JPH0366439B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔技術分野〕 本発明は、静電気発生防止性や電磁波シールド
性の高い導電紙積層体に関するものである。 〔従来技術〕 従来、静電気発生防止用の紙として、炭素繊維
や金属繊維をパルプを抄紙したものが知られてい
るが、いずれもコスト高であるという欠点を有す
る。 近年、電子機器の小型化、精密化が進み、それ
らのパツケージや筐体材料はプラスチツクが殆ん
どである為、電磁波を透過する。このために、電
子機器から発生する電磁波による誤動作、ノイズ
が大きな問題となつている。また、ICやLSI等の
半導体素子は静電気放電による破損が生じ易い。
さらに磁気テープやカード、フロツピーデイスク
等の磁気記録では、静電気放電や電磁波によつて
記録が消失する事故が起きている。それらの対策
として、導電性を有する紙をパツケージ材料とし
て用いたり、あるいはこれを電子機器の筐体内面
に貼り付けて用いることが考えられるが、従来、
このような目的に適合し得る安価な導電紙は未だ
開発されていない。 〔目的〕 本発明は、前記のような事情に鑑み、静電気発
生防止性にすぐれ、また電磁シールド性の高い導
電紙積層体を提供することを目的とする。 〔構成〕 本発明によれば、パルプ繊維20〜60重量％と金
属化率40〜80重量％の導電性金属被覆繊維80〜40
重量％からなるなる紙層繊維を主成分とする紙料
を抄紙して形成した紙層の少なくとも一方の面
に、非導電性の繊維層を積層された構造を有する
ことを特徴とする導電紙積層体が提供される。 本発明で用いる導電性金属被覆繊維は、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポ
リオレフイン等の各種の高分子重合体又は共重合
体繊維や、セルロース繊維等の天然有機高分子繊
維を、導電化処理して得られるものである。この
場合、導電化処理としては、従来公知の種々のも
のが適用され、例えば、無電解めつき法により、
ニツケル、銀、銅、コバルト等の導電性金属（合
金を含む）を被覆する方法や、金属蒸着法等の各
種の方法があり、前記有機繊維に導電性金属を被
覆し得る方法であればよい。導電性金属被覆繊維
の金属化率は、通常40〜80重量％程度である。 本発明で必要に応じて用いる導電性金属被覆マ
イカにおいて、そのマイカとしては従来公知のも
の、例えば、フロゴパイト（金雲母）、マスコバ
イと（白雲母）、バイオタイト（黒雲母）、セリサ
イト（絹雲母）等の天然産の鱗片状マイカ鉱物の
他、合成雲母等が挙げられ、また、その導電性金
属としては、ニツケル、銀、銅、コバルト等の各
種の金属及びそれらの合金が挙げられる。マイカ
に被覆される導電性金属量は、導電性金属被覆マ
イカに対し、20〜80重量％程度である。また、こ
の導電性金属被覆マイカは、その分散性や密着性
を改良するために、界面活性剤や、カツプリング
剤等の表面改質剤を用いて表面処理を施すことが
でき、また、金属の防錆や防酸化のため、防錆剤
や酸化防止剤による表面処理を施行すこともでき
る。マイカに対する導電性金属の被覆方法として
は、無電解めつき法、電気めつき法、スパツタリ
ング法、真空蒸着法、イオンプレーテイング法等
の各種の方法を採用することができる。 本発明の導電紙における紙層繊維原料として
は、前記導電性金属被覆繊維とともに、パルプ繊
維が用いられる。紙層繊維中のパルプ繊維の割合
は20〜60重量％であり、導電性金属被覆繊維の割
合は40〜80重量％である。 本発明に導電紙を製造するには、通常の抄紙法
に従つて、パルプ繊維と、導電性金属被覆繊維か
らなる紙層繊維及び必要に応じて用いられる導電
性金属被覆マイカ（以下、単に導電性マイカとも
いう）を主成分もする紙料を、水中に分散させ、
抄紙すればよい。この場合、導電性金属被覆繊維
の寸法は、40μｍ〜５mm、好ましくは0.1〜１mm程
度である。また、導電性金属被覆マイカの粒径
は、抄紙上、40μｍ〜250μｍの範囲に規定するの
が好ましく、その粒径が40μｍより小さくなる
と、抄紙に際して、抄き網を通過する導電性マイ
カ粉の量が多くなり、一方、250μｍを超えるよ
うになると、繊維と導電性マイカの混合状態に不
均一性が生じるようになる。 本発明において必要に応じて用いられる導電性
金属被覆マイカの添加量は、前記パルプ繊維と導
電性金属被覆繊維と導電性金属被覆マイカとの合
計量に対し、通常、５〜80重量％、好ましくは20
〜60重量％である。 本発明において、紙層繊維及び必要に応じて用
いられる導電性マイカを含む紙料を抄紙する場
合、各紙料成分の結合性を高めるるために、変性
デンプン、植物ガム、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹
脂等のバインダーを添加することができ、また、
必要に応じ、その他の慣用の補助成分、例えば、
硫酸アルミニウム、炭酸カルシウム、クレー等の
填料、その他を添加することができる。 前記のようにして得られる単層の導電紙は、従
来のパルプ繊維のみからなる紙に比べて引張強さ
に劣るとともに、紙層中に含まれる微細な導電性
金属被覆繊維や微細な導電性金属被覆マイカが紙
層から脱離するという問題がある。従つて、本発
明では、このような問題を解決するために、その
紙層の少なくとも一方の面に、非導電性の繊維層
を積層されて積層体構造とする。この場合、非導
電性の繊維層としては、パルプ繊維や合成繊維が
用いられ、その積層方法としては、抄紙法や接着
法が用いられる。本発明の導電紙積層体にポリ塩
化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
エステル、ポリアミド等のプラスチツクフイルム
をラミネートしたものは、そのプラスチツクフイ
ルムの熱融着性を利用したヒートシール性の導電
紙積層体として用いることができる。 〔効果〕 本発明の導電紙積層体は、紙層繊維中に導電性
有機繊維を分散含有させたことにより、良好な導
電性を有するものであり、すぐれた静電気発生防
止性と電磁波シールド性を示す。従つて、本発明
の導電紙積層体は、フロツピーデイスク用の袋や
収納箱、各種電子機器用筐体の表面素材及びIC
やLSI等の半導体素子用包装材料として有利に用
いることができ、しかもそのコストは安い。 〔実施例〕 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。 参考例 ポリエステル繊維（直径15μｍ）を約0.5mmに切
断し、その表面に通常の方法で無電解ニツケルめ
つきし、金属化率67％の導電性ポリエステル繊維
を得た。 また、平均粒子径50μｍのフロゴパイトマイカ
（密度2.89ｇ／cm³）に通常の方法で無電解ニツケ
ルめつきし、密度約4.60ｇ／cm³のニツケル被覆マ
イカを得た。 このようにして得た導電性有機繊維とニツケル
被覆マイカと針葉樹晒クラフトパルプ（NBKP）
を紙料成分として用い、これを一枚紙を抄く毎
に、手抄き機の円筒容器に入れ、JIS規格（JIS
Ｐ−8209）に従つて抄紙した。この場合、パルプ
（NBKP）としては、PFIミルを用いて700回叩解
しもの（カナデイアン−フリーネステスト370ml）
を用いた。また、密度及び厚さ（JISP8118）の
紙質試験もJIS規格に従つた。 抄紙された単層構造の紙について、表面抵抗
（Ω／□）と、4GHzにおける管内法で電磁波透過
損失（dB）をそれぞれ測定し、その導電性と電
磁波シールド性をそれぞれ評価した。その測定結
果を、各抄紙サンプルについて第１表に示す。 また各抄紙サンプルについては、さらに
ASTM ES7−83による近接界における電解シー
ルド測定治具（エレクトロメトリツク社製、
NFC−1000）を用いて周波数特性を測定し、そ
の結果を第２表に示す。

【表】 ＊ 参考例

【表】 ＊ 参考例
前記第１表及び第２表に示した結果からわかる
ように、本発明で用いる導電性紙層導電紙（サン
プルNo.２、３）は、導電性にすぐれると共に、高
い電磁波シールド性を有い、しかもその性能は、
導電性マイカを含むもの（サンプルNo.１）よりも
すぐれている。 実施例 参考例で示した導電性ポリエステル繊維、ニツ
ケル繊維マイカ及びクラフトパルプを紙料成分と
して用いて、第３表に示した三層構造及び２層構
造の積層紙を抄紙法により作り、その特性を調べ
た。その結果を第３表に示す。

【表】 ＊ 比較例を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ パルプ繊維20〜60重量％と金属化率40〜80重
   量％の導電性金属被覆繊維80〜40重量％からなる
   なる紙層繊維を主成分とする紙料を抄紙して形成
   した紙層の少なくとも一方の面に、非導電性の繊
   維層を積層させた構造を有することを特徴とする
   導電紙積層体。 ２ 該紙層が導電性金属被覆マイカを含む特許請
   求の範囲第１項の導電紙積層体。