JPH0380607B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、合成樹脂製の容器特に円筒状容器の
射出成形金型に関する。

（従来の技術） 従来、合成樹脂製円筒状容器を射出成形機によ
り成形する場合、第６図に示されているように、
キヤビテイ２１（固定側）と、これに嵌合される
コア２２（移動側）とから構成される抜き型の成
形金型２３が使用されている。この種金型２３に
は、成形された容器２４の金型キヤビテイ２１か
らの抜き出しを良好にするために、抜き勾配
（0.5〜1.0度）が設けられている。したがつて、
キヤビテイ２１の開口部２５内径D₁は底部２６
内径D₂よりも大きく、テーパー状となつており、
コア２２の基部２７外径d₁は先端２８外径d₂より
も大きいテーパー状で、キヤビテイ２１とコア２
２の空隙間隔Ｓは開口部２５から底部２６まで等
しくせられている。

この抜き勾配を付けなかつたり、適当でない場
合は、型開きが不可能になつたり、抜き出しの際
に成形品に歪を残し、割れ、カジリなどの不良を
生ずる。そこで、抜き勾配がとれない場合は、キ
ヤビテイ２１を割型にしたり、コア２２をスライ
ド方式等にしているが、金型構造が非常に複雑に
なり且つ高価なものとなる。

（発明が解決しようとする問題点） 従来の抜き勾配を備えた金型にあつては、成形
された容器２４の外周面がテーパー状であるた
め、この容器２４外周面に、文字・絵柄等Ａの印
刷を行なう場合、これに押し付ける熱転写フイル
ム２９が、第７図に示されているように、図中矢
印イで示す方向に移動し、印刷開始点の終点が大
きくずれ、文字・絵柄等Ａが傾くので、熱転写フ
イルム２９を手で押さえ且つ同図中矢印ロで示す
方向に動かし修正しながら印刷しなければなら
ず、印刷精度が悪く非常に手間がかかるという問
題がある。

本発明は、上記のような実情に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、印刷が精度よ
く容易に行ないうる外周面を備えた容器を得るこ
とができる構造の簡単な成形金型を提供するにあ
る。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上記目的を達成するために、次のよ
うな技術的手段を講じた。

すなわち、本発明は、円筒状の凹所を有するキ
ヤビテイ２と、柱状コア３とにより構成される合
成樹脂製容器１２の成形金型１において、前記キ
ヤビテイ２の開口部８及び底部９の内径D₁，D₂
が等しくせられ、前記コア３の基部１０の外径d₁
が先端１１の外径d₂よりも大きい先細りのテーパ
ー状とせられたことを特徴としている。

（作用） 本発明によれば、成形金型のキヤビテイ２のコ
ア３の間隙間隔が、開口部８の間隔S₁よりも底部
９の間隔Ｓが大きいため、溶融樹脂がキヤビテイ
２内で固化する際に収縮し、キヤビテイ２内壁面
と成形された容器１２との間に隙間αが生じ、且
つその隙間が底部９ほど大きくなり、容易に離型
することができる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。

第１〜２図において、１は成形金型でキヤビテ
イ２と、コア３とにより構成され、キヤビテイ２
は射出成形機の固定ダイプレート４に、取付金具
５により固定されており、コア３は固定ダイプレ
ート４に対向して設けられた移動ダイプレート６
に、取付金具７により固定されている。

前記キヤビテイ２は、円筒状の凹所を有し、そ
の開口部８の内径D₁は、底部９の内径D₂と等し
くせられている。

前記コア３は、その基部１０の外径d₁が、先端
１１の外径d₂よりも大きくせられ、先細りのテー
パー柱状とせられている。

したがつて、キヤビテイ２とコア３とが嵌合さ
れた状態における隙間間隔は、底部９間隔S₂の方
が開口部間隔S₁よりも大きくせられている。

なお、この間隙間隔の差（S₁−S₂）は、ポリエ
チレン、ポリプロピレン樹脂で成形される容器１
２の開口部１３肉厚t₁が2.0mm以上の場合、容器
１２の高さＨの約１／1000mm、同様に肉厚t₁が
1.6〜1.8mmの場合は容器１２の高さの約２／1000
〜３／1000mm程度とするのが好ましい。

上記実施例によれば、溶融樹脂がキヤビテイ２
とコア３の間隙に射出され、冷却固化されると、
樹脂は収縮し、特に底部９は開口部８よりも間隔
S₂が大きく、したがつて樹脂の厚さが大であるか
ら開口部８に比べて収縮量が大きくなり、容器１
２とキヤビテイ２の内面との間に隙間αが生じ、
離型が容易に行なわれ、成形品に歪を残したり割
れ・カジリなどの不良を生ずることはない。この
ようにして成形された容器１２は、その外径D₁，
D₂がほぼ等しいストレートな円筒外周面を備え
ている。

したがつて、本発明の金型で成形された容器１
２は、その外周面に文字・絵柄等Ａを熱転写によ
り印刷する場合、第５図に示されているように、
回転している容器１２の外周面に、熱転写フイル
ム１４を上から押し付けると、熱転写フイルム１
４は容器１２の中心軸線Ｃと直交する方向に、真
直ぐに移動して、印刷開始点と終点がずれること
なく合致し、絵柄等Ａの傾きのない安定した印刷
を精度よく行なうことができる。そして、容器１
２の外周面への文字・絵柄等Ａの印刷を全自動で
行ない省人省力化することができ、印刷作業の大
幅な向上を図ることができる。

なお、成形された容器１２を、移動ダイプレー
ト６側から離型する場合は、キヤビテイ２の内周
面に、容器１２の高さＨの約２／1000〜４／1000
程度のテーパーを付与するように設計しても差支
えなく、容器１２の外周面に文字・絵柄等Ａを印
刷する場合においても、何ら支障をきたすことは
ない。したがつて、キヤビテイ２の開口部８及び
底部９の内径D₁，D₂が等しいとは、この程度の
テーパーも含む。このキヤビテイ２内周面のテー
パーは、容器１２の高さＨの約４／1000を超える
と、金型材料が不経済になるばかりでなく、容器
１２の熱転写印刷の際に、文字・絵柄等Ａが印刷
開始点と終点でずれることになり、絵柄等Ａの選
択に制約を受ける。

（発明の効果） 本発明にかかる成形金型は、上記のように、キ
ヤビテイ２の開口部８及び底部９の外径D₁，D₂
を同一にすると共に、コア３に十分な抜き勾配を
付与したので、キヤビテイ２に抜き勾配を付与し
ないでも離型が容易であり、成形される容器１２
の外周面が、ほぼストレートな円筒面となり、熱
転写印刷が容易で能率的に行なうことができ、安
定感のあるどつしりとした量感あふる姿態を呈す
る容器を安価に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１〜２図は本発明の実施例を示すもので、第
１図は縦断面図、第２図は成形品とキヤビテイと
の関係を示す部分断面図、第３図は成形された容
器の断面図、第４図は第３図の平面図、第５図は
本発明金型により成形された容器の印刷概要を示
す正面図、第６図は従来例を示す断面図、第７図
は従来例により成形された容器の印刷概要を示す
正面図である。 １……成形金型、２……キヤビテイ、３……コ
ア、８……開口部、９……底部、１０……基部、
１１……先端、D₁，D₂……内径、d₁，d₂……外
径。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 円筒状の凹所を有するキヤビテイ２と、柱状
   コア３とにより構成される合成樹脂製容器１２の
   成形金型１において、前記キヤビテイ２の開口部
   ８及び底部９の内径D₁，D₂が等しくせられ、前
   記コア３の基部１０の外径d₁が先端１１の外径d₂
   よりも大きい先細りのテーパー状とせられたこと
   を特徴とする合成樹脂製容器の成形金型。