JPH036833Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、屋外での作業用電源あるいは照明用
電源としての使用されるエンジン発電機に関し、
特に立軸エンジンの上側に発電機を配置したエン
ジン発電機に関する。

《従来技術》 一般に、立軸エンジンを使用しているエンジン
発電機では、発電機をエンジンの下側に配置して
いるのであるが、この場合、エンジンオイルが漏
れると、そのオイルが発電機内に入り込み絶縁劣
化をおこすうえ、エンジンによる起振位置がエン
ジン発電機全体としての重心より高い位置にくる
ので、エンジン発電機としての振動が大きくなる
という問題があつた。

そこで、本出願人は先に、エンジンの上側に発
電機を配置した立軸エンジン使用のエンジン発電
機を提案した（実開昭60−77727号公報）。

この実開昭60−77727号公報に示されたものは、
上部に冷却フアン収容室を配置した強制空冷式立
軸エンジンの上方に内部通風式の発電機をエンジ
ンの出力軸と発電機の入力軸が同一軸線上に位置
する状態で配置し、発電機のケーシング上部に吸
風口を形成するとともに、発電機ケーシングの下
面に排風口を形成し、吸風口から取入れた冷却風
を発電機内部を通してエンジン側に送風するよう
にし、エンジンと発電機との間に位置する冷却フ
アン収容室にリコイルスタータ機構を組込んでい
る。

《解決しようとする問題点》 前記従来のエンジン発電機では、ロータだけで
エンジンの回転慣性を得るようにしていたことか
ら、その慣性質量が小さく、回転速度に変動が生
じやすかつた。この結果、発生電圧が変動し、負
荷が電灯の場合にはチラツキが生じるという問題
があつた。

《問題点を解決するための手段》 本考案は、安定した回転速度を得ることができ
るコンパクトなエンジン発電機を提供するように
したもので、そのために、立軸エンジンの上側に
発電機を配設してなるエンジン発電機において、
クランクケースの上壁から突出しているエンジン
出力軸の先端部に発電機のロータ軸を連結連動さ
せ、このロータ軸７のエンジン寄り側端部に慣性
質量付加部材を固定し、質量付加部材の質量中心
を出力軸の端部よりもエンジン側に配置しことを
特微とするものである。

《作用》 本考案では、クランクケースの上壁から突出し
ているエンジンの出力軸に発電機のロータ軸を直
結連動させ、このロータ軸のエンジン寄り側端部
に慣性質量付加部材を固定しているので、ロータ
軸の慣性質量が増大して、回転速度が安定し、発
生電圧が安定する。

また、慣性質量付加部材はロータ軸のエンジン
寄り側端部に固定し、質量付加部材の質量中心を
出力軸の端部よりもエンジン側に配置してあるこ
とから、ロータ軸のねじれがないうえ、クランク
軸の往復慣性力との合成モーメントの発生を抑え
ることができ、しかも、慣性質量付加部材をクラ
ンクケース上壁に接近させて配置することがで
き、エンジン発電機の全高を低く維持することが
できる。

《実施例》 図面は本考案の実施例を示す縦断面図である。

このエンジン発電機は、クランク軸１を鉛直方
向に配置した立軸エンジン２と、この立軸エンジ
ン２におけるクランクケース３の上面壁４上に配
置した内部通風式の交流発電機５、及び発電機５
の上側に配置したリコイルスタータ機構Ｒとから
なつている。

立軸エンジン２のクランク軸１は、その下端部
がオイルパン部材６に枢着されており、その上端
部はクランクケース３の上面壁４を貫通して、ク
ランクケース３外に突出することにより出力軸に
なつている。また、クランク軸１の突出上端のテ
ーパー部には、発電機５のロータ軸７が外嵌固定
してあり、ロータ軸７の上端部には吸込式の遠心
フアン８が固着してある。

一方、発電機５のステータ９はエンジンのクラ
ンクケース上面壁４から一体に連出したステータ
支持枠１０に位置決め固定されている。

このように、ステータ９をクランクケースと一
体に形成したステータ支持枠１０に支持させる
と、ロータ１１のコアとステータ９のコアとの心
ずれを小さくすることができるので、ロータのコ
アとステータのコアとの間の隙間を小さく、かつ
均一にでき、発電効率を高めることができること
になる。

ロータ軸７の先端に固定した冷却フアン８は、
そのブレード部１２の内径がステータ９の外径よ
りも大きく形成してあり、冷却フアン８の回転に
よる吸引力で、ステータ９の内外に冷却風を下か
ら上に向けて流通させ、発電機５を強力に冷却す
ることができる。また、冷却フアン８の上面に
は、リコイルスタータ１３の係止爪が係脱するス
タータプーリ１４が一体に形成してある。

発電機５とクランクケース３の上壁４との間に
は、回転慣性力を増大させるための円盤状質量付
加部材１５が質量の主要部をクランク軸１の上端
よりもエンジン２側に配置してあり、この質量付
加部材１５はロータ軸７の基端部に外嵌固定して
ある。質量付加部材１５をロータ軸７の基端側に
固定すると、クランク軸１とロータ軸７との固定
力の低下を防止したうえで、質量付加部材１５を
クランクケース側に可及的に接近させることがで
き、発電機５の突出高さを抑えて、エンジン発電
機全体としての高さを低く形成することができ
る。また質量付加部材１５がロータ軸７基端側に
固定されることにより、軸のねじれを少なくする
ことになる。

発電機５部分の外周は、導風ケースを兼ねる化
粧カバー１６で覆つてあり、この化粧カバー１６
内は区画板１７により、点火ユニツトや発電機用
コンデンサ等の電気部品収容室１８、燃料タンク
１９の収容室２０、ステータ９の収容部２１、及
び冷却フアン８を取囲むスパイラル室２２に区画
形成されている。

そして、スパイラル室２２は、その中心部でス
テータ収容部２１に連通し、化粧カー１６の周側
壁の一部に開口形成した排風口でカバー外に連通
している。

燃料タンク収容室２０には、縦長容器で形成し
た燃料タンク１９が配置してある。したがつて、
その燃料の平面面積を小さくすることができ、傾
斜時や「ゆれ」に対して上下方向への油面変動が
少なくなり、燃料タンク１９の蓋部に設けたエア
ベント部からの燃料の漏れ出しを少なくすること
ができる。

なお、符号２３はコントロールパネル、２４は
マフラである。

《効果》 本考案では、クランクケースの上壁から突出し
ているエンジンの出力軸に発電機のロータ軸を直
結連動させ、このロータ軸のエンジン寄り側端部
に慣性質量付加部材を固定しているので、慣性質
量が増大して、回転速度が安定し、発生電圧が安
定する。これにより、電灯等の電源として用いて
も、電灯がチラ付くのを防止することができる。

また、慣性質量付加部材はロータ軸のエンジン
寄り側端部に固定し、質量付加部材の質量中心を
出力軸の端部よりもエンジン側に配置してあるこ
とから、ロータ軸のねじれがないうえ、クランク
軸の往復慣性力との合成モーメントの発生を抑え
ることができ、ロータ軸を振動させずに安定して
回転させることができる。

しかも、慣性質量付加部材をクランクケース上
壁に接近させて配置することができ、エンジン発
電機の全高を低く維持することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す縦断面図である。 １……エンジンの出力軸、２……立軸型エンジ
ン、３……クランクケース、５……発電機、７…
…ロータ軸、１５……慣性質量付加部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 空冷立軸エンジン２の上側に作業用発電機５
   を、そのロータ軸７がエンジン出力軸１に同心連
   結する状態で配置したエンジン発電機において、 クランクケース３の上壁から突出しているエン
   ジン２の出力軸１に発電機５のロータ軸７を直結
   連動させ、 このロータ軸７のエンジン寄り側端部に慣性質
   量付加部材１５を固定し、 質量付加部材１５の質量中心を出力軸１の端部
   よりもエンジン側に配置したことを特微とするエ
   ンジン発電機の回転安定装置。