JPH036841Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は、エンジン駆動用発電機の電気負荷状
態に応じてエンジンの回転数を制御するエンジン
の回転制御装置に関する。

従来技術 一般に、電気負荷に対してバツテリおよびエン
ジン駆動用発電機が並列接続された車両用電源装
置にあつて、発電機の発電電圧がバツテリのフル
充電電圧（12V）以上の14V程度になるように設
定し、負荷に応じて最大15A程度の電流を供給す
ることができるようにしている。したがつて、そ
の発電機の発電量に比例した負荷トルクが常時エ
ンジン負荷としてかかつている。その際、発電機
駆動のためのエンジン負荷として、14（Ｖ）×15
（Ａ）＝210（Ｗ）の最大負荷がかかるとになる。

しかして、発電機の出力は電気負荷の使用状態
に応じて変化し、それに比例して発電機を駆動す
るエンジンの出力も変化してしまうことになる。
その変化は自動車巡航時のエンジン回転状態では
特に問題とならないが、アイドリング時にあつて
は大きな電気負荷が加わつているとエンジン回転
数の低下をきたしてエンジン不調につながり、つ
いにはエンジンストールに至つてしまうことにな
る。

そのため従来では、各種電気負荷の投入状態を
それぞれのオン信号により検知して負荷量をわり
出し、その投入負荷量が所定以上になつたときに
ソレノイドパルプを駆動してスロツトを開くこと
によりエンジンの回転数を所定にアイドルアツプ
させる手段をとるようにしている。

しかし、このような手段をとるのでは、各種電
気負荷ごとにそのオン、オフ状態をそれぞれ検知
するためのライン数が多大になつて配線処理およ
び断線などの点で問題を生じてしまうとともに、
後からアクセサリーで電気負荷を取り付けた場合
に対応することができないものになつてしまつて
いる。

目 的 本考案は以上の点を考慮してなされたもので、
各種電気負荷ごとにその投入状態を検知して負荷
量をわり出すことなく、車両用電源装置に投入さ
れている全電気負荷量をそのときの負荷電流を検
出することにより直接求め、その負荷電流に応じ
てエンジンのアイドルアツプの制御を行なわせる
ことができるようにしたエンジンの回転制御装置
を提供するものである。

構 成 以下、添付図面を参照して本考案の一実施例に
ついて詳述する。

本考案によるエンジンの回転制御装置にあつて
は、第１図に示すように、電気負荷１に対してバ
ツテリ２およびエンジン３によつて駆動される発
電機４が並列に接続された車両用電源装置にあつ
て、電気負荷１に供給される負荷電流ILを検出
する電流検出回路５と、その検出された電流値と
予め設定された基準値とを比較しながら投入され
た電気負荷量の大きさを判断し、その判断結果に
応じてアイドルアツプ、ダウンの制御指令を生ず
る判断回路６と、その制御指令に応じてエンジン
３のアイドルアツプ、ダウンを実行するアクチユ
エータ７とを設けることによつて構成されてい
る。

しかして、このように構成されたものにあつ
て、判断回路６における比較基準値として、電気
負荷１が大きくなつてアイドリング時におけるエ
ンジンの回転に不調をきたすときのスレツシヨル
ドレベル相当の値に設定しておき、電流検出回路
５によつて検出された負荷電流ILが基準値以上
になつたときに判断回路６により投入されている
電気負荷１が重くなつたと判断させてアクチユエ
ータ７にアイドルアツプの制御指令を与えるよう
にする。それに応じてアクチユエータ７は、ソレ
ノイドバルプを駆動してエンジンのスロツトルを
所定に開き、電気負荷１が重くなつてエンジン回
転数を上げる。

また、その際、電気負荷１が大きくなつてエン
ジンの回転数に不調をきたす程度にしたがつて多
段階にレベル設定された基準値をそれぞれ設定し
ておき、検出された負荷電流ILと各基準値とを
それぞれ比較させながら投入されている電気負荷
１が重くなつた程度を判断させて、その程度に応
じて段階的なアイドルアツプの制御指令をアクチ
ユエータ７に与えるようにすれば、高精度なアイ
ドルアツプの制御を行なわせることが可能とな
る。具体的には、例えば判断回路６に多段階に比
較基準値が設定されたウインドコンパレータを組
み込むことによつて実行される。

第２図は２段階にエンジンのアイドルアツプを
行なわせるようにしたときのアクチユエータ７の
一構成例を示すもので、判断回路６から出力され
る１段目のアイドルアツプ制御指令Ｃ１および２
段目のアイドルアツプ制御指令Ｃ２によりそれぞ
れドライバＱ１，Ｑ２を介してソレノイドパルプ
８，９を駆動し、それによりエンジンのスロツト
ル室１０からとり出した作動圧をダイヤフラム１
１の第１室１１１、第２室１１２にそれぞれ与
え、そのダイヤフラム１１の出力軸を通してスロ
ツトル１２の開度を段階的に調整させることがで
きるようにしている。なお、１段目のアイドルア
ツプ時には判断回路６から出力される制御指令Ｃ
１がハイレベル“Ｈ”，Ｃ２がローレベル“Ｌ”
となつてソレノイドバルプ８のみが駆動され、２
段目のアイドルアツプ時にはＣ１，Ｃ２ともに
“Ｈ”となつてソレノイドバルプ８，９が同時に
駆動されることになる。また、ダイヤフラム１１
の作動圧として、別途設けられた油圧源からの油
圧を用いるようにしてもよいことはいうまでもな
い。

さらに本考案では、段階的なアイドルアツプの
制御を行なわせる代わりに、無段階のリニヤ特性
をもつたアイドルアツプの制御を行なわせるよう
にすれば、より高精度な電気負荷の大きかに応じ
たエンジンの回転制御をなすことができるように
なる。具体的には、例えば判断回路６において電
流検出回路５によつて検出された負荷電流ILに
一定の比例定数をかける演算処理を実行させ、そ
の演算出力によつてリニヤモータを利用したアク
チユエータ７を駆動してエンジンのスロツトル開
度を直線的に調整させるようにすればよい。な
お、その際、エンジンのスロツトルの開度調整の
みならず、他の手段によつてエンジンの回転数を
上げるようにしてもよいことはいうまでもない。

なお、負荷電流ILに応じたアイドルアツプの
制御を行なわせる際、例えばエンジンのアイドリ
ング時にワイパーやシグナルランプなどの間欠負
荷が投入され、そのとき検出された負荷電流IL
が基準値の上、下間をいつたりきたりするような
場合が生じたとき、そのつどエンジンのアイドル
アツプ、ダウンが実行されて本来のエンジン回転
の安定化が図られなくなつてしまうことになる。

そのため本考案では第３図に示すように、特に
判断回路６の前段に電流検出回路５によつて検出
された負荷電流ILの変化から投入負荷の状態を
判定して、それが間欠負荷である場合にエンジン
のアイドルアツプが間欠的に行なわれないように
処理する負荷判定回路１３を設けるようにしてい
る。なお、この負荷判定回路１３を別途設けるこ
となく、それを判断回路６内に一体に組み込むよ
うにしてもよいことはいうまでもない。具体的に
は、その負荷判定回路１３はフイルタ回路からな
り、第４図に示すように、電流検出回路５によつ
て検出された負荷電流ILのフイルタ処理をなし
て、その負荷電流ILの変化が一定時間ｔ（例えば
15秒）以上続いたときにフイルタ出力を生じさ
せ、その一定時間ｔ内の負荷変動には応答しない
ようにさせる。また、負荷判定回路１３として、
第５図に示すように、負荷電流ILの変化状態を
一定時間ｔだけ保持させて出力させるホールド回
路が用いられる。さらに、タイマと禁止回路との
組合せからなるものを用いて、タイマの設定時間
ｔ内の負荷電流ILの変化には何ら応答しないよ
うに、禁止回路によりアナログ的なアンド処理を
行なわせるようにしてもよい。

効 果 以上、本考案によるエンジンの回転制御装置に
あつては、車両用電源装置の負荷電流を検出する
ことによつてそのときシステムに投入されている
全電気負荷量を容易かつ正確に求めることがで
き、その検出された負荷電流に応じてエンジンの
アイドルアツプの制御を高精度に行なわせること
ができるという優れた利点を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるエンジンの回転制御装置
の一実施例を示すブロツク構成図、第２図は同実
施例におけるアクチユエータの具体的な構成例を
示す簡略図、第３図は本考案の他の実施例を示す
ブロツク構成図、第４図および第５図は同実施例
における負荷判定回路での処理内容をそれぞれ示
す入出力特性図である。 １……電気負荷、２……バツテリ、３……エン
ジン、４……発電機、５……電流検出回路、６…
…判断回路、７……アクチユエータ、８，９……
ソレノイドバルプ、１１……ダイヤフラム、１２
……スロツトル、１３……負荷判定回路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 電気負荷に対してバツテリおよびエンジン駆
   動による発電機が並列に接続された車両用電源
   装置にあつて、バツテリの出力端子と発電機の
   出力端子との接続点と電気負荷との間に流れる
   負荷電流を検出する電流検出回路と、その検出
   された電流値から車両用電源装置に投入されて
   いる電気負荷の大きさを判断してアイドルアツ
   プの制御指令を出力する判断回路と、その制御
   指令に応じてエンジンの回転数を上げるアクチ
   ユエータとを設けることによつて構成されたエ
   ンジンの回転制御装置。 ２ 電流検出回路によつて検出された負荷電流の
   うちの間欠負荷による変動分を除去する負荷判
   定回路を設けたことを特徴とする前記第１項の
   記載によるエンジンの回転制御装置。 ３ 負荷判定回路が、間欠負荷による負荷電流の
   変動分を除去するフイルタ回路であることを特
   徴とする前記第２項の記載によるエンジンの回
   転制御装置。 ４ 負荷判定回路が、間欠負荷による負荷電流の
   変動分を平滑するホールド回路であることを特
   徴とする前記第２項の記載によるエンジンの回
   転制御装置。 ５ 負荷判定回路が、タイマ設定時間内の負荷電
   流の変化には応答しないようにして間欠負荷に
   よる変動分を除去する禁止回路であることを特
   徴とする前記第２項の記載によるエンジンの回
   転制御装置。 ６ 判断回路において、検出された負荷電流の値
   と予めアイドルアツプのしきい値として設定さ
   れた電流値とを比較して、負荷電流がしきい値
   以上に増大したときに段階的なアイドルアツプ
   の制御指令をアクチユエータに与え、アクチユ
   エータにおいてエンジンの回転数を多階階に上
   げるようにしたことを特徴とする前記第１項の
   記載によるエンジンの回転制御装置。 ７ 判断回路において、検出された負荷電流に一
   定の比例定数をかける演算処理をなして、無段
   階なアイドルアツプの制御指令をアクチユエー
   タに与え、アクチユエータにおいてエンジンの
   回転数を無段階に上げるようにしたことを特徴
   とする前記第１項の記載によるエンジンの回転
   制御装置。