JPH037096Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ナツト溶接装置に係わり、更に詳し
くは溶接装置に於ける被溶接物（ワーク）にナツ
トを溶接する際にワークの下穴とナツトの中心を
正しく合わせる手段の改善に関する。

［従来の技術］ 周知のとおり、被溶接物（ワーク）にナツトを
電気溶接する場が多い。具体的にはワークに下穴
を形成し、この下穴にナツトを合わせて上記のナ
ツトを溶接する装置である。

従来の装置は上下部電極の内、下部電極を固定
し、この下部電極にワークの下穴を嵌合しこの
後、ナツトを手作業又は供給フイーダーで上記の
下穴に供給し、この後上部電極を下動させてナツ
トと下穴の周辺を溶接する様にしている。

ワークの下穴とナツトは、夫々の中心が一致す
るように正しく溶接する必要があり、下穴とナツ
トの中心孔に溶接時にピンを挿通するべく、上部
電極の中心に昇降可能にロツド（ピン）を設置し
た構造（実公昭59−5508号）や、下部電極の中心
に、パイロツトピンをスプリングを介して突没可
能に設置した構造（実公昭56−14945号）が知ら
れている。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記従来技術の如く、溶接時に下穴とナツトの
中心孔にピンを挿通するようにすると、確かにワ
ークとナツトを正確に溶接することが可能であつ
たが、溶接を繰り返しているうちに、ピンのワー
ク下穴或いはナツトの中心孔への挿通が円滑にで
きなくなる問題点があつた。

上記ピンは、下穴とナツトの中心軸を合わせる
為に、下穴やナツトの中心孔に対して小さなクリ
アランスで直径が定められており、斯子ピンに溶
接時の溶接ストツドや下穴の加工バリ等が付着す
ると、下穴やナツトの中心孔への挿通が不可能と
なつて、ナツトの位置ズレを起すなどのドラブル
が発生し、装置の停止、ピンの清浄化等の処置が
必要となつていた。

本考案は上述の問題点に鑑みて成されたもの
で、ワークの下穴およびナツトの中心孔に挿通す
るピンに溶接スパツドや加工バリ等が付着するの
を回避できるナツト溶接装置を提供することを目
的としている。

又、本考案は、ピンの汚れを回避することによ
つて、円滑な溶接作業が、中断されることなく円
滑に進行できるナツト溶接装置を提供することを
目的としている。

［問題点を解決する為の手段］ 本考案は上記問題点を解決し、上記目的を達成
するため、以下の技術的手段を有するものであ
る。即ち基台２上に、上部電極４と下部電極５よ
り成る溶接電極３を有すると共に、該溶接電極３
によつて溶接せしめられる被溶接物８及びナツト
１８を支持する為のワーク受け９を有し、該ワー
ク受け９上のワーク８を上下方向位置決め手段に
よつて上記溶接電極３に対して上下方向に位置決
め可の機能を有する溶接装置に於いて、上記の上
下部電極は、ナツト取付用下穴１９が加工された
ワークにナツトを溶接する為の電極であつて、特
に本考案は、上記下部電極５は、ワーク８の下側
に当接する為の電極２１と、電極２１の中心孔よ
り突没可能に設置したガイドピン２２を備えてお
り、ガイドピン２２は、ナツト１８の中心孔に挿
入する為の細径部２２ａと、ワーク下穴１９に挿
入する為の太径部２２ｂを同一中心軸に沿つて有
しており、太径部２２ｂには更に電極２１に下側
に設けた環状の弁座３３と対向する環状の弁体３
２が設けてあり、かつ弁座３３と弁体３２で構成
される弁に対する圧縮空気供給路が形成してある
ことを特徴としている。

［作用］ 上記構成の溶接装置でワークとナツトの溶接す
る場合ワーク８をワーク受け９に支持させると共
に、このワークに設けたワーク下穴１９にナツト
１８をセツトする。

ワーク受け９によつて、ワーク８の上下方向位
置決めがされると、ワーク８の下側が下部電極５
の電極２１に当接する。この時、ガイドピン２２
を電極２１の中心孔より突出させると、太径部２
２ｂがワーク下穴１９に挿通され、細径部２２ａ
がナツト１８の中心孔に挿通され、ワーク下穴１
９とナツト１８の中心を正確に合致させることが
できる。この状態でナツト１８に当接させた上部
電極４とワーク８に当接させた下部電極５の間で
電流を流すと、ワーク８とナツト１８が溶接され
る。

溶接終了後、上記ガイドピン２２を電極２１の
中心孔より没入させると、太径部２２ｂに設けた
弁体３２と電極２１側に設けた弁座３３の弁が開
となり、ガイドピン２２に沿つて圧縮空気供給路
の圧縮空気が吹き出されるので、ガイドピン２２
に付着した溶接スパツドや、ワーク下穴１９に残
り勝ちな加工バリ等を吹き飛ばし、ガイドピン２
２は常時清浄に保たれる。

［実施例］ 以下本考案の好適なる実施例を添付図面に基き
詳述する。

第１図に於いて、１は溶接装置本体、２は溶接
装置本体を構成する基台を示す。該基台２上の一
側には溶接電極３があり、該溶接電極３は上部電
極４と下部電極５とを有し、これら上、下部電極
４，５は各々基台２上の一側に立設された支柱６
の一対のアーム部７，７に取付けられている。

上記上部電極４は任意の駆動手段により下部電
極５に正対して上下動可に設けられている。又、
上記基台２の他側には被溶接物（ワーク）８を支
持する為のワーク受け９が設けられている。この
ワーク受け９はワーク８を上記溶接電極３に対し
て左右方向（以下Ｘ軸方向という）、同前後方向
（以下Ｙ軸方向という）及び同上下方向（以下Ｚ
軸方向という）に移動させて、溶接加工要求位置
に位置決めする為の各Ｘ，Ｙ，Ｚ軸方向位置決め
手段を有している。

Ｚ軸方向位置決め手段として上記Ｘ軸方向移動
体１３上に、上記ワーク受け９に形成されている
複数の脚部９ａに対応する同数の軸筒部１４ａを
有するワーク受け台１４を設け、該ワーク受け台
１４と、これと組合うワーク受け９との間にスプ
リング１５を介装してワーク受けを支持させ、そ
の際該スプリング１５によりワーク受け９上のワ
ーク８を予め下部電極５によつて設定される溶接
加工要求高さＲより高い位置Ｐに揚持しておく
も、スプリング１５の縮みを利用して溶接加工要
求高さより高く位置するワーク８を溶接加工要求
高さＲまで引きさげて位置決め出来る様にしたも
のである。より詳しくは、上記スプリング１５
は、ワーク８の重さにより縮んで予め溶接加工要
求高さより高い位置Ｐにあるワーク８を引き下
げ、ワーク８の重さとスプリング１５の張力が均
り合うまで縮んだとき、ワーク８を溶接加工要求
高さＲ以下に位置させることなく溶接加工要求高
さＲに近い高さＱに位置させることができる１次
位置決め機能を有し、更に溶接加工要求高さＲに
近い高さＱに位置決めされたワーク８を溶接加工
要求高さＲまで引き下げて微調節することを可能
とする２次位置決め機能を有するものである。

同図に於いて１６はリフトシリンダーを示し、
該リフトシリンダー１６は、ワーク８をワーク受
け９上に載置する時、その作業を容易ならしめる
様にワーク受け９を支持する為のものであり、又
ワーク８をＸ，Ｙ軸方向に再移動させるときにワ
ーク８を電極が当らない様にワーク８をリフトさ
せる為のものであり、例えば図示する様にワーク
受け台１４に設ける。

以上は本考案の前提技術であり、本考案はこの
ようなナツト溶接装置において、下部電極５を次
のように構成するものである。即ち、下部電極５
は第６図に示したように、上記２次位置決め機能
によつて溶接加工要求高さまで引き下げられたワ
ーク８の下側に当接する電極２１と、Ｚ方向に伸
縮可能なナツト用ガイドピン２２を内蔵してい
る。ナツト用ガイドピン２２は連結軸２４を介し
て、シリンダー２６に内蔵されたピストン３１に
連結されている。ナツト用ガイドピン２２はシリ
ンダー２６に空気出入口２８または空気出入口２
９へ圧縮空気が供給されることにより、図中点線
図示のように電極２１の中心孔２１より突出（上
昇）させたり、実線図示のように没入（下降）さ
せたりできるようになつている。

上記ナツト用ガイドピン２２は、ナツト１８の
中心孔に挿入する為の細径部２２ａと、ワーク下
穴１９に挿入する為の太径部２２ｂを同一中心軸
上に連設した構造となつている。そして太径部２
２ｂには更に環状の弁体３２が連設してあり、上
記電極２１の下側に形成した環状の弁座３３と対
向して弁を構成するようになつている。又、上記
連結軸２４は、上記電極２１を支持する電極アダ
プタ２３およびチツプホルダ２５内を延び、上記
ピストン３１のロツドと連結されている。又、チ
ツプホルダ２５の側壁には空気入口３０が設けら
れて、弁体３２と弁座３３で構成される弁側に圧
縮空気を送るようになつている。

以下動作について説明する。

第１図、、第４図に示す様に所定の高さに下部
電極５を位置決めし、溶接加工要求高さＲを設定
する。そしてリフトシリンダー１６によりワーク
受け９を支持させ、ワーク受け９上に下穴が加工
されたワーク８を固定する。この時、ワーク８は
溶接加工要求高さＲより高い位置Ｐにある。（第
４図参照） この状態で、ワーク８をＸ，Ｙ軸方向に位置決
めする。上述のとおりワーク８は溶接加工要求高
さＲより高い位置Ｐにあるので、Ｘ，Ｙ軸方向の
位置決めは、ワーク８と電極（特に下部電極５）
がぶつかることなく適正に行うことが出来る。

Ｘ，Ｙ軸方向の位置決めが成された後Ｚ軸方向
の位置決めを行なう。まず、ワーク受け９を支持
しているリフトシリンダー１６を下降させる。こ
の時ワーク受け９及びワーク８の重量が、これら
を唯一支持するスプリング１５にのみ作用し、ス
プリング１５はスプリング１５の張力と、上記ワ
ーク８、ワーク受け９の重量と均り合うまで縮
み、この結果ワーク８は引き下げられる。スプリ
ング１５は上記ワーク側とスプリング１５がバラ
ンスしたとき、ワーク８を溶接加工要求高さ以上
に位置させることが出来る程度の張力を有するの
で、上記ワーク側とスプリング１５がバランスす
るとき、ワーク８は引き下げられる前の高さＰと
溶接加工要求高さＲとの間の高さＱに１次的に位
置決めされる。この状態を第２図、第４図に示
す。

次に、第３，４図に示す様に、上部電極４を下
動せしめる。上部電極４がワーク８上に乗せられ
たナツト１８に接触し１次的に位置決めされて溶
接加工要求高さＲと初めに位置していた高さＰと
の間の１次位置決め高さＱに位置するワーク８
は、スプリング１５により１次位置決め高さＱと
溶接加工要求高さＲとの偏差（Ｏ−Ｒ）がなくな
る様に微調節されながら溶接加工要求高さＲまで
引き下げられて２次的に溶接加工要求高さに位置
決めされる。

次に、第６図に点線で示したようにナツト用ガ
イドピン２２の上昇を行う。上昇は空気出入口２
８側に圧縮空気を供給して、ピストン３１を上昇
させることにより行うことができる。ナツト用ガ
イドピン２２を上昇させると、細径部２２ａがナ
ツト１８の中心孔に挿入されると共に、太径部２
２ｂがワーク８のナツト下穴１９に挿入されて、
ナツト１８とナツト下穴１９の中心が合致され
る。又、これと同時に、太径部２２ｂに設けた弁
体３２は弁座３３に当接して弁を閉じるので、空
気入口３０から送られる圧縮空気が遮断される。

この状態を維持して、上部電極４と下部電極５
間に溶接電流を流すと、ナツト１８とワーク８の
溶接が行なわれる。

溶接が完了した後は、上記と逆の動作を行なつ
て、ワーク８をワーク受け９から回収し、以下同
様の動作を繰り返す。

溶接完了後、ナツト用ガイドピン２２を下降さ
せる時は、空気出入口２９側に圧縮空気を供給す
る。ナツト用ガイドピン２２が下降すると、上記
閉の状態の弁の弁体３２が弁座３３より離れて開
となる。この結果空気入口３０から送られる圧縮
空気が、弁を通してナツト用ガイドピン２２側に
瞬間的に吹き出される。この吹き出された圧縮空
気によつて、下降しつつあるナツト用ガイドピン
２２は清浄化作用を受ける。即ち、このナツト用
ガイドピン２２には、常にナツト下穴１９の加工
バリや、溶接スパツドが付着して汚染し、ナツト
１８の中心孔やワーク下穴１９への挿通がスムー
ズにできなくなり、溶接作業の中断、清掃等が必
要となつていたものであつたが、上記圧縮空気の
吹き出しによつて、加工バリ、溶接スパツド等を
吹き飛ばしてナツト用ガイドピン２２を常に清浄
に維持することができる。従つて溶接作業の中
断、清掃等を不要とし、長時間、連続的に、かつ
円滑に進めることができる。

所で本考案に於いては第５図に示す様に１次位
置決め高さＱに位置するワーク８を上部電極４に
よることなく強制的に溶接加工要求位置Ｒまで引
き下げ可の引き下げシリンダー１７を予めワーク
受け９に設けておくことも可能である。即ち、極
く薄いワークやスプリングの張力より剛性の小さ
いワークを溶接する場合には、１次位置決め高さ
Ｑから更に溶接加工要求高さＲまで引き下げると
きに上部電極によるワークの変形、加圧不良等を
スプリングのみでは防止しきれない。

そこでワーク８を上部電極４で押し下げるので
はなく、強制的に上部電極４に代わつてワーク８
を溶接加工要求位置Ｒに引き下げ位置決めする必
要があるからである。

尚、本実施例では特にＺ軸方向の他Ｘ，Ｙ軸の
２方向にも位置決めすることが出来るもののみを
図示し例示したが、少なくともＺ軸方向位置決め
可のものであれば良く、他方向については特に限
定されるものではなく、ナツトの供給装置につい
ては従来通り、所定の位置にナツトが供給される
ものであれば、特に限定されるものではないこと
は勿論である。

［考案の効果］ 以上に説明した通り、本考案はナツト用ガイド
ピンが溶接終了時に下降する際に、圧縮空気を吹
き出させて加工バリ、溶接スパツド等を吹き飛ば
す構成としたのでナツト用ガイドピンを常に清浄
に保つ効果がある。この結果、ナツトの中心孔お
よびワークのナツト下穴への挿通を、常に円滑に
でき、ワークに対してナツトを正しい位置に溶接
できる効果があると共に、作業の中断等を無くし
て、連続して長時間の溶接作業を行うことができ
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第６図は実施例であり、第１図〜第３
図は溶接装置本体の部分断面を含む側面図であ
り、第１図は上下方向位置決め前、第２図は１次
位置決め時、第３図は２次位置決め時の状態を
夫々示している。第４図はワークの上下位置変化
を表すワーク受け周りの要部を示す図、第５図は
引き下げシリンダーを用いた溶接装置本体のワー
ク受け周りの図、第６図は下部電極の詳細図であ
る。 尚、図中１……溶接装置本体、２……基台、３
……溶接電極、４……上部電極、５……下部電
極、８……ワーク、９……ワーク受け、９′……
導電性ワーク受け、１４……ワーク受け台、１５
……スプリング、１６……リフトシリンダー、１
７……引き下げシリンダー、１８……ナツト、１
９……ワークの下穴、２１……ナツト用電極、２
２……ナツト用ガイドピン、２３……電極アダプ
タ、２４……連結軸、２５……チツプホルダ、２
６……空気シリンダー、２７……Ｏリング、２８
……空気出入口、２９……空気出入口、３１……
空気入口、３１……ピストンである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基台２上に、上部電極４と下部電極５より成る
   溶接電極３を有すると共に、該溶接電極３によつ
   て溶接せしめられる被溶接物８を支持する為のワ
   ーク受け９を有し、該ワーク受け９上のワーク８
   を上下方向位置決め手段によつて上記溶接電極３
   に対して上下方向に位置決め可の機能を有する溶
   接装置に於いて、上記の上下部電極は、ナツト取
   付用下穴１９が加工されたワークにナツトを溶接
   する為の電極であつて、上記下部電極５はワーク
   ８の下側に当接する為の電極２１と、電極２１の
   中心孔より突没可能に設置したガイドピン２２を
   備えており、ガイドピン２２は、ナツト１８の中
   心孔に挿入する為の細径部２２ａと、ワーク下穴
   １９に挿入する為の太径部２２ｂを同一中心軸に
   沿つて有しており、太径部２２ｂには更に電極２
   １の下側に設けた環状の弁座３３と対向する環状
   の弁体３２が設けてあり、かつ弁座３３と弁体３
   ２で構成される弁に対する圧縮空気供給路が形成
   してあることを特徴とするナツト溶接装置。