JPH0377063B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、インクジエツト記録装置、特にその
記録ヘツドにおけるインクの乾燥を防止するとと
もにインクジエツト記録ヘツド先端のノズルの吐
出不良を容易に解除するようにしたインクジエツ
ト記録ヘツドのキヤツピング装置に関するもので
ある。

〔従来技術〕

インクジエツトプリンタを電卓等の持ち運び自
在な小型電子機器に搭載する場合は、ほとんど持
ち運びされることのないデータターミナル等の電
子機器に搭載する場合と異なり、持ち運び動作に
伴う種々の問題点がある。例えば、持ち運ぶ際の
衝撃や振動、あるいは電子機器の傾斜による記録
ヘツド先端部におけるノズル内のインクのメニス
カスの後退、ノズルからのインク漏れ、気泡の発
生等がある。これらの現象はインクの吐出不良や
印字不良あるいは電子機器内の汚染の原因とな
る。また、インクジエツトプリンタを長期間使用
しない場合には、ノズル内のインクが乾燥してし
まい、直ちに再使用することができなかつた。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明の目的はこれらの欠点を除去してキヤツ
ピング装置を適切に構成し、持ち運び時および不
使用時に記録ヘツドをキヤツプで覆うようにし、
再使用に際して吐出不良が生じたときには当該キ
ヤツプからインクを吸引することにより容易に吐
出不良を解除することができると共に吸引動作を
確実に行いうるようにしたインクジエツト記録装
置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成する本発明のインクジエツト記
録装置は、インクを吐出する吐出口を有するイン
クジエツト記録ヘツドの前記吐出口を覆つたキヤ
ツピング状態と前記吐出口から離隔した非キヤツ
ピング状態とをとり得るキヤツピング手段と、該
キヤツピング手段を介して前記吐出口からの吸引
動作を行う吸引手段と、を有し、前記キヤツピン
グ手段には、前記吐出口に対向する位置の全周
に、前記キヤツピング手段が前記キヤツピング状
態にあるときに前記インクジエツト記録ヘツド側
と接する凹状傾斜部が設けられていることを特徴
とする。

［作用］ 本発明によれば、キヤツピング手段を記録ヘツ
ドの吐出口を覆う位置に移動すると、キヤツピン
グ手段は凹状傾斜部によつて吐出口を覆う位置に
案内されるだけでなく、確実に密封されたキヤツ
ピング状態が得られ、吸引手段による吸引回復動
作を確実に行うことができる。

〔実施例〕

以下図面に基づいて本発明を詳細に説明する。

第１Ａ，Ｂは本発明インクジエツト記録装置に
おけるキヤツピング装置の構成の一例を示し、こ
こで１はキヤリツジ２の装着された記録ヘツドで
あり、３は記録ヘツド１の先端に取付けたノズル
である。キヤリツジ２の記録ヘツド１側の左右の
外壁（第１図Ａでは上下の外壁）に面取り部２Ａ
を設け、また記録ヘツド１の先端部を切欠いて凹
部１Ａを設ける。４はキヤツプスライド、５はス
ライド４をキヤリツジ２に向けて押し付ける手動
レバーである。キヤツプスライド４のうち、記録
ヘツド１と対向するキヤツプ部分にはインク吸収
体６を充填した深孔７をあける。吸収体６の中心
部には通路６Ａを設ける。キヤツプ部分の先端に
は、吐出口に対向する位置の全周に、インクジエ
ツト記録ヘツド側のキヤリツジ２と接し得る様
に、その面取り部２Ａを嵌合可能な凹部（凹状傾
斜部）８を形成する。この凹部８の中央部には吸
収体６を覆蓋して、記録ヘツド１の凹部１Ａに圧
接嵌合されるように形成した凸状弾性キヤツプ９
を嵌着する。この弾性キヤツプ９の中心部には、
通路６Ａに連通する孔９Ａをあけておく。一方、
キヤツプスライド４には、第１図Ｂに示すよう
に、深孔７と平行に軸孔１０をあけ、この軸孔１
０に軸１１を貫入する。軸１１はインクジエツト
プリンタが搭載される電子機器に取付けたキヤツ
プ固定板１２にスナツプリング１３等で固定され
る。軸１１の他端には、軸孔１０内に係合してボ
ス１４を嵌挿して、軸１１の他端部をスナツプリ
ング１５によりボス１４の先端部に固着する。従
つて、キヤツプスライド４を記録ヘツド１に向け
て移動させるときに軸孔１０が軸１１の軸線方向
にボス１４に沿つて摺動可能となる。そして、軸
孔１０とボス１４との間には圧縮ばね１６を装着
し、かかる摺動時にキヤツプスライド４が固定板
１２に向けて偏倚されるようにする。１７はレバ
ー５がは時計方向に回動したときにこのレバー５
をロツクするためのばね性ロツク部材である。２
０はノズル吸引装置の吸引ポプ本体であり、３５
は通路６Ａとポンプ本体２０とを連結する吸引管
である。これら部分２０，３５の詳細を次に第２
図に示す。

第２図は本発明におけるキヤツピング装置に設
けたノズル吸引装置の一例を示し、ここで２０は
台座２１に固着された円筒状の吸引ポンプ本体で
ある。吸引ポンプ本体２０は太径の吸引室２２
と、この吸引室２２と隔てて上端部に設けた環状
封止溝２３とを有し、本体２０のうちこの封止溝
２３の上方に開口２０Ａをあけておく。この封止
溝２３にはＯリング２４を嵌装する。ポンプ本体
２０内には台座２１に固着した軸２５を封止溝２
３の半端付近まで上方に延在させる。２６は吸引
ポンプのピストンであり、このピストン２６は開
口２０Ａおよび封止溝２３を貫入して摺動可能な
形状の細径部２８を有し、その上端部を前述のレ
バー５に固着する。ピストン２６の下端部は吸引
室２２に嵌合する太径部２７を有し、この太径部
２７のうち細径部２８より張り出している周縁部
には太径部２７を軸方向に貫通する通路２９をあ
け、この通路２９の吸引室２２側の下端側には通
路２９の両端の開口部における圧力差変動に応動
して開閉する弁３０を装着する。また、太径部２
７の外壁にはＯリング３１を装着して、かかる外
壁と吸引室２２との間のシールを行う。更に、ピ
ストン２６の太径部２７の吸引室側底面には凹部
３２を切欠いて、この凹部３２の台座２１の間に
圧縮ばね３３を取り付ける。このばね３３は、所
要時に手動にてピストン２６を下方に押し込んだ
後にピストン２６が上方に自動復帰するためのも
のである。吸引室２２の上部側壁には連通孔３４
をあけ、この孔３４に吸引管３５を接続する。吸
引管３５の他端は、台１図Ｂに示すように、イン
ク吸収体６の通路６Ａに連通している。従つて、
ピストン２６を下方に押し下げたときにピストン
２６の太径部２７とポンプ本体２０の上端部との
間に形成される負圧状態の空所３６に対して、連
通孔３４か吸引管３５を経由して通路６Ａが負圧
状態に吸引される。更に、ポンプ本体２０の下方
部の一側壁（第３図では左側壁）には、空所３６
が下方まで拡がつたときにその空所３６の負圧を
逃がし、しかもインク排出を行うこともできる孔
３７をあけておく。

次に以上のように構成した本発明における記録
ヘツドキヤツピング装置の作動を第３図Ａ，Ｂお
よび第４図を参照して説明する。

第３図Ａ，Ｂはレバー５を手動で反時計方向
（第１図Ａの矢印方向）に回動させ、ロツク部材
１７によりレバー５をロツクした状態を示し、キ
ヤツプスライド４の先端の弾性キヤツプ９が記録
ヘツド１に圧接されてそのノズル３を密封する。
それと共にノズル３は孔９Ａに貫入してキヤツプ
９の後方のインク吸収体６と対向する。このイン
ク吸収体６にはインクが吸収されているので、孔
９Ａ内、従つてノズル３の周辺には常時インク蒸
気が充満しており、ノズル３の先端が乾燥するこ
とはない。

一方、ノズル３においてインク液面のメニスカ
スが後退したり、気泡が発生する等の原因でイン
クの吐出不良が発生した場合には、第４図に示す
ように、ピストン２３を下方へ押下げることによ
り、空所３６内の負圧を発生させ、その負圧によ
りノズル３の吐出口よりインクを吸引する。その
ためには、まず、第３図Ａ，Ｂに示すように、キ
ヤツプスライド４の先端の弾性キヤツプ９を記録
ヘツド１に圧接させ、その状態でレバー５をキヤ
ツプ固定板１２とキヤツプスライド４との間を摺
動させるようにして下方へ押下げてピストン２６
を押下げる。このとき、ピストン２６の太径部２
７とポンプ本体２０の上端部との間に形成される
空所３６は、ピストン２６の押下げによる体積膨
張により負圧になるから、この空所３６につなが
る通路６Ａ内も負圧となる。また、記録ヘツド１
にインクを供給するタンク（図示せず）は常時大
気開放型であるため、ノズル３内のインクはノズ
ル３の前後の圧力差によりノズル３から外方へ吐
出する。従つて、例えばメニスカスが後退してい
るときには、後退しているメニスカスが吸引され
て正常の状態に復帰することができ、以て吐出不
良を解除することができる。次いで、ピストン２
６を離すと圧縮ばね３３によりピストン２６は第
４図に矢印で示すように上方へ復帰する。このと
き、弁３０は厚み数10μｍのフイルムで構成され
ているので、上下の圧力差の変動に敏感に応動
し、弁３０は開放状態となり、空所３６に吸い込
まれたインクは通路２９を経てポンプ本体２０の
下方に設けた孔３７から外部へ排出される。な
お、通路２９の管路抵抗を吸引管３５の管路抵抗
より小さくしておくことにより、空所３６に溜つ
ているインクを通路２９から容易に排出すること
ができる。なお、キヤリツジ２の先端の側壁２Ａ
を面取りし、これと当接するキヤツプスライド４
にも凹部８を設け、しかも記録ヘツド１に凹部１
Ａを設け、弾性キヤツプ９にも凸状先端部を設け
たから、キヤリツジ２とスライド４との間に位置
のずれが多少あつても、これらの凹凸部により両
者の位置関係のずれは修正されて、記録ヘツド１
はキヤツプスライド４により確実に密封される。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明インクジエツト記
録装置によれば、インクジエツトプリンタを長期
間にわたつて使用しないときには、記録ヘツド１
の先端のノズル３を、キヤツピング手段で覆うよ
うにしたので、ノズル３の先端が乾燥することが
なく、再使用の際に直ちに印字することができ
る。また、本発明では、キヤツピング手段に吸引
手段を設けたから、インクジエツトプリンタ付電
子機器を持ち運ぶ際に、インクジエツトプリンタ
に衝撃や振動がかかつたり、インクジエツトプリ
ンタに傾斜させて、ノズル内のメニスカスが後退
したり、気泡が発生して吐出不良が発生しても、
再使用時に吸引手段でノズル内のインクを外部に
吐出させることにより、吐出不良を簡単に除去す
ることができる。しかも、キヤツピング手段には
吐出口を覆う位置に案内するための凹状傾斜部を
設けたので、記録ヘツド吐出口を確実に密封する
ことができ、吸引手段による吸引回復を確実に行
うことができる。この吸引装置には、特別なモー
タ、ソレノイド、ポンプ等の機器を必要としない
ので、廉価かつ高信頼度のキヤツピング装置を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは本発明における記録ヘツドキヤツピ
ング装置の構成の一例を示す平面図、第１図Ｂは
そのＡ−Ａ線断面図、第２図は本発明におけるノ
ズル吸引装置の構成の一例を示す一部破断断面
図、第３図Ａはそれぞれ第１図Ａ，Ｂに示した本
発明における記録ヘツドキヤツピング装置の作動
説明用平面図、第３Ｂは第３図ＡのＢ−Ｂ線断面
図、第４図は第２図の作動説明図である。 １……記録ヘツド、１Ａ……凹部、２……キヤ
リツジ、２Ａ……面取り部、３……ノズル、４…
…キヤツプスライド、５……手動レバー、６……
インク吸収体、６Ａ……通路、７……深孔、８…
…凹部、９……弾性キヤツプ、９Ａ……孔、１０
……軸孔、１１……軸、１２……キヤツプ固定
板、１３，１５……スナツプリング、１４……ボ
ス、１６……圧縮ばね、１７……ロツク部材、２
０……吸引ポンプ本体、２０Ａ……開口、２１…
…台座、２２……吸引室、２３……封止溝、２４
……Ｏリング、２５……軸、２６……ピストン、
２７……太径部、２８……細径部、２９……通
路、３０……弁、３２……凹部、３３……圧縮ば
ね、３４……連通孔、３５……吸引管、３６……
空所、３７……孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ インクを吐出する吐出口を有するインクジエ
   ツト記録ヘツドの前記吐出口を覆つたキヤツピン
   グ状態と前記吐出口から離隔した非キヤツピング
   状態とをとり得るキヤツピング手段と、 該キヤツピング手段を介して前記吐出口からの
   吸引動作を行う吸引手段と、 を有し、 前記キヤツピング手段には、前記吐出口に対向
   する位置の全周に、前記キヤツピング手段が前記
   キヤツピング状態にあるときに前記インクジエツ
   ト記録ヘツド側と接する凹状傾斜部が設けられて
   いることを特徴とするインクジエツト記録装置。