JPH0351283Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、和服の下に着用した長襦袢または襦
袢（以下長襦袢等という）において、半衿で被わ
れた衿の先端縁の曲線が崩れず、適度の張りをも
つた美しい形に保てる衿保形具に関するものであ
る。

従来のこの種衿保形具には、長襦袢等の衿とそ
れを被う半衿との間の間隙に可撓性を有するプラ
スチツク薄板で細長く成形した衿芯を挿入するも
のがあるが、これには、衿芯とそれを挿入した間
隙との間に遊び間隙があつて、長襦袢等の着用時
に衿芯がずれ動きやすく、衿の先端縁の曲線を、
それが常に安定し、かつ適度の張りを有するよう
に保持することが困難であるという欠点がある。

そのため、半衿の上から衿芯が動かないように
とじ付けることも行われているが、この場合に
は、半衿の上に縫い目が出て体裁がわるいばかり
でなく、半衿は汚れる都度、はずして洗濯される
ため、半衿の着脱時毎に上記のとじ付けと、とじ
付けのはずしとを行わなければならず、大変面倒
であるという欠点がある。

また実公昭51−1928号公報に記載されているよ
うに半衿本体の両辺を内方側に折込んで長手方向
端縁寄りの両個所に細長いポケツトを形成し、こ
れらのポケツト内に可撓性を有するフイルム芯を
挿脱自在に挿入する構成を有する考案も提案され
ているが、この場合には、半衿本体をその長手中
心線に沿つて２つ折りに折合わせ、襦袢の衿に被
せて釦止するために、半衿本体の長手方向の両側
端縁に沿つた部分に適度の張りをもたせることは
できるけれども、半衿本体の２つ折りの折曲端縁
に沿つた部分に適度の張りをもたせることはでき
ないので、襦袢着用時に衿の先端縁の曲線に、し
わ寄りなどの形崩れが生じるのを防止できず、そ
の形崩れにならつて半衿本体の折曲端縁に沿つた
部分も形崩れしやすい。また釦の取付け具合や、
取付け後の布地の縮み具合などで半衿本体側の釦
同志の間隔と、襦袢の衿側の釦同志の間隔とに、
少しでも狂いが生じると、襦袢の衿の先端縁の曲
線には、しわ寄りが生じていなくても、半衿本体
の折曲端縁には、しわ寄りが生じるなどの欠点が
ある。

本考案は、上記従来の欠点を解消しうる長襦袢
等の衿保形具を提供しようとするものである。

以下図面にもとづいて本考案の実施例を説明す
ると、１は長襦袢、２は長襦袢１の衿、３は衿２
に縫い付けた半衿、４は芯通し袋で、衿２の内側
面において一方の側縁５が衿２の先端縁６に沿う
ように縫い付け７してある。８は芯通し袋４の出
入口で、芯通し袋４の一端寄りにおいて他方の側
縁９側に開口するように設けられている。１０は
衿芯で、可撓性を有するプラスチツク薄板等によ
り細長く、かつ衿２の屈曲に合せて成形してあ
り、芯通し袋４の内側巾に合致した巾を有し、両
端には、丸味を帯びた端部１１，１１を有し、両
端寄りには、衿芯１０の挿入時に上辺と下辺の向
きを間違えないようにするため、拇親を当てる輪
郭線１２，１２を設けてある。

次に、上記の構成よりなる長襦袢等の衿保形具
の作用について説明すると、半衿３を衿２に縫い
付ける前に、衿芯１０の一端を第１図示のように
出入口８に差し込んでから、衿芯１０の全体を芯
通し袋４に挿入していき、衿芯１０の他端を出入
り口８の後部に形成されている袋端１３へ押し入
れて、衿芯１０の挿入を完了する。次いで半衿３
を衿２に縫い付けた後、長襦袢１を着用すると、
衿芯１０が芯通し袋４により衿２の先端縁に沿つ
た位置に固定されたまま衿２の形にならつて自発
的に屈曲し、半衿３の先端縁の曲線を、それが常
に安定し、かつ適度の張りを有するように保持す
る。

本考案は、上記実施例のように芯通し袋４を衿
２の内側面に縫い付ける代わりに、衿２の外側面
に縫い付けることもある。また衿２自体の内部に
芯通し袋４と同じ袋部分をステツチ縫いなどで設
けることもある。また芯通し袋４は、長襦袢等の
縫製工程において設けることもあり、また既に縫
製済みの長襦袢等に設けることもあり、また衿２
または半衿３に予め芯通し袋４を設けることもあ
る。また衿芯の出入口は、芯通し袋の端部に設け
ることもあり、衿芯は、輪郭線１２，１２を省い
たものや、直状のものを使用することもある。ま
た本考案は長襦袢以外の襦袢にも実施しうる。

本考案は、叙上のように構成したから、衿芯を
芯通し袋に挿入するだけで、衿芯を長襦袢等の衿
の先端縁に沿つた位置に固定した状態で挿入でき
るため、長襦袢等の着用時に衿の先端縁にたる
み、だぶつき、しわ寄りなどの形崩れが生ずるの
を防ぐことができ、衿の先端縁の曲線を常にすつ
きりと保持し、和服の衿元を美しく看せることが
できる。また昭和８年実用新案出願公告第13599
号公報記載の襟芯のように衿芯の両端に紐或はテ
ープを付さなくて済むため、上記公報記載の襟芯
に比し、衿芯の構造が簡単になるだけでなく、長
襦袢等の衿内に衿芯を挿入したり、衿内から衿芯
を引き抜いたりする作業に手間がかからず、それ
だけ使いやすい衿保持具を提供することができ
る。また芯通し袋の巾を長襦袢等の衿巾よりも狭
くしてあるため、半衿の縫い付け時に芯通し袋や
衿芯が邪魔になるようなこともない。また半衿の
上から衿芯が動かないようにとじる必要がないた
め、半衿の着脱を面倒にすることもない。また芯
通し袋が衿芯の着脱の案内役をするため、衿芯の
着脱が容易に行えるなどの利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は長襦袢等に本考案に係る衿保形具を設
ける例を示す図、第２図は芯通し袋の一部を切除
した正面図、第３図は衿芯の一部を切除した正面
図、第４図は芯通し袋を長襦袢の衿に縫い付けた
状態の一部を示す図である。 １……長襦袢、２……衿、３……半衿、４……
芯通し袋、５……芯通し袋４の一方の側縁、６…
…衿２の先端縁、８……出入口、１０……衿芯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長襦袢１等の衿巾より狭い巾を有する芯通し袋
   ４を、長襦袢１等の衿２において芯通し袋４の一
   方の側縁５が衿１の先端縁６に沿うように設け、
   芯通し袋４には、それに設けた出入口８から芯通
   し袋４の内側巾に合致した巾を有する可撓性の衿
   芯１０を引き抜き自在に挿入してなる長襦袢等の
   衿保形具。