JPH0352844Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、地中より土砂を堀削排出して基礎
柱を構成する時に使用する土砂排出用のバケツト
を自由に受止めして転倒排出せしめる深層堀削用
のバケツト転倒具を構造に関するものである。

一般にこの種の深層堀削によると基礎工事は、
土砂の外部排出が大変であると共に、工事の進行
に伴い順次深くなるため、多大の時間を要すると
共に、大変に危険な作業となるものである。

そこで、バケツトに堀り入れた堀削土砂を敏速
安全に処理し、作業能率を高める必要がある。そ
して、近年このバケツトの土砂の搬出処理として
は、モーターで捲上げたバケツトを櫓枠の端部に
作業者が手で誘導せしめ、作業者が直接バケツト
を持つて転倒排出せしめる作業が普通である。然
し、この場合は、そのバケツト転倒排出作業が大
変に重労働のため、作業能率が大変に悪く、工期
の短縮が計れない欠点がある。また、この作業は
竪坑の附近でするため、バケツトの移動操作によ
つて誤つて坑内に落下する等の欠点がある。

さらに、近年に亘りバケツト転倒具の回転体の
内周面に弾性体を張着したものもあるが、この場
合、弾性体の表面に水、泥土が附着すると、時々
バケツトが滑りやすくなる欠点がある。

この考案はこの様な従来の各欠点を改良せしめ
たものであつて、その主たる構成とする所は、バ
ケツト転倒具は櫓枠本体の床板端部に転倒自在に
設置し、そのバケツト転倒具は外側の略円錐形を
有する外筒容器との内側の圧持容器とから構成す
る。また、圧持容器の上方外周に数個の切除溝を
設けて圧着片を交互に形成する。その圧着片の上
部外周に弾発力を有する伸縮発条環を捲着した構
造となつている。従つて、この考案によれば、バ
ケツトを嵌合するだけで確実強固に支持してバケ
ツト内の土砂を容易に転倒排出する効果と、バケ
ツトの固定からの分離を弾性に抗する移動によつ
て容易に脱出が可能となる効果がある。また、転
倒具よりバケツトが転倒排出中に外れる心配がな
く堀削能力を著しく向上せしめる等の効果があ
る。

次に、この考案の実施例を図面について説明す
ると、櫓枠本体Ａの床板２０に隣接して装設され
るバケツト転倒具１は、外側に略円錐形を有する
外筒容器２と、その内側の同じく略円錐形を有す
る圧持容器３とから構成されている。前記外筒容
器２には、その底部５に数個の螺子孔１０，１０
……と土砂の掃除用の貫通孔１１，１１……を穿
設せしめてある。

次に、圧持容器３には、その上方の外周壁のみ
に縦方向の切除溝７，７……と圧着片６，６……
とを交互に各形成してある。前記圧着片６，６…
…の上端には、外方に向つて係止屈曲片８，８…
…を各形成してある。この係止屈曲片８，８に
は、捲発条等の各種の弾性体よりなる伸縮発条環
４を捲着係合せしめてある。また、この圧持容器
３の底部９には、底部５と同様な数個の螺子孔１
０，１０……と土砂の掃除用の貫通孔１１，１１
とを各々穿設してある。符号１２は、該底部５と
該底部９との各々螺子孔１０，１０に挿通して外
筒容器２と圧持容器３とを一体的に固定するボル
トナツト等の取着子を示したものである。１３
は、バケツト転倒具１を支持する支持枠を示し、
１４は、支持枠１３に設けた転倒具１の軸を受持
する軸受である。更に、櫓枠本体１は各種の型鋼
より組立自在に構成され、相対向する各脚柱１
６，１６……を堀削位置の附近に長方形状に立設
する。この脚柱１６，１６……には、表裏に水平
な数個の横枠１７，１７……と、左右側面の上下
に架設した側枠１８，１８……とを各々ボルト、
ナツト等の取着子を以つて組立自在に構成せしめ
てある。また、この横枠１７，１７と脚柱１６，
１６の下端とを傾斜せしめた斜枠１９，１９を以
つて組立すると共に、側枠１８，１８側の脚柱１
６，１６にも斜枠１９，１９を組立してある。

また、該櫓枠本体Ａには、下方所定位置に鈑板
等を連設して略中央部分に所要大の開口部２５を
穿設した床板２０，２９を敷設してある。この開
口部２５には、上部に底部が開口している折畳み
できる防護柵２１を装設せしめてある。符号２２
は、ホホイスト軌条を移動する電動ホイストであ
つて、電動ホイスト２２には、下方にバケツト２
３を吊下げしたワイヤー２４を捲上げ、捲下げ自
由に吊設せしめてある。

この考案は上述の様な構成からなり、今その使
用法を説明すると、堀削位置の坑口に組立された
櫓枠本体Ａの防護柵２１が位置し、その防護柵２
１の中を昇降するワイヤー２４の下端に設けたバ
ケツト２３に堀削された土砂を注入する。このバ
ケツト２３を坑口より捲上げて防護柵２１の略上
方位置にて電動ホイスト２２のホイスト軌条上の
走行により、バケツト転倒具１まで移動して降下
と同時に内側の圧持容器３にバケツト２３が第４
図の様に圧着片６，６……を外方に伸縮発条環４
に抗して開放せしめてバケツト２３を圧持容器３
で支持し、バケツト転倒具１と共にバケツト２３
も転倒せしめて内部の土砂をベルトコンベアー等
に向つて放出するものである。この時、内部のバ
ケツト２３は、バケツト転倒具１の圧持容器３の
圧着片６，６……に弾発的に圧持され、他の固定
具を使用しないでバケツト２３内の土砂のみを転
倒排出するものである。その後、ワイヤー２４の
捲上げによりバケツト２３は、圧持容器３よりの
圧持を解除して脱離させ、電動ホイスト２３によ
り、坑口の防護柵２１より堀削坑に降下して作業
を繰返して作業するものである。この作業によつ
て垂直円形に堀進し、所定深さの基礎底にコンク
リートを打設して基礎柱を形成するものである。

以上の如く、この考案の深層堀削用のバケツト
転倒具によれば、バケツトに堀入した堀削した土
砂を非常に簡単な方法でバケツトより排出できる
と共に、バケツトの移動、転倒及び脱離作業が非
常に容易となる効果と、作業性が著しく良好安全
であるため大変に経済的となる効果がある。そし
て、バケツト転倒具は支持枠に転倒自在に設置さ
れているので構造が簡単で故障等の憂いなく、移
動及び運搬が極めて容易である効果がある。ま
た、バケツト転倒具は、外側の略円錐形の外筒容
器と、内側の圧持容器とから構成してあるので、
バケツト転倒具本体が二重構造となり大変に強靱
化されると共に、略円錐形であるためバケツトの
大小寸法に対応して嵌着できると云う便利な効果
がある。

更に、圧持容器の上方外周壁に数個の切除溝を
設けて圧着片を交互に形成し、この圧着片の上部
外周に弾発力を有する伸縮発条環を捲着せしめた
ことにより、バケツトの嵌合時に圧着片が伸縮発
条環を開放してから引締めるためバケツトを強固
に圧持して土砂の排出時には脱離する憂いがな
く、圧着片とバケツトの外周との間に排土や水が
介在されても絶対にバケツトとが脱離しないと云
う優れた効果と、バケツト内の土砂を排出した後
には、バケツトの瞬時の引上力によつて弾発力を
容易に開放して引上げ移動が確実にできる効果が
ある。また、伸縮発条環の復元力が弱体化した時
には極めて簡単に取換えできると云う効果もあ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を櫓枠に装設して使用してい
る状態の正面図、第２図は同じく側面図、第３図
は、床板部分の平面図、第４図はバケツトを嵌着
した状態の一部欠除した側面図、第５図は外筒容
器の斜視図、第６図は圧持容器の斜面図、第７図
は伸縮発条環の斜面図である。 符号Ａは櫓枠本体、１はバケツト転倒具、２は
外筒容器、３は圧持容器、４は伸縮発条環、６は
圧着片、７は切除溝、８は係止屈曲片、１３は支
持枠、２１は防護柵、２３はバケツト、２４はワ
イヤーである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 型鋼で各種形状の長方形に枠組した深層堀削用
   の櫓枠本体に装設するバケツト転倒具に於いて、
   前記バケツト転倒具は櫓枠本体の床板端部に転倒
   自在に設置し、該バケツト転倒具は外側の略円錐
   形を有する外筒容器と内側の圧持容器とから構成
   され、前記圧持容器の上方外周壁に数個の切除溝
   を設けて圧着片を交互に形成し、且つ、該圧着片
   の上部外周に弾発力を有する伸縮発条環を捲着し
   た事を特徴とする深層堀削用のバケツト転倒具。