JPH0357501Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は比較的大型のオフセツト印刷機に小さ
な版を取り付けることができるオフセツト印刷機
甲版に関する。

〔従来技術及びその問題点〕

オフセツト印刷機の版は公知の如く、SP版ま
たは、いわゆる紙版からなり、その幅がほぼ印刷
機の版胴の幅と同じに形成されている。そしてこ
の版の表面を、紫外線等により感光後、表面処理
してインキの付着し得る感脂性部分と、付着しな
い不感脂性部分とにする。そして、第１図の如く
版胴１の外表面にその版２を巻き付けると共にそ
の端部を版胴１に爪又は万力等で係止する。そし
て、図示しないインキ装置からのインキと、湿し
水装置７からの水を供給し、ゴム製のブラン胴６
に版２上のインキ絵柄を転写する。そして、フイ
ーダー９から紙を供給し、圧胴８とブラン胴６と
によりブラン胴６上の絵柄を紙に転写するもので
ある。

従来、このような版２は全てその幅を版胴１の
幅にほぼ等しくする必要があつた。例え、絵柄が
版２の大きさに比べて極めて小さなものであつて
も同一のオフセツト印刷機を使用する限り、その
印刷機に合つた大きさの版２が必要となつてい
た。仮に、絵柄等が小さい場合に小さな版を版胴
１に巻き付けると、次のような不都合が生じた。
即ち、インキが小さな版の縁に筋状に集まりそ
れが紙に転写されてしまう。また、版胴１の大
きさに比べて小さな版をそれに巻き付けると、そ
の小版と接するゴムの表面を有するブラン胴６の
一部にのみに圧力が集中し、高価なブラン胴６を
損傷してしまう。

〔考案の目的及び構成〕

そこで本考案は絵柄等が刷られる部分とそれ以
外の部分とを別体に作り、その絵柄部分のみを取
り替えることにより各種絵模様の印刷ができるよ
うにすることを目的とし、その構成は次のとおり
である。

即ち、版胴１の外面に着脱自在に巻き付けられ
るオフセツト印刷機の版において、その表面に感
光膜が形成され又は、その表面が不感脂性に形成
され、その巻き付け方向の端縁に、小版を着脱自
在に取付ける方形の欠切部が形成されたことを特
徴とする。従つてこの欠切部４に小版５が嵌着す
るようにしてそれらを版胴１に巻き付けることに
より、小版５の縁にインキが溜まつたり、ブラン
胴６外表面を部分的に傷付けたりすることを防止
でき、信頼性が高く安価なオフセツト印刷を行い
得る。

〔実施例〕

次に、図面に基づいて本考案の一実施例につき
説明する。

第１図は本考案の版の一例を示す略図であり、
第２図はその要部平面図である。本考案の版２は
一例としていわゆる紙版を用いる。これは紙の表
面及び裏面がプラスチツク膜で処理され、その表
面側に感光液が塗布されたものである。そして紫
外線等により絵柄等を感光膜表面に形成させ、そ
こに感脂性を持たせると共に、他の部分を不感脂
性とし、その不感脂性部分に吸水性を与え得るも
のである。このような通常のいわゆる紙版からな
る版２を本考案では第２図の如く形成する。即
ち、その巻き付け側の端縁１１に多数の係止孔１
０を穿設すると共に、端縁１１の中央部に方形の
欠切部４を形成する。そしてこの版２表面の全て
を不感脂性即ち、吸水性を与えるように処理す
る。次に、前記した版２の欠切部４に整合するよ
うに小版５を用意する。そしてこの小版５の表面
に絵柄等の感脂性部分を形成させ、第１図の如く
両者を版胴１に巻き付ける。即ち、版２及び小版
５の係止孔１０を版胴１の版係止部３（一例とし
て多数のフツク状の突設部を有するもの）に係止
させる。そして、第１図に示す如く両者を版胴１
に巻き付ける。そして、通常の手順によりオフセ
ツト印刷を行えば良い。次に新たな比較的小さな
絵柄等を再び印刷するには、その新たな絵柄が形
成された小版５を前のもと入れ換えることにより
再度印刷が可能となる。このとき本考案の版２は
そのまま再使用される。なお、使用者に当たつて
は版２は全て不感脂性であり且つ吸水性を有する
からその表面に薄い水の膜が形成される。従つ
て、小版５と版２との境目においてもインクをは
ねとばし、それが付着することがない。また、こ
の版２と小版５とを同一の性質及び板厚のものを
用いることにより、これらの版とブラン胴６の表
面とは全て均一に圧接する。従つてブラン胴６の
表面を損傷する虞れもない。

〔考案の効果〕

本考案のオフセツト印刷機用版は以上のような
構成からなり次の効果を有する。

本考案の版２は、その巻き付け方向の端縁１１
に方形の欠切部４を形成したら、該欠切部４に整
合する小版５をそこに巻き付けることができる。
従つて、比較的大きな版２を取り替えることな
く、比較的小さな小版５のみを取り替えることに
より、同一のオフセツト印刷機で、小サイズの印
刷物を安価に作ることができる。即ち小版５を欠
切部４に嵌着することにより、恰も欠切部４の存
在しない１枚の大きな版を形成させ得る。そし
て、版２が不感脂性となるように、その表面を処
理すれば足りる。そしてこれらにより、実質的な
印刷部分が小版５のみであつても、その小版の外
周縁にインキが溜まつたりブラン胴６を局部的に
押圧したりすることを防ぎ、信頼性の高い安価な
オフセツト印刷を行うことができる。

又本考案の版は、その巻き付け方向の端縁に欠
切部が形成され、その端縁から小版の着脱が可能
となるため、小版後の着脱が極めて容易であり且
つ、その着脱時に高価なブラン胴６を損傷する虞
がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の版２の斜視略図、第２図はそ
の要部平面図、第３図は本考案の版２が用いられ
るオフセツト印刷機の説明的略図。 １……版胴、２……版、３……版係止部、４…
…欠切部、５……小版、６……ブラン胴、７……
湿し水装置、８……圧胴、９……フイーダー、１
０……係止孔、１１……端縁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 版胴の外面に着脱自在に巻き付けられるオフ
   セツト印刷機の版において、その表面に感光膜
   が形成され又は、その表面が不感脂性に形成さ
   れ、その巻き付け方向の端縁に、小版を着脱自
   在に取付ける方形の欠切部が形成されたことを
   特徴とするオフセツト印刷機用版。 ２ 前記欠切部が版の幅方向の中央部に位置し、
   前記版がほぼコ字状に形成された実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の版。