JPH038412Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、プラステイツク材料を加熱流動化
し、これを金型中に押し込んで成形するのに使用
される射出成形装置に係り、特に円盤状の成形品
を形成するのに使用される射出成形装置に関す
る。

（従来技術） 一般に、この種の射出成形装置は、第３図に示
すように、プラステイツク材料を可塑化する加熱
筒１と、この加熱筒１に回転往復動自在に嵌挿さ
れたスクリユ２と、加熱筒１の先端部であつて基
台Ａに固定された固定板Ｂと該固定板Ｂに対して
近接・離間自在な可動板Ｃと、固定板Ｂに保持さ
れた固定側金型３ａと、可動板Ｃに保持された可
動側金型３ｂとを有しており、固定側金型３ａの
底部には、加熱筒１の先端部に取付けられたノズ
ル４が臨まされていると共に上記可動側金型３ｂ
の鏡面には、円盤状のスタンパ５が添設されてい
る。図中、６はスタンパ５の外周部に押当してこ
れを可動側金型３ｂに固定するための環状のスタ
ンパ押えリング６であつて、型締め時に、スタン
パ５と固定側金型３ａとによつて形成されるキヤ
ビテイの外周を囲繞するように可動側金型３ｂに
取り付けられている。

（考案が解決しようとする問題点） プラステイツク材からなる溶融材を射出する
と、この溶融材はキヤビテイ内に充填されること
になるが、この際、溶融材７からモノマーガス等
が発生することになる。このガス８は、上述のよ
うに一旦キヤビテイ内に充満した後第２図に示す
ように、スタンパ押えリング６と固定側金型３ａ
との間のガス逃がし口１４を通つて排出されると
ともにスタンパ５とスタンパ押えリング６との隙
間から可動側金型３ｂとスタンパ押えリング６と
の空隙９に侵入することになる。この空隙９は、
密閉状の空間であるため、侵入したガスは、ここ
で充満することになり、このため、可動側金型３
ｂの鏡面１０とのこの鏡面１０に接面するスタン
パ５の裏面とは、充満したガスによつて腐蝕させ
られる、という問題があつた。

本考案はかかる問題点を解決するためになされ
たもので、上記のような腐蝕を未然に防止し得る
射出成形装置を得ることを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、スタンパ押えリングに、スタンパ押
えリングの内面と、金型の鏡面と、スタンパの外
周面とによつて形成された空隙に一端が開口し、
スタンパ押えリングの外面と金型部材とによつて
形成されたガスの逃がし口に他端が開口した貫通
孔を穿設したことを特徴とするものである。

（作用） 充填時に溶融材から発生したモノマーガス等
は、スタンパとスタンパ押えリングとの隙間から
可動側金型とスタンパ押えリングとの空隙に侵入
し、さらにここから貫通孔およびガスの逃がし口
を通つてスタンパ押えリングの外部に漏出するこ
とになる。

（実施例） 以下図面に示す実施例を参照しながら本考案を
説明する。なお、第１図において第３図と同一符
号は、同一部分または相当部分を示すものとす
る。第１図に示すように、スタンパ押えリング６
は、可動側金型３ｂに保持される取付部６ａと、
該取付部６ａの先端部から鏡面１０に沿うように
屈曲された押え部６ｂとからなり、押え部６ｂの
先端部は、スタンパ５の外周部を鏡面１０の外周
部に押当することにより、スタンパ５を可動側金
型３ｂに固定している。

取付部６ａと押え部６ｂとから形成されるスタ
ンパ押えリング６の隅角部１１と鏡面１０の外周
縁部１２との間には前述した空隙９が形成されて
いる。

上記環状の押え部６ｂの複数個所には、空隙９
とスタンパ押えリング６の外部とを連通させる貫
通孔１３が形成されている。該貫通孔１３の内径
としては約３mmが好ましく、またその数としては
通常４個設けられる。

次に上記構成に係る装置の作用について述べる
と、型締め後、加熱筒１に計量蓄積された図示し
ない溶融材を射出し、キヤビテイ内への充填を行
なうと、キヤビテイ内に充填された溶融材からモ
ノマーガス等が発生することになり、このガス８
の一部は、鏡面１０とスタンパ押えリング６との
隙間から空隙９に侵入する。上述したように、押
え部６ｂには、空隙９に連通する貫通孔１３が形
成されているので、空隙９に侵入したガスは、該
貫通孔１３からスタンパ押えリング６の外部に漏
出することになり、漏出したガスは、さらに固定
側金型３ａとスタンパ押えリング６との間隙から
金型３ａ，３ｂの外部に漏出することになる。な
お上記ではスタンパ５を可動側金型３ｂに取り付
けた側について述べたが、これに限らず可動側金
型３ｂおよび固定側金型３ａの双方に取り付けて
もよく、または固定側金型３ａのみに取り付ける
ことも可能である。

（効果） 本考案は以上からあきらかなように、スタンパ
押えリングは、貫通孔を備えているので、充填時
に溶融材から発生したモノマーガス等は該貫通孔
からスタンパ押えリングの外部に漏出することに
なり、したがつて該ガスがスタンパ押えリングと
可動側金型との間に充満することがなく、このた
め鏡面とスタンパの裏面とがモノマーガス等によ
つて腐蝕させられることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る装置の要部断面図、第２
図は従来の装置の一部を示す断面図、第３図は従
来の装置の全体を示す断面図である。 ３ｂ……可動側金型、５……スタンパ、６……
スタンパ押えリング、１３……貫通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定側金型と、該固定側金型に対して接離自在
   な可動側金型とを設け、該可動側金型または該固
   定側金型のいずれか一方または双方に鏡面を設
   け、該鏡面上にスタンパの外周部を保持するスタ
   ンパ押えリングを設け、該スタンパ押えリングに
   は、前記スタンパ押えリングの内面と前記鏡面と
   前記スタンパの外周面とによつて形成された空隙
   に一端が開口し、前記スタンパ押えリングの外面
   と前記固定側金型部材とによつて形成されたガス
   逃がし口に他端が開口した貫通孔を穿設したこと
   を特徴とする射出成形装置。