JPH0372426B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は部材の２面反転装置に関し、特に鋼材
の各種試験片製作工程において、フライス盤等汎
用工作機による２側面切削工程での試験片の自動
反転に利用して好都合な装置である。

以下本発明では部材として特に試験片の場合を
例として説明する。

（従来の技術） 従来の各種試験片の２側面の反転はすべて人手
によるものであつた。即ち、フライス盤等の汎用
工作機で複数の試験片の表裏面を加工するには、
バイス等の締結装置で試験片を固定し、片面を一
斉に切削加工した後、締結を解放して個々の試験
片を反転させ、再締結してから裏面加工をする。
この再締結時、工作精度を維持するために、一旦
個々分離した試験片の既加工面及びその一部を基
準面として、試験片の位置決め即ち再セツテイン
グが必要となる。この再セツテイングの作業で
は、試験片の形状寸法の各種の変化に対して基準
位置の変化が発生し、締結装置ではこの変化に対
応できる機能が必要となり、複数試験片を対象に
した場合、個々の試験片間の基準位置を一致させ
なければならない。しかも切削反力に抗するため
に、締結装置は堅固な構造が必要であり、構造的
制約が大きくなる。

これらの問題点から一定以上工作精度を維持し
つつ効率的に反転を可能とする装置の実現は困難
なため、自動化の必要性は言われていたが、自動
化機器の具体的提案は全くなされず、作業の自動
化、無人化の障害となつていた。

（発明が解決すべき問題点） 本発明は以上の如き従来法を抜本的に改善し、
各種試験片の２側面加工の反転作業を自動化、無
人化するに好適な装置の提供を目的とする。

（問題点を解決する手段） 本発明はこのような目的を有利に達成するため
なされたもので、その要旨とするところは、支持
体に支持され旋回自在な一対のアームと開閉機構
を備え内部に同一形状の複数個の部材を挾持する
水平方向にくし歯状とした複数本の部材挾持用ハ
ンド爪を配置したクランパーと、該クランパーを
回転自在に連結する反転機構と、該反転機構をア
ーム先端に昇降自在に連結する昇降機構とから構
成した旋回・挾持・反転・昇降自在なハンド部
と；該ハンド部のハンド爪と交合状態に係合可能
に上方に向つてくし歯状に形成した固定バイス爪
及び可動バイス爪を有し、該固定可動バイス爪間
に同一形状の複数個の部材を加圧保持可能に構成
した切削加工用部材収納バイスとを組合せたこと
を特徴とする部材の２面反転装置に関するもので
ある。

（作用） 本発明装置は特殊な爪構造を有する切削加工専
用の部材収納バイスと、支持体に支持され旋回自
在なアームに配置され部材を挾持し昇降・反転自
在なハンド部よりなり、ハンド部よりフライス盤
等工作機械のテーブルに固定された部材収納バイ
スに試験片を供給し、必要な機械加工を施した
後、再度ハンド部にて試験片を挾持し部材収納バ
イスから退避して試験片を反転し、再び部材収納
バイスに供給して他面の機械加工を行うので、複
数試験片を同時に反転できかつ試験片の位置決め
が不要で基準位置の変化も発生しない。

（実施例） 本発明の実施例を図面にもとずき説明する。

第１図はハンド部の詳細を示す平面説明図で、
図中２は支持体の軸、３ａ，３ｂは支持体に旋回
自在に配置されたアーム、４ａ，４ｂは該アーム
３ａ，３ｂの先端に後述する反転機構・昇降機構
で反転・昇降自在に配置されたクランパー、５ａ
及び５ｂはそれぞれクランパー４ａ及び４ｂの内
面に対向して固定配置されたハンド爪で図示の例
では各４本ずつ配置してある。６ａ，６ｂは一方
のクランパー４ｂの両端に他方のクランパー４ａ
に向けて突設した係合軸、７ａ，７ｂはクランパ
ー４ａの両端にそれぞれ前記係合軸６ａ，６ｂを
嵌合する如く形成した係合孔、８ａ，８ｂは本体
をクランパー４ａに固定されロツド先端をクラン
パー４ａの内面に接続されたシリンダである。該
シリンダ８ａ，８ｂを動作することにより、クラ
ンパー４ａ，４ｂは係合軸６ａ，６ｂをガイドと
して開閉し、内面に配置したハンド爪５ａ及び５
ｂによつて、試験片Ｓを挾持又は開放することが
可能である。ここに上記係合軸６ａ，６ｂ、係合
孔７ａ，７ｂ及びシリンダ８ａ，８ｂにて開閉機
構を構成している。

又、９ａ，９ｂはクランパー４ａをアーム３の
先端に回動自在に連結する回転軸、図の左側の１
０は回転軸９ａの軸受、１１は該軸受１０を固着
したブラケツト、１２ａはブラケツト１１の両端
を摺動自在に案内するためアーム３ａの先端に固
着されたレール、１３ａは該ブラケツト１１に接
続されたシリンダである。１４ａは回転軸９ｂに
固設されたギヤー、１４ｂはギヤー１４ａに歯み
合う駆動ギヤー、１５は駆動ギヤー１４ｂ及び回
転軸９ｂを軸支する軸受箱、１２ｂは該軸受箱１
５の両端を摺動自在に案内するためアーム３ｂの
先端に固着されたレール、１３ｂは軸受箱１５に
連結されたシリンダ、１６は空圧揺動アクチユエ
ータで軸受箱１５を介して駆動ギヤー１４ｂを駆
動し、歯合するギヤー１４ａを回転させることに
よつて回転軸９ａ，９ｂを中心にクランパー４
ａ，４ｂを一体的に180゜反転する働きをする。そ
してシリンダ１３ａ，１３ｂを作動させることに
よりクランパー４ａ，４ｂはレール１２ａ，１２
ｂをガイドとして紙面直角方向に昇降自在となつ
ている。

即ち、回転軸９ａ，９ｂ、軸受１０、歯車１４
ａ，１４ｂ、軸受箱１５、空圧揺動アクチユエー
タ１６にて反転機構を構成し、ブラケツト１１、
レール１２ａ，１２ｂ、シリンダ１３ａ，１３ｂ
及び軸受箱１５にて昇降機構を構成させてある。
しかして本発明の２面反転装置の本体であるハン
ド部は、以上の如き旋回自在な一対のアームに開
閉機構を備え対向するハンド爪を具備したクラン
パーと、反転機構及び昇降機構を組合せて構成し
てある。

第２図及び第３図は上記ハンド部と組合せて反
転に使用するほか、フライス盤等の加工機のテー
ブルに固定し試験片加工時試験片を加圧保持かつ
収納するバイスの１例を示す平面図及び断面図で
ある。

図中２０は匡体で切削反力を受けるため堅固な
構造としてある。２１は匡体２０に設けたレール
で可動バイス爪２３を摺動自在に案内する。２２
は固定バイス爪、２４は可動バイス爪２３を前進
後退させる油圧シリンダで匡体２０に固定配置し
てある。前記両バイス爪は上方に向つてくし歯状
形状をなし、このくし歯状形状部にハンド部のハ
ンド爪５ａ，５ｂが第４図に示す如く交合状態に
係合可能である。しかして匡体２０、固定バイス
爪２２、可動バイス爪２３、油圧シリンダ２４に
て部材収納バイスを構成している。

第４図は交合状態を示す部分説明図で、ハンド
部のハンド爪５ｂ，５ａ（図示略）に挾持された
試験片Ｓが匡体２０上面に供給されると、油圧シ
リンダ２４を作動させ可動バイス爪２３を固定バ
イス爪２２側へ前進させ、試験片Ｓを両バイス間
に加圧保持する。保持後ハンド部のハンド爪５
ａ，５ｂを開放し、クランパー４ｂ，４ａ（図示
略）を上昇させ係合を外して旋回させることによ
り試験片Ｓの受け渡しを行うものである。

以上説明した如く本発明はハンド部と部材収納
バイスとを組合せたものであり、試験片Ｓを複数
本まとめて同時に反転及び受け渡しが可能であ
る。

次に本発明装置の使用方法を説明する。第５図
は機械試験片製作工程における適用例を示し、ハ
ンド部のアーム３ａ，３ｂは支持体１に装着され
軸２を中心に旋回自在である。該アーム３ａ，３
ｂの先端には第１図に詳細構成を示した開閉・反
転・昇降自在なクランパー４ａ，４ｂが装着され
ている。３０は試験片供給コンベアで、４０はフ
ライス盤を示し、第２図及び第３図に詳細を示し
た部材収納バイスはフライス盤４０のテーブル上
に固定配置されている。

しかして第５図において、ハンド部のクランパ
ー４ａ，４ｂは、試験片供給コンベア３０に複数
本を１セツトにされた試験片Ｓの真上までアーム
３ａ，３ｂによつて旋回され、昇降機構のシリン
ダ１３ａ，１３ｂの起動により下降して試験片Ｓ
を第１図に示す油圧シリンダ８ａ，８ｂの起動に
よりハンド爪５ａ，５ｂ間に挾持する。挾持後ク
ランパー４ａ，４ｂはシリンダ１３ａ，１３ｂの
起動により上昇し、部材収納バイスの真上へ軸２
を中心に旋回し、シリンダ１３ａ，１３ｂを起動
して第４図に示すようにハンド爪とバイス爪を交
合状態にして試験片Ｓを部材収納バイス内に供給
する。供給された試験片Ｓはハンド爪５ａ，５ｂ
に挾持されたまま、該バイスの油圧シリンダ２４
を起動して可動バイス爪２３を前進させ固定バイ
ス爪２２との間に加圧保持される。しかして加圧
力が所定の圧力に到達すると、ハンド爪５ａ，５
ｂは油圧シリンダ８ａ，８ｂの起動により試験片
Ｓを開放し、シリンダ１３ａ，１３ｂの起動によ
り上昇し、軸２を中心に旋回して部材収納バイス
真上より退避する。

前記バイスで加圧保持された試験片Ｓはフライ
ス盤４０にて片面に所定の機械加工を受ける。そ
の後再びハンド部のクランパー４ａ，４ｂが部材
収納バイスの真上へ移動し下降して、ハンド爪５
ａ，５ｂとくし歯状バイス爪が交合状態となり、
ハンド爪５ａ，５ｂが試験片Ｓを挾持する。この
ときハンド爪５ａ，５ｂ及びバイス爪２２，２３
の両者が試験片を把持した状態となり、その後該
バイス爪２２，２３が油圧シリンダ２４の作動に
より試験片Ｓを開放してつかみ替えが行われる。

つかみ替えが終了すると、クランパー４ａ，４
ｂはシリンダ１３ａ，１３ｂの作動により上昇
し、アーム３ａ，３ｂの旋回によつて前記バイス
と干渉しない位置にて試験片Ｓを挾持したまま、
空圧揺動アクチユエータ１６の作動によつて180゜
反転させる。反転された試験片Ｓは前述のつかみ
替えと逆の順序で再び部材収納バイスへ供給す
る。この後試験片Ｓはフライス盤４０で反対面を
機械加工され、終了後クランパー４ａ，４ｂによ
り前記バイス内からとり出され旋回して試験片供
給テーブル３０上へ戻される。

（効果） 本発明に依れば、複数試験片は側面からの締結
力を失わないので、試験片相互の相対的位置関係
の変化がなく、一体の試験片として取り扱われる
ので、一斉ハンドリングによる能率向上と、個々
の試験片間の切削寸法のバラツキを減ずることが
できる。また多数本の試験片を機械的に処理でき
るので重量物取り扱い作業を減ずることができ
る。尚、部材として試験片を例に説明したが、試
験片に限定されるものでなく、同一寸法の各種部
材を同時に多数処理する場合に応用しうることは
明白である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図はハンド
部の詳細構成を示す平面説明図。第２図及び第３
図は部材収納バイスの構成を示す平面図及び断面
図。第４図はハンド爪とバイス爪の交合状態を示
す部分説明図。第５図は装置の構成並びに使用方
法を示す説明図。 １…支持体、２…軸、３ａ，３ｂ…アーム、４
ａ，４ｂ…クランパー、５ａ，５ｂ…ハンド爪、
６ａ，６ｂ…係合軸、７ａ，７ｂ…係合孔、８
ａ，８ｂ…油圧シリンダ、９ａ，９ｂ…回転軸、
１０…軸受、１１…ブラケツト、１２ａ，１２ｂ
…レール、１３ａ，１３ｂ…シリンダ、１４ａ，
１４ｂ…ギヤー、１５…軸受箱、１６…空圧揺動
アクチユエータ、２０…匡体、２２…固定バイス
爪、２３…可動バイス爪、２４…油圧シリンダ、
３０…試験片供給コンベア、４０…フライス盤。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 支持体に支持され旋回自在な一対のアームと
   開閉機構を備え内部に同一形状の複数個の部材を
   挾持する水平方向にくし歯状とした複数本の部材
   挾持用ハンド爪を配置したクランパーと、該クラ
   ンパーを回転自在に連結する反転機構と、該反転
   機構をアーム先端に昇降自在に連結する昇降機構
   とから構成した旋回・挾持・反転・昇降自在なハ
   ンド部と；該ハンド部のハンド爪と交合状態に係
   合可能に上方に向つてくし歯状に形成した固定バ
   イス爪及び可動バイス爪を有し、該固定可動各バ
   イス爪間に同一形状の複数個の部材を加圧保持可
   能に構成した切削加工用部材収納バイスとを組合
   せたことを特徴とする部材の２面反転装置。