JPH0350925B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は改良された炉床を有する焼却炉に関す
る。

従来の技術 従来、発熱量の大きいプラスチツクス、更には
腐蝕性ガスの発生を伴う被焼却物を処理する焼却
炉として特公昭51−3139号が知られているが、此
の炉は砕石層を炉床として使用し、この炉床を横
方向に移動させるため、金属製コンベヤ、ベルト
のような機械機構を組み込まねばならず、超大型
焼却炉の場合は受け入れられるとしても、構造が
複雑であり、又炉床を機械的に横方向に移動させ
る為の不利益は避けることができなかつた。

発明が解決しようとする問題点 本発明は、従来の焼却炉の欠点を解決したもの
であり、被焼却物が発熱量の大きいプラスチツク
スやHCl、SO_x、NO_xなどの有害、有臭気ガスを
生ずる様なものであつても、これら有害、有臭気
ガスを炉外に散逸することなく、被焼却物の種類
に拘わらず完全燃焼を行わせ、常に新しい炉床面
の機能を保持し、併せて炉壁、炉底の火焔による
損傷から保護することのできる焼却炉を提供しよ
うとするものである。

更に又、本発明は小面積であり乍ら、大量の被
焼却物の処理が可能でスケールアツプの容易な焼
却炉を提供しようとするものである。

問題点を解決するための手段 本発明は炉床材入口部から導入された粒状炉床
材か重力により滑り落ち、或は転がり落ちること
によつて炉壁部の炉床材入口下部と前側炉壁との
間で粒状炉床材が安息角をもつて形成する連続斜
面を炉床面とし、その炉床面上に落下する被焼却
物を、炉壁部に続く燃焼室において燃焼させ、更
に炉壁部の下部に設けた炉底部の廃炉床材取出し
口より、廃炉床材を取出すことにより、粒状炉床
材を重力により下降させて炉床の機能を更新する
様に構成した焼却炉である。

更に、上記焼却炉において好ましくは炉床材入
口部、炉壁部及び炉底部の壁面で粒状炉床材と接
触するいずれもの部分が水平面とのなす角度が、
その粒状炉床材のなす安息角以上の角度である焼
却炉であり、更に好ましくは被焼却物入口下部開
口部が、その投影面を炉床面内に有する焼却炉で
ある。

なお、上記安息角は、好ましくは10゜乃至80゜、
更に好ましくは30゜乃至80゜、更に一層好ましくは
40゜乃至70゜の範囲内にある。

又、本発明焼却炉はその炉壁部の炉床内に好ま
しくは単数又は複数の燃焼助長用空気吹出し孔を
有する。更にその炉壁部に続く燃焼室は、炉床と
前側上部炉壁部とにより囲まれ、好ましくは燃焼
用空気取入口、バーナー及び燃焼廃ガス取出口を
有する。

なお、本発明焼却炉炉底部の取出し口からは、
好ましくは単数又は複数の、回転スター、フイダ
ー方式、ダンパー方式などの手段により廃炉床材
を非定常或は連続的に取出すものである。

本発明焼却炉を断面図第１図に基づいて説明す
る。

炉床材入口部Ａは粒状炉床材ホツパー２及び炉
床材入口１よりなり、被焼却物入口部A′は、被
焼却物ホツパー４及び被焼却物入口３よりなる。
炉床材入口部Ａ及び被焼却物入口部A′の下部に
接続する炉壁部Ｂは、前側上部炉壁１４、前側下
部炉壁９、後側炉壁８よりなり、前側上部炉壁１
４は炉床１６と共に燃焼室１３を形成し、この燃
焼室１３には、燃焼用空気取入口１１、バーナー
１７及び燃焼廃ガス取出口１２を設けてある。こ
の燃焼室１３は、一般には耐熱レンガ、耐熱キヤ
スタブル等の不燃材料を用いて構成されることが
多い。

なお、炉壁部Ｂは、炉床材入口１より投入され
て生成した炉床１６の形成する炉床面５及び炉床
１６内に位置する単数又は複数の燃焼助長用空気
吹出し孔１５を有する。

炉壁部Ｂの下側には、炉壁部Ｂに接続して炉底
部Ｃが連なり、炉底部Ｃは廃炉床材などの取出口
前側壁面１０、取出口後側壁面１０′、取出口７、
回転式廃炉床材等取出機７′よりなる。

本発明で使用する粒状炉床材は好ましくは、天
然鉱物質の粒状炉床材を使用するものであり、砕
石、礫または比較的粗い砂等の高温に耐え、炉床
を形成したとき、空気の通過の為の適当な空隙を
有するものが望ましいが、平均粒度５mm乃至３cm
程度の大きさであつて天然鉱物質砕石を使用する
ことにより、大きい安息角を有する炉床面が得ら
れるので更に望ましい。

炉床材ホツパー２より投入された粒状炉床材は
重力により滑り落ち、或は転がり落ちて炉床材入
口１より炉壁部Ｂを経て炉底部Ｃ迄落下する。炉
底部Ｃに粒状炉床材が滑り落ち、或は転がり落ち
て充満すると、次いで炉壁部Ｂに粒状炉床材が進
積し、更に後側炉壁８に露出部を残すことなく炉
床材入口１迄埋め尽くして炉床１６を形成し、炉
床材入口１下部と前側下部炉壁９との間であつて
燃焼室へ開いた開放面に、粒状炉床材の種類で決
まる一定の連続斜面であつて水平面とのなす角度
である安息角（静止摩擦角或は勾配）がθ₁である
炉床面５を形成する。この炉床面５を形成する炉
床１６の内部には燃焼助長用空気吹出し孔１５が
位置することとなる。

ここにおいて、炉床材料入口部Ａ、炉壁部Ｂ及
び炉底部Ｃの壁面で粒状炉床材料と接触するいず
れかの部分、例えば前側下部炉壁９、後側炉壁
８、取出口後側壁面１０′、炉床材ホツパー２、
被焼却物ホツパー４、及び取出口前側壁面１０の
夫々の水平面に対する角度がすべて炉床面の有す
る安息角θ₁を上廻る角度、θ₂、θ₃、θ₄、θ₅、θ₆及
びθ₇にて造られているので粒状炉床材の重力によ
る滑り落ち、或は転がり落ちることによる充填は
極めて滑らかに行われ、粒状炉床材の流れが滞る
等の難点は全然見られない。被焼却物６はホツパ
ー４より投入され、被焼却物入口３より炉床面５
の上に投下される。

なお好ましくは被焼却物入口３下部の投影面は
炉床面５の内にあるので炉床面５の上を滑り、或
は転がり落下するに際し、被焼却物６は常に炉床
面５の上にあり、これから逸脱することはない。
従つて被焼却物６は必ず完全燃焼すると共に炉壁
等が高温の焼却物と直接接触することを避ける利
点を有する。

特に燃焼助長用空気吹出し孔１５により燃焼助
長用の空気が吹き込まれるときは、激しい燃焼と
なり、未燃焼物を残すことはない。燃焼助長用空
気吹出し孔１５は穿孔されたパイプ等で造られる
が、燃焼助長用空気吹出し孔１５の周辺と機械機
構的な相互関係がないので、これの取付け、設置
は容易である。バーナー１７は助燃用或は油状物
の噴霧燃焼用として用いられるが、焼却は炉床面
５の上で完結される。

次に、炉底部の回転式廃炉床材取出機７′を回
転することにより、廃炉床材取出口７より非定常
或は連続的に廃炉床材の抜取りを行うと、廃炉床
材は独得の滑り線を画き乍ら滑り落ち、之に伴つ
て焼却灰も廃炉床材に捲き込まれ乍ら抜き取られ
る。その際、炉床面５は僅かな乱れを示すものの
粒状炉床材入口１を通じて新粒状炉床材の自然供
給があるので修復され、炉床面５は結局安定に維
持される。被焼却物６が炉床面５で焼却すると、
体積及び重量は減少し、自然重力により被焼却物
ホツパー４内の被焼却用投入物は被焼却物入口３
を経由して炉床面５上に滑り落ち、燃焼を維持継
続することになり、安定した燃焼が連続して行わ
れる。

廃炉床材取出口７から取出されて焼却灰を捲き
込んだ廃炉床材は、焼却灰を除去精製するなどし
て後再度、粒状炉床材として使用することもでき
る。

図面は回転式廃炉床材取出機を示したがこれに
かえてダンパー式廃炉床材取出し機を設置して廃
炉床材を非定常的、間歇的に取出すこともでき
る。

この改良された焼却炉の極めて特異な特徴の１
つは炉床面５が水平面に対して傾いていることで
あり、好ましくは10゜乃至80゜、更に好ましくは30゜
乃至80゜、更に一層好ましくは40゜乃至70゜の範囲で
傾いていることである。たとえば乾いた砂を炉床
材とする場合の安息角θ₁は約40゜であり、特に尖
つた劈開面を備えた砕石の場合は80゜以上にも及
ぶことがあり、そばだつた炉床面を形成すること
ができる。

なお、本発明焼却炉において、燃焼室１３の燃
焼廃ガスの強制抜取りが行われることが好まし
い。なお燃焼廃ガス中にHCl、SO_x、NO_x等の有
害ガスを含むときは洗滌塔等除害装置を通過させ
ることにより、容易に有害成分を除去することが
できる。

第１図に示す焼却炉の本体部分の横断面は円形
であつてもよいが、方形、或は矩形であつてもよ
い。

更に本発明焼却炉の他の例において、例えば第
２図に示す様に、廃炉床材取出口７の下部に設け
た回転式廃炉床材取出機７′の上部の炉床中に更
に複数の上段回転式廃炉床材取出機７₁″，７₂″，
７₃″，７₄″…等を設けることにより、複数の滑り
線で形成される部分的に更新され得る炉床面を持
つことができ、部分的な炉床面での燃焼状況に応
じて部分的に炉床面を更新することも可能であ
り、焼却炉としては極めて有利である。第２図の
例では前側下部炉壁９と後側炉壁８で上段回転式
廃炉床材取出機７″の上を何れも垂直にしたため、
滑り線は全て平行で且つ垂直となり、設計を極め
て容易にするものである。この例では廃炉床材取
出部ａを充分長く取り、且つ巾ｂ及び厚さｃを絞
り込んであるため、廃炉床材取出口７からの空気
の漏入は無視出来る程度に少くすることが可能で
ある。

第３図は本発明につき、別の改良された炉床を
有する焼却炉の例示であり、立体構造物の１隅を
利用することのできる焼却炉である。

第３図において、粒状炉床材入口１８、被焼却
物入口１９が狭い面積で済むばかりでなく下拡が
りの炉床面２２が自然に形成される。２０は廃炉
床材取出口である。

作 用 本発明焼却炉の炉床面は水平面に対して傾いて
いることに特徴があり、安息角θ₁は例えば10゜乃
至80゜、好ましくは30゜乃至80゜、更に好ましくは
40゜乃至70゜の角度で傾いているものであるので、
燃焼は斜め方向のみならず水平に近い方向で行う
こともできる。特に燃焼用空気取入口よりの空気
と燃焼助長用空気吹出し孔よりの助燃空気との相
互作用があるときは、火焔が炉床面を嘗める様に
這い上らせることも可能となる。

本発明焼却炉は炉底部の廃炉床材取出し手段に
より、最下端の焼却灰を捲き込んだ廃炉床材を取
り出すものであり、この取り出しにつれて焼却灰
を捲き込んで生成した廃炉床材は順次、縦方向に
下降して取出されることとなる。順次、粒状炉床
材が炉床材入口より重力により滑り落ち、或は転
がり落ちることにより下降し、炉床、殊に炉床面
を更新することとなるが、しかもこの炉床材の有
する安息角は一定に保たれているものである。

又本発明焼却炉に於て、燃焼室よりの燃焼廃ガ
スは燃焼廃ガス取出口より誘引フアンにより強制
抜取を行うことができるものであり、その場合
は、炉床材ホツパー或は被焼却物ホツパー等が開
口されている場合は、空気が炉内に流れ込み、焼
却を容易にするにとどまらず、被焼却物が悪臭を
発する場合でも燃焼助長用空気等と共に完全燃焼
することができる。又燃焼廃ガス中にHCl、
SO_x、NO_x等の有害ガスを含む場合でも、スクラ
バー等の除害装置に廃ガスを導くことによりこれ
ら有害ガスを除去することができる。

実施例 第１図に示す装置を用いて埼玉県秩父郡から産
出する蛇絞岩を砕いた平均直径約10mmの砕石を炉
床材として用い、主としてポリオレフインの破砕
屑を焼却した。炉床面積約0.1m²（0.2ｍ×0.5ｍ
巾）で燃焼助長用空気吹出口１５から燃焼廃ガス
に新しい冷空気を混ぜて約300℃にしたものを約
5Nm³／minの風量で吹出しながら燃焼させた所、
廃プラスチツク破砕屑10Kg／hr強の大きな割合で
容易に完全燃焼した。この場合、燃焼を安定に維
持するため、廃プラスチツク屑に含まれていたと
見られる無機系の焼却残渣を抜き取るべく、約
0.1Kg／hrの割合で廃炉床材取出口７を経由して
廃砕石炉床材を抜き出した。この間、炉床面５は
水平に対して50゜から60゜の間に保持された。尚、
蛇絞岩は珪酸マグネシウムを主成分として居り、
1000℃以下の高温に対して極めて安定であり、取
り出した廃砕石には何等の変質も観察されなかつ
た。

発明の効果 本発明焼却炉は前記の様な作用を有するもので
あるため、従来の焼却炉の欠点を除去、解決した
ものである。即ち、本発明焼却炉は前記の通り、
傾斜した炉床面を用いて被焼却物がどの様なもの
であつても、その完全燃焼を行わせることのでき
るものであり比較的小型の焼却炉であり乍ら大容
量の被焼却物を処理することができる。従つて、
炉床面の傾斜が大きい程、焼却炉の設置面積は小
面積でよいこととなる。なお本焼却炉は巾方向に
寸法を拡大することにより容易にスケールアツプ
することができる。

次に被焼却物が悪臭が強く、又HCl、SO_x、
NO_x等の有害ガスを含む場合であつても完全燃
焼し、又、除害装置に導く等によりこれらが炉外
に逸散することはない。

又、これら有害ガスを含み、或はプラスチツク
スの様な発熱量の大きな場合であつても順次更新
する炉床を有するので炉壁部、炉底部等の火焔に
よる損傷を防止することができる。

本発明焼却炉は、粒状炉床材を重力により縦方
向に移動して炉床を更新するものであるため、燃
焼室においてベルト、コンベア等の様な複雑な構
造を必要とせず構造が簡単であつて製作が容易で
あり、極めて有益なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明焼却炉縦断面図の一例を示す。
第２図及び第３図は本発明焼却炉の他の例を示
す。 １……炉床材入口、２……炉床材ホツパー、３
……被焼却物入口、４……被焼却物ホツパー、５
……炉床面、６……被焼却物、７……廃炉床材取
出口、７′……回転式廃炉床材取出機、７″……上
段回転式廃炉床材取出機、８……後側炉壁、９…
…前側下部炉壁、１０……廃炉床材取出口前側壁
面、１０′……廃炉床材取出口後側壁面、１１…
…燃焼用空気取入口、１２……燃焼廃ガス取出
口、１３……燃焼室、１４……前側上部炉壁、１
５……燃焼助長用空気吹出し孔、１６……炉床、
１７……バーナー、１８……炉床材入口、１９…
…被焼却物投入口、２０……廃炉床材取出口、２
１……燃焼室、２２……炉床面、Ａ……炉床材入
口部、Ｂ……炉壁部、Ｃ……炉底部、ａ……廃炉
床材取出部高さ、ｂ……廃炉床材取出部巾、ｃ…
…廃炉床材取出部厚さ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 炉床材入口部から導入された粒状炉床材が滑
   り落ち、或は転がり落ちることによつて、炉壁部
   の炉床材入口下部と前側炉壁との間で粒状炉床材
   が安息角をもつて形成する連続斜面を炉床面と
   し、その炉床面上に落下する被焼却物を、炉壁部
   に続く燃焼室において燃焼させ、更に炉壁部の下
   部に設けた炉底部の取出し口より廃炉床材を取り
   出すことにより、粒状炉床材を重力により下降さ
   せて、炉床の機能を更新する様に構成したことを
   特徴とする燃却炉。 ２ 炉床材入口部、炉壁部及び炉底部の壁面で粒
   状炉床材と接触するいずれもの部分が水平面との
   なす角度が、その粒状炉床材のなす安息角以上の
   角度であることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の燃却炉。 ３ 被焼却物入口下部開口部は、その投影面を炉
   床面内に有することを特徴とする特許請求の範囲
   第１項又は第２項記載の焼却炉。 ４ 安息角は10゜乃至80゜の範囲内にあることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項乃至第３項のいず
   れかに記載の焼却炉。 ５ 燃焼助長用空気吹出し孔を炉床内部に有する
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第４
   項のいずれかに記載の焼却炉。 ６ 炉壁部に続く燃焼室は、炉床と前側上部炉壁
   面とにより囲まれ、燃焼用空気取入口、バーナー
   及び燃焼廃ガス取出口を有することを特徴とする
   特許請求の範囲第１項乃至第５項のいずれかに記
   載の焼却炉。 ７ 炉底部の取出し口は単数又は複数の回転スタ
   ー、フイダー方式又はダンパー方式である取出し
   手段を適用するものであることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項乃至第６項のいずれかに記載の
   焼却炉。