JPH0375279B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、輸送機器体で円弧状長尺構造物、た
とえば、鉄道車両の屋根構などの営造治具、詳し
くは、定盤面を所望の曲率をもつ曲面に構成でき
る定盤に関する。

［従来技術とその課題］ 一般に鉄道車両などの屋根構は、円弧状の断面
をもつた長尺構造物で表面材の外板、横骨の垂
木、および、縦骨の長桁や軒桁で構成されてお
り、その断面形状は一般的に円弧状に形成されて
いる。従つて、これの製造に当つては従来は、第
９図に示すように円弧状の曲面盤をもつた組立治
具が使用されていた。そして屋根構などは、この
治具の上面に外板となる鋼などの薄板を長手方向
に並べて、この板同志を互いに溶接継ぎし、その
上に組上がつた屋根骨組を乗せて骨組と板を溶
接、または、仮付溶接していた。

先ず、第９，１０図によつて従来技術を説明す
る。第９図は従来治具の斜視図、第１０図はその
治具を用いて屋根構を製造している状態の斜視図
である。

第９図の１は全体を支える支持台で、該支持台
１上の長手方向左右縁部、および、中央には、受
台２，３が設けてあり、この受台２，３上に、曲
面定盤４が支持されている。そしてこの曲面定盤
４は、製造する屋根構の曲面形状に適合されたも
ので、複数枚の鋼板材の接合によつて構成してあ
る。

このような曲面定盤４は、曲面形状の異なつた
屋根構を製造する毎に、その屋根形状に適した曲
面定盤を製作し、治具替え作業を繰り返してい
た。第１０図は、屋根外板５ａ，５ｂを治具の長
手方向に並べて、この屋根外板５ａ，５ｂ同志を
互いに溶接し、その上に屋根骨組６を乗せ、屋根
外板と屋根骨組を溶接して組み立てる作業に使用
している状態を示す。

しかしながら、上記治具には次のような課題が
あつた。

(a) 曲面形状の異なる屋根構に対しては、その都
度曲面定盤を取り替えなければらない。

(b) 取り替え作業の際は、曲面定盤が重量物のた
め、その運搬に、天井クレーン、または、フオ
ークリフトなどを使用する必要がある。

(c) 曲面定盤として使用するためには、これの素
材として、厚物鋼板が必要であり、これを屋根
曲面に適合する形状に曲げ加工するのが困難
で、その加工に多大な時間を費やしている。

(d) 曲面定盤上で屋根板を溶接継ぎする際に、そ
の影響で定盤に歪みが発生し、定盤の精度が低
下する。

(e) 各種の屋根曲面に合つた曲面定盤を常備して
おく場合には、その保管場所が必要であり、ま
た、その都度曲面定盤を製作する場合には、そ
の加工に多大の時間を要す。

(f) 第９図示すように、曲面定盤は、長手方向に
複数枚の鋼板材を継ぎ合わせているため、平面
精度が悪く、屋根構の仕上がりに悪い影響を及
ぼす。

(g) 曲面定盤の取り替え作業に多くの時間と労力
を要する。

このような一品一治具対応を解消するため、治
具を汎用化し、どのような形状をもつ構造物に対
しても治具を自在に調整して、所望の曲面形状を
実現しようとする考え方が生まれる。特開昭58−
165975号公報に開示された技術はその思想を具現
化した例であるが、これを用いて本願の目的を達
成するには次のような問題点がある。即ち、 (1) 曲面状の形状を形成するのに、個々の担持用
治具を上下させねばならず時間と手間がかか
る。

(2) 形状確保の調整手段が個々の治具のピン穴合
わせと頭部のねじによつているため、さらに時
間と手間を要する。

(3) 担持用治具は点支持のため、薄物の板を穴合
わせしたり溶接したりするには適していない
し、また、溶接熱に対する考慮がなされていな
い。

などである。

本発明の目的は、このような実情に鑑みなされ
たもので、簡単な而も合理的手段によつて、従来
技術の問題点を解消せしめ、定盤取り替え作業を
廃止してクレーンレス、省力化、クイツクチエン
ジ化、および、品質の向上と安全性の向上を図る
ほか、公知技術のもつ課題をも同時に解決できる
可変式曲面定盤を提供せんとするものである。

［課題を解決するための手段］ 従来技術の課題を解決する本発明の構成は、長
手方向に平行に並設された複数個の定盤部材と、
各定盤部材同志を連結する連結部材と、定盤部材
を一括して押し上げる押し上げ装置と、受金具を
介して上記定盤部材を支持し、定盤部材の長手方
向と直交する傾斜面をもつ複数段の段面を形成し
た受台と、各受台を支持する固定枠と、各定盤部
材別に設けた各受台群毎に、もしくは、各受台の
総てを一斉に定盤部材の長手方向にそつて移動さ
せる移動装置とによつて構成されるものである。

［実施例］ 次に、第１〜８図について本発明実施例の詳細
を説明する。

第１図は平面図、第２図は正面図、第３図は拡
大側面図、第４図は曲面定盤を一括して押し上げ
る装置の側面図、第５図は受台の移動装置を示す
要部の斜視図、第６図は例として屋根構組み立て
る状態を示す一部の斜視図、第７図は曲面原点と
なる中央の定盤部材を通水可能とした他の発明の
実施例を示す平面図、第８図は同上要部の一部の
斜視図である。

第１，２，３図に示す１１は定盤部材、１２は
曲面原点となる中央の定盤部材で、この定盤部材
１１，１２を長手方向に並設することにより曲面
定盤を構成するものである。

そして上記定盤部材１１は、曲面を所望の曲率
に構成するため固定はされずに可動構造になつて
おり、また、中央の定盤部材１２は、曲面原点を
維持するために固定構造となつている。１３は、
各定盤部材１１，１２が遊離せず、所定の間隔を
保持するように連結するための連結部材で、該連
結部材１３は、定盤部材１１の受金具１４とピン
により接続され、任意の曲面形成動作に支障のな
いように構成してある。１５，１６，１７，１８
は、上記定盤部材１１の各上面を、任意の曲面定
盤に変換するために必要な複数の断面１５ａ，１
６ａ，１７ａ，１８ａを設けた受台で、該受台１
５〜１８の段面１５ａ〜１８ａには、上記定盤部
材１１の長手方向と直交する方向に向けた傾斜面
を形成するとともに、この各段面１５ａ〜１８ａ
に、上記受金具１４を乗接することにより、第３
図に示すように、定盤部材１１，１２の上面は精
度のよい円弧盤面を作り、曲面定盤として使用で
きるようにしたものである。尚、受台１５〜１８
は各々分離せずに、夫々を一体化してもよいが、
分離した方が、受台自身の交換や製作がしやす
い。また、各受台１５〜１８に設けられた各段面
１５ａ〜１８ａは、第３図から明らかなように、
中央の定盤部材１２方向に向け下向き傾斜せし
め、精度のよい円弧盤面が形成されるようにして
あるが、製作物の形状によつては逆に上向き傾斜
に構成することもできる。１９は、上記受台１５
〜１８を固定するための固定枠で、この固定枠１
９は、これを長手方向、即ち、定盤部材１１，１
２と同一軸線方向に移動しうるように支持台２０
上にスライドベアリング２１を介して乗載されて
いる。

第４図に示すＡは、定盤部材１１の曲面変換の
際に、上記受台１５〜１８が支障なく定盤部材１
１長手方向に移動できるように、定盤部材１１を
一括して押し上げる装置である。該押し上げ装置
Ａは、空気圧、または、油圧によるシリンダ２２
と、該シリンダ２２によつて押し上げられ、か
つ、内側端を取付体２３に軸支した２個の押し上
げレバー２４によつて構成される。このシリンダ
２２と押し上げレバー２４により定盤部材１１を
一括して一挙に押し上げて、受金具１４を受台１
５〜１８から分離させ、受台１５〜１８を所定の
位置まで移動させたのち、シリンダ２２を縮め、
各定盤部材１１の受金具１４を受台１５〜１８の
所定の断面１５ａ〜１８ａ上に乗接支持させ、所
望の曲率をする曲面定盤が得られるようにしたも
のである。

次に第５図について、受台１５〜１８の移動装
置Ｂの構成を説明する。２５は、受台１５〜１８
を設けた固定枠１９を互いに連結する連結杆で、
該連結杆２５の一部の上面にはラツク杆２６が固
定してあり、これに噛合するビニオン２７の軸２
８が機枠２９に軸架してある。そして、この軸２
８端に操作２８に操作ハンドル３０がとりつけら
れており、以上のように移動装置Ｂが構成されて
いる。そして、総ての受台１５〜１８は、操作ハ
ンドル３０の回動操作により、ビニオン２７、ハ
ラツク杆２６、連結杆２５を介し同時に一体的に
定盤部材１１の長手方向にそつて移動されるもの
である。また別の実施態様として各定盤部材毎に
移動装置Ｂを設け、各定盤部材毎に独立して固定
枠の移動を行い所望の受台の段面を適宜組み合わ
せ、波形など自由な形状と曲面を得られるよう構
成することもできる。

第６図は、上述のように所定曲率に設定された
曲面定盤に製造物の例である屋根外板３１ａ，３
１ｂを並設載置し、その継目を中央の定盤部材１
２上で溶接した後に、屋根骨組３２をこの屋根外
板の上に乗せて、屋根外板と骨組を溶接して屋根
構を組み立てる作業に使用している状態を示す。
また、この曲面定盤上は屋根外板とは別個に、屋
根骨組部材を各々の位置に配置し、これらを溶
接、または、締結組立てし、屋根骨組３２として
完成させるのに使用することも可能である。

第７，８図は屋根外板の溶接に対応するため、
溶接線と一致する中央の定盤部材１２を中空材に
て形成し、これに水管３３を接続して冷却水を送
つてこれを循環させ、溶接機３４により屋根外板
３１ａ，３１ｂを溶接する際に発生する熱を冷却
にて冷却するものである。この手段により、曲面
定盤の定盤部材１２、および、屋根外板に対する
熱影響を防止することが可能となる。

尚、以上の実施例として、断面全体が円弧状長
尺構造物の屋根構で説明したが、部分的に曲面形
状をもつた他の構造物の製造治具としても本発明
の効果を有効に活用できるものである。

［発明の効果］ 上述のように本発明によれば、従来公知の手段
に比べて次のような効果が得られる。

(a) 曲面定盤の曲面交換作業を、１人で而お短時
間で行うことができ、従来技術のように個々の
調整を必要としない。

(b) 従来のように、曲面定盤の治具替えのための
準備作業が不要。

(c) 曲面を形成するための段面付受台の段数、形
状、種別を適切に選択、あるいは、交換するこ
とにより、定盤曲率を所望の形状に設定でき
る。

(d) 曲面定盤の変換に、従来技術のような天井ク
レーン、または、フオークリフトを使用する必
要がなく、従来公知技術のような地下ビツトや
装置のための特別な空間を要しない。

(e) 治具替えに、従来技術のような重量物の運搬
がなく安全である。

(f) 曲面定盤の長手方向に、１本物の定盤部材を
用いているために、従来技術のような継足し個
所がなく、平面の精度がよくなり、製品と品質
が向上する。

(g) 定盤部材を独立させて形成しているため、他
の定盤部材への溶接作業の熱影響が少なく、定
盤の精度維持もよく、製品の品質も向上する。

(h) 公知技術のような点支持ではなく、線または
面支持のため溶接ほかと組立てがしやすい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明曲面定盤の平面図、第２図は同
上正面図、第３図は拡大側面図、第４図は定盤部
材の一括押し上げ装置を示す側面図、第５図は受
台の移動装置を示す要部の斜視図、第６図は屋根
構の組立て作業を示す一部の斜視図、第７図は中
央の定盤部に冷却水を循環させるようにした他の
発明にかかる定盤の平面図、第８図は同上要部の
斜視図、第９図は従来の曲面定盤の斜視図、第１
０図は同上屋根構の組立て作業を示す一部の斜視
図である。 １１，１２……定盤部材、１３……連結部材、
１４……受金具、１５〜１８……受台、１５ａ〜
１８ａ……段面、１９……固定枠、２０……支持
台、Ａ……押し上げ装置、Ｂ……移動装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 長手方向に平行に並設された複数個の定盤部
   材と、各定盤部材同志を連結する連結部材と、定
   盤部材を一括して押し上げる押し上げ装置と、受
   金具を介して上記定盤部材を支持し、定盤部材の
   長手方向と直交する傾斜面をもつ複数段の段面を
   形成した受台と、各受台を支持する固定枠と、各
   定盤部材別に設けた各受台群毎に、もしくは、各
   受台の総てを一斉に定盤部材の長手方向にそつて
   移動させる移動装置とによつて構成されることを
   特徴とする可変式曲面定盤。