JPH0366509B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はデイーゼルエンジンに燃料を供給する
燃料噴射装置に関するものである。

近年、デイーゼルエンジンの燃焼特性を向上さ
せる為、燃料の噴射圧力を高めることが要求され
てきている。即ち、従来の列型噴射ポンプでは噴
射圧力が700気圧程度であつたのをそれ以上に引
き上げることが要望されている。そのため、エン
ジンと同期する圧送プランジヤによつて油圧を発
生させ、その油圧で噴射プランジヤを駆動し、以
つて噴射ポンプ室内の燃料を噴射ノズルへ送り出
すという装置が提案されている。

この装置ではエンジンの運転状態に合わせて噴
射燃料量を制御することが必要となつている。即
ち、アクセルの踏み込み量が大きい時、高負荷時
には噴射燃料量を増し、逆に低負荷時には噴射燃
料量を減らす必要がある。

従つて、本発明の目的は上記装置に於て噴射燃
料量をエンジンの運転状態に応じて適確に制御で
きるようにすることにある。

その為本発明では噴射ポンプ室に供給される燃
料量を燃料調量ポンプによつて調量することによ
つて噴射量を制御しており、かつ、噴射ポンプ室
に供給される燃料量は調量手段を有する燃料調量
ポンプの分配プランジヤによつて順次均等に分配
供給され、さらに、圧送開始タイミングは圧送ポ
ンプ室と低圧側とを連通する排出通路をタイミン
グ弁で閉じることで行うようにしている。

以下、本発明を図に示す実施例について説明す
る。

第１図及び第２図において、１ｂは噴射シリン
ダで、このシリンダ１ｂ内には噴射プランジヤ１
ａが摺動自在に嵌合されている。また、噴射シリ
ンダ１ｂと一体に組みつけられた圧送シリンダ２
ｂ内には、噴射プランジヤ１ａより大径の圧送プ
ランジヤ２ａが摺動自在に嵌合されている。そし
て圧送プランジヤ２ａはその背面がフオロア９に
係合しており、図示しないカムによつて下方に駆
動され、フオロアスプリング８によつて上方に押
し上げられるようになつている。

圧送シリンダ２ｂにはフイードポート３１、及
びタイミングポート３０が開口しており、一方圧
送プランジヤ２ａにはタイミングポート３０を開
閉するタイミングリード７０及びフイードポート
３１を開閉する第２スピルリード７３とが形成さ
れ、さらに圧送ポンプ室６８と環状溝６７とを連
絡する縦孔６５及び横孔６６が形成されている。
１１はエンジンによつて駆動される第２フイード
ポンプ１１で、このポンプ１１によつてタンク５
７の燃料が送り出される。燃料は安全弁１３によ
り最高圧力を規定されて燃料供給通路５０を介
し、前記フイードポート３１から圧送ポンプ室６
８に供給される。圧送ポンプ室６８内の燃料はタ
イミングポート３０より燃料排出通路５１、タイ
ミング逆止弁２７、タイミングオリフイス２０及
びタイミング電磁弁１９を介してタンク５７へ排
出される。

又、噴射シリンダ１ｂにはスピルポート３３と
ドレインポート３４とが開口しており、噴射プラ
ンジヤ１ａにはスピルポート３３を開閉するスピ
ルリード７１とドレインポート３４を開閉するド
レインリード７２とが形成され、さらに噴射ポン
プ室６１と環状溝６４とを連絡する縦孔６２及び
横孔６３が設けられている。

噴射シリンダ１ｂの下方はノズルホルダ６が配
設されており、ノズルホルダ６、圧送シリンダ２
ｂ、噴射シリンダ１ｂはホルダーナツト１００で
一体的に組付けられている。そして、噴射プラン
ジヤ１ａはノズルホルダ６により下方への動きが
規制され、噴射プランジヤストツパー７により上
方への動きが規制されるようになつている。６１
は噴射シリンダ１ｂの出口部に設けられた噴射ポ
ンプ室で、噴射シリンダ１ｂとノズルホルダ６と
に囲まれて形成されている。

１０はエンジンにより駆動される第１フイード
ポンプで、このポンプ１０から供給される燃料は
カツトオフ電磁弁２２、燃料調量ポンプ２３、調
量逆止弁５、調量通路５３、調量弁３を介して噴
射ポンプ室６１に導入される。そして、この噴射
ポンプ室６１は、メタリングポート３２、ノズル
ホルダ６内の調量弁スプリング室５８及び燃料圧
送通路５６を介してノズル４に連絡されるように
なつている。尚、調量弁スプリング室５８には調
量弁３と調量弁スプリング９０とが設置されてい
る。

本例では上述の燃料調量ポンプ２３としていわ
ゆる分配型ポンプを採用している。即ち、第１図
に於て、２４はエンジンと同期して回転駆動され
るフエースカム２４で、図示しない固定カムと係
合して回転と共に往復動するようになつている。
２５はフエースカム２４の駆動力を受けて分配シ
リンダ１８内を往復動する分配プランジヤで、分
配シリンダ１８とプランジヤ２５との間にポンプ
室４２が形成される。また、分配プランジヤ２５
にはポンプ室４２と連通する吸入溝３５、吐出ポ
ート３９と連通する吐出溝３６、スピル通路４０
と連通するスピル環状溝３７及びポンプ室４２と
吐出溝３６、スピル環状溝３７とを連通する燃料
孔４１が形成されている。スピル通路４０はスピ
ルリング２６に形成されており、かつ、スピルリ
ング２６は自動車アクセルの踏み込み量やエンジ
ン回転数に応じてスライドするようになつてい
る。

この分配管ポンプは従来よりデイーゼルエンジ
ンの燃料噴射用に用いられてきたものと同じ構造
であり、従つて、ポンプ内には第１フイードポン
プ１０及びエンジン停止時に燃料供給を停止する
カツトオフバルブ２２が一体に組み込まれてい
る。

なお、前述のノズル４はリテーニグナツト１０
１でノズルホルダ６に一体的に組み付けられるよ
うになつている。このノズル４は針弁４ａによつ
て噴孔を開閉する公知の型式のもので、ノズルホ
ルダ６内のノズルスプリング２１によつて針弁４
０が閉弁方向に付勢される。ノズルスプリング室
６９は連絡通路５９を介してドレイン通路５５に
連絡される。ドレインポート３４もこの通路５５
に連絡され、通路５５は排出通路５２を介してタ
ンク５７へ接続される。

次に作動を説明する。

まず、圧送プランジヤ２ａ、噴射プランジヤ１
ａが上死点にある場合であるが、この状態では後
述する燃料調量ポンプ２３の作用で噴射ポンプ室
６１には噴射量に応じた所定量の燃料が充填さ
れ、また圧送ポンプ室６８内は第２フイードポン
プ１１より送られて来た燃料が充満している。そ
の後圧送プランジヤ２ａが図示しないカムの作動
を受けて上死点より下降すればその下降に従つ
て、圧送ポンプ室６８内の燃料はフイードポート
３１、タイミングポート３０から排出される。

そして、まずタイミングリード７０がフイード
ポート３１を閉じると燃料はタイミングポート３
０だけから出されることになる。しかしタイミン
グポート３０より燃料を排出する燃料排出通路５
１中にはタイミング電磁弁１９が配設されてい
て、エンジンの回転数、負荷等に応じた最適の噴
射時期が得られるような時期にこのタイミング電
磁弁１９が閉じるようになつている。電磁弁１９
が閉じてタイミングポート３０からの燃料の排出
が停止されると、圧送ポンプ室６８の燃料は高圧
となり、噴射プランジヤストツパ７の開孔７ａを
通つて噴射プランジヤ１ａの背面に印加する。そ
の為噴射プランジヤ１ａは圧送プランジヤ２ａと
噴射プランジヤ１ａとの受圧面積比分だけ増速し
た速度で駆動される。

尚、タイミング電磁弁１９のシート部はタイミ
ング逆止弁２７とタイミングオリフイス２０を介
して圧送ポンプ室６８の高圧燃料を受けるように
なつており、その為電磁弁１９のシートに働く力
は小さくて済み、駆動電磁力は小さくて済むよう
になつている。また最も遅角させて噴射させるの
に必要な位置にタイミングポート３０を開孔して
いるため、圧送ポンプ室６８内の燃料圧力が高圧
になる前にタイミングポート３０はタイミングリ
ード７０で閉じられる。そのため高圧燃料は、電
磁弁１９に負荷されず電磁弁１９は強度上、充分
に保護され破壊されることはない。尚、電磁弁１
９はタイミングポート３０が閉じた時点で通電が
断たれ、通路３０ａを開くようになつている。

さて、タイミングポート３０が閉じると噴射プ
ランジヤ１ａは圧送ポンプ室６８の圧力に駆動さ
れ噴射ポンプ室６１の圧力を上昇させる。圧送プ
ランジヤ２ａがさらに下降して噴射ポンプ室６１
の圧力がノズル４の開弁圧に達すると針弁４ａを
ノズルスプリング２１に抗して押し上げノズル４
から燃料を噴射開始する。この時の燃料噴射圧は
非常に高い圧力になるように設定されている。

引き続き圧送プランジヤ２ａが下降し噴射を続
けるが、噴射プランジヤ１ａのスピルリード７１
がスピルポート３３を開孔すると、噴射ポンプ室
６１内の高圧燃料は縦孔６２、横孔６３、環状溝
６４及びスピルポート３３を介してスピル通路５
４を通り調量通路５３へ戻され、その結果、噴射
ポンプ室６１の燃料圧力が下り噴射は終了する。
圧送プランジヤ２ａはその後もさらに少し下降し
て噴射プランジヤ１ａを駆動し、ドレインリード
７２がドレインポート３４を開孔させて、圧送ポ
ンプ室６８内の高圧燃料をドレイン通路５５、排
出通路５２を介してタンク５７へ排出し、この時
点で噴射プランジヤ１ａの駆動は一度停止する。
しかし、圧送プランジヤ２ａはその後も更に下降
して圧送シリンダ２ｂのフイードポート３１をス
ピルリード７３が開孔して、フイードポート３１
からも圧送ポンプ室６８内の燃料を排出し、その
後さらに少し下降して、圧送プランジヤ２ａは下
死点に至り停止する。

調量通路５３へ一度スピルされた燃料はスピル
ポート３３あるいは調量弁３から噴射ポンプ室６
１へ逆流し毎回くり返し利用され調量効率を高め
ている。

さて、圧送プランジヤ２ａが下死点より上昇を
開始すると、まずフイードポート３１がスピルリ
ード７３によつて閉じられる。すると調量ポンプ
２３で加圧された燃料が噴射ポンプ室６１内へ供
給され、それによつて噴射プランジヤが図中上方
へ移動される。ここで、噴射ポンプ室６１内に供
給される燃料量はエンジンの運転状態に応じて必
要量が可変するため、本発明では、エンジンの運
転状態に応じて調量ポンプ２３の吐出量が制御さ
れるようになつている。即ち、エンジンが高負荷
時には多量の燃料がポンプ室６１内へ供給され、
逆にエンジンの低負荷時には供給燃料量を減少す
るようになつている。

この時燃料調量ポンプ２３は次の様に作動す
る。

即ち、第１フイードポンプ１０から供給される
燃料が運転時は開放しているカツトオフ電磁弁２
２を通つて、燃料調量ポンプである分配型ポンプ
２３のポンプ室４２に導入される。そしてエンジ
ンと同期して回転し駆動されるフエースカム２４
によつて分配プランジヤ２５が往復駆動され、フ
イードポート３８が吸入溝３５により閉じられる
と、ポンプ室４２内の燃料は圧力が高まつて、分
配プランジヤ２５内の燃料孔４１を通り、吐出溝
３６より吐出される。吐出された燃料は吐出ポー
ト３９、調量逆止弁５、調量弁３をそれぞれのス
プリング９１，９０を押し開けて流れ、噴射ポン
プ室６１へ送り込まれる。

ここでこの燃料調量ポンプ２３ではスピル環状
溝３７がスピルリング２６内のスピル通路４０と
連通するまで分配プランジヤ２５が駆動される
と、ポンプ室４２内の燃料がスピル通路４０を通
つてタンク５７へ排出され、それによつて燃料の
供給が停止されるようになつている。すなわち吐
出燃料量は吸入溝３５がフイードポート３８を閉
じてから、スピル環状溝３７がスピル通路４０を
開くまでの分配プランジヤ２５の圧送ストローク
分であり、この量は、スピルリング２６を左右に
摺動させて、スピル通路４０が開く位置を変える
ことによつて制御される。そして、スピルリング
２６はアクセルの踏み込み量やエンジンの回転数
に応じて摺動するようになつている為、ポンプ２
３より送り出される燃料量は常にエンジンの運転
状態に応じた最適値に制御される。

そして噴射ポンプ室６１に送り込まれた燃料に
より噴射プランジヤ１ａが押し上げられる。尚、
この時燃料調量ポンプ２３より噴射プランジヤ１
ａ内に送り込まれた燃料の圧力は10〜20気圧程度
に設定されている。

圧送プランジヤ２ａがさらに上昇してフイード
ポート３１を再び開孔すると第２フイードポンプ
１１から、圧送ポンプ室６８に燃料が供給され
る。圧送プランジヤ２ａはさらに少し上昇して上
死点に至り停止する。そして圧送プランジヤ１ａ
が再び下降を開始して、以後この作動をくり返
す。

以上の説明より明らかなように本発明では噴射
ポンプ室６１に供給される燃料量を調量すること
によつて噴射燃料量を制御しており、また、圧送
ポンプ室６８の昇圧開始時期を制御することによ
り噴射時期を制御するようになつている。そして
本発明では、両ポンプ室６１，６８にはノズル４
からの高噴射圧が、直接印加されないようになつ
ており、その為安定した噴射量及び噴射時期が得
られるようになつている。

本発明によれば、燃料調量ポンプの調量手段に
よつて噴射ノズルから噴射される燃料噴射量をエ
ンジンの運転状態に応じて制御することができる
とともに、調量された燃料を分配プランジヤによ
つて各々の噴射ポンプ室へ均等に燃料を供給する
ことができるので、その制御性が大幅に向上す
る。また、タイミング弁で圧送ポンプ室の圧送開
始タイミング、すなわち噴射プランジヤによる噴
射ポンプ室の圧送開始タイミングを制御すること
ができ、噴射量および噴射時期を燃料調量ポンプ
およびタイミング弁によつて各々独立に制御して
いるのでその制御がきわめて容易になされる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の一実施例を示す構成図、
第２図は第１図図示装置の断面構成図である。 １ａ……噴射プランジヤ、１ｂ……噴射シリン
ダ、２ａ……圧送プランジヤ、2b……圧送シリ
ンダ、４……ノズル、１８……分配シリンダ、２
３……燃料調量ポンプ、２５……分配プランジ
ヤ、２６……スピルリング、６１……噴射ポンプ
室、６８……圧送ポンプ室。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 圧送シリンダ内に嵌挿されエンジンと同期し
   て往復動する圧送プランジヤと、 この圧送プランジヤの往復動により圧力が発生
   される圧送ポンプ室と、 噴射シリンダ内に嵌挿され前記圧送ポンプ室内
   の圧力によつて駆動される噴射プランジヤと、 この噴射プランジヤの往復動によつて圧力が発
   生される噴射ポンプ室と、 エンジンと同期して駆動されるカムと、このカ
   ムの駆動力を受けて分配シリンダ内を往復動する
   分配プランジヤと、このプランジヤから圧送され
   る燃料量を調量する調量手段とを有し、エンジン
   の運転状態に応じて燃料量を調整して各々の前記
   噴射ポンプ室へ順次分配供給する燃料調量ポンプ
   と、 前記圧送ポンプ室に燃料を供給するフイードポ
   ンプと、 前記圧送ポンプ室と低圧側とを連通する排出通
   路を所定のタイミングで閉じることで前記圧送ポ
   ンプ室の圧送開始タイミングを制御するタイミン
   グ弁と、 前記噴射ポンプ室内の燃料をエンジン内へ噴射
   する燃料噴射ノズルとを備えることを特徴とする
   燃料噴射装置。