JPH0355470Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用のシートベルト未装着防止装
置に関する。

（従来の技術） 従来のシートベルトは、運転席、助手席等のシ
ートのやや後方の車体壁部に、巻取り装置によつ
て任意の長さに引出し可能に取付られており、こ
れを着座した乗員まの胸前から腹前の部分にかけ
て交差するように引出し、このシートベルトに取
付けたタングプレートをシートの車体中央側に設
けたベルト止着用のバツクルに掛止して装着する
ようになつている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、シートベルトは急ブレーキをかけた
際や自動車が衝突や転倒等の事故を起した際の乗
員の人身事故を防ぐ上で極めて有効であることか
ら、乗員が装着することを義務付けられている。

しかし、上記従来のシートベルトでは、乗員が
これを装着しなくても、シートに着座し、または
自動車の運転すること自体には支障がないため
に、シートベルトの装着を忘れがちであり、さら
にはシートベルトの装着操作が煩わしさから故意
にシートベルトを装着しないまま自動車を運転す
るという悪質な行為を許すことともなつていた。

さらに、従来のシートベルトでは、仮にタング
プレートをバツクルに止着しなければ自動車の運
転に支障を来たすような工夫を行なつたとして
も、シートベルト全体が柔軟な帯材からなるため
に、その状態でシートベルトを尻側が背側に敷い
て着座できるので、シートベルトの未装着を有効
に防止できない。

そこで本考案は、上記の問題点を解決すること
を目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記目的を達成するため、一端を車
体側に取付たシートベルトの他端を、シートを跨
ぐ拘束位置と車体中央側へ起立した開放位置との
間で揺動可能なアーチ状のガイドアームに取付け
ることにより、ガイドアームが前記の拘束位置に
あるときシートベルトが乗員への装着状態に保持
可能に設けるとともに、前記シートとドアとの間
には前記ガイドアームの回動先端に設けたキー片
と嵌合するアーム受けを立設し、同アーム受けに
は前記キー片に貫設した係合孔と整合する挿通孔
を貫設し、かつ同アーム受け内にはスプリングを
介して前記挿通孔を閉止可能に邪魔部材を弾着保
持し、前記ドアには前記ガイドアームを拘束位置
としたときのみ、前記挿通孔および係合孔に挿通
するロツクバーを突設する構成としたシートベル
トの未装着防止装置に存する。

（作用） ガイドアームが解放位置にあると、ドアが干渉
機構に妨げられて閉まらないため、事実上自動車
を運転することができない。このため自動車の運
転時にはガイドアームを拘束位置に保持してシー
トベルトを装着することを強制される。

アーチ状のガイドアームを尻側や背側に敷いて
運転することはできないので、必然的に乗員はガ
イドアームに拘束された状態、換言すれば正規の
シートベルト装着状態で着座することとなる。

ガイドアームは解放されたとき車体中央側へ起
立するので、乗員の自動車への乗降の邪魔になら
ない。

（実施例） 次に本考案の一実施例を第１図〜第４図に基づ
いて説明する。

ガイドアーム１は硬質の合成樹脂からなり、第
１図に示すように全体として下向きの「コ」の字
形のアーチ状に屈曲して形成されており、その基
端（第１図の右側下端）は自動車２の運転席、助
手席、後部座席等のシート３における車体４中央
側にヒンジ５を介して取付けられている。そし
て、このヒンジ５によつて、ガイドアーム１は第
１図の実線で示しかつ第２図に示すようにシート
３に着座した乗員の大腿部をある程度の遊びをも
つて跨ぐ状態となる拘束位置と、第１図の想像線
で示すように車体中央側へ起立して、乗員の乗降
に干渉しない状態となる開放位置との間で揺動可
能とされている。

次にシートベルト６は公知の柔軟なシートベル
ト用帯材からなり、その一端が車体中央部の天井
側壁部に固定した吊り環７に連係されるととも
に、他端がガイドアーム１の先端側部分に固着さ
れている。従つて、ガイドアーム１が拘束位置に
あるとき、シートベルト６は第１図、第２図に実
線で示すように乗員の胸部から腹部斜めに張られ
た正規の装着状態に保持されるようになつてい
る。

ガイドアーム１の先端（第１図の左側下端）に
はキー片８が突出されており、このキー片８は、
ガイドアーム１が拘束位置に揺動したとき、シー
ト３とドア９との間に立設された筒状のアーム受
け１０に嵌入するようになつている。また、アー
ム受け１０の上端には、弾性変形可能な材料から
なり、かつガイドアーム１側へ突出した球面状の
突起１１を備えた位置決め用ブラケツト１２が取
付られており、かつ、ガイドアーム１の先端側壁
部には突起１１に対応する球面状の凹部１３が形
成されている。

次に、ドア９の内側所定部からは所定の長さの
ロツクバー１４が突出されており、かつ、アーム
受け１０の壁部にはロツクバー１４に対応する位
置において挿通孔１５が設けられている。そし
て、この孔１５は常にはアーム受け１０に内装し
たスプリング１６により支持された邪魔部材１７
が挿通孔１５と同高位置に介在することによつ
て、第３図に示すように閉止されている。この閉
止状態においては、ロツクバー１４が挿通孔１５
に嵌入することができず、このためドア９を閉じ
ることができないようになつている。

一方、キー片８は、アーム受け１０に嵌入した
ときブロツク体１７を第４図のように挿通孔１５
より下方へ押し下げ得る長さを有しており、かつ
キー片８には、ガイドアーム１が拘束位置にある
とき挿通孔１５と同心となる位置に邪魔棒１４を
挿通し得る係合孔１８を備えている。

即ち、ロツクバー１４とアーム受け１０とによ
りドア９の閉扉妨害用の干渉機構が構成されてお
り、その作用はガイドアーム１のキー片８がアー
ム受け１０に嵌合されることにより解除されるよ
うになつている。

本実施例は以上のように構成されたものであ
り、次のように使用される。

即ち、乗員がシート３に着座する際にはガイド
アーム１を開放位置に起立させる。着座後ただち
に自動車を運転しようとしても、運転席、助手席
あるいは後部座席のいずれかの乗員がガイドアー
ム１を外したままにしていると、そのシート３の
側方のドア９が閉じないため、事実上、運転がで
きない。従つて全ての乗員がガイドアーム１を拘
束位置に戻し、シートベルト６を装着することを
強制される。また、ガイドアーム１が拘束位置に
あるとき、これに拘束されない状態でシート３に
着座することは困難である。

（考案の効果） 本考案は自動車の運転席におけるシートベルト
の未装着を確実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の正面図、第２図は
その側面図、第３図、第４図は干渉機構を説明す
るための第１図の要部拡大断面図である。 １……ガイドアーム、３……シート、６……シ
ートベルト、８……キー片、９……ドア、１０…
…アーム受け、１４……ロツクバー、１５……挿
通孔、１６……スプリング、１７……邪魔部材、
１８……係合孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端を車体側に取付けたシートベルトの他端
   を、シートを跨ぐ拘束位置と車体中央側へ起立し
   た解放位置との間で揺動可能なアーチ状のガイド
   アームに取付けることにより、ガイドアームが前
   記の拘束位置にあるときシートベルトが乗員の装
   着状態に保持可能に設けるとともに、前記シート
   とドアとの間には前記ガイドアームの回動先端に
   設けたキー片と嵌合するアーム受けを立設し、同
   アーム受けには前記キー片に貫設した係合孔と整
   合する挿通孔を貫設し、かつ同アーム受け内には
   スプリングを介して前記挿通孔を閉止可能に邪魔
   部材を弾着保持し、前記ドアには前記ガイドアー
   ムを拘束位置としたときのみ、前記挿通孔および
   係合孔に挿通するロツクバーを突設する構成とし
   たシートベルトの未装着防止装置。