JPH0362779B2 - - Google Patents
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- JPH0362779B2 JPH0362779B2 JP6421482A JP6421482A JPH0362779B2 JP H0362779 B2 JPH0362779 B2 JP H0362779B2 JP 6421482 A JP6421482 A JP 6421482A JP 6421482 A JP6421482 A JP 6421482A JP H0362779 B2 JPH0362779 B2 JP H0362779B2
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Description
この発明は形状記憶効果、超弾性挙動あるいは
防振効果の何れかの機能を有する銅基合金に関す
るものであり、詳しくは、上記機能を有する銅基
合金の特性改善を目的とするものである。 ここで形状記憶効果あるいは超弾性挙動という
のは、合金のマルテンサイト変態に起因するとさ
れいる現象であり、前者は合金の変態温度域を挟
んで高温側での形状と低温側での形状との間に一
方向的もしくは可逆的な形状の復元現象が現出す
ることを指し、また後者は応力誘起マルテンサイ
トがその温度では熱的に安定でない温度領域で変
形を行つたときに現出するものであり、見掛け上
の大きな塑性ひずみが変形応力除去後に殆んど完
全に回復する現象が指すものである。 また防振効果は、この場合マルテンサイト双晶
境界の移動の寄付により振動エネルギーが吸収さ
れやすい効果である。 従来形状記憶効果や超弾性挙動あるいは防振効
果(以下これらをまとめて機能効果という。)を
有する機能合金としてNi−Ti合金、Au−Cd合
金、などのほか銅合金ではCu−Zn、Cu−Zn−Al
合金などが知られている。 しかしながらNi−Ti合金は良好な機能特性を
有するもののその溶製や加工、熱処理が非常に困
難であるほか、原料となる金属も高価であるた
め、合金製品も高価なものとなつて実用できる範
囲も限られたものとならざるを得なかつた。 またAu−Cd合金は機構的特性も小さく原材料
が高価なほかCdが有害で取扱いが困難なため実
用化には至らず、学術的な研究対象の範囲にとど
まつている。 これに対してCu−Zn、Cu−Zn−Al合金などの
銅基合金は原料が安価なうえ、溶解作業性なども
比較的容易なため、今後の工業的利用が大いに期
待されている。 しかしながら、これらの銅基機能合金には主と
して次のような欠点が指摘されている。 即ち、工業的に製造できる多結晶体では、延性
などの材料的特性が必ずしも十分でなく、大きい
歪を与えた時に破断しやすい。 また繰返し使用における疲労強度の点でも改善
が望まれている。 これらの多結晶体における問題は、同一組成の
合金であつても単結晶の場合には、機械的特性が
すぐれるため、結晶粒界の脆さや、また銅基機能
合金を得るにはその製造工程において、組成的に
均一にするために高温での均一化焼鈍処理、熱間
加工工程、さらに機能付与のためのβ相構造から
の焼入れ処理(β化処理)など高温加熱処理が多
く、製造工程中結晶粒径が粗大化することが、等
方的特性を得るには微細化しているほうが有利で
あり、このことも原因していると考えられる。 この発明は、銅基合金における上記の問題点に
着目して検討の結果、なされたものであり、機能
特性を害することなく延性や疲労特性の改善をは
かつたものである。 即ち、この発明の銅基合金は、まず第1には
Zn32〜60重量%とV0.05〜3重量%、残部Cuより
なることを特徴とし、第2にはZn5〜45重量%、
V0.05〜3重量%、およびSi、Sn、Ag、Ni、
Mg、Mn、Sb、Ga、Ge、Inの元素から選ばれた
1種または2種以上を合金がβ相構造を有しうる
範囲内で合計で0.01〜20重量%含有し、残部がCu
よりなることを特徴とするものであつて、これに
よつて形状記憶効果や超弾性挙動あるいは防振効
果の何れかの機能を発揮させんとするものであ
る。 そしてこれらの機能は合金組成と使用温度に依
存して同一組成の合金であつても各種の機能目的
に使用することができる。 上記したこの発明の形状記憶効果、超弾性効
果、防振効果の何れかの機能を有する銅基合金に
おいて、Znの量を5〜60重量%と規定したのは
Znが5重量%以下では機能効果を有し難く、ま
た60重量%を超えて含有させてもいたずらに加工
性を損なうだけで機能効果の改善に寄付しないた
めである。 そしてこのZnの量は、銅基合金の組成として
Cu−Znの2元合金の場合には32〜60重量%が好
ましく、それ以外では何れの機能効果も有し難
い。 次にVの量を0.05〜3重量%と規定したのは、
これが0.05重量%未満では機能特性改善効果が十
分ではなく、また3重量%をこえて添加してもい
たずらに溶解、鋳造の均一性を困難にするのみで
より一層の機能特性改善効果が期待し難いためで
ある。 またこの発明においては、Zn、Vと残部Cuか
らなる合金に変態温度域を調整したり、強度を改
善する目的でSi、Sn、Ag、Ni、Mg、Mn、Sb、
Ga、Ge、Inの元素から選ばれた1種または2種
以上を合金がβ相構造を有しうる範囲内で合計で
0.01〜20重量%含有させることも有効である。こ
こで0.01〜20重量%と限定するのは0.01重量%以
下では添加の効果がなく、また20重量%を越える
と加工性に悪影響を与えるためである。 この発明において添加されるVは、その含有量
により、合金の変態温度域を殆んど変動させず、
結晶粒界での脆さを改善するほか、製造工程にお
ける種々の加熱処理において、結晶粒径の粗大化
を抑制し、多結晶体合金の延性や疲労特性を改善
し、実用時の特性改善とともに製造時の加工性を
も向上させるものである。 以上のようなこの発明は少量のVの添加によつ
てCu−Zn合金の変態温度域を殆んど変動させる
ことなく、鋳造材の結晶粒を微細化し、さらに均
質化、熱間加工、β化処理のための加熱工程時の
結晶粒の成長を抑制することが特徴であり、これ
によつて合金の使用時または加工時に粒界での脆
性的な破壊が発生することを防止しうるため工業
的に用いて有利な多結晶合金材料の機能特性や加
工性を顕著に改善するのである。 以下実施例によりこの発明を詳細に説明する。 実施例 1 通常の電気用銅地金、電解亜鉛、電気錫、Cu
−30%V母合金およびCu−15%Si母合金などを
用いてアルゴンガス雰囲気下で第1表に示すよう
な組成の20mmφの銅基合金を溶解、鋳造した。 これを800℃にして5時間均一化焼鈍したのち、
熱間圧延および冷間圧延により1mmtに圧延し、
次いでその表面を軽く機械的に研磨して約100mm
長さのテープとした。 このテープを真直ぐな状態で700℃から水焼入
れして機能効果調査のための試料を得た。 この間に加工性の状況観察も行なつた。 また試料の機能効果についても調べ、これらの
結果を第2表に示した。
防振効果の何れかの機能を有する銅基合金に関す
るものであり、詳しくは、上記機能を有する銅基
合金の特性改善を目的とするものである。 ここで形状記憶効果あるいは超弾性挙動という
のは、合金のマルテンサイト変態に起因するとさ
れいる現象であり、前者は合金の変態温度域を挟
んで高温側での形状と低温側での形状との間に一
方向的もしくは可逆的な形状の復元現象が現出す
ることを指し、また後者は応力誘起マルテンサイ
トがその温度では熱的に安定でない温度領域で変
形を行つたときに現出するものであり、見掛け上
の大きな塑性ひずみが変形応力除去後に殆んど完
全に回復する現象が指すものである。 また防振効果は、この場合マルテンサイト双晶
境界の移動の寄付により振動エネルギーが吸収さ
れやすい効果である。 従来形状記憶効果や超弾性挙動あるいは防振効
果(以下これらをまとめて機能効果という。)を
有する機能合金としてNi−Ti合金、Au−Cd合
金、などのほか銅合金ではCu−Zn、Cu−Zn−Al
合金などが知られている。 しかしながらNi−Ti合金は良好な機能特性を
有するもののその溶製や加工、熱処理が非常に困
難であるほか、原料となる金属も高価であるた
め、合金製品も高価なものとなつて実用できる範
囲も限られたものとならざるを得なかつた。 またAu−Cd合金は機構的特性も小さく原材料
が高価なほかCdが有害で取扱いが困難なため実
用化には至らず、学術的な研究対象の範囲にとど
まつている。 これに対してCu−Zn、Cu−Zn−Al合金などの
銅基合金は原料が安価なうえ、溶解作業性なども
比較的容易なため、今後の工業的利用が大いに期
待されている。 しかしながら、これらの銅基機能合金には主と
して次のような欠点が指摘されている。 即ち、工業的に製造できる多結晶体では、延性
などの材料的特性が必ずしも十分でなく、大きい
歪を与えた時に破断しやすい。 また繰返し使用における疲労強度の点でも改善
が望まれている。 これらの多結晶体における問題は、同一組成の
合金であつても単結晶の場合には、機械的特性が
すぐれるため、結晶粒界の脆さや、また銅基機能
合金を得るにはその製造工程において、組成的に
均一にするために高温での均一化焼鈍処理、熱間
加工工程、さらに機能付与のためのβ相構造から
の焼入れ処理(β化処理)など高温加熱処理が多
く、製造工程中結晶粒径が粗大化することが、等
方的特性を得るには微細化しているほうが有利で
あり、このことも原因していると考えられる。 この発明は、銅基合金における上記の問題点に
着目して検討の結果、なされたものであり、機能
特性を害することなく延性や疲労特性の改善をは
かつたものである。 即ち、この発明の銅基合金は、まず第1には
Zn32〜60重量%とV0.05〜3重量%、残部Cuより
なることを特徴とし、第2にはZn5〜45重量%、
V0.05〜3重量%、およびSi、Sn、Ag、Ni、
Mg、Mn、Sb、Ga、Ge、Inの元素から選ばれた
1種または2種以上を合金がβ相構造を有しうる
範囲内で合計で0.01〜20重量%含有し、残部がCu
よりなることを特徴とするものであつて、これに
よつて形状記憶効果や超弾性挙動あるいは防振効
果の何れかの機能を発揮させんとするものであ
る。 そしてこれらの機能は合金組成と使用温度に依
存して同一組成の合金であつても各種の機能目的
に使用することができる。 上記したこの発明の形状記憶効果、超弾性効
果、防振効果の何れかの機能を有する銅基合金に
おいて、Znの量を5〜60重量%と規定したのは
Znが5重量%以下では機能効果を有し難く、ま
た60重量%を超えて含有させてもいたずらに加工
性を損なうだけで機能効果の改善に寄付しないた
めである。 そしてこのZnの量は、銅基合金の組成として
Cu−Znの2元合金の場合には32〜60重量%が好
ましく、それ以外では何れの機能効果も有し難
い。 次にVの量を0.05〜3重量%と規定したのは、
これが0.05重量%未満では機能特性改善効果が十
分ではなく、また3重量%をこえて添加してもい
たずらに溶解、鋳造の均一性を困難にするのみで
より一層の機能特性改善効果が期待し難いためで
ある。 またこの発明においては、Zn、Vと残部Cuか
らなる合金に変態温度域を調整したり、強度を改
善する目的でSi、Sn、Ag、Ni、Mg、Mn、Sb、
Ga、Ge、Inの元素から選ばれた1種または2種
以上を合金がβ相構造を有しうる範囲内で合計で
0.01〜20重量%含有させることも有効である。こ
こで0.01〜20重量%と限定するのは0.01重量%以
下では添加の効果がなく、また20重量%を越える
と加工性に悪影響を与えるためである。 この発明において添加されるVは、その含有量
により、合金の変態温度域を殆んど変動させず、
結晶粒界での脆さを改善するほか、製造工程にお
ける種々の加熱処理において、結晶粒径の粗大化
を抑制し、多結晶体合金の延性や疲労特性を改善
し、実用時の特性改善とともに製造時の加工性を
も向上させるものである。 以上のようなこの発明は少量のVの添加によつ
てCu−Zn合金の変態温度域を殆んど変動させる
ことなく、鋳造材の結晶粒を微細化し、さらに均
質化、熱間加工、β化処理のための加熱工程時の
結晶粒の成長を抑制することが特徴であり、これ
によつて合金の使用時または加工時に粒界での脆
性的な破壊が発生することを防止しうるため工業
的に用いて有利な多結晶合金材料の機能特性や加
工性を顕著に改善するのである。 以下実施例によりこの発明を詳細に説明する。 実施例 1 通常の電気用銅地金、電解亜鉛、電気錫、Cu
−30%V母合金およびCu−15%Si母合金などを
用いてアルゴンガス雰囲気下で第1表に示すよう
な組成の20mmφの銅基合金を溶解、鋳造した。 これを800℃にして5時間均一化焼鈍したのち、
熱間圧延および冷間圧延により1mmtに圧延し、
次いでその表面を軽く機械的に研磨して約100mm
長さのテープとした。 このテープを真直ぐな状態で700℃から水焼入
れして機能効果調査のための試料を得た。 この間に加工性の状況観察も行なつた。 また試料の機能効果についても調べ、これらの
結果を第2表に示した。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
上記第2表からこの発明の合金は形状記憶効果
などの機能特性において良好であり、かつ比較合
金に比べて加工性にもすぐれていることが認めら
れた。 Vを含有していても合金No.11のように過剰に添
加されたものは、却つて機能特性に悪影響をおよ
ぼすことがわかつた。 実施例 2 実施例1で準備した形状記憶効果を示す試料を
用いて、これらの合金における機械的特性や結晶
粒度を調べ、その結果を第3表に示した。
などの機能特性において良好であり、かつ比較合
金に比べて加工性にもすぐれていることが認めら
れた。 Vを含有していても合金No.11のように過剰に添
加されたものは、却つて機能特性に悪影響をおよ
ぼすことがわかつた。 実施例 2 実施例1で準備した形状記憶効果を示す試料を
用いて、これらの合金における機械的特性や結晶
粒度を調べ、その結果を第3表に示した。
【表】
【表】
上記第3表からこの発明の合金の破断伸び値は
組成が類似して似かよつた変態温度域を有する比
較合金に比べ大きく改善されており、また結晶粒
径を微細化されているし、引張り強さも大きく向
上していることがわかつた。 実施例 3 実施例1の第1表に示した合金のうち、変態温
度域の類似している本発明合金のNo.1と比較合金
のNo.7について片振り試験機により疲労寿命を調
べたところ第4表の結果を得た。
組成が類似して似かよつた変態温度域を有する比
較合金に比べ大きく改善されており、また結晶粒
径を微細化されているし、引張り強さも大きく向
上していることがわかつた。 実施例 3 実施例1の第1表に示した合金のうち、変態温
度域の類似している本発明合金のNo.1と比較合金
のNo.7について片振り試験機により疲労寿命を調
べたところ第4表の結果を得た。
【表】
上表から疲労特性においてもこの発明の合金
は、変態温度域の類似している比較合金に比べて
改善されていることが認められる。 以上詳述したように、この発明の銅基合金は、
Zn5〜60重量%とV0.05〜3重量%を必須として
含有し、あるいはさらにSi、Sn、Ag、Ni、Mg、
Mn、Sb、Ga、Ge、Inなどの金属の何れか1種
またはそれ以上を合金がβ相構造を有しうる範囲
内で含有し、残部がCuよりなることを特徴とす
るものであつて、結晶粒界の脆さの改善効果や結
晶粒の微細化などによつて延性が改善される結
果、加工性において著しい改善効果が得られ、ま
た疲労性も顕著に改善されるため工業的に用いて
多大の効果を有するものである。
は、変態温度域の類似している比較合金に比べて
改善されていることが認められる。 以上詳述したように、この発明の銅基合金は、
Zn5〜60重量%とV0.05〜3重量%を必須として
含有し、あるいはさらにSi、Sn、Ag、Ni、Mg、
Mn、Sb、Ga、Ge、Inなどの金属の何れか1種
またはそれ以上を合金がβ相構造を有しうる範囲
内で含有し、残部がCuよりなることを特徴とす
るものであつて、結晶粒界の脆さの改善効果や結
晶粒の微細化などによつて延性が改善される結
果、加工性において著しい改善効果が得られ、ま
た疲労性も顕著に改善されるため工業的に用いて
多大の効果を有するものである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 Zn32〜60重量%、V0.05〜3重量%を含有
し、残部がCuよりなることを特徴とする形状記
憶効果、超弾性効果、防振効果の何れかの機能を
有する銅基合金。 2 Zn5〜45重量%、V0.05〜3重量%、および
Si、Sn、Ag、Ni、Mg、Mn、Sb、Ga、Ge、In
の元素から選ばれた1種または2種以上を合金が
β相構造を有しうる範囲内で合計で0.01〜20重量
%含有し、残部がCuよりなることを特徴とする
形状記憶効果、超弾性効果、防振効果の何れかの
機能を有する銅基合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6421482A JPS58181840A (ja) | 1982-04-16 | 1982-04-16 | 銅基合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6421482A JPS58181840A (ja) | 1982-04-16 | 1982-04-16 | 銅基合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58181840A JPS58181840A (ja) | 1983-10-24 |
JPH0362779B2 true JPH0362779B2 (ja) | 1991-09-27 |
Family
ID=13251607
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6421482A Granted JPS58181840A (ja) | 1982-04-16 | 1982-04-16 | 銅基合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58181840A (ja) |
-
1982
- 1982-04-16 JP JP6421482A patent/JPS58181840A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58181840A (ja) | 1983-10-24 |
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