JPH0349690Y2

JPH0349690Y2 -

Info

Publication number: JPH0349690Y2
Application number: JP3322785U
Authority: JP
Priority date: 1985-03-07
Filing date: 1985-03-07
Publication date: 1991-10-23
Also published as: JPS61148309U

Description

【考案の詳細な説明】１産業上の利用分野この考案は歯科矯正診断に用いる頭部Ｘ線規格
写真撮影装置の頭部固定機構に備えられ撮影照準
の合否を判定するためのイヤーロツトの改良に関
する。

２従来技術頭部Ｘ線規格写真は歯科矯正診断における不正
咬合の実体把握や、顎体の形態学的分析などに不
可欠のものであり、セフアロ撮影装置として専用
の機器もあるが、一般には歯科用全顎Ｘ線撮影
（パノラマ撮影）と兼用するパノラマ・セフアロ
撮影装置として広く普及している。この装置はパ
ノラマ装置の撮影部に樹設した長尺のアーム先端
に頭部固定機構と、フイルムカセツテ保持部とを
設け、パノラマ撮影とセフアロ撮影とを１個のＸ
線源によつて切換え的に行うことができる。すな
わち患者頭部をＸ線焦点からたとえば1.5mの位
置において上記固定機構によつて正しく位置づけ
固定し、Ｘ線源の放射錐軸をセフアロ撮影基準線
に照準して、撮影することによつて頭部正面・側
面および斜位45゜などの規格写真が得られる。こ
の規格写真の良否は上記頭部固定機構のイヤーロ
ツトが固定した患者の両外耳孔中心点を結ぶ直線
すなわち撮影基準線に対すＸ線源の放射錐軸の照
準の精度によつて左右され、この照準の不正確な
写真は規格写真として用をなさない。上記照準の
合否を判定手段としては頭部固定機構によつてそ
の対向位置が調整される１対の垂下支持杆（以下
イヤーロツト支持杆と記す）の先端に設けられ、
患者の両外耳孔に挿入固定する同じく１対のイヤ
ーロツトの映像を規格写真上に写し込み、この映
像の重なり具合によつて判定するのが通例であ
る。さらにこの撮影から外耳孔上縁の一点を検出
し、これを計測基点として関心部位との距離を測
定し、不正咬合などの診断を行うので、イヤーロ
ツトのＸ線像は鮮鋭にしてコントラストのすぐれ
たものでなければならない。このため従来からＸ
線吸収係数の高い金属部材にて影像を形成するよ
うにしたイヤーロツトが用いられている。

第１図は従来の代表的なイヤーロツトの側断面
図であり、イヤーロツト１ＡはＸ線吸収係数の低
い合成樹脂たとえばメタクリル樹脂成型材で作ら
れ、一端に外耳孔挿入部２を形成し、つば部３を
介して他端に上記挿入部外径D₁と同径の結合部
４を形成するとともに、これに肉厚（t_r）の金属
リング５を嵌着して、イヤーロツト支持杆６に嵌
装している。図示を省略するが、このイヤーロツ
ト１ＡのＸ線影像は透明なリング像の内腔部がＸ
線吸収係数の低い部材ではあるが、吸収層厚が大
きく、ためにフイルムは十分黒化せず、淡い影像
を生じ、透明リング像の内輪すなわち肝心の外耳
孔位置を示す境界線がぼやけ、鮮鋭度の低いもの
となり、上記撮影照準を精度良く判定することが
困難となつたり、明確な計測基準点が見い出しに
くい欠点がある。上記欠点を解消するため筆者が
考案し、出願した実願昭59−第150052号「頭部Ｘ
線規格写真撮影装置のイヤーロツト」は合成樹脂
材のみで作り、上記金属リングに対応するＸ線吸
収層を軸方向に長い合成樹脂の周壁にて形成した
ものである。明細書に詳記しているが、第２図に
その一実施例イヤーロツトの側断面を示す。図に
おいて、イヤーロツト１Ｂは従来と同等のメタク
リル樹脂材で作り、一端に設ける挿入部２および
つば部３の各部寸法D₁，D₂，L₁，L₂，Ｔおよび
Laは第１図の従来品と同一かもしくは近似とす
るが、他端の結合部７およびその内腔８において
工夫がなされている。すなわち結合部外径D₃が
挿入部外径D₁より大径であり、内腔８が同心で
内径ｄが上記D₁より小径で、かつ内腔深さｌが
イヤーロツト全長Laの1/4以上という条件を備え
ているので、D₁とｄとの差に対応する肉厚t_fたと
えば１mmの円筒体が全長Laにおよぶ長いＸ線吸
収層（点線で示す）９を形成し、短尺の金属リン
グに匹敵する透明リング像をフイルム上に写し出
すのである。しかるにこのイヤーロツト１Ｂを実
用に供するに及び外耳孔位置を示す肝心の透明リ
ング像の外輪におけるコントラストが十分でない
ことが判つた。第３図は上記イヤーロツトのフイ
ルム上のＸ線影像１１を示す。その中心円１２は
イヤーロツト１ＢのＸ線吸収層厚が上記内腔８の
ために薄く、さらに患者の両外耳孔間の臓器のＸ
線吸収率が低いので、黒化度が高く、上記透明リ
ング１３との境界線１４のコントラストはすぐ
れ、問題はない。しかしながら透明リング１３の
周囲にやや黒化度が低く、淡い影像の外リング１
５が発生し、透明リング１３との境界線１６いい
かえると透明リング外輪のコントラストを損なわ
しめている。これは外耳孔まわりの皮膚や臓器が
Ｘ線を吸収するに加えて、イヤーロツト１Ｂの挿
入部径D₁より結合部径D₃が僅かに太く、そのた
め薄い肉厚△ｔの長さL₂tTに担当する合成樹脂
材の吸収層１７が存在することによつて、外周部
１８に対し僅かに低濃度の外リング１５を透明リ
ング１３と同心状にかつ近接した２重リングとし
て見え、これが透明リング１３の外輪をぼやけさ
せているからである。

３目的この考案の目的は従来のイヤーロツトならびに
先に出願したイヤーロツトの欠点を解消し、製作
容易、低廉にして内・外輪ともにコントラストが
良好で鮮鋭な透明リング像を規格写真上に形成
し、撮影照準の合否を高精度に判定でき、かつ明
瞭な計測基準点が検出できるイヤーロツトを提供
しようとするものである。

４構成この考案の構成は頭部Ｘ線規格写真撮影装置の
頭部固定機構を有する１対のイヤーロツトを合成
樹脂材で形成するについて、一端の外耳孔に挿入
する挿入部の外径と、他端の垂下支持杆に係止す
る結合部の外径を同一にするとともに、同心状の
内腔を全長またはほぼ全長に穿設して、軸方向に
長い周壁をＸ線吸収層として形成したものであ
り、この構成によつて内・外輪ともにコントラス
トのすぐれた透明リング像を鮮鋭にフイルム上に
写し出すことのできるイヤーロツトとなる。また
高電圧短時間撮影などによるＸ線強度の高いばあ
いに対応して、上記周壁のＸ線吸収率を自在に高
め、透明リング像の鮮鋭度を保つようにもできる
イヤーロツトである。

５実施例以下図面を用いてこの考案の実施例を説明す
る。第４図はパノラマ・セフアロＸ線撮影装置の
頭部固定機構を上方から見た平面図であり、セフ
アロ撮影状態にしたＸ線源を含む装置本体は図示
を省略している。頭部固定機構２０は図示しない
装置本体の撮影部から長く突出したアーム２１先
端の固定台２２に１対のロツド２３を介して支承
される基台２４の中心軸２５を回転中心としてハ
ンドル２６の操作によつて45゜および90゜回動す
る。上記基台２４に摺動可能な１対の支持ロツド
２７にセフアロ撮影用カセツテ保持部２８が支承
されてる。上記固定機構２０は図示しないＸ線源
のＸ線放射錐軸Xcに沿つて互いに相反する方向
に移動可能の１対のイヤーロツト支持杆６（第１
図参照）と、図示しない頭部でこ当て部と、眼窩
下縁インジケータとを備えている。上記イヤーロ
ツト支持杆４はＸ線透過率の高い部材で作られ、
その下端にこの考案にかかるイヤーロツト３０，
３０′が対向状に装着される。今患者の頭部の位
置ぎめが完了した状態においては、イヤーロツト
３０，３０′間の距離Seは患者の両外耳孔間距離
に調整され、イヤーロツト中心を結ぶ直線Xaが
セフアロ撮影照準線となる。Ｘ線源の焦点Ｘから
基台中心軸２５すなわち頭部中心までの距離Lx
は通常1.5mにしてあり、頭部中心からカセツテ
保持部２８に装填したカセツテ２９のフイルム面
までの距離Lfは可変であるが約0.15mである。以
上の構成によつて拡大率1.1倍の規格写真を撮影
するのであるが、上記Ｘ線放射錐軸Xcがセフア
ロ撮影照準線Xaに完全に合致する照準を行うこ
とで、はじめて診断精度の高い規格写真が得られ
るのである。すなわち１対のイヤーロツト３０，
３０′のＸ線像が完全に重なり、１個の影像とな
るか否かで、照準の合否を判定するのである。

つぎに第５図から第１０図によつてこの考案の
かかる実施例イヤーロツトを説明する。第５図は
第一の実施例イヤーロツトの側断面図、第６図は
上記イヤーロツトの規格写真上に影像図である。
図においてイヤーロツト３０ａはメタクリルなど
の透明合成樹脂材Psで成型され、挿入部２と結
合部７との外径D₁と同一とし、たとえば従来と
同じく８mmとする。また上記２，７の長さL₁，
L₂は従来のものと同一かまたは近似とする。つ
ば部３の厚さＴは極力薄く２〜３mmとする。同心
状の内腔８の深さｌは挿入部先端に底３２を残し
てイヤーロツト全長Laに近い深さとする。この
構成によつて厚さt_fが（D₁−ｄ）／２の長い周壁
となり、Ｘ線吸収層３３を形成する。このイヤー
ロツト３０a1対を患者の両外耳孔１０に挿入し
て、撮影したフイルム上のＸ線像を第６図に示
す。イヤーロツト影像３４の中心円３５は十分に
黒化し、上記軸方向に長尺のＸ線吸収層３３によ
つて形成される透明リング３６との境界線すなわ
ち透明リング内輪３７はすぐれたコントラストを
有するものとなる。さらに透明リング３６の外周
部においては第２、第３図で説明した同心状の外
リング１５が発生しないので、外周部１８は中心
円３５に近い濃度で黒化し、透明リング３６との
境界線３８つまり透明リング外輪のコントラスト
を内輪３７と同等にすぐれたものとし、鮮鋭な透
明リング像３６が得られる。第７図はこの考案の
第二の実施例イヤーロツトの側断面図で、このイ
ヤーロツト３０ｂはセフアロ撮影装置を高電圧短
時間撮影として用いるばあいに適するものであ
り、合成樹脂材として鉛を含めＸ線に対する線減
弱係数μをメタクリル樹脂などの10〜20倍も高く
した鉛含有合成樹脂材Ppを用いる。全長La、外
径D₁は第５図のものと同一または近似とし、外
径ｄの内腔８はこのばあい貫通孔とする。挿入部
先端２Ｔは患者の外耳孔に挿入しやすいように形
成する。またこのイヤーロツト３０ｂはつぼを設
けず、イヤーロツト支持杆６に内径ｄと同径の段
部４０を設けて当りとする。これらのＸ線影像は
図示しないが、強いＸ線強度のセフアロ撮影にお
いても第６図と同様鮮鋭な透明リング３６が得ら
れることはいうまでもない。第８図はこの考案の
第三の実施例イヤーロツトの側断面図で、第一の
実施例イヤーロツト３０ａにては透明リング３６
がやや黒化するようなＸ線強度のセフアロ撮影の
とき用いるに適するものである。すなわちイヤー
ロツト３０ｃの材質はメタクリル樹脂などのＸ線
吸収率の低い透明性樹脂Psを主体としそのＸ線
吸収層３３の一端にＸ線吸収係数の高い部材でな
るリング状部材４１を結合する。このＸ線吸収リ
ング体４１はイヤーロツトの外径D₁および内径
ｄと同径でかつ、長さl₁をたとえば３mmとした金
属たとえば真ちゆうリングとし、その小径段部４
２に設けるとともに上記樹脂材端部にこれとはま
り合う段部を設けて結合する。第９図はこの考案
の第四の実施例イヤーロツトの側断面図で、第８
図のものと同様の目的をもつイヤーロツトであ
る。このばあいのＸ線吸収リング体４１はイヤー
ロツトのＸ線吸収層３３の端部以外の任意の位置
に設け、上記同様内・外径を同径としたものであ
り、通常左右の小径段部４２に綾目ローレツトを
加工して、合成樹脂成型時埋込んで一体化する。
第１０図はこの考案の第三の実施例の変形ともい
うべきイヤーロツトの側断面図であり、イヤーロ
ツト３０ｃの結合部長L₂を若干短かいL₃とし、
イヤーロツト支持杆６の厚みL₂との差（△Ｌ）
に対応する長さのＸ線吸収リング体４１を嵌入さ
せ、たとえば接着剤にて接合する。このイヤーロ
ツト３０ｅは上記３０ｃ，３０ｄのイヤーロツト
より廉価にでき、同一効果を有する利点がある。
以上がこの考案の実施例であるが、この考案案は
図示や説明に限定されないことはいうまでもな
い。たとえば、３０ａ，３０ｃ，３０ｄ，３０ｅ
においてつば３がなくてもよく、また底つきの内
腔８を３０ｂのように貫通孔としてもよい。Ｘ線
吸収リング体４１は真ちゆうに限らず、適切な吸
収率を有する部材であれば何でもよい。

６効果この考案は以上のように構成されているので、
製作容易にして廉価であるにもかかわらず、セフ
アロ撮影の管電圧が通常のばあいから高電圧にわ
たり、そのＸ線強度の広い範囲の変化に対応し
て、常に鮮鋭にしてコントラストのすぐれたイヤ
ーロツト影像を規格写真に写し込むことによつ
て、セフアロ撮影照準の合否を高精度で判定し得
るだけでなく、外耳孔上縁の計測基準点が明確に
検出しうる便宜なイヤーロツトを提供しえたもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の代表的なイヤーロツトの側面図
（１部断面）、第２図は実願昭59−第150052号のイ
ヤーロツトの側断面図、第３図は第２図のイヤー
ロツトのＸ線像を示す図、第４図はイヤーロツト
のセフアロ装置内位置関係を説明するパノラマ・
セフアロ撮影装置の頭部固定機構の平面図、第５
図はこの考案の第一の実施例イヤーロツトの側断
面図、第６図は第５図のイヤーロツトのＸ線像を
示す図、第７図は第二の実施例のイヤーロツトの
側断面図、第８図は第三の実施例イヤーロツトの
側断面図、第９図は第四の実施例イヤーロツトの
側断面図、第１０図は第三の実施例の変形実施例
イヤーロツトの側断面図である。１Ａ，１Ｂ……従来および先に出願したイヤー
ロツト、２……挿入部、D₁……挿入部および結
合部の外径、６……垂下支持杆（イヤーロツト支
持杆）、４，７……結合部、８……同心状内腔、
１０……外耳孔、ｄ……内腔径、t_f……周壁肉
厚、ｌ……内腔深さ、２０……頭部固定機構、３
０ａ，３０ｂ，３０ｃ，３０ｄ，３０ｅ……この
考案にかかるイヤーロツト、９，３３……Ｘ線吸
収層、Ps，Pp……合成樹脂材、１１，３４……
規格写真上のイヤーロツト影像、４１……Ｘ線吸
収材にてなるリング状部材。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】１被検者頭部のＸ線規格写真を撮影する装置の
頭部固定機構が備え、その相対位置が調整自在
の１対の垂下支持杆の先端に設けられ、被検者
の両外耳孔に挿入固定し、規格写真上に前記両
外耳孔の位置を写し込むようにしたイヤーロツ
トにおいて、合成樹脂材にてなり、一端に前記
外耳孔に挿入するに適する尖端形状および外径
を有する挿入部を、他端に前記挿入部外径と同
径で前記垂下支持杆に係止する結合部を設ける
とともに、同心状に内腔を穿設し、Ｘ線吸収層
を軸方向に長い周壁によつて形成したことを特
徴とする頭部Ｘ線規格写真撮影装置のイヤーロ
ツト。２Ｘ線吸収層の周壁が、周壁と内・外径が同径
で短尺のＸ線吸収材にてなるリング状部材を含
めてなる実用新案登録請求の範囲第１項記載の
頭部Ｘ線規格写真撮影装置のイヤーロツト。