JPH035095Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の分野〕 本考案は、回路部品等を気密に封入する気密パ
ツケージに用いる気密端子に関するものである。

〔考案の背景〕

第１図は従来の気密端子の斜視図、第２図は第
１図におけるＡ−Ａ線に沿つた断面図であるが、
この従来の気密パツケージに用いられている気密
端子Ｔは前記図に示すようにベース１に複数のリ
ード線挿通孔２を穿設するとともに、それぞれの
リード線挿通孔２にリード線３を挿通してガラス
等の絶縁材４により封着して基本的になるもので
ある。

この気密端子に前記リード線３の内側先端部に
回路部品（図示せず）を接続し、キヤツプ５（第
２図参照）を被せてベース１の周囲に形成された
圧着用フランジ６において圧接し、回路部品を気
密に封入した気密パツケージを形成する。

前述のような気密端子にはリード線挿通孔２の
ほかに、前記ベース１の表面より裏面にかけて貫
通するスタンド装着孔７が形成されており、この
スタンド装着孔７に同様にガラス等の絶縁材８を
充填し、この絶縁材８をベース１の下面から連成
突出させて絶縁材スタンド９を形成している。こ
の絶縁材スタンド９は、リード線４の下端が回路
基板１０に接続されたとき、ベース１と回路基板
１０とを離間させ、両者を電気的に接触させない
ようにするものである（第２図参照）。

このような従来の気密端子Ｔにおいては、ベー
ス１を形成するに際し、肉厚の大きな金属板を用
意し、この金属板をコイニング加工により断面凸
状に形成するものであつた。すなわち、肉厚の大
きな平板状の金属板の、圧着用フランジ６を形成
する部分のみを圧縮させて全体を断面凸状にする
と共に、リード線挿通孔２およびスタンド装着孔
７を前記凸部を貫通して穿設し、ベース１を形成
するものであつた。

このようにして製造されたベース１は、前記コ
イニング加工が高価な加工法であること、前記コ
イニング加工を行うための金属板は肉厚で良好な
強度を有していなければならないために、高価で
あること、さらには断面凸状にしたのちリード線
挿通孔２およびスタンド装着孔７を形成する必要
があることなどのために、非常にコスト高になる
という欠点があつた。

〔考案の概要〕

本考案は上記のような現状に鑑みてなされたも
のであり、薄い一枚の平板をプレス絞りあるいは
バーリング加工により、一工程においてリード線
挿通孔とスタンド装着孔を形成させることにより
安価な気密端子を提供することを目的とする。

上記の目的を達成するため本考案による気密端
子においては、一枚の平板状薄板に、前記薄板の
一方の面に突出する筒状の袴部を周縁に有するリ
ード線挿通孔と他方の面に突出する筒状の袴部を
有するスタンド装着孔を形成するとともに、前記
リード線挿通孔にリード線を挿通し、前記袴部を
構成する中空部に絶縁材を充填してリード線を封
着し、さらに前記スタンド装着孔に絶縁材を前記
他方の面に突出するよう埋設したことを特徴とす
るものである。

〔実施例〕

以下、本考案による気密端子の一実施例を図面
に基づき詳細に説明する。

第３図は、本考案による気密端子の一実施例の
斜視図であり、第４図は前記実施例の正面図、第
５図はＢ−Ｂ線に沿つた断面図を示す。

本考案による一実施例の気密端子T₁は方形状、
楕円状、円状等の任意形状の平板状薄板ベース材
３０を用意し、このベース材３０をプレス絞りあ
るいはバーリング加工することにより、一方の面
にリード線３１を挿通するためのリード線挿通孔
３２を突出させて設け、もう一方の面にはスタン
ド装着孔３３を突出して設ける。

このようなリード線挿通孔３２およびスタンド
装着孔３３はプレス絞りあるいはバーリング加工
によつて設けるものであるために、リード線挿通
孔３２およびスタンド装着孔３３を形成する際、
前記リード線挿通孔３２およびスタンド装着孔３
３周縁に袴部３４，３５が生じる。この筒状の袴
部３４，３５は、前述のよう相互に反対面に突出
するように設けてある。

このような前記リード線挿通孔３２のそれぞれ
にリード線３１を挿通し、リード線挿通孔３２の
周縁に突設された袴部３４が形成する中空部に絶
縁材３６を充填し、溶融固化してリード線３１を
封着する（第３図、第４図、第５図においては、
一部のみリード線３１を封着した図を示している
が、製品は全てのリード線挿通孔３２にリード線
３１を封着する）。一方、スタンド装着孔３３の
周縁部に形成され、かつリード線挿通孔３２の袴
部３４と反対方向に突出する袴部３５の構成する
中空部には、同様に絶縁材３７が充填されてお
り、この絶縁材３７は前記リード線挿通孔３２の
袴部３４と反対方向に前記袴部３５より突出して
絶縁材スタンド３８を形成している（第３図〜第
５図においては、一部のみ絶縁材スタンドを形成
した図を示しているが、製品は全てのスタンド装
着孔に絶縁材スタンド３８を形成してなるもので
ある）。

前述のようにリード線挿通孔３２の袴部３４と
スタンド装着孔３３の袴部３５は相互に反対方向
に突出しているが、これはスタンド装着孔３３の
袴部３５がリード線挿通孔３２の袴部３４と同一
方向に突出している場合、回路部品とリード線３
１を接続するときに前記袴部３５が干渉する虞を
生じ、このため大きな寸法の回路部品を気密に封
入しにくくなるからである。さらに、この場合リ
ード線３１を封着する絶縁材３６が回路基板１０
と接触しないようにするためには絶縁材スタンド
３８をより高くする必要が生じるが、このような
ことは技術的に困難を伴い、コスト高を招来する
虞があるからである。

このような気密端子T₁のリード線挿通孔３２
の袴部３４が突出する方向のリード線３１部分に
回路部品を接続するとともに、キヤツプ３９を被
せ、フランジ３１０において圧着し、回路部品を
気密に封入した気密パツケージとするものである
が、この実施例においては、前記リード線挿通孔
３２の前記袴部３４の外壁がキヤツプ３９の内壁
に当接するような位置に配置されており、このリ
ード線挿通孔３２の袴部３４の外壁をキヤツプ３
１０の胴径ガイドとしている。したがつて、キヤ
ツプ３１０を被せる位置が一定する。このように
キヤツプ３１０の位置決め可能なようにリード線
挿通孔３２の位置を配置することにより、回路部
品をリード線３１の先端に接続したのち、キヤツ
プ３１０の被せる位置を考慮することなく、容易
にキヤツプ３１０を被せることが可能になり作業
が簡素化するという利点がある。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案の気密端子によれ
ば、一枚の平板状薄板をプレス加工ないしはバー
リング加工して、相互に反対面に突出する袴部を
備えたリード線挿通孔およびスタンド装着孔を形
成したので、一工程においてリード線挿通孔とス
タンド装着孔を備えたベースを製造することがで
き、しかも高価なコイニング加工を行う必要がな
く、さらには安価なベース材を使用可能になるた
め、気密端子のコストを大幅に低減できるとう利
点がある。

さらに、前記リード線挿通孔の袴部の外壁がキ
ヤツプ内壁に当接するように配置することにより
キヤツプの位置決めが可能になるという利点もあ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の気密端子の斜視図、第２図は第
１図におけるＡ−Ａ線に沿つた断面図、第３図は
本考案による一実施例の斜視図、第４図は前記実
施例の正面図、第５図は第４図におけるＢ−Ｂ線
に沿つた断面図である。 ３０……ベース材、３１……リード線、３２…
…リード線挿通孔、３３……スタンド装着孔、３
４，３５……袴部、３６，３７……絶縁材、３８
……絶縁材スタンド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一枚の平板状薄板に、前記薄板の一方の面に
   突出する筒状の袴部を周縁に有するリード線挿
   通孔と他方の面に突出する筒状の袴部を有する
   スタンド装着孔を形成するとともに、前記リー
   ド線挿通孔にリード線を挿通し、前記袴部を構
   成する中空部に絶縁材を充填してリード線を封
   着し、さらに前記スタンド装着孔に絶縁材を前
   記他方の面に突出するように埋設したことを特
   徴とする気密端子。 (2) 前記リード線挿通孔は、前記リード線挿通孔
   の袴部外壁がキヤツプを被せるときの胴径ガイ
   ドとなるように配置されていることを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載に記載さ
   れた気密端子。