JPH036169Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、歩行型や乗用型田植機における苗縦
送り装置の構造に関する。

〔従来の技術〕

最近の、歩行型や乗用型の田植機では、歩行機
体進行前側に下端を位置させるか、反対に後ろ側
に下端を位置させるように傾斜配設した苗載台の
表面に苗マツトを並列載置し、苗載台を横方向に
適宜ピツチで移動させるのに合わせて、苗植装置
における植付機構の複数の苗植爪を、前記苗載台
下端の苗取り出し口と圃場面との間を一斉に上下
揺動するように構成し、この苗植爪により苗載台
上の苗マツトから苗を一株ずつに分割しながら圃
場面に植付けるように構成している。また、苗載
台の裏面には、苗マツトの苗縦送り機構を設け、
苗載台の往復横移動終端で、各苗マツトを苗載台
の下端方向に縦送りするように構成しているのが
普通である。

この苗縦送り機構の一つとして、例えば実開昭
55−152930号公報では、複数の苗強制縦送り用細
幅ベルトを、その送り作用面が苗載台の固定面よ
り上方に突出するように配設し、各ベルトの裏面
に、その回動移動方向に沿つた溝又は突条を形成
し、この溝又は突条に係合するガイド部を苗載台
の固定面より下方に設けたものが開示されてい
る。

〔本考案が解決しようとする問題点〕

この先行技術では、苗載台の固定面が凹凸のな
い平板状で、且つ細幅ベルトの送り作用面が、そ
の始端から終端に至るまで、前記固定面より上方
に突出しているので、苗継ぎ作業時に苗マツトを
苗載台における前記ベルトの送り始端より上方に
載置すれば、苗マツトの下面は前記固定面にぴつ
たりと接し、苗載台が傾斜配設されていても、滑
り難く、このベルトによる送り作業ができないの
で、苗継ぎ作業を円滑に行えない。また、滑り移
動する苗マツトの下端角部が前記ベルトの送り始
端に乗り上げないと、下方に先行する苗マツトの
上端縁と継ぎ足すべき苗マツトの下端縁との間に
〓間ができ、苗植爪による苗マツトの分割ができ
ないので、欠株が発生すると云う問題があつた。

本考案は、上記問題を解決することを目的とす
るものである。

〔問題点を解決するための手段〕

このため本考案は、田植機に傾斜配設した苗載
台の苗マツト載置底板に、複数の縦長凹溝を形成
し、該苗載台の下端部近傍には間欠回動する苗縦
送りローラを、その上面が前記底板の表面より突
出するようにして配設し、該苗縦送りローラと苗
載台の上部に配設する従動プーリとには、複数の
細幅ベルトを左右適宜隔てて巻掛けし、その各ベ
ルトを前記凹溝内に沿わせて配設すると共に、該
各細幅ベルトを、その各送り作用面が前記従動プ
ーリ側では凹溝内に没し、苗縦送りローラ側に行
くに従つて前記底板の表面より上方に突出するよ
うに傾斜配設したものである。

〔作用〕

これにより、苗マツトの下面と、苗マツト載置
底板との接触面積は、凹溝のある部分だけ少なく
なり、それだけ接触摩擦抵抗が少なくなり、苗マ
ツトは滑り易くなる。そして、この凹溝の凹みを
利用して、この内部に沿つて細幅のベルトを配設
すると共に、このベルトの送り作用面が、苗マツ
ト送り始端側（苗載台の上端寄り）で凹溝内に没
し、苗載台下端に行くに従つて載置底板の表面よ
り上方に突出するように傾斜させたので、下向き
に滑り移動する苗マツトはベルトの送り作用面に
徐々に乗ることになつて、従来のようにベルトの
送り始端部で急に乗る場合のように支えることが
ない。

また、細幅ベルトが苗マツトの横巾方向に適宜
隔てて複数配設されているので、苗マツトを左右
同じように縦送りできる。苗載台の下端部では、
前記ベルトに案内されて、苗縦送りローラに円滑
に乗り移ることができ、この苗縦送りローラは前
記ベルトより広巾で、苗マツトの下面に対する送
り力も大きいので、短くなつた苗マツトを、その
左右略全巾にわたつて縦送りでき、苗マツトが崩
れない。

〔実施例〕

以下本考案を、歩行型の田植機に適用した実施
例の図面について説明すると、図において１は、
ミツシヨンケース２の前部にエンジン３を、後部
にフレーム４を介して伝動ケース５を各々連結し
た機体６と、該機体６の左右両側の左右一対の車
輪７，７とから成る歩行型の田植機を示し、前記
両車輪７，７は、前記ミツシヨンケース２の左右
両側面に上下回動自在に枢着され、且つ後方に延
びるスイングアーム１０，１０の先端に取付き、
前記エンジン３からの動力によつて回転駆動され
る。

前記伝動ケース５には、上下揺動式の植付機構
８が取付き、且つ伝動ケース５の後部には、左右
一対の操縦ハンドル１１，１１を後方に突出さ
せ、該両操縦ハンドル１１，１１は側面視く字状
に形成され、機体６の下面には、苗植え深さ調節
杆９を介して取付くフロート１２を上下動自在に
配設されている。

苗載台１３は、前記左右一対の操縦ハンドル１
１，１１の上面に略沿わせ、下端が前記植付機構
８寄り位置に、上端が操縦ハンドル１１の後端に
向かうように後向き傾斜配設し、苗載台１３の下
端に取付く下部レールを左右長手のガイドレール
１４に載置し、苗載台１３の裏面中途部の上部レ
ールを左右両操縦ハンドル１１，１１に突設の転
子に被嵌し、苗載台１３が走行機体の左右両方向
に往復横移動するにつれて、植付機構８における
苗植爪が前記ガイドレール１４の苗取出し口１５
と圃場面１６との間を上下揺動するように構成す
る。

苗載台１３の底板１７は苗マツト１８を複数並
列して載置できるように苗マツト１８の巾寸法よ
り若干広巾隔てて縦長のリブ２３を突設して区画
する一方、各区画内における底板１７には複数の
縦長の凹溝１９を適宜間隔にて形成する。

２０，２０は苗載台１３の下端近傍に横一列に
配設した苗縦送りローラで、該各苗縦送りローラ
２０の表面には、傾め溝目やローラ軸線に沿う横
目溝等の突起部又はスポンジ体を巻き掛けて苗マ
ツト下面に対する摩擦抵抗の大きな送り作用面を
施し、この各苗縦送りローラ２０の上面を前記底
板１７の表面より上方に突出するように配置し、
図示しない苗縦送り機構により、苗載台１３が横
移動の終端に来れば、前記苗縦送りローラ２０を
一斉に適宜角度だけ間欠回動させるよう構成す
る。

苗載台１３には、１個の苗マツト１８の縦長さ
より長い距離だけ隔てて上部側位置に前記苗縦送
りローラ２０と略平行に複数の従動プーリ２１を
配設し、苗縦送りローラ２０の端部と前記各従動
プーリ２１との間に細幅のベルト２２を巻掛け
る。

この各細幅ベルト２２は、その外周面には鋸歯
状の係合部が多数一体的に造形されており、各細
幅ベルト２２は、底板１７における縦方向の凹溝
１９に沿うように配設されると共に、細幅ベルト
２２の送り作用面は、前記従動プーリ２１側で
は、凹溝１９の内に没して底板１７の表面より下
方に位置し、前記各苗縦送りローラ２０側に行く
に従つて底板１７の表面より上方に突出するよう
に傾斜状に配設するものである。

なお、２４は苗マツト１８の有無を検出するた
めのセンサーで、該センサー２４は、苗載台の下
端寄り適宜箇所において前記底板１７より上方に
突出するように設けてあり、苗マツトが無くなれ
ば、植付機構や苗載台等の駆動を停止するように
連動連結されている。

この構成において、田植え作業に際して、苗載
台１３の底板１７表面に苗マツト１８を載置する
一方、機体６下面におけるフロート１２を圃場面
１６に接地させた状態で車輪７，７を駆動すれ
ば、機体は直進し、植付機構８を駆動することに
より、その苗植爪にて苗載台１３上の苗マツト１
８から苗を一株ずつ分割しながら圃場面１６に複
数条（本実施例では２条）に沿つて田植え付けで
きる。

そして、苗載台の横送り終端になれば、苗載台
１３における下端部近傍の苗縦送りローラ２０の
上面及び複数並列配置の細幅ベルト２２の各送り
作用面上に載置された苗マツト１８は苗載台１３
の下端方向に縦送りされる。

田植え作業が進んで、苗載台１３上の苗マツト
１８が短くなれば、苗載台１３の上端側から苗マ
ツト１８を供給すれば良い。

〔考案の効果〕

このような苗マツトの苗継ぎ作業時において、
継ぎ足された苗マツト１８は底板１７に沿つて滑
り落ちるが、底板１７には縦長の凹溝１９が多数
あるので、苗マツト下面と底板１７との接触面積
が少なく、摩擦抵抗が小さくなつて苗マツト１８
は細幅ベルト２２による送り始端側に向かつてす
べり落ち易い。

そして、この凹溝の凹みを利用して、この内部
に沿つて細幅のベルトを配設することができ、苗
載台１３の底板１７の構造がより簡単になる。ま
た、各細幅ベルト２２の送り作用面はその送り始
端側にて凹溝１９内に没しており、苗載台の下端
方向に行くに従つて底板１７表面から上方に突出
するから、縦送りされるべき苗マツト１８の下面
が各細幅ベルト２２の送り作用面に徐々に乗り、
苗マツトをいきなり下から突き上げることがな
く、従来のようにベルトの送り始端部で急に乗る
場合のように支えることがないので、苗マツトを
崩さずに苗継ぎを円滑に行える。

さらに、細幅ベルトが苗マツトの横巾方向に適
宜隔てて複数配設されており、且つ駆動する苗縦
送りローラ２０と同期して間欠回動するので、苗
マツトを左右同じように縦送りできる。苗載台の
下端部では、前記ベルトに案内されて、苗縦送り
ローラに円滑に乗り移ることができるのであり、
このとき、細幅ベルトの外周面である送り作用面
と苗縦送りローラの外周面とを略同じ高さになる
ようにしておけば、より一層円滑に乗り移れる。

しかも、この苗縦送りローラは前記ベルトより
広巾で、苗マツトの下面に対する送り力も大きい
ので、短くなつた苗マツトを、その左右略全巾に
わたつて縦送りでき、苗マツトが崩れないと云う
効果も有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は田植機
の平面図、第２図は側面図、第３図は苗載台の平
面図、第４図は第３図の−線視断面図、第５
図は第４図の−線視断面図、第６図は第４図
の−線視断面図、第７図は第４図の−線
視断面図である。 １……田植機、２……ミツシヨンケース、３…
…エンジン、３′……支持フレーム、４……フレ
ーム、５……伝動ケース、６……機体、７……車
輪、８……苗植機構、１１，１１……操縦ハンド
ル、１０，１０……スイングアーム、１２……フ
ロート、１３……苗載台、１４……ガイドレー
ル、１７……底板、１８……苗マツト、１９……
凹溝、２０……苗縦送りローラ、２１……従動プ
ーリ、２２……細巾ベルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 田植機に傾斜配設した苗載台の苗マツト載置底
   板に、複数の縦長凹溝を形成し、該苗載台の下端
   部近傍には間欠回動する苗縦送りローラを、その
   上面が前記底板の表面より突出するようにして配
   設し、該苗縦送りローラと苗載台の上部に配設す
   る従動プーリとには、複数の細幅ベルトを左右適
   宜隔てて巻掛けし、その各ベルトを前記凹溝内に
   沿わせて配設すると共に、該各細幅ベルトを、そ
   の各送り作用面が前記従動プーリ側では凹溝内に
   没し、苗縦送りローラ側に行くに従つて前記底板
   の表面より上方に突出するように傾斜配設して成
   る田植機における苗縦送り装置。