JPH0385501A - 密着耐久性に優れた合成樹脂製複合体およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、密着耐久性に優れた合成樹脂製複合体および
その製造方法に関し、特に高温・多湿でさら屋外で使用
する環境下に於ても変質、膜剥離することのない合成樹
脂製反射鏡や合成樹脂製装飾品として有用な合成樹脂製
複合体およびその製造方法に間する。

（従来の技術および発明が解決しようとする課題）従来
、反射鏡や装飾品は、透明なガラスや透明な合成樹脂材
料の表面に蒸着、スパッタリングなどの乾式プロセスや
めっき等の湿式プロセスで金属薄膜を形成し、更に保護
塗料で裏打ちするなどしてすでに実用化されている。こ
れらは、金属薄膜での光の反射を利用したものであり金
属薄膜に直接手で触れたり、物に接触したりしてキズ等
が発生したり、水分や酸素等によって金属薄膜が変質し
たりするなどして反射率低下や欠損等の外観上の欠点が
発生してはならず、保護塗膜の果たす役割は大きい。

ガラス製の反射鏡や装飾品では、高温・多湿でさらに室
外で使用する環境に対して、金属薄膜の変質劣化や膜剥
離を十分に抑えることのできる保護塗料は実用的に存在
している。一方合成樹脂製の反射鏡や装飾品については
、高温・多湿でさらに屋外で使用する環境に於て金属薄
膜の変質劣化や膜剥離を十分に抑える保護塗料がなかな
か存在しなかった。そのため、これらの物品のｐＪ！ｍ
環境に制約を与えていたという問題があった。

本発明の目的は、高温・多湿でさらに屋外で使用する環
境に於ても金属膜の変質劣化や膜剥離を抑制防止した合
成樹脂製複合体を得ることにある。

（課題を解決するための手段） 本発明者らは、透明合成樹脂の成形品表面上にクロム系
薄膜を形成し、その上に種々の塗料で保護膜を形成し、
これらの耐久性を鋭意検討した結果、適切な乾燥硬化条
件でアルキッド系塗膜を形成することによって本発明の
目的を達成できることを見出し本発明を完成した。

すなわち、本発明の要旨とするところは、透明合成樹脂
の成形品表面の少なくとも一部にクロム系薄膜を説け、
さらに該薄膜の全面にわたってアルキッド系の塗膜を配
することを特徴とする密着耐久性に優れた合成樹脂製複
合体及びその製造方法である。

本発明に用いられる合成樹脂とは、濁りなどのない実質
的に透明な有機高分子をいい、このような合成樹脂とし
ては、セルロイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ
スチレン樹脂、アクリル樹脂およびポリカーボネート樹
脂などが挙げられる。保護ｆｉ膜として用いるアルキッ
ド系ｔＩＬ料の乾燥硬化温度条件等を考慮すると、熱変
形温度（ＡＳＴＭ−Ｄ６４８）が８０’Ｃ以上であるポ
リスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂
が好ましい、これらのうち透明性・耐光性等の点からア
クリル樹脂が好ましく、さらに耐熱性の点を考慮すると
架橋構造を有し、高い熱変形温度を有する架橋アクリル
樹脂（例えば協和ガス化学工業■製バラリンクスＴＳ２
５、同ＴＳ４０など）が最も好ましい、これらの樹脂に
は透明性を損なうことのないＲ囲で染料・顔料等の着色
剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤等を含有させても差
しつかえない。

本発明の合成樹脂成形品としては、上記合成樹脂からな
るフィルム、シートおよび該樹脂を各種形状を有する成
形品に成形したものが用いられるが、これら成形品表面
には、装飾を目的に微細な形状や凹凸等を有したり、文
字等が刻まれたり突出したりしていても差しつかえない
、更にこれら前記成形品表面がアクリル系あるいはシリ
コーン系塗料などで反射材料として必要な透明性を損な
うことのない程度に表面処理されていても差しつかえな
い０本発明の上記透明合成樹脂成形品上に設けるクロム
系薄膜としては、クロム単体あるいは、クロムをｉｏｎ
量％以上含有する合金をいい、例えばクロムとニッケル
を種々の比率で混合した合金が用いられ、色調、汎用性
の点からクロム＜２０重量％〉−ニッケル（８０重量％
）が最も好ましく用いられる。前記クロム系薄膜の膜厚
としては、反射鏡あるいは装飾品として使用し得る反射
率を有する最低限度の膜厚を有し、かつ基体との密着性
を損なわない範囲であればいかなる膜厚でも差しつかえ
ないが、好ましくは３００λ〜２０００＾、最も好まし
くは５００＾〜ｔｏｏ。

大である。該薄膜の形成方法としては、前記薄膜の膜が
得られる方法であれば特に限定されるものではないが、
例えば真空蒸着などの乾式法および湿式めっき法などの
方法がある。これらの方法のうち真空蒸着、スパッタリ
ング、イオンアシスト蒸着、イオンブレーティングなど
の乾式法が好ましく、真空蒸着、スパッタリングが最も
好ましい。

本発明に用いられるアルキッド系塗膜とは、多塩基酸と
三価以上のアルコールとの縮合によってできる高分子物
質を塗膜形成要素〔丸首・化学便覧（応用編）昭和４０
年１０月２５日発行、Ｐ８７３〕とするものであり、純
粋アルキッド樹脂または脂肪酸、脂肪油、天然樹脂、合
成樹脂、イミド等により変性した変性アルキッド樹脂が
挙げられ、耐水性向上の点からフェノールｓｒ、アクリ
ル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等で変成した合成樹脂
変性アルキッド樹脂が好ましい、これらの塗膜には、本
発明の効果を損なわない範囲において着色剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、抗酸化剤などの添加剤を含有させても
差しつかえない、上記塗膜の膜厚は特に限定されるもの
ではないが通常５μｒ１１〜５０μｍ、好ましくは１０
μｍ〜４０μｍ、最も好ましくは２０　ｉｔ　ｍ〜３０
μｍである。

また上記塗膜の形成方法としては、上記のアルキッド系
高分子を塗膜形成要素として含有し、必要により溶媒を
含有する塗料を、例えばスプレ°−塗布、流延塗布、刷
毛塗り、浸漬塗布、回転塗布等により塗布し乾燥・硬化
等の処理を行なう方法が用いられる。

上記塗膜の乾燥・硬化方法としては、特に限定されるも
のではないが、例えば熱風循環乾燥、熱風循環電熱赤外
線照射、ガス赤外線照射、高周波誘電加熱などの方法が
ある。これらの方法のうち熱風循環乾燥、熱風循環電熱
赤外線照射が好ましく用いられる。これらの乾燥・硬化
条件としては本発明の性能を有する塗膜が得られる条件
であれば特に限定されるものではないが、透明合成樹脂
の熱変形温度未満の温度で８０℃以上の温度で処理する
ことが好ましく、さらに良好な保護効果を得るためには
１００℃以上の温度で処理することが最も好ましい、乾
燥・硬化時間は、本発明の性能を有する塗膜が得られる
条件であれば特に限定されるものではないが、通常３０
分間程度が好ましい。

従って、本発明の密着耐久性に優れた合成樹脂製複合体
は、上記透明合成樹脂成形品の表面の少なくとも一部に
上記膜厚のクロム系薄膜を上記方法で形成した後に、上
記アルキッド系の塗料を上記方法で塗布し、上記乾燥・
硬化方法及び乾燥・硬化条件で上記膜厚のアルキッド系
の塗膜を形成する方法で製造でき、高温・多湿でさらに
屋外で使用する環境下に於て、金属薄膜の変質劣化や膜
剥離が発生しない密着耐久性に優れたものができる。

（実施例） 以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する
。

実施例１ 架橋アクリル樹脂シート（協和ガス化学工業園製バラリ
ンクスＴＳ２５．熱変形温度１２５℃）の２−板厚品の
片側の面に真空蒸着法によってニッケル（８０重量％）
−クロム（２０ｆ！量％）を蒸着して、７００＾膜厚の
ニブゲル−クロム膜を形成した。真空蒸着条件は、 真空蒸着装置：日本真空技術■製５ＲＣ−１Ｏｒ）成膜
中圧カニ５Ｘ１０−５Ｔｏｒｒ 基体温度：２０〜３０℃ 蒸発方法：タングステンフィラメントによる抵抗加熱 ＲＭ速度：１０〜１５ス／　ｓ　ｅ　ｃ　。

であった０次に塗膜形成要素としてアクリル変性アルキ
ッド樹脂２４重量部と熱可塑性アクリル樹脂２４重量部
と顔料として、カーボンブラック０．５重量部、酸化チ
タン７．０重量部、ケイソウ土９．０重量部、リン酸亜
鉛系防食顔料５．０重量部、微粒子状タルク３．０重量
部と助剤類３．５重量部およびトルエン、キシレンを混
合比率４対６で混合した溶媒を主成分とする混合溶媒２
４重量部とを混合して調製したアルキッド系塗料を前記
ニッケルークロム膜上にスプレー塗装し、熱風乾燥機中
で１００℃で３０分間屹燥・硬化処理した。膜厚は２３
μｍであった０以上のようにして合成樹脂製複合体を作
成した。外観は良好であった。この合成樹脂製複合体を
以下に示す耐久性テストに供した。

（１）耐熱唸テスト：空気恒温槽中、１２０℃で４００
時間放置する。

（２）耐水テスト：４０℃の温水中に４００時間放置す
る。

（３）冷熱湿テストニー３０℃雰囲気で２３時間放置し
た後、室内で１時間放置し次に１２０℃雰囲気で２３時
間放置した後、ふたたび室内で１時間放置した後、５０
℃で９５％ＲＨ雰囲気で２３時間放置し、ふたたび室内
で１時間放置した後、さらに１２０℃雰囲気で２３時間
放置した”後、室内で１時間放置するテストを４サイク
ル実施する。

（４）耐塩水テスト＝４０℃で５％濃度の塩水を噴霧状
に保った容器の中に２４時間放置した後、４０℃で５％
濃度の塩水中に２４時間浸漬するテストを３０サイクル
実施する。

（５）促進耐候テスト：サンシャインカーボンアークウ
ェザオメータ（スガ試験機■製）を用いて、ブラックパ
ネル温度８３℃で、ニッケルークロム膜を形成した面の
反対面から１５００時間ｉ露する。

以上の耐久性テスト後に目視ａ察による外観とアルキッ
ド系塗膜側からカッターナイフによって約ｌ平方センチ
メートルの面積中に１ｏｏケの基盤目を形威し、その上
にセロハンデープを密着させ一気に引き上げる方法で塗
膜の密着性を評価した。耐久性テスト前後で、ニッケル
ークロム膜の外観に変化は見られず異状はなかった。密
着性は、ニッケルークロム膜、アルキッド系塗膜共に剥
離はなく良好であった。

実施例２ 合成樹脂成形品として、架橋アクリル樹脂シート（協和
ガス化学工業■製バラリンクスＴＳ４０、熟変形温度１
４０℃）の２−板厚品（以下バラリンクスＴＳ４０と略
す〉を用いた。このシートの片開の面に実施例１で述べ
たのと同様の方法で合成樹脂製複合体を作成した。外観
、密着性共に良好であった。この合成樹脂製複合体を実
施例１で述べたのと同様の耐久性テストに供したところ
ニッケルークロム膜の外観は良好であった。また二ヴゲ
ルークロム及びアルキッド系塗膜の密着性は良好であっ
た。

実施例３ 合成樹脂成形品として、実施例２と同様のバラリンクス
ＴＳ４０を用いた。このシートの片側の面に真空蒸着法
によってクロム（純度９９．９％、３〜５φ粒状）を蒸
着して、７００大膜厚のクロム膜を形成した。真空蒸着
条件は、 真空蒸着装置二日本真空技術■製５ＲＣ−１０Ｄ成膜中
圧カニ４Ｘ１０−’Ｔｏｒｒ 基体温度：３０〜４０℃ 蒸発方法：アルミナコートタングステンバスケットによ
る抵抗加熱 堆積速度：２〜３大／　ｓ　ｅ　ｃ　。

であった０次に上記クロム膜上に、実施例１と同様のア
ルキッド系塗料を実施例１と同じ方法で塗装し、実施例
１と同じ方法で乾燥・硬化処理した。

膜厚は２７μｍであった０以上のようにして合成樹脂製
複合体を作成した。外観、密着性共に良好であった。こ
の合成樹脂製複合体を実施例で述べたのと同様の耐久性
テストに供したところ、クロム膜の外観は良好であった
。またクロム膜及びアルキッド系塗膜の密着性は良好で
あった。

比較例１ 合成樹脂成形品として、実施例２と同様のバラリンクス
ＴＳ４０を用いた。このシートの片側の面に実施例１と
同様の方法でニッケルークロム膜を形成した０次に実施
例１で述べたのと同じアルキッド系塗料を、実施例１と
同じ方法で塗装し、熱風乾燥機中で４０″Ｃで３０分間
乾燥・硬化処理した。膜厚は２５μｍであった６以上の
ようにして合成樹脂製複合体を作成した。外観は良好で
あったが密着性については、全面点」１離が生じ不良で
あった。この合成樹脂製複合体を実施例１で述べたのと
同様の耐久性テストに供したところ、ニラゲル−クロム
の外観は良好であった。密着性については、耐水テスト
、耐塩水テスト、促進耐候テストでニッケルークロム膜
とアルキッド系塗膜が共に点状に剥離する欠点が発生し
た。

比較例２ 合ｔｃＩｍ４脂戒形品として、実施例２と同様のパラリ
ンクスＴＳ４０を用いた。このシートの片側の面に実施
例１と同様の方法でニッケルークロム膜を形成した０次
にニッケルークロム膜上に、アクリルウレタン系塗料〈
オリジン電気■製オリジブレートＺ〉をスプレー塗装し
、熱風乾燥機中で７０℃で４０分間乾燥・硬化処理した
。膜厚は２５μｍであった０以上のようにして合成樹脂
製複合体を作成した。外観、密着性共に良好であった。

この合成樹脂製複合体を実施例１で述べたのと同様の耐
久性テストに供したところ、耐熱テストと促進耐候テス
トにおいてニッケルークロム１模とアクリルウレタン系
塗膜共に面積比で５０／１００〜１００／１００の剥離
を生じ、密着不良であった。

比較例３ 台底樹脂戒形品として、実施例２と同様のバラリンクス
ＴＳ４０を用いた。このシートの片側の面に実施例１と
同様の方法でニッケルークロム膜を形成した０次に塗膜
形成要素としてポリブタジェン３０１！量部と顔料とし
てカーボンブラック０．２重量部、酸化チタン６．５重
量部、酸化鉄エロー２．２重量部、ケイソウ土４．３重
址部、リン酸亜鉛系防食顔料４重量部、微粒子状タルク
２．８重量部と老化防止剤としてフェニル−β−ナフチ
ルアミンを１重量部とトルエン、キシレンを混合比率４
対６で混合した溶媒を主成分とする混合溶媒５０重量部
とを混合して調製したポリブタジェン系塗料をニッケル
ークロム膜上にスプレー塗装し、熱風乾燥機中で４０℃
で３０分間乾燥・硬化処理した。膜厚は２６μｍであっ
た。

以上のようにして合成樹脂製複合体を作成した。

外観・密着性共に良好であった。この合成樹脂製複合体
を実施例１で述べたのと同様の耐久性テストに供したと
ころ、耐水テスト、耐塩水テスト、促進耐候テストにお
いて、ニッケルークロム膜とポリブタジェン系塗膜共に
面積比で９０／１００〜４５／１００の剥離を生じ、密
着不良であった。

〈発明の効果） 本発明によれば、熱変形温度が高い透明合成樹脂を用い
るので、クロム系薄膜の上に形成するアルキッド系保護
塗膜の乾燥・硬化温度が高くすることが可能となり、そ
のため保護効果が大きく、高温・多湿でさらに屋外で使
用する環境下でも金属膜の変質劣化や膜剥離が発生しな
い合成樹脂製反射物品や装沖品を提供することができ、
また容易に密着耐久性に優れた合成樹脂製複合体を製造
する方法を提供することができ有用である。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. （１）透明合成樹脂の成形品表面の少なくとも一部にク
   ロム系薄膜を設け、さらに該薄膜の全面にわたってアル
   キッド系の塗膜を配することを特徴とする密着耐久性に
   優れた合成樹脂製複合体。
2. （２）透明合成樹脂の熱変形温度が８０℃以上である請
   求項１記載の密着耐久性に優れた合成樹脂製複合体。
3. （３）透明合成樹脂が架橋アクリル樹脂である請求項２
   記載の密着耐久性に優れた合成樹脂製複合体。
4. （４）クロム系薄膜が乾式薄膜である請求項１乃至請求
   項３記載の密着耐久性に優れた合成樹脂製複合体。
5. （５）熱変形温度が８０℃以上である透明合成樹脂の成
   形品表面の少なくとも一部にクロム系薄膜を設け、次に
   該薄膜の全面にわたってアルキッド系の塗料を塗布した
   後に、８０℃以上かつ該透明合成樹脂の熱変形温度未満
   の温度で乾燥・硬化処理することを特徴とする密着耐久
   性に優れた合成樹脂製複合体の製造方法。
6. （６）熱変形温度が１００℃以上である透明合成樹脂の
   成形品表面の少なくとも一部にクロム系薄膜を設け、次
   に該薄膜の全面にわたってアルキッド系の塗料を塗布し
   た後に、１００℃以上かつ該透明合成樹脂の熱変形温度
   未満の温度で乾燥・硬化処理することを特徴とする密着
   耐久性に優れた合成樹脂製複合体の製造方法。
7. （７）クロム系薄膜を乾式法により設けることを特徴と
   する請求項５又は請求項６記載の密着耐久性に優れた合
   成樹脂製複合体の製造方法。
8. （８）透明合成樹脂が架橋アクリル樹脂である請求項５
   乃至請求項７記載の密着耐久性に優れた合成樹脂製複合
   体の製造方法。