いに不便であることが判明し
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、上述した従来例における欠点、不都
合を解消すべく考案されたもので、充分な延伸量
で二軸延伸ブロー成形されたPET製壜体をボツ
クス内に組付けるために形成した蛇腹壁部分に内
容液が溜まらないようにすることをその技術的課
題とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案による壜体１は、充分に肉薄となるまで
特にその肩部５および肩部から胴部２にかけての
部分の肉厚が充分に薄くなるまで二軸延伸ブロー
成形されたPET製壜体であつて、通常の壜体と
同様に、有底筒形状をした胴部２の上端に肩部５
を介して注出口を形成する口筒部３と首部４とを
連設した構成となつており、それぞれ短円筒形状
の口筒部３と首部４との連設部外周面には鍔部６
が周設されている。

壜体１の後側を除く胴部２上部は首部４下端か
ら連続する急角度（60度前後）の傾斜する平坦な
傾斜壁となつていて、肩部５の側部中央からこの
傾斜壁下端にかけてには、正面視略Ｕ字状に湾曲
する谷線７が複数本相互に間隔をあけてほぼ平行
に設けられていて、上記傾斜壁は内方に陥没変形
する蛇腹状部８となつており、しかも上記複数の
谷線７のうち最外縁の谷線７上端部は胴部２側縁
よりもやや中心寄りに刻設されていて傾斜壁の蛇
腹状部８の両側には陥没変形しない綾部９が形成
されている。

又、首部４前部の内面には、肩部５の上端側部
中央から首部４前端部にかけて一対のガイド溝１
０が設けられている。

〔作用〕

さて上述したように壜体１は二軸延伸ブローに
よつて第１図、第２図に示した如く成形される
が、この状態から第３図、第４図に示す如く口筒
部３と首部４とを強制的に前方に傾斜させると、
前記蛇腹状部８は内方に陥没変形し、壜体１をボ
ツクス内に収納してその鍔部６をボツクスの一部
に固定することにより安定姿勢となる。

そして壜体１は、ブロー成形であるのであるか
ら、陥没変形した蛇腹状部８は壜体１内に膨出し
ているが、綾部９部分は陥没変形しないので、壜
体１内では、胴部２上部の前部両側にあつて、こ
の綾部９によつて肩部５両側方向に溝が形成され
ることになり、さらにこの溝は首部４のガイド溝
１０に連続する。

従つて、特に収納液の残量が少なくなつた状態
で壜体１を傾けると、少量の収納液は内方に膨出
する蛇腹状部８によつて側部に流れ、綾部９によ
つて形成された溝内から首部４のガイド溝１０内
に流出して口筒部３から外部に注出されるのであ
る。

それゆえに、壜体１の注出姿勢では、綾部９に
よつて形成された溝部分が最も低い部分となつて
いるので、少量の収納液は全てこの溝内に集中し
て首部４方向に流れ、さらにガイド溝１０に案内
されて口筒部３前端より外部に余すところなく注
出される。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案の壜体
１は、胴部２上部に蛇腹状部８を設けて、内方へ
の陥没変形が可能となるように構成すると共に、
蛇腹状部８の両側に変形しない綾部９を設けて、
内部に首部４方向への溝を形成したので、収納液
が少量となつても全てを余すことなく注出させる
ことができ、しかも壜体１を注出傾斜姿勢にする
と綾部９による溝も口筒部３方向に傾斜するので
壜体１を極端に傾ける必要もなく、さらにはガイ
ド溝１０によつて流出する収納液は口筒部３前端
に案内されるので、注出の方向性が一定し、コツ
プ等に簡単に注ぐことが出来る。

よつて本考案のPET樹脂製二軸延伸ブロー成
形壜体は、構成が簡単であつて成形が容易であ
り、厚紙製のボツクス内に収納した場合にも使い
易く、収納内容液を最後の一滴まで円滑に注出し
得る等、多くの優れた作用効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例の正面図である。
第２図は、その一部を破断した側面図である。第
３図は、口筒を傾斜変位させた状態の一部破断側
面図である。第４図は同じく側面図である。第５
図は同じく正面図である。 符号の説明、１……壜体、２……胴部、３……
口筒部、４……首部、５……肩部、６……鍔部、
７……谷線、、８……蛇腹状部、９……綾部、１
０……ガイド溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 充分に肉薄となるまで延伸を受けて成形された
   ポリエチレンテレフタレート樹脂製二軸延伸ブロ
   ー成形壜体であつて、有底筒形状の胴部上端に肩
   部を介して短円筒形状の首部を連設すると共に該
   首部の上端にさらに口筒部を連設し、前記首部の
   下端から前記胴部の上部にかけての前部に平坦で
   45度以上の傾斜角度を有する傾斜壁を設けて、該
   傾斜壁に、略Ｕ字状に湾曲する谷線を相互に間隔
   をあけてほぼ平行に設けて内方に陥没変形する蛇
   腹状部を形成すると共に、前記各谷線の最外縁の
   谷線と前記胴部側縁との間に間隔を設け、さらに
   前記肩部の側部から前記首部の前端部にかけての
   内面に、斜めに立ち上つたガイド溝を設けて成る
   壜体。