JPH0360143B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、インライン型カラー受像管用電子銃
の主電子レンズ構成電極の改善に関するものであ
る。

電子銃の解像度は主として、バイ・ポテンシヤ
ル・フオーカス型、ユニ・ポテンシヤル・フオー
カス型、その他の多段集束型からなる静電電子レ
ンズの球面収差に制約され、高解像度特性を得る
には主電子レンズを構成する電極孔径を大きくし
て、電子レンズの球面収差を小さくする必要があ
る。主電子レンズ電極孔径はカラー受像管の硝子
頚部内径に制限され、三電子銃が一列配列された
インライン型カラー受像管では主電子レンズ直径
は最大でも硝子頚部内径の1/3以下となり、電子
銃構体設計上何如にこの最大径に近づけるかが重
要な点となつている。

従来一般に用いられている閉塞面にインライン
配列されて夫々独立した突状縁で囲まれた開孔を
備えた閉塞筒状体電極では、主として電極形成上
の制約から三つの開孔相互間距離Ｓと、開孔径Ｄ
はＤ／Ｓ0.85とし、隣接開孔間隙Ｒは1.1〜0.85
mmに選定されている。これに対し上記要求に基づ
き隣接開孔間隙Ｒを電極形成母材板厚程度迄縮め
て0.89Ｄ／Ｓ＜0.98と大口径化する電極形成法
が提案されている。

第１図、第２図は前述の電極形成法によつて得
られたインライン型電子銃の主電子レンズ電極構
体の一例を示す断面図と平面図である。電極構体
１は互に開孔相互間距離Ｓで隔てられた中央及び
両外側の三本の電子銃軸１０Ｇ，１０Ｒ，１０Ｂ
上に中央及び両外側電子ビーム透過開孔１１Ｇ，
１１Ｒ，１１Ｂが閉塞面１２に穿設され、開塞面
１２に連続して筒側部１３が形成された閉塞筒状
体である。上記電子ビーム開孔周囲は閉塞筒状体
内部に突出する突状縁１４で囲まれ、各開孔部に
形成される静電電子レンズの相互影響を防止する
と共に閉塞面１２を強化していて、その高さｈは
可能の限り大きく形成されている。電子ビーム透
過開孔１１Ｇ，１１Ｒ，１１Ｂの孔径Ｄは互に重
ならず、且つ少なくとも中央開孔が完全円孔で、
隣接開孔１１Ｒ，１１Ｇ及び１１Ｇ，１１Ｂの間
隙部１５の幅Ｒをほぼ電極構体１の形成材板厚程
度迄狭めることによつて0.89Ｄ／Ｓ＜0.98と大
口径化されている。第３図はこの電極構体１と同
一構造をした電極構体１′とを同一軸上１０Ｒ，
１０Ｇ，１０Ｂに対向配置し、電極構体１に高電
圧、電極構体１′に高電圧の所定割合を持つ低電
圧を印加した場合、三本の電子銃軸１０Ｒ，１０
Ｇ，１０Ｂを含む断面内し通常は陰極線管螢光面
に対し水平面）に於ける主電子レンズを形成する
静電界を示し、主電子レンズの等電位面とこの断
面との光線である等電位線を線群１６，１６′で
示す。第４図は前記断面に垂直で中央の電子銃軸
を含む断面内（通常は螢光面に対して垂直面）の
主電子レンズ静電界を示し、主電子レンズの等電
位面とこの断面との交線である等電位線を線群１
７，１７′で示す。

本構成電極構体では構造上の制約から突状縁１
４の高さｈは開孔直径Ｄの1/2以下となるため、
第３図に示す断面内に於て、電極構体１，１′の
対抗部側では静電電子レンズを構成する等電位線
群１６，１６′は各開口間隙１５，１５′を経由し
て各開孔には夫々独立した電子レンズを形成する
が、電極内部では等電位線群１６，１６′は各開
孔部を経由しないで共通の等電位線となり、中央
開孔１１Ｇ，１１Ｇの電子レンズ電界曲率は両外
側開孔１１Ｒ，１１R′；１１Ｂ，１１B′のそれ
より小さくなつている。更に開孔間隙１５，１
５′の幅Ｒを電極形成母材板厚程度迄小くし開孔
を大口径化しているため、電極構体１，１′の間
隙１５，１５′の対向部間の方が筒側部１３，１
３′対向部間より等電位線群１６，１６′の密度が
粗となつている。従がつて中央開孔部に形成され
る静電電子レンズは両外側開孔部の電子レンズよ
り弱く、この断面（水平面）内では中央電子ビー
ム径の方が両外側電子レンズ径より大きくなる。

一方第４図に示す断面内では（中央開孔１１
Ｇ，１１G′を含む面のみ示す）中央及び両外側
開孔部に形成される等電位線群１７，１７′は
夫々独立した静電電子レンズを形成し、各電子銃
軸に対称で、同一のレンズ強度を持つているが、
その等電位線群１７，１７′の曲率は前記第３図
の螢光面に対する水平面内の等電位線群１６，１
６′の曲率より大きく、第３図の水平面内より第
４図の垂直面内の電子レンズの強さは大きくなつ
ている。

上記の電子レンズでは螢光面の水平、垂直面内
のレンズ強さに差があるばかりでなく、水平面内
では中央電子レンズの方が両外側電子レンズの強
さより弱くなり、螢光面上には水平方向に横長
で、中央ビームの方が両外側ビームより大きく、
中央ビームの解像度が両外側ビームより悪くな
り、陰極放出電流の大きい高輝度面像ではこれが
特に顕著となる欠点があつた。

本発明は上述の欠点を改善するためになされた
もので、インライン型電子銃の主電子レンズ開孔
が大口径化され、互に極めて接近しても開孔配列
方向とこれに垂直な方向で電子レンズ曲率を実質
的に等しくし、非点収差の小さい電子レンズが得
られる電子銃電極構体を提供することを目的とす
る。

以下図面に従がつて本発明の実施例を説明す
る。

第５図は本発明の一実施例によるインライン型
一体化構造電子銃の主電子レンズ電極構体２の斜
視図であり、第６図はこの電極構体２と同一構造
の電極構体２′とを同一軸上２０Ｒ，２０Ｇ，２
０Ｂ上に対向配置し、電極構体２に高電圧、電極
構体２′に高電圧の所定割合にある低電圧を印加
した場合、三本の電子銃軸２０Ｒ，２０Ｇ，２０
Ｂを含む断面内に於ける主電子レンズを形成する
静電界を示し、主電子レンズの等電位面とこの断
面との交線である等電位線を線群２６，２６′で
示す。第７図は前記断面に垂直で中央の電子銃軸
を含む断面に於ける主電子レンズを形成する静電
界を示し、主電子レンズの等電位面とこの断面と
の交線である等電位線を線群２７，２７′で示す。

電極構体２は従来の電極構体と同様に、互に等
しい開孔間距離Ｓを持つた三本の電子銃軸２０
Ｒ，２０Ｇ，２０Ｂ上にある三つの電子ビーム透
過開孔２１Ｒ，２１Ｇ，２１Ｂが閉塞面２２に穿
設され、閉塞面２２に連続して筒側部２３が形成
された閉塞筒状体であり、開孔径Ｄは互に重なら
ず、且つ少くとも中央開孔が完全円孔で、隣接開
孔２１Ｒ，２１Ｇ及び２１Ｇ，２１Ｂの間隙部２
５Ａをほぼ電極構体２の形成材板厚程度まで狭め
ることによつて0.89Ｄ／Ｓ＜0.98にまで大口径
化されてい、各開孔周囲は電極内部に突出する突
状縁２４で囲まれている。然るに隣接開孔２１
Ｒ，２１Ｇ及び２１Ｇ，２１Ｂの間隙部２５Ａと
両外側開孔２１Ｒ，２１Ｂと筒側部２３との間隙
部２５Ｂは同一幅ｌで閉塞面２２から高さｄだけ
電極内部に突出し、開孔配列線上が凹状にくぼん
でいる。

第５図、第６図に示す様に、閉塞面２２に穿設
された三つの開孔２１Ｒ，２１Ｇ，２１Ｂの配列
線上部は閉塞面２２より距離ｄ離れた電極内部に
あるため、三本の電子銃軸２０Ｒ，２０Ｇ，２０
Ｂを含む断面（螢光面に対する水平面）内では、
主電子レンズ形成静電界となる等電位線群２６，
２６′は各電子ビーム透過開孔ごとに独立して、
ほぼ等しい静電電子レンズを形成し、各開孔部を
経由しない共通の等電位線の発生は最小限に抑え
られている。

更に両外側開孔と筒側部との間隙部２５Ｂが隣
接開孔間隙部２５Ａと同様に閉塞面２２から距離
ｄだけ離れた電極内部にあるため、間隙部２５
Ｂ，２５B′の対向部に於ける等電位線群２６，
２６′の密度は開孔間隙部２５Ａ，２５A′の対向
部と同程度に粗状態で等しくなる。従がつて水平
面内での各電子レンズの強さはほぼ等しくなり、
中央及び両外側開孔通過後のこの面内に於ける電
子ビーム径は等しくなる。

第７図に示す面内の等電位線群２７，２７′は
開孔配列方向に形成された間隙部２５Ａ，２５
Ｂ；２５A′，２５B′の凹状陥没のために、開孔
配列方向と直行する方向が電極内部に凹状に曲率
を持つたと等価となり、等電位線群２７，２７′
の曲率は第４図の等電位線群１７，１７′と比較
すると小さくなり、そのレンズの強さも第４図の
面内より弱くなり、この面内での球面収差は軽減
されると共に、第６図の水平面内に於ける各開孔
部の等電位線群２６，２６′の曲率と等電位線群
２７，２７′の曲率が大略一致する。このため電
子ビーム透過開孔が配列される螢光面に対する水
平面、及びこれに垂直な面での電子レンズの強さ
が一致し、螢光面上には電子ビーム断面の縦、横
径が一致したビームスポツトが得られる。

以上述べた様に本発明によれば、電子ビーム透
過開孔の大口径化により主電子レンズの球面収差
を減少させ、中央及び両外側電子レンズの強さ、
及び陰極線管螢光面に対する水平、垂直面内のレ
ンズ強さを一致さることが可能となり、中央電子
ビームと両外側電子ビームの解像度の差を除去
し、夫々の螢光面水平、垂直方向の解像度を一致
させて、各電子ビームによる解像度を著しく改善
出来る。この改善効果は特に高輝度画像となる陰
極放出電流が大きくて、主電子レンズの電子ビー
ム透過開孔部に於ける電子ビーム束の占有率が大
きくなつた場合、解像度の劣化がなく顕著にな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は二つの隣接開孔間隙を狭める
ことにより開孔相互距離Ｓと開孔径Ｄとを0.89
Ｄ／Ｓ0.98と大口径化されたインライン径一体
化構造をした電子銃の主電子レンズ電極構体の断
面図と平面図を、第３図、第４図は前記一対の電
極を互に対向させ夫々所定の電圧比にある高電圧
と低電圧を印加した場合、三本の電子銃軸を含む
断面、及びこの断面に垂直で、中央の電子銃軸を
含む断面内での主電子レンズ静電界を、第５図は
本発明の一実施例を示すインライン型一体化構造
電子銃の主電子レンズ電極構体の斜視図を、第
６、第７図は前記一対の電極を互に対向させ夫々
所定の電圧比にある高電圧と低電圧を印加した場
合、三本の電子銃軸を含む断面、及びこの断面に
垂直で、中央の電子銃軸を含む断面内での主電子
レンズ静電界を夫々示す。 １０Ｒ，１０Ｇ，１０Ｂ；２０Ｒ，２０Ｇ，２
０Ｂ……電子銃軸、１１Ｒ，１１Ｇ，１１Ｂ；２
１Ｒ，２１Ｇ，２１Ｂ……電子ビーム透過開孔、
１２，２２……閉塞面、１３，２３……筒側部、
１４，２４……突状縁、１５，２５Ａ，２５Ｂ…
…間隙部、１６，１６′，１７，１７′；２６，２
６′，２７，２７′……等電位線群。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 突状縁で囲まれた独立する三つの開孔がイン
   ライン配列に穿設された閉塞面と筒側部とを有す
   る閉塞筒状体電極を含むインライン型電極構体に
   おいて、上記配列方向の中央開孔と両外側開孔と
   の間隙及び両外側開孔と筒側部との間隙の上記閉
   塞面を凹状に窪ませたことを特徴とするインライ
   ン型電極構体。