JPH0351563Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、球弁を弁筐内に収容したタイプの過
流出防止弁装置に関し、例えばガス器具にゴム管
を接続するガス接続具あるいは引込元栓コツクに
設置され、ゴム管が外れたり、ゴム管が取付蹴ら
れていない状態でガスコツクが開かれて一定以上
の過流出状態になつたとき、前記球弁がガス流動
圧により弁座側に移動せしめられて自動閉弁する
過流出防止弁装置であつて、特に、その取付姿勢
に制約のない、いわゆる全方向型の過流出防止弁
装置に関する。

（従来技術及びその問題点） 従来より周知の全方向型過流出防止弁装置とし
て、第５図に示すものがある。これは、ガスが流
通する外筒１内に、一端部に弁座２を形成した円
筒状の弁筐３を固着し、この弁筐３内には弁座２
側端部とその反対側端部のストツパ部材４との間
にコイルスプリング５を配置すると共に、このコ
イルスプリング５内に球弁６を挿入して該球弁６
をコイルスプリング５のストツパ部材４側端部に
おいて保持固定し、しかして外筒１内に下流側で
過流出状態が生じたときそのガス流動圧により球
弁６がコイルスプリング５の付勢力に抗し弁座２
側に移動して閉弁するようになつている。

ところで、この過流出防止弁装置では、球弁６
にはコイルスプリング５により常時上流側に向か
う付勢力が付与され、この付勢力は球弁６の自重
よりも大きい値に設定されることから、単なるコ
イルスプリングでは第５図のような上向き取付姿
勢での作動ガス流量が同図と逆向きの下向き取付
姿勢での作動ガス流量に比べて過大となる。した
がつて、かかる上向き取付姿勢と下向き取付姿勢
とにおける作動ガス流量の差を少なくするために
は、コイルスプリング５はばね定数のできるだけ
小さいものを使用する必要があつて、しかも球弁
６としては通常合成樹脂のように金属等よりはる
かに比重の小さい球体が用いられることから、球
弁６のばね定数は極端に小さなものとなる。

ところが、このようなばね定数の小さいコイル
スプリングを圧縮ばねとして、弁筐３内における
球弁６と弁座２口との間に介装した場合には、コ
イルスプリング５に座屈が生じ易く、球弁６の作
動が不安定で、弁が正常に作動しなくなるおそれ
があつた。

上述したような弁装置におけるコイルばねの座
屈現象の発生を防止することを技術的課題として
提案されたものに、実公昭62−8704号公報に開示
された過流出防止弁装置がある。この弁装置は、
第６図に示すように、一端部に弁座２を有して外
筒１内に固着された弁座７に、コイルスプリング
８を外嵌し、球弁６に一体的に連設した支持杆９
を、弁筐７に軸方向に設けられた両側１対のスリ
ツト１０，１０を介して該弁筐７の外部に軸方向
移動可能に突出させ、コイルスプリング８を支持
杆９と弁筐７の下流端との間に介装してなるもの
で、これによれば、過流出状態においては球弁６
に作用するガス流によつて生じる押圧力が支持杆
９を介してコイルスプリング８に作用し、このス
プリング８を圧縮するが、コイルスプリング８は
主体に外嵌していることから、座屈現象が防止さ
れるようになつている。

ところが、この過流出防止弁装置によれば、球
弁６に支持杆９を一体的に連設し、しかもこの支
持杆９の両端部を、弁筐７に設けたスリツトから
外部に突出させた構成であるため、球弁６への支
持杆９の取付け作業ならびに球弁６及び支持杆９
の弁筐７への嵌め込み作業に手間がかかつて、製
作コストが高くつくという問題があつた。

本考案は上述したような事情に鑑みてなされた
もので、コイルスプリングの座屈の防止を可能と
しながら製作が容易でローコスト化を期すること
のできる過流出防止弁装置を提供することを目的
としている。

（問題点を解決するための技術的手段） 本考案の技術的手段は、ガスが流通する外筒１
１内に、先端部に弁座１３を内設した筒状弁筐１
２を固着し、この筒状弁筐１２内には、先端部に
球弁係合部１７を有し且つ自由状態で前記弁筐の
軸方向長さより短いコイルスプリング１５を挿入
して、該コイルスプリングの基端部を筒状弁筐１
２の後端部に固定すると共に、これに球弁抜け止
め部材１８を設け、しかして球弁係合部１７と球
弁抜け止め部材１８との間を自由に遊動可能な球
弁１６をコイルスプリング１５内に収容してなる
ことを特徴とする。

（作用） 球弁１６はコイルスプリング１５内において球
弁係合部１７と球弁抜け止め部材１８との間を自
由に遊動可能な状態で収容されている。しかし
て、下流側で異常過流出状態が発生したとき、そ
の異常ガス流により球弁１６に押圧力が作用し、
この加圧力によつて球弁１６は球弁係合部１７と
離間位置から単独で上流側方向に移動してこれに
係合し斯る状態からコイルスプリング１５を引張
するか、又は当初から球弁係合部１７に係合した
状態からコイルスプリング１５を引張しつつ、下
流側に向かつて移動して弁座１３に嵌合し、流路
を自動的に遮断する。このように、球弁１６の作
動時にコイルスプリング１５は引張力を受けて引
張されるので座屈を生じることなく球弁１６の作
動を安定にする。

（実施例） 以下、本考案の実施例を第１図〜第４図にもと
づいて説明する。

第１図及び第２図は弁筐に横向きのガス流通用
開路を有するタイプの過流出防止弁装置を示した
もので、第１図は上向き取付姿勢、第２図は下向
き取付姿勢を示している。

これらの図において、１１は外周面両端部にね
じ部１１ａ，１１ｂを形成したガス接続具などの
外筒、１２は黄銅やステンレス鋼等にて形成され
た円筒状の弁筐で、外筒１１内に先端部外周を気
密状態にして同心状に固着されている。この弁筐
１２は、先端開口部の内側に弁座１３を形成して
いる厚肉状ヘツド部１２ａとこれの後端側へ一体
に延びる薄肉円筒部１２ｂとからなり、この薄肉
円筒部１２ｂのヘツド部側端部にガス流通用開路
１４，１４が設けてある。この弁筐１２の外筒１
１への取付けにあたつてはヘツド部１２ａの外周
面に形成した雄ねじ部１２ｃを外筒１１内周面の
雌ねじ部１１ｃに螺合させて取付けるようにして
いる。１５は弁筐１２内に挿入配置された円錐台
形状のコイルスプリングで、自由状態で弁筐１２
の軸方向長さの1/2程度の長さ（例えば６mm）を
有する。またこのコイルスプリング１５は、その
径大側端部の外径が弁筐１２の薄肉円筒部１２ｂ
の後端部内径よりわずかに小さく、しかしてその
径大端部が薄肉円筒部１２ｂの後端部内周面に係
合した状態で該後端部内周面に溶接その他の固着
手段で固着されている。１６は円錐台形状コイル
スプリング１５内の収容される球弁で、合成樹
脂、例えばナイロン、好ましくはジユラコン（商
標名）で形成され、そしてこの球弁１６は円錐台
形状コイルスプリング１５の径小側端部の内径
（例えば6.0mm）よりわずかに大きい直径（例えば
6.4mm）を有する。尚、上記コイルスプリングの
径小側端部の内周部を球弁係合部１７とする。し
かして、コイルスプリング１５内に球弁１６を収
容し且つ弁筐１２の薄肉円筒部１２ｂの下端部に
球弁抜け止めピン１８を横架した状態において、
この球弁１６は、コイルスプリング１５の径小側
端部ではその内周部の球弁係合部１７に係合して
抜け出しを阻止され、また径大側端部では抜け止
めピン１８にて抜け出しを阻止されることになる
が、これら球弁係合部１７と球弁抜け止めピン１
８との間では自由に遊動可能となつている。

また、上記弁筐１２の後端部側内周面には、円
錐台形状のコイルスプリング１５が所定長さ伸長
した状態においてこの伸長したコイルスプリング
１５のテーパ状外周面に対応するようなテーパ面
１９が形成されている。

次に、上述したような構成を有する過流出防止
弁装置の作動状態を説明する。先ず第１図の上向
き取付姿勢において、この弁装置の下流側（第１
図の上側）でガス器具につながれるゴム管の外れ
等による異常過流出状態が生じて、下流側のガス
流動抵抗が著しく減少すると、上流側（第１図の
下側）のガス流量が異常に増加し、このため薄肉
円筒部１２ｂとの間の側路２０及びガス流通用開
路１４，１４のそれぞれの通過面積では通過し得
ないガス流は球弁１６に対する押圧力として作用
する。この加圧力によつて、球弁１６は第１図の
実線図示のような抜け止めピン１８上に載置され
た位置からコイルスプリング１５内を上昇移動し
て該コイルスプリング１５先端部の球弁係合部１
７に係合し、この係合時点から上記押圧力が球弁
１６を介しコイルスプリング１５に作用して、こ
のコイルスプリング１５が球弁１６との係合を維
持したまま該スプリングの付勢力に抗し引張さ
れ、それにより球弁１６が第１図の１点鎖線図示
のように弁座１３に嵌合してガス流路を自動的に
遮断する。このように球弁１６の作動時には、コ
イルスプリング１５がこれの先端部に係合した球
弁１６に作用する押圧力により引張されることと
なるため、このコイルスプリング１５に座屈が生
じることがない。また、このコイルスプリング１
５に引張時には弁筐１２における薄肉状円筒部１
２ｂの内周面によつてガイドされ、しかもこの内
周面はテーパ面１９を形成していることから、コ
イルスプリング１５は横揺れ等の不都合な振動を
生ずることなく適確に伸長作動することができ
る。尚、コイルスプリング１５は、球弁１６が弁
座１３嵌合した状態で該スプリングの先端が弁筐
１２における厚肉状ヘツド部１２ｂの内側壁面１
２ｄに当接することのないように設定されてい
る。

また、第２図は第１図の過流出防止弁装置を倒
置して、下向きの取付姿勢した設置状態を示した
もので、この下向き取付姿勢では、その定常状態
において球弁１６は倒円錐台形状を呈するコイル
スプリング１５先端部の球弁係合部１７に係合し
て弁筐１２内中間部に宙架された状態となつてい
る。しかして、この弁装置の下流側（第２図では
下側）で異常過流出状態が発生したときには、球
弁１６はガス流によりこれに作用する押圧力によ
つてコイルスプリング１５をその付勢力に抗し引
張しつつ下降移動して第２図の１点鎖線図示のよ
うに弁座１３に嵌合する。このように下向き取付
姿勢においては過流出状態の発生時点からコイル
スプリング１５が引張されるという点のみが第１
図の上向き取付姿勢の場合と異なつている。

第３図及び第４図は、第１図及び第２図の実施
例のように弁筐に横向きのガス流通用開路が設け
られておらず、該弁筐と球弁との間に常時供給の
ガス量が通過するに足る間隙を形成しているタイ
プの過流出防止弁装置を示したもので、第３図は
上向き取付姿勢を示し、第４図は下向き取付姿勢
を示す。尚、第３図及び第４図で示す弁装置は上
記開路が設けられていない点以外は第１図及び第
２図の弁装置と同一構造であるため、構成部材に
は同一番号を符すると共に、説明を簡略する。

この過流出防止弁装置では、弁筐１２と球弁１
６との間に常時供給のガス量が通過するに足る間
隙２１が形成されていて、その常時のガス量は上
流側（第３図では下側）から弁筐１２内の間隙２
１を通り、下流側（第３図では上側）に送り出さ
れる。したがつて、異常過流出状態が発生した場
合には、上流側のガス流量が異常増加し、このた
め前記間隙２１だけの通過面積では通過し得ない
ガス量が球弁１６に対し押圧力として作用し、こ
の加圧力によつて球弁１６は第３図の実線図示の
位置からコイルスプリング１５内を上昇移動して
該コイルスプリング１５先端部の球弁係合部１７
に係合し、この時点から球弁１６はガス流により
これに作用する押圧力によつてコイルスプリング
１５をその付勢力に抗し引張しつつ更に上昇移動
して第３図の１点鎖線図示のように弁座１３に嵌
合し、流路を遮断する。また、第４図の下向き取
付姿勢では、球弁１６は第２図の場合と同じく定
常状態でコイルスプリング１５の球弁係合部１７
に係合して宙架状態にあり、しかして異常過流出
状態が発生したとき球弁１６は上記宙架状態から
コイルスプリング１５を引張して下降移動し、弁
座１３に係合することになる。

以上説明した図示の実施例では、円錐台形状の
コイルスプリングを使用し、球弁の直径よりもわ
ずかに径小である該コイルスプリングの径小側端
部の内周部を球弁係合部としたが、円筒状のコイ
ルスプリングを用いてこのコイルスプリングの先
端部を、球弁が係合可能なように絞り込んで、そ
の絞り部分を球弁係合部としてもよいし、あるい
は同様な円筒状コイルスプリングの先端部におい
てそのコイル線材を、該円筒状コイルスプリング
を横断する方向に折曲してその折曲部片を球弁係
合部としてもよく、更には同様な円筒状コイルス
プリングの先端部内周面側に適当な係合片を溶接
等にて固着し、斯る係合片を球弁係合部とするこ
ともできる。

更に図示の実施例では、過流出防止弁装置を上
向き取付姿勢と下向き取付姿勢としか示していな
いが、これら以外の横向き水平方向、斜め上方又
は下方等いずれの取付姿勢においても、実施例と
同様にて実施できるものである。

（考案の効果） 本考案の過流出防止弁装置によれば、球弁の作
動時にコイルスプリングは球弁により引張されて
伸長するから、従来の圧縮式コイルスプリングの
ように座屈を発生することがなく、球弁は安定し
て動作することができる。そして、この過流出弁
装置は、部品点数が少ない上に、球弁とコイルス
プリングとを連結する必要がなく、組立てにあた
つては弁筐内に挿入したコイルスプリングの基端
部を弁筐の後端部に固定して、このコイルスプリ
ング内に球弁を収容すればよいから、従来の過流
出防止弁装置に比べ組立て作業がすこぶる簡単
で、製作コストの著しい低廉化を期することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を上向き取付姿勢で
示す過流出防止弁装置の縦断面図、第２図は同上
の過流出防止弁装置を下向き取付姿勢で示す縦断
面図、第３図及び第４図は第１図、第２図の過流
出防止弁装置とはタイプの異なつた過流出防止弁
装置を上向き取付姿勢及び下向き取付姿勢でそれ
ぞれ示す縦断面図、第５図及び第６図はそれぞれ
従来例を示す縦断面図である。 １１……外筒、１２……弁筐、１３……弁座、
１４……ガス流通用開路、１５……コイルスプリ
ング、１６……球弁、１７……球弁係合部、１８
……球弁抜け止めピン（球弁抜け止め部材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガスが流通する外筒内に、先端部に弁座を内設
   した筒状弁筐を固着し、この筒状弁筐内には、先
   端部に球弁係合部を有し且つ自由状態で前記弁筐
   の軸方向長さより短いコイルスプリングを挿入し
   て、該コイルスプリングの基端部を筒状弁筐の後
   端部に固定すると共に、これに球弁抜け止め部材
   を設け、しかして球弁係合部と球弁抜け止め部材
   との間に自由に遊動可能な球弁をコイルスプリン
   グ内に収容してなる過流出防止弁装置。